産後の悪露はいつまで?量・色・においや生理との違いは?鮮血が出ることも?【産婦人科医監修】
産後しばらくは悪露が出ますが、悪露の量や色などについて不安になるママもいるかもしれません。悪露なのか生理など他の出血なのか、見分け方がわからない人もいるのではないでしょうか。ここでは、産後の悪露が続く期間や量・色・生理など他の出血との違いや、悪露の効果的な排泄方法、臭いにおい対策について解説します。
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目次
産後の出血「悪露」とは?
産後しばらくの出血は悪露という
妊娠前は生理の時以外に出血があるのは「不正出血」と呼ばれ、トラブルのサインだと考えられます。しかし、産後しばらくのあいだは出血が続くもので、これを「悪露(おろ)」といいます。産後のママの身体は子宮を妊娠前の大きさに戻そうと悪露を排泄します。
「悪露の量が減る=子宮などが順調に回復している」ということになります。
悪露とは子宮内に残った分泌物
産後は大きくなった子宮が収縮して妊娠前の大きさに戻ろうとします。これを「子宮復古」といいますが、このときに子宮内に残った胎盤や卵膜、血液などが混じり合った分泌物がすべて排出されます。これを「悪露」といいます。胎盤や卵膜が剥がれて出血している箇所を、子宮収縮で止血しますが、完全に止血されるまでは出血や体液が分泌され続けるので、それらが体外に排出されます。
悪露はいつまで続く?
産後1週間ぐらいで薄くなる
悪露は、産後2、3日は血液成分を多く含むので鮮血のように見えますが、1週間もすれば血の色は薄くなります。
1ヶ月くらいで出てこなくなる
個人差はありますが、子宮が収縮してくると出血がなくなるので、悪露は産後1ヶ月ほどで出なくなるのが一般的です。
もし、悪露が産後1ヶ月以上続く場合には何らかのトラブルも考えられるので、念のため医師に相談しましょう。また、血の混じった赤い悪露が2週間以上続いている場合は、子宮復古がうまくできていない可能性もあります。できるだけ早く産婦人科に相談しましょう。
産後1ヶ月までは鮮血や血の塊が出ることもある
いったん鮮血のような悪露が治まったとしても、その後何かの拍子に子宮内に残っていた血液が一気に排出されることがあり、再び悪露が鮮血のようになります。血の塊のようなものが出て驚くこともあるかもしれません。産後1ヶ月を過ぎるまでは、悪露で鮮血が出ることは十分に考えられるので注意しましょう。
帝王切開のときは2ヶ月ほど続くこともある
帝王切開の場合、縫合前に子宮内に残った分泌物などを取り除くので、悪露の量は経腟分娩に比べると少ない場合が多いようです。しかし、悪露が続く期間としては長くて2ヶ月ほど続く場合もあるようです。帝王切開の場合は子宮口の開きが少ないため経膣分娩より長引く傾向にあるようです。
悪露の排泄を促す方法
産後は悪露を排泄し、子宮を妊娠前の大きさに戻すことが重要です。悪露が続く期間には個人差がありますが、排泄を促す方法を知っておくと安心です。
休息をとる
子宮が収縮し回復している間は悪露が続きます。子宮の回復には出来る限りの休息が必要です。このため、産後1ヶ月はゆっくり休みましょう。産後すぐに忙しく家事を始めることはできるだけ避け、可能な場合は家族に協力してもらい、身体を休めるようにしましょう。
赤ちゃんに母乳をあげる
赤ちゃんに母乳をあげることで子宮の収縮がすすむといわれています。
赤ちゃんが乳首を吸うことでママにオキシトシンというホルモンが分泌され、このオキシトシンにより子宮の収縮を促します。これにより子宮の回復が早くなり、悪露の排泄にもつながります。
適度に動く
休息が何よりも大切ですが、赤ちゃんのお世話などで適度に動くことも悪露の排泄に効果的です。家事などは産後1ヶ月頃からゆっくりはじめていくと良いでしょう。
悪露が臭い!効果的なにおい対策
産褥パッド・産褥ショーツを活用する
「産褥パッド」や「産褥ショーツ」をしっかり活用しましょう。産後の悪露による衣類やシーツの汚れ対策・におい対策として役立ちます。役割や使用方法は、生理用ナプキンや生理用ショーツと同じです。量が多いときや臭いにおいが気になるときは、1日に4~5回程度とこまめに交換しましょう。
通気性の良い服装をする
