プレマリンとは?効果と副作用は?ルトラールやデュファストンと併用する?|産婦人科医監修
プレマリンは、不妊治療や婦人科系疾患の治療でエストロゲン(卵胞ホルモン)の補充を目的に使用されるホルモン剤です。子宮内膜を増殖させる効果があり体外受精においても重要な役割を果たしますが