【助産師監修】産後の寝方が重要な理由とは?寝方のおすすめやNG、睡眠の質を上げる方法もご紹介!|助産師監修
【助産師監修】出産を終えてほっとしたのも束の間、赤ちゃんのお世話がすぐに始まります。抱っこに授乳におむつ替え、ママは24時間大忙しですよね。毎日を元気に過ごすためには、質の良い睡眠をとり、心も身体もすっきりとした状態で朝を迎えたいですね。実は大事な「産後の寝方」のポイントと睡眠の質を上げる工夫についてご紹介します。
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目次
産後の身体の状態とは?
産後は心身ともに不調を感じやすい
妊娠中は長いあいだ、出産に向けて心も身体も準備してきましたね。お産を終えてほっとしたのも束の間、赤ちゃんにつきっきりの育児がスタートします。授乳に抱っこ、おむつ交換など、ママはまとまってゆっくり眠れる時間がなく、1日中赤ちゃんのお世話で忙しくなります。
そのような慣れない育児生活で疲れがたまり、気持ちをふさぎ込んでしまう場合があります。産後3-10日ごろに、疲れがとれない、気持ちが落ち込んでしまうといった、いわゆる「マタニティブルーズ」の症状は3~6割のママが経験するといわれています。
産後1ヶ月ほどはホルモンの影響で身体に起こる変化から不調を感じたり、「母親」という新しい立場のプレッシャーから不安になったりする方が多いようです。基本的には一過性のもので、治療の必要がないケースが多いようですが、心の疲れは気になりますね。産後の身体に何が起こっているのかを理解し、心の準備をしておくと、気持ちの持ち方を変えられて良いかもしれません。
産後のママの身体
子宮は、妊娠から出産までのあいだに、鶏卵ぐらいの大きさから約10倍になります。赤ちゃんが産まれると、へそより少し下くらいまで小さく縮み、へそくらいの高さに戻ってから6週間ほどかけて徐々に妊娠前の大きさに戻ります。
この産後6週間の期間は「産褥期」と呼ばれ、ママの身体を休めて回復させる大事な期間になります。産後の悪露(月経の出血のようなもので、胎盤がはがれた部分からの出血に腟などからの分泌物が混じって排出されるもの)は、産後10日前後で赤色から茶色に変化し、産後2-3週間ころにはおりもののような色になり、産後6週間ぐらいでなくなります。
あまりにも赤い悪露が長く続く場合や血のかたまりが出る場合は、子宮の回復が遅れている可能性があるため、受診の必要があります。産後1ヶ月健診の際に、気になる症状があれば主治医に相談してくださいね。
産後の「痛み」や「不快」な症状
会陰の傷の痛みや子宮の収縮による「後陣痛」、お産による骨盤のゆるみから引き起こされる恥骨の痛みなど、産後しばらくはさまざまな痛みに悩まされる方が多いです。
赤ちゃんが産まれるときに産道が引き伸ばされ、尿道口を引きしめる筋肉がゆるんでしまった場合、「尿もれ」に悩まされることもあります。ゆるんだ筋肉は自然に回復することが多いですが、長く続く場合は産婦人科で相談してくださいね。
産後の寝方が重要な理由
産後1ヶ月のいわゆる「産褥期」のあいだは、布団を敷いたままにして、赤ちゃんのお世話のみに集中し、ママは布団やベッドで寝て身体を休めましょうと、古くからいわれています。布団やベッドで横になって寝て過ごすことが多いこの時期、注意したいのが寝ているときの姿勢です。
産後は骨盤が開いた状態から、左右の骨盤が少しずつ縮むことをくり返すことで、徐々に元に戻っていきます。このため、骨盤に負担をかけず、骨盤の縮みをさまたげない姿勢で眠ることが大事になります。横向きで眠ると、体重の重みが骨盤の左右どちらか一方にかかってしまうので、できればこの時期、横向きで寝るのは控えましょう。
とはいえ、添い寝や横向きで授乳をしながら、ママも一緒に眠ってしまうこともありますね。横向きの姿勢で寝てしまうときは、両ひざをそろえるようにして寝ると、骨盤のゆがみが起こるのを軽減できるそうです。両ひざをそろえるには、枕やクッションなどを両足のあいだに挟むと良いですよ。産後、ゆるんだ骨盤が戻る大事なこの時期に、寝方によって左右にゆがみが出ないように注意したいですね。また、産褥ベルトなどで骨盤をサポートすることも効果的です。
骨盤にゆがみが出ることで起こるトラブル
産後の骨盤ケアの大切さは、助産師さんたちのあいだでも広く知られているようです。骨盤にゆがみが出ると、女性を悩ませるさまざまな症状を引き起こしてしまうおそれがあるためです。
骨盤にゆがみが出ると、じん帯が引っ張られて子宮が下がりやすくなり、尿漏れなどのトラブルの原因になることもあります。また、骨盤がゆがんだ状態で生活することで、骨盤周辺の筋肉やじん帯に影響が及ぶと、恥骨部分に痛みを引き起こしたり、腰痛の原因になったりします。女性の不調に多い、便秘や冷え性を招くこともあるといわれています。
産後におすすめの寝方
骨盤への負担を軽くする寝方