悪露が出ているあいだは、通気性の良い服装をすることが大切です。ショーツ内の湿度が高い状態が続くと細菌が発生しやすくなり、臭いにおいにつながります。ピチッとしたパンツや通気性が悪い素材の下着・服はできるだけ避けましょう。綿や麻などの素材のスカートやバギーパンツなどを活用してみてくださいね。
こまめにデリーケートゾーンをケアする
デリケートゾーンを不清潔な状態のまま放置すると、細菌が繁殖しやすくなります。悪露のにおいが臭くなるだけでなく、傷口からの細菌感染にもつながることがあるため注意しましょう。産褥パッドをこまめに取り替えるとともに、トイレに行った際には清浄綿でやさしくデリケートゾーンを拭いてください。
においが強すぎるとき・長期間続くときは病院へ
いろいろなケアをしていても臭いにおいが気になる場合や、悪露が少なくなってきても強いにおいが続いている場合には、細菌感染による病気が原因になっているかもしれません。性感染症や腟炎などの可能性があるため、産婦人科に相談してみましょう。早めに適切な治療やケアを行えるよう、気になることがあればすぐに先生に話すようにしてくださいね。
悪露とは異なる出血
子宮復古不全による不正出血(鮮血が産後2週間以上続く)
子宮が収縮すると胎盤や卵膜が剥がれた部分は止血されていきます。このため、産後2週間頃にはほとんど出血は止まり、悪露に血がまじることはなくなります。しかし、2週間以上真っ赤な鮮血が出続ける場合は子宮復古不全を起こしているかもしれません。正常に子宮が収縮しないことによる不正出血が考えられるため、早めに産婦人科に相談しましょう。
子宮内の傷や炎症による不正出血(産後1ヶ月を過ぎての鮮血)
産後1ヶ月を過ぎると子宮は妊娠前と同じくらいの大きさになっています。悪露は白っぽい色でほとんど出なくなっているはずです。ここで一時的に鮮血が出ても残っていた血などが一気に出たとも考えられますが、ダラダラと出続けるようなら子宮内の傷や炎症による不正出血の可能性があります。細菌感染などの可能性もあるので早めに産婦人科に相談しましょう。
生理の再開
産後しばらくは排卵が起こらず生理も止まっていますが、早い人では産後1ヶ月から生理が再開します。
不正出血と生理の見分け方
ママの身体は産後に分泌される「プロラクチン」というホルモンの関係で産後しばらくの間は生理が止まるようにできています。プロラクチンは母乳を分泌する作用がある一方で、排卵を止めて子宮収縮を促す作用もあります。産後は胎盤が剥がれた部位からの出血を止めるために子宮を収縮させる必要があるので、赤ちゃんが母乳を飲むほどにプロラクチンが分泌されて子宮の回復も促されます。それにともなって排卵が起こらなくなり、生理が止まります。
生理は早い人で産後1ヶ月半から来ることがある
産後の生理再開の時期には個人差がありますが、一般的には産後4ヶ月くらいで再開する人が多いと言われています。しかし、早い人は産後1ヶ月半で生理が再開する人もいます。
授乳中はプロラクチンの影響で排卵が抑制されるので、生理も起こりにくくなります。母乳育児の場合は、早くても分娩後3〜4ヶ月に再開するとされていますが、ミルク育児の場合には分娩後約2ヶ月後には生理が再開することがあります。
生理の出血であれば数日で止まる
出血している期間に着目してみましょう。生理の出血であれば数日で止まります。これが1週間以上鮮血が続くようなら子宮内でなんらかのトラブルが起きているかもしれません。炎症を起こしたり傷が癒えていなかったりすることもあるので、早めに産婦人科に相談しましょう。
生理には下腹部痛があることも
生理の場合、鮮血と一緒に下腹部痛がある場合があります。その場合、生理痛かもしれません。しかし、産後すぐは子宮収縮による「後陣痛」があり、長いと産後1ヶ月を過ぎるころまで続くことがあります。また、不正出血の原因のひとつに細菌感染があり、この場合は発熱や身体の痛み、だるさなどを伴うこともあります。いずれにせよ生理痛なら数日でおさまりますが、下腹部痛など体調不良が長引くようなら不正出血を疑い、早めに産婦人科に相談しましょう。
日頃の生理や妊娠前の生理の状態を観察しておく
日ごろから妊娠前の生理の状態をよく観察しておくと、いざ産後の出血が始まったときに生理なのか、不正出血なのかを見分ける目安になるでしょう。