妊娠中はルイボスティーの飲み過ぎに注意な理由は?胎児への影響の実例を紹介【産婦人科医監修】
ノンカフェインで健康への効果が期待されているルイボスティーですが、近年の研究で妊娠中の過剰摂取により赤ちゃんの疾患を引き起こすおそれがあることが明らかになっています。これまでの症例をもとに、ルイボスティーの危険性や赤ちゃんにおよぼす影響について産婦人科医監修で解説します。
本ページはプロモーションが含まれています
この記事の監修
目次
ルイボスティーとは?
ルイボスは南アフリカ共和国の限られた地域に自生するマメ科の植物です。その葉から作られたお茶をルイボスティーといいます。古くから先住民に愛飲され、ノンカフェインで第7栄養素ともいわれるポリフェノールを多く含んでいるのが特徴です。
ポリフェノールは8,000種以上と非常に多くの種類があり、大きくフラボノイド類とそれ以外のふたつに分類されます(※1)。フラボノイド類だけでも数千種類が発見されており、代表的なものにはお茶に含まれるカテキン類、大豆に含まれるイソフラボン類、そばに含まれるルチンなどがあります。
これらのフラボノイドは抗酸化作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用などの機能を期待されるものです。特定保健用食品(トクホ)に使われているため、名前を目にする機会も多いのではないでしょうか。
妊娠中はルイボスティーの飲み過ぎに注意が必要?
人々の健康意識の高まりを受け注目が集まるポリフェノールですが、近年の研究により妊娠中に過剰摂取すると胎児に影響をおよぼす可能性が示されています。特に「胎児動脈管早期収縮(たいじどうみゃくかんそうきしゅうしゅく:PCDA)」の症例では、妊婦がルイボスティーを多く飲用していたことが要因とされることから、妊娠中のルイボスティーの飲みすぎには注意が必要です。
※胎児動脈管早期収縮…胎児の動脈管が母体内で収縮し、完全閉塞もしくは狭窄(きょうさく)を起こすことにより生じる病状
胎児動脈管早期収縮の症例
妊娠30週で胎児動脈管早期収縮(PCDA)と診断された36歳女性の症例は、妊娠24週に切迫早産と診断され入院にいたったことでわかりました。この女性は妊娠前に毎日1000mL程度のルイボスティーを摂取していたことが判明しています。
胎児PCDAはルイボスティーに含まれるポリフェノールに起因するとの診断にいたり、摂取を中止したところ症状の改善が見られました。その後妊娠38週に出産、産後1ヶ月健診での発育に問題はなく、心機能の異常も認められなかったことが報告されています(※2)。
胎児動脈管早期収縮とは、お腹の中の赤ちゃんの動脈管がなんらかの要因で収縮し、完全閉塞もしくは狭窄(きょうさく)を起こすもので、それにより胎児水腫(すいしゅ)、胎児右心不全、新生児遷延性肺高血圧症(しんせいじせんえんせいはいこうけつあつしょう)などを生じる恐れがあります(※3)。
赤ちゃんの胎動が弱くなった症例
出産予定日を2週間後に控えた女性の症例では、赤ちゃんの胎動が弱くなったことにより医師の診察を受けた結果、胎児PCDAの兆候があることが判明しました。帝王切開へと切り替え、無事出産にいたっています。
胎児PCDAを発症したのは、妊娠36週から足のむくみを解消するために毎日ルイボスティーを煮だして飲んでいたことが原因と考えられています(※4)。
このような症例はプルーンの過剰摂取でも見られます。プルーンにはポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれていることから、ルイボスティー以外の食品にも注意が必要です。
妊娠中に飲めるルイボスティーの量は?
これまでのところ、妊娠中や授乳中に飲めるルイボスティーの明確な基準は示されていません。懸念されている胎児PCDAは特に妊娠後期に多く報告されており、1日500mLの摂取で発症した症例もあります(※5)。
ルイボスティーはティーバッグやペットボトルなどで市販されていて手軽に摂取できるお茶ですが、500mL以上を毎日飲むなど習慣的に水分補給に使うことは避けたほうが良いでしょう。
妊娠中は注意!ポリフェノールを多く含む食品
ポリフェノールはとても身近な成分で、果実や野菜といった植物性食品に広く含まれています。ポリフェノールの含有率が高く、もっとも多く摂取されている食品が玉ねぎです(※6)。トマト、キャベツ、バナナなども口にする機会が多い食品ですね。
このように、ポリフェノールはごく一般的な食品にも含まれているため特定の食品を過剰摂取するのではなく、どの食品もバランスよく取り入れるように意識していきましょう。
ほかにもチョコレートやココアなどのし好品やコーヒー、緑茶、紅茶にもポリフェノールが多く含まれています。プルーンやブルーベリーを使った健康食品などを摂る際には、自己判断せず医師や薬剤師に相談すると安心ですね。
赤ちゃんに飲ませても大丈夫?
これまでのところ、赤ちゃんがルイボスティーを多量に飲んだときの安全性や有効性を示すデータはありません。小児では8歳の女の子が突発性中枢性尿崩症と診断された症例が報告されています(※5)。
一方で、口にしたからといってただちに健康に被害をおよぼすというデータも認められていないため、過去に飲んでいた場合でも心配しすぎないことが大切です。赤ちゃんの体調に気がかりなことがあれば、医師や自治体の保健師に相談すると良いでしょう。
ルイボスティーはバランスを意識して楽しもう
ルイボスティーの赤く澄んだ色味はティータイムに彩りを添えてくれますね。お茶としてたまに楽しむ分には問題がないとされていますが、安心・安全を示すデータに乏しい現状を踏まえると、不安に感じる人もいることでしょう。
とりすぎが健康に影響をおよぼす可能性があるということは、ルイボスティーに限らずほかの食品にもいえることです。心配しすぎてストレスになるのもよくありません。なにごともひとつにかたよりすぎず、バランスを意識して楽しんでみてはいかがでしょうか。
※この記事は2022年1月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。