産褥熱とは?原因や症状、治療法・予防法を解説!帝王切開でも産後に発熱する?|産婦人科医監修

産婦人科医監修|産後のママが、高熱で悩まされることがあります。風邪の場合もありますが、産後すぐの発熱は「産褥熱(さんじょくねつ)」の可能性も。出産で傷ついた子宮などが炎症することでおこる産褥熱は、どんな病気なのでしょうか。産褥熱の原因、症状、治療法、予防法とともに、帝王切開でも産褥熱がおこるのかについて解説します。

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この記事の監修

寺師 恵子
産婦人科医
寺師 恵子

目次

  1. 産褥熱とは?定義は?
  2. 産褥熱の原因
  3. 産褥熱の症状
  4. 帝王切開でも産褥熱になる?
  5. 産褥熱に含まれない症状は?
  6. 産褥熱の治療法は?
  7. 産褥熱のときの母乳ケアは?
  8. 産褥熱の予防法は?
  9. 産後すぐに発熱したらすぐに病院へ
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産褥熱とは?定義は?

「産褥熱」の読み方は、「さんじょくねつ」と言います。産褥熱の定義は、「出産から24時間以上経っており、その後10日以内に38℃以上の高熱が2日以上にわたって続くもの」とされています。(※1)

東京都健康安全研究センターによると、出生10万人あたりの産褥熱による死亡者数は、1899年が127.3人となっており、1908年に153.6人にまで増加した後に減少傾向にあります。2014年には死亡者数が6人となっており、これまでの歴史の中では最も死亡率が低くなっています。(※2)

産後すぐに体調を崩してしまうと不安になるかもしれませんが、適切な治療を行えば悪化せずにすむ病気です。発熱などの症状が出た場合は、すぐに産院に相談しましょう。

産褥熱の原因

産褥熱は、産道や子宮内が分娩によって傷つき、そこから細菌感染することによっておこります。産褥熱を引きおこす主な菌は、以前までは黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などでしたが、現在では腸内細菌や嫌気性細菌、クラミジアなどが原因となることが多いとされています。

これは、抗生物質によって黄色ブドウ球菌や連鎖球菌など毒性が強い菌に対処できるようになってきたことや、自宅分娩から管理が行き届いた病院での分娩が増えたことが関係していると考えられます。

産褥熱の症状

菌によって引きおこされた炎症の他、悪露停滞(おろていたい)という病態によっても産褥熱がおこることがあります。産褥熱では、風邪のときのように咳などの症状は出ないのでしょうか。原因ごとの症状について確認しておきましょう。

悪露停滞

産後に子宮や腟から排出される分泌物を悪露(おろ)と言いますが、ママに子宮筋腫などがあると、悪露が体外へスムーズに排出されないことがあります。悪露が体外へ排出されるのをさまたげられてしまうと、子宮の中に悪露がたまることがあります。これを「悪露停滞(おろていたい)」と言い、産褥熱を引きおこす原因のひとつです。

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産褥子宮内膜炎

産褥子宮内膜炎は、産褥熱を引きおこす原因となる病気の中でも特に頻度が多いとされています。

悪露が子宮内にたまっている状態が長期間続くと、子宮内で細菌が増殖します。このような状況が続くことで産褥子宮内膜炎がおこります。子宮内膜の深いところまで炎症がおよぶ場合があり注意が必要です。症状は、発熱の他に下腹部痛や子宮を圧迫するような痛み、血が混ざった悪臭をともなう悪露などがみられます。

産褥子宮付属器炎

産褥子宮附属器炎は、細菌が卵管や卵巣に炎症を引きおこす病気です。症状は、産褥子宮内膜炎と同じく発熱だけではなく、下腹部痛や子宮の圧痛などもおこり、症状が現れてから数日後に再び高熱が出ます。症状が進行してしまうと、炎症が鎮まってからも発熱が続くことがあります。

産褥子宮旁結合組織炎

子宮旁結合組織(しきゅうぼうけつごうそしき)から、広間膜(こうかんまく)という子宮の層の深いところにまで、炎症が広がった状態を「産褥子宮旁結合組織炎」と言います。

症状は、産後3~4日におこる高熱です。悪寒をともなっている場合に症状が進行すると、敗血症を引きおこす場合があります。敗血症とは、感染症によって臓器に重い障害がおこっている状態のことで、生命に危険がおよぶことがあります。

帝王切開でも産褥熱になる?

