デュファストンの効果と副作用、飲み方は?服用中の生理や基礎体温は?|産婦人科医監修
不妊治療を始めると処方されることのある「デュファストン」。女性ホルモンのバランスを整えることで、不妊治療以外にも、流早産や生理不順などさまざまな治療に効果が期待できる薬です。デュファストンの作用や効果、そして副作用はどのようなものがあるのか気になりますね。ここでは、デュファストンの効果や副作用などについて解説します。
本ページはプロモーションが含まれています
この記事の監修
目次
デュファストンとは?効果は?
不妊治療に使われることの多い「デュファストン」。ジドロゲステロンを主成分とする黄体ホルモン剤で、排卵誘発効果や子宮内膜症の治療などにも用いられます。一体、どのような効果のある薬なのでしょうか。
流産や早産
デュファストンは切迫流産・切迫早産、習慣性流産・習慣性早産の治療にも使用されます。「デュファストン5mg」の製造販売元での臨床実績では、切迫流早産で1072例中827例(77.1%)、習慣性流早産で59例中52例(88.1%)への有効性が認められています。この数値を見ても、流産や早産に効果のある薬といえるでしょう。
無月経
無月経の場合は、デュファストンを飲むことで排卵誘発効果もみられます。無月経での臨床実績は、695例中541例(77.8%)に薬の有効性が認められていて、無月経に関しても効果の高い薬といえるでしょう。
生理不順
デュファストンは、生理周期が39日以上の稀発月経や、生理周期が24日以内の頻発月経などの生理不順の治療にも用いられます。生理不順の臨床実績では、36例中30例(83.3%)に有効性が認められています。
月経困難症
社会生活が困難になることもあるほどひどい生理痛「月経困難症」の治療にもデュファストンの効果が期待できます。また、稀発月経や頻発月経などの生理不順にも効果があるとされています。789例中557例(70.6%)に有効性が認められています。
機能性子宮出血(不正出血)
器質的ではない子宮からの出血である機能性出血など、いわゆる生理以外での不正出血の治療にもデュファストンが使われることがあります。機能性子宮出血の場合、387例中300例(77.5%)に有効性が認められているという臨床実績があります。
黄体機能不全による不妊症
黄体からのホルモン分泌が不十分なことにより、不妊症になってしまっている場合にもデュファストンが使用されることがあります。臨床実績では、181例中93例(51.4%)に有効性があるとされています。
子宮内膜症
子宮内膜やそれに似た組織が子宮内腔以外の場所に発生して、女性ホルモンの刺激で増殖する病気である「子宮内膜症」の治療にもデュファストンが使用されることがあります。臨床実績では、104例中92例(88.5%)に有効性があると認められました。
デュファストンの飲み方・飲むタイミングは?
さまざまな病気の治療に用いられる「デュファストン」の飲み方や飲むタイミング、飲み忘れたときの対処法について解説します。
1日1~3錠(5~15mg)を1~3回に分けて服用
デュファストンは、1粒直径7mmの錠剤です。通常は、成人1日1~3錠(5~15mg)を1~3回に分けて服用します。しかし、子宮内膜症の治療においては、1日1~4錠(5~20mg)を服用します。
飲み忘れたら気づいたときに
デュファストンの飲み忘れに気づいたら、早く気づけた場合は気づいたときに、次回飲む時間が近い場合は1回飛ばして次のものを飲みましょう。1度に2回分を服用することはしないでください。飲み忘れに気づいた時間によって、どのように飲めば良いのかわからなくなってしまった場合は、処方してもらったかかりつけ医に相談すると安心です。
デュファストンの副作用は?