骨盤に負担をかけないようにするには、どのような寝方が良いのでしょうか。横に開いた骨盤は横からの力に弱いので、仰向け寝・うつぶせ寝がおすすすめです。仰向けの姿勢は、腰が反っている状態となり、腰周りの筋肉に負荷がかかることがあります。腰痛を感じる場合には、膝の下にクッションを入れて軽く膝を立てた状態を作ってあげると、腰が楽になりますよ。
うつぶせ寝はお腹と胸を圧迫するため、息苦しく感じる方もいるかもしれません。そのような方は、うつぶせ寝用のクッションを利用するのも良いですが、あまり無理はしないでください。
帝王切開後の負担を軽くする寝方
腰への負担をやわらげるため、産後は横向きで寝たいというママもいるかもしれません。しかし、帝王切開後の横向き寝やうつぶせ寝は傷口に負担がかかってしまいます。
帝王切開後の傷口は、表皮・真皮・皮下組織(筋膜)で回復期間が異なります。表皮は術後数日で傷口が閉じ、3週間ほどで痛みなどが落ち着いてきますが、真皮は数ヶ月から半年、皮下組織は1年ほどかけて回復するといわれています。そのあいだ、傷やその周辺が引っ張られたり、摩擦などの刺激を受けたりすると、傷跡のつっぱり感や傷跡の赤み・盛り上がりが気になることがあるかもしれません。
帝王切開後に横向き寝がいつから可能かといったガイドラインは示されていませんが、傷口が閉じても炎症は続いているため、傷口が落ち着くまでは横向き寝は控えたほうが良いでしょう。添い寝などで横向き寝の方が都合が良い場合には、両ひざをそろえて横向きになる、クッションなどを背中に当てて身体を支えるなどすると負担が軽くなりますよ。
傷口の回復には個人差があり、「術後数日で痛みが引き横向きで寝ていた」というママもいれば「1ヶ月経っても違和感があり横向き寝ができない」というママもいます。つっぱり感や傷跡が気になるときは無理をせず、心配なことがあれば医師に相談してください。
産後の睡眠の質を上げる工夫
産後は、質の良い睡眠で心と身体の回復をはかりたいですよね。赤ちゃんとの生活がスタートすると、授乳や夜泣きがあるため、ママが朝までぐっすり眠ることは難しくなるでしょう。
睡眠不足になると、ささいなことでイライラしたり落ち込んだりしてしまい、子育てにも悪い影響が出る可能性があります。上手に睡眠時間を確保し、睡眠の質を上げて疲れを貯めないよう気をつけたいですね。
短い昼寝で仮眠を取ろう
赤ちゃんが昼寝をしているときに、ママも仮眠して睡眠不足を補いましょう。夜の睡眠に差支えのないよう、夕方前までの時間帯が良いでしょう。あまり長時間のお昼寝ではなく、15~20分くらいを目安にすると良いでしょう。
夜、就寝前はリラックスしましょう
熟睡するためには、心身ともにリラックスした状態で、緊張がとけていることが大事です。お風呂に入って身体を温めてから就寝すると良いでしょう。ホットタオルで目を温めたり、ホットミルクなどの温かい飲み物を飲んだりすることも良いでしょう。お休みの30分前には家事も無理をしないでくださいね。
自分に合った枕選びや肌触りの良いパジャマ、寝具にこだわってみても良いかもしれません。明るい画面や細かな文字を見ていると視覚が刺激されてリラックスしにくいため、就寝前にはパソコンやスマホは控えましょう。
家事は臨機応変に!
子どもの寝かしつけで、ママも一緒に寝てしまう場合もありますよね。子どもが寝た後でやろうと思っていた家事のやり残しが、気になってしまうかもしれません。子どもと一緒に寝てしまったら、そのまま朝までぐっすりと眠って、少し早起きして家事をするのも良いでしょう。疲れがとれた心と身体で向き合えば、いつもより家事がはかどるかもしれませんよ。パパにも理解してもらえると良いですね。
子どもがぐっすり眠れる工夫をしましょう
夜中に子どもが起きたら、ママも起きなければいけません。夜寝る前に、赤ちゃんが飲める十分な量のおっぱい・ミルクを与えるようにしましょう。夜中の授乳の際に添い乳をすると、赤ちゃんが上手におっぱいを飲めないまま寝てしまい、少しの時間で空腹を感じて泣いてしまうことがあるようです。次の授乳までの時間が少しでも長くなれば、ママもまとまった睡眠を取れるようなりますね。
赤ちゃんの頃から少しずつ睡眠リズムを作るために、朝はカーテンを開けて部屋に光を入れましょう。昼は明るく、夜は暗くして過ごすことで、昼夜のメリハリをつけましょうね。
質の良い睡眠で気持ちよく朝を迎えましょう
子どもが小さいうちは、ママは睡眠不足になる場合が多いでしょう。「質の良い睡眠」は毎日を元気に過ごすために大事だと分かってはいても、睡眠時間を確保することはなかなか難しいですよね。ゆったりとした環境でスムーズに入眠できるよう、小さなことから心がけてみてはいかがでしょうか。朝から気持ちよく育児をスタートできると良いですね。
※この記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。