産後の生理痛がひどい原因と対策!帝王切開をすると重くなる?「生理痛のような痛み」がある人も

産後に生理が再開し、妊娠前より生理痛が重くなったと感じるケースがあるようです。産後の生理痛の悪化は、どのような原因で起こるのでしょうか。腹痛・腰痛・頭痛・吐き気など、まずは自分の生理中の症状をチェックしてみましょう。ここでは産後の生理痛の原因や軽減法、授乳中でも生理痛の薬は飲めるかどうかについても解説します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 産後1ヶ月~3ヶ月はどんな時期?生理痛のような痛みがある人も
  2. 産後に生理痛がひどくなる人は多い?
  3. 帝王切開後は生理痛がひどくなる?
  4. 産後の生理痛とともに起こる症状
  5. 産後の生理痛がひどくなる原因は?
  6. 産後の生理痛を軽くする方法は?
  7. 産後の生理痛を緩和させるために薬やピルは飲める?
  8. 産後の生理痛の体験談
  9. 対策をして生理痛を乗り切ろう
  10. あわせて読みたい

産後1ヶ月~3ヶ月はどんな時期?生理痛のような痛みがある人も

お産を迎える女性は、産道を確保するために骨盤が左右に大きく広がっていきます。それでも出産によって、骨盤や子宮周りの筋肉は大きなダメージを受けます。こうしたダメージが産後少しずつ回復して、ママの身体が妊娠前の状態に戻るまでの期間を「産褥期(さんじょくき)」とよびます。

一般的に産褥期は6~8週間程度ですが、人によっては3ヶ月~半年ほどかかることもあります。産褥期には、子宮収縮が繰り返され、伸び広がった子宮が元の大きさに戻っていきます。子宮の収縮によって、軽い陣痛や生理痛のような痛みを感じることがあるでしょう。これは後陣痛ともよばれ、経産婦のほうが強く感じる傾向があるようです。

また、産後は「悪露(おろ)」とよばれる血液や血液の混じったおりものが出ます。子宮にたまっていた血液と分泌物が混ざったもので、子宮の回復とともに色や量が変化していきます。

産後2ヶ月ぐらいになると子宮の回復が進み、排卵が起こって生理が始まるママもいます。一般的に、プロラクチンというホルモンの影響で、母乳のみで授乳しているママの生理再開は遅く、ミルクで授乳をしているママの生理再開は早いといわれています。

産後に生理痛がひどくなる人は多い?

出産後に、生理痛が悪化したと感じるママは多いようです。ストレスやホルモンの変化などさまざまな原因がありますが、慣れない育児中に重い生理痛が起こるのはつらいですよね。

一人目の出産後は普通だったのに、二人目の出産後は生理痛がひどくなったなど、同じ人でもそのときどきによって傾向は異なります。妊娠前よりも生理痛が軽くなるケースもあるようです。

妊娠前と違う激しい生理痛は、病気のサインという可能性もゼロではありません。痛みを我慢し続けるよりは、早めに婦人科を受診しておくと良いでしょう。原因がわかったほうが安心できますし、育児のストレスも軽減されるかもしれません。

帝王切開後は生理痛がひどくなる?

帝王切開分娩を経験したママは、産後の生理痛がひどくなる場合があります。帝王切開の場合も、子宮が元に戻るために子宮収縮が起こります。このときの痛みを生理痛と感じるママがいるようです。子宮の回復や悪露の色の変化は、経腟分娩に比べると少し遅くなる傾向があるといわれています。

また、帝王切開の後の縫合で子宮内膜を縫いこんでしまうと、傷跡に「子宮内膜症」が発生することがあります。他の病気や感染症の可能性もあるので、下腹部に激痛を感じたときは、迷わず医師に診てもらいましょう。

産後の生理痛とともに起こる症状

腰痛

生理中は、骨盤内に経血がたまることで下半身の血流が悪くなり、腰痛を引き起こすことがあります。骨盤内に経血がたまるひとつの原因として、産後の骨盤の歪みによって生じた、子宮後屈や前屈があげられます。子宮の傾きが大きいと、経血がスムーズに排出されずに子宮内にとどまってしまうことがあるのです。

また、生理の経血を押し出すために起こる子宮収縮によっても腰痛を感じることがあります。

頭痛

生理痛に伴って、ひどい頭痛を発症することがあります。生理時に起こる頭痛には、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が関係しているといわれています。