帝王切開には、感染症にかかるリスクがあります。切開した部分の傷や縫合に使用する糸が感染源となる可能性があります。症状は、産褥熱の他に悪臭をともなう悪露や子宮の圧痛などです。

帝王切開による感染症の頻度については報告書によって数値が大きく異なりますが、経腟分娩よりもリスクが高いといわれています。

産褥熱に含まれない症状は?

産後には、乳腺炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)などによって発熱することがあります。産褥熱は、子宮や卵巣、卵管の病気が原因でおこる発熱のため、乳腺炎や腎盂腎炎による発熱は産褥熱には含まれません。乳腺炎は、乳頭の傷から侵入した細菌によって引きおこされる化膿性乳腺炎と、母乳が乳管内でうっ滞したことでおこるうっ滞性乳腺炎に分けられます。

乳腺炎と腎盂腎炎の症状について確認しておきましょう。

乳腺炎

うっ滞性乳腺炎では、詰まっている乳管の部分が大きく腫れたり赤くなったりします。また、痛みや部分的な熱感なども感じます。化膿性乳腺炎では、乳房が全体的に腫れ、赤みや熱感、痛みをともないます。さらに、悪寒や震えをともなう発熱も現れるため、産褥熱と間違えられやすいのです。

腎盂腎炎

腎盂腎炎は、腎盂と呼ばれる腎臓の袋状の部分に、細菌が感染しておこる病気です。産後は、膀胱で増えた細菌が腎盂へと広がり、腎盂腎炎がおこりやすいといわれています。症状は、悪寒と震えをともなう高熱の他、吐き気や嘔吐、腰や脇腹の痛みなどです。このような症状が現れた場合には、ただの風邪だと自己判断せず、必ずクリニックを受診しましょう。

産褥熱の治療法は?

産褥子宮内感染症と診断された場合には、入院したうえで抗生物質による治療が必要な場合があります。また、超音波検査で子宮内に胎盤や悪露などが残っていないか確認し、必要に応じて子宮の内容物を取り除く処置を行います。

このような対処によって症状が改善した場合には、抗生剤の投与を終了して経過観察をします。退院の時期については、そのときの状態で異なるため、医師の指示に従うことが大切です。

なお、改善がみられなかった場合には、原因となる病気を突き止めるために検査を行います。原因の菌を詳しく調べ、必要に応じて抗生剤を変更します。また、膿瘍(のうよう)ができている場合には、切開して膿を出す手術を行う場合があります。

産褥熱のときの母乳ケアは?

風邪などによる発熱の場合には、授乳をしても問題ないとされています。しかし、産褥熱の場合は、症状次第では入院治療が必要になるケースもあります。産後24時間が経過してから10日以内に高熱が出た場合には、医師の診察を受けるようにしましょう。

また、抗生剤による治療を受けることになった場合、使用する抗生剤によっては授乳ができなくなります。入院の必要がなく、授乳してもよいと医師の許可を得られた場合には、これまで通り授乳してもよいでしょう。

しかし、授乳は体力を消耗するため、ママの体調が優れないあいだはミルクと組み合わせるなど工夫することをおすすめします。

産褥熱の予防法は?

産褥熱を防ぐためには、子宮や卵管、卵巣への感染を防ぐ必要があります。予防法としては、免疫力を高めるための十分な睡眠や栄養バランスのとれた食事などがあげられます。具体的な方法を確認しておきましょう。

十分な睡眠

産後のママは授乳があるため、不規則な生活になることは仕方がないかもしれません。しかし、少しでも睡眠をとるために、授乳と授乳の間に仮眠することをおすすめします。また、就寝の直前の入浴は、睡眠を深くするといわれていますが、寝つきが悪くなってしまう可能性があるので、就寝の2~3時間前に入ると良いでしょう。

栄養バランスのとれた食事

エネルギーの源となる糖質や脂質の他、タンパク質やビタミン、ミネラルなどバランスよく摂りましょう。また、腸内の善玉菌を増やすことが免疫力アップにつながるといわれています。善玉菌を含むヨーグルトや納豆、漬物などを摂りましょう。また、善玉菌の栄養源となるオリゴ糖を含む大豆やごぼう、たまねぎ、にんにく、バナナなどを意識して摂ることもおすすめです。

産後すぐに発熱したらすぐに病院へ

発熱の原因によっては、そのままにしていても症状が改善する可能性がありますが、子宮や卵巣、卵管などに炎症がおきている場合は、放置すると症状が悪化する恐れがあります。産後すぐに発熱した場合は、できるだけ早くかかりつけの産婦人科や婦人科を受診しましょう。

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