効果のある薬ほど、副作用が心配になりますね。「デュファストン」の副作用にはどのようなものがあるのか解説していきます。
眠気、頭痛、めまい
デュファストンの神経系の副作用として、眠気や頭痛、めまいを起こすことがあります。副作用がきついと感じたら、一度服用を止め、処方をしてくださったかかりつけ医に相談するようにしましょう。
吐き気、嘔吐
消化器系の副作用として、吐き気(悪心)、嘔吐などがあります。薬の販売元が発行している薬の添付文書によると、3,200例中、悪心は17例(0.5%)、嘔吐が6例(0.2%)という結果が発表されています。例は少ないものの、デュファストンの副作用は、消化器系の副作用が多いことがわかります。
発疹、じんましん
皮膚、皮下組織の副作用として、発疹、じんましんなどが起こる場合があります。なかでも発疹は0.1%未満に起こると報告されています。
食欲不振、体重増加
代謝や栄養に関する副作用として、食欲不振や体重増加などが起こります。3,200例中、食欲不振は7例(0.2%)ありました。
その他
その他の副作用として、むくみや倦怠感が現れることがあります。ただし、自発報告や海外において認められている副作用のため、むくみや倦怠感の出現頻度は不明となっています。
どの副作用に関しても、服用を始めてからすぐに表れるケースが多くなっています。あまりにも副作用がきつい場合は、処方してもらったかかりつけ医に相談しましょう。
デュファストン服用中は生理が来ない・遅れる?いつ来るの?
デュファストン服用中は生理が来ないのでしょうか。また生理周期が変わる場合は、どのタイミングで生理が来るのかということも含めて解説します。
生理が遅れる・来ないことがある
黄体ホルモン剤であるデュファストンは、子宮内膜に作用し、子宮内膜が厚くなっている状態にするので、デュファストンを飲んでいるあいだは、生理が遅れたり来なかったりすることがあります。
飲むのをやめて数日で生理がくるのが一般的
生理は、子宮内膜が剥がれ落ちたものが溶け出てくる現象ですので、デュファストンの服用をやめると、通常であれば数日で、厚くなっていた子宮内膜がはがれて生理が起こります。服用後、1週間たっても生理が来ないときは医師に相談しましょう。生理が来ない場合は、妊娠の可能性もありますので、生理予定日1週間後から妊娠検査薬で検査してみてください。
もし、服用中に生理が来てしまった場合は、黄体ホルモンの数値が低いままだった可能性もあります。処方してもらった医師と相談して、ホルモンバランスを整えていく方法を探しましょう。
デュファストン服用後の基礎体温はどうなる?
デュファストン服用後、基礎体温はどのように変化するのでしょうか。高温期が続く場合はどのようなケースが想定されるのでしょうか。
体温を上げる作用はない
デュファストン自体に基礎体温を上昇させる作用はありません。しかし、平坦な一相性の基礎体温の患者(低温期がずっと続いている場合)で、服用中に基礎体温の上昇が起これば、排卵したものと推定できるといわれています。
高温期に服用すると高温期が続く
デュファストンを高温期に服用すると、高温期が続くという作用があります。それは、デュファストンに子宮内膜を維持する効果があるためです。
デュファストン服用の注意点
デュファストン服用の際の注意点を解説します。
重度の肝障害・肝疾患のある人は服用しない
デュファストンが肝臓で代謝されるので、「重篤な肝障害」「重篤な肝疾患」を有する患者に関しては肝機能障害が悪化する恐れがあり、使用しないように添付文書でも注意喚起されています。
心疾患や腎疾患、肝障害のある人は慎重な服用を
心疾患や腎疾患の患者、またはその既往歴がある患者の場合は、黄体ホルモンが電解質代謝に影響をあたえるので、ナトリウムや体液の貯留が現れることがあり、慎重に服用するように明記されています。治療中の病気や服用中の薬があれば、かかりつけ医に相談してみましょう。
デュファストンに関する筆者の体験
筆者も排卵周期が安定していなかったころ、デュファストンが処方されました。また切迫流産と診断された際にも処方されました。医師の指示通りにきちんと服用することで効果が得られ、妊娠し、それを継続することができています。正しく理解して、利用していけると良いですね。
デュファストンで妊娠しやすく、妊娠を維持できる身体づくりを
デュファストンは、女性にとって大切なホルモンバランスを整えてくれることで、さまざまな効果が期待できる薬です。副作用もいくつかあげましたが、リスクはどれも低めであり、妊娠を望む場合は特にデュファストンは力になってくれるでしょう。流産や早産にも効果を発揮できる薬なので、妊娠しやすく、妊娠が維持できる身体づくりに一役買ってくれるかもしれませんよ。
※この記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。