エストロゲンは生理前に急減し、それに伴ってセロトニンという脳内物質も減少します。セロトニンの影響で脳内の血管が拡張すると、頭痛が起こるといわれています。生理時の頭痛は心拍に合わせてズキズキと痛んだり、身体を動かすと悪化したり、吐き気を伴ったりするのが特徴です。

吐き気

生理が始まると、胃がムカムカしたり、吐き気がしたりすることがあります。吐き気などの不調が続くと、生理痛がつらく感じられやすくなることも考えられます。吐き気の原因はさまざまですが、ホルモンの一種であるプロスタグランジンが関係しているといわれています。

胃と子宮は同じ平滑筋という筋肉でできています。生理中にプロスタグランジンの分泌量が多くなると、子宮だけではなく胃の収縮にも影響するため、胸やけや吐き気を起こすと考えられています。

下痢

生理痛を感じると同時に下痢になるママも多いようです。下痢によって下腹部の痛みがさらに強まって感じることがあります。生理中の下痢には、プロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンが影響しているといわれています。

生理が始まると、腸の働きを鈍くするプロゲステロン(黄体ホルモン)が減少し、子宮を収縮させるプロスタグランジンの分泌量が増えます。このプロスタグランジンによって腸が過剰に収縮し、下腹部痛を伴う下痢が起こることがあるようです。

産後の生理痛がひどくなる原因は?

出産による骨盤の歪み

骨盤の開きや歪みが、生理痛の原因となることがあります。お産によって大きく開いた骨盤は、産後少しずつ元に戻っていきます。しかし骨盤のじん帯がゆるんだ状態が続くと、骨盤内の臓器や血管、神経が圧迫されてホルモンバランスが崩れたり、筋肉に歪みが生じてスムーズに経血が排出されなかったりと、生理に影響することがあります。

また、産後は授乳や抱っこなどで、慣れない姿勢を長時間とることが多くなりがちです。こうした普段の姿勢が骨盤の歪みにつながり、生理痛に影響することがあります。

反対に、出産を経て産道が開いたことで経血が排出しやすくなったり、出産後に骨盤の歪みが治ったりしたことで、生理痛が軽くなったというママもいます。

ホルモンバランスの乱れ

産後はママのホルモンバランスに変化が訪れます。完全ミルクで授乳をしているママや産後しばらくたったママの体内では、プロラクチンという排卵を抑制するホルモンの濃度が下がり、エストロゲンや黄体形成ホルモンが増加することで排卵して、生理が始まります。

ホルモンバランスによって、経血の量や痛みの強さは変わってきます。経血を押し出すときの子宮の収縮がうまくいかなかったり、骨盤内に血がたまったりするケースもあります。ストレスや冷えにもホルモンは影響されるため、生理痛がひどいときは生活習慣を改善することも大切です。

ストレス

産後は、慣れない育児や睡眠不足でストレスがたまりやすい状況です。妊娠前とはまったく違う毎日に、とまどうママも多いでしょう。出産時の疲れやホルモンバランスの変化で「マタニティーブルーズ 」とよばれる情緒不安定な状態になることもあります。

ストレスによって、ホルモンや自律神経のバランスが崩れることがあり、生理痛の一因となります。また、ストレスによって神経や筋肉が緊張した状態になると、より痛みを強く感じることがあります。育児中でもリラックスして過ごせるように、自分に合ったストレス解消法を探してみましょう。

身体の冷え

身体が冷えると血液の循環が悪くなり、ホルモンの一種のプロスタグランジンという痛み物質が骨盤内で滞ってしまうことがあります。また、冷えで子宮の筋肉が硬くなっていると、子宮内膜を押し出すための収縮がうまくいかず、痛みが強まることもあるようです。

産後は夜中の授乳や運動不足などで、冷え症になりやすい時期です。毛布をかけたりカイロを貼ったりして、下腹部や腰を温めるように心がけましょう。

子宮内膜症の疑いも

生理痛がひどくなった場合、子宮内膜症を発症している可能性があります。子宮内膜症とは、本来は子宮内に存在する子宮内膜が、それ以外の場所で生育している状態です。

通常と同じように生理時に出血しますが、出口がないために血腫となったり、まわりの器官に癒着して、強い生理痛が起こったりすることがあります。

子宮内膜症だけではなく、強すぎる生理痛や月経異常は、他の疾患の可能性もあります。激痛を感じたり、生理時以外にも出血があったりするときは、すぐに病院を受診しましょう。婦人系疾患を放置すると、不妊のリスクが上がる場合があります。

産後の生理痛を軽くする方法は?

骨盤を矯正する

産後の骨盤の歪みによる生理痛は、骨盤を矯正することで改善することがあります。骨盤の矯正方法には以下のような方法があります。

・骨盤ベルト
・骨盤ショーツ、ガードル
・骨盤矯正ストレッチ
・姿勢を正す
・整体に通う

最近ではママ向けに、胎児所付きの整体院もあります。プロに骨盤の歪みを矯正してもらうのも良いでしょう。

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下腹部・骨盤まわりを温める

身体を温めることで、骨盤周りの血流が良くなり、生理痛が軽減することがあります。使い捨てカイロや湯たんぽなどで、下腹部や腰を温めてみましょう。お腹であればおへその下、腰であれば中央の仙骨付近がおすすめです。

骨盤まわりを温めることで、子宮や卵巣周辺の血行促進が期待できます。両方を同時に温めても良いですね。カイロで低温やけどをしないように、下着や腹巻の上から温めるようにしましょう。心地良い温かみは、精神的なリラックス効果もありますよ。

バランスの良い食生活

ホルモンの分泌を整えるためには、バランスの良い食事も大切です。産後の体形を気にして食事制限を行うママもいますが、産後の身体を回復するためには、栄養をしっかりとる必要があります。

肉や魚などのたんぱく質、油などの脂質、ご飯やパンなどの炭水化物、野菜に多く含まれるビタミン、乳製品などに含まれるミネラルを過不足なく三食の食事で摂るようにしましょう。

脂質は健康に欠かせませんが、脂肪分の多い食品はホルモンの代謝に関わる肝臓の働きを低下させることがあります。過剰摂取しないように注意が必要です。また、身体を冷やさないように冷たいものは控え、温かい飲み物や血行を促進する香味野菜(にんにく、生姜など)も取り入れてみましょう。

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適度な運動

適度な運動をすることで、子宮の回復につながり生理痛が改善することがあります。激しい運動ではなく、身体に負担をかけないようなゆっくりとした動作のものから始めると良いでしょう。

ママに人気の産後ヨガは、ゆるんだ骨盤底筋群を締めて、骨盤を整えるポーズを取り入れたヨガです。体調に問題がなければ、産後1ヶ月ぐらいから始めることができます。生理痛だけではなく、育児による腰痛や肩こりなどの解消にもなるといわれています。

また、骨盤内の血流が滞ると、生理痛が強まるといわれているので、下半身の血行を促進するようなストレッチも良いでしょう。腰回しや骨盤ゆらしもおすすめです。無理をせず、気持ちが良いと思う範囲で続けるのがポイントです。

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産後の生理痛を緩和させるために薬やピルは飲める?

市販の鎮痛剤の大半は、母乳にわずかしか移行しないといわれています。とくに「アセトアミノフェン」や「イブプロフェン」が使われている鎮痛剤であれば問題ないといわれています。

アセトアミノフェンやイブプロフェン配合のものは市販の薬でも存在しますが、個人で判断するのは多少のリスクが伴います。授乳中のママが鎮痛剤を使う場合は、医師や薬剤師に相談の上、処方してもらうのが良いでしょう。

生理痛の緩和には、低用量ピルも有効です。しかし、ピルに含まれる「エストロゲン」は母乳の出に影響することがあるため、授乳中は服用できません。授乳をしていないママは、出産後3週間を過ぎたあたりから服用が可能といわれています。ピルの服用にはいろいろな条件があるため、まずは婦人科で相談してみましょう。

産後の生理痛の体験談

産後は生理痛が重くなりました

しばらく生理がなかった影響か、産後に再開した生理の痛みは妊娠前より強く感じました。また、産後に生理が再開する直前に、胸のムカムカと精神的なイライラを感じ「何か身体が変だな」と思っていました。そうした症状を感じた翌日に生理が再開したので、少し安心したことを覚えています。

妊娠前の生理痛は軽めで、同時に眠気やだるさを感じる程度でしたが、出産後に再開した生理痛は腹痛だけでなく頭痛も伴っており、気を抜くとすぐに貧血になってしまいました。そのため鉄分を補給するサプリや薬が手放せなくなりました。

対策をして生理痛を乗り切ろう

産後、生理痛がひどくなる原因は、骨盤の歪みやホルモンバランスの変化、ストレス、冷え性などが考えられます。栄養バランスを考えた食生活やリラックスできる環境を整えることで改善できるかもしれません。

日常生活が困難なほどの痛みを感じるときは、子宮の病気を発症している可能性があります。赤ちゃんがいると自分のことは後回しになりがちですが、なるべく早めに婦人科を受診してみましょう。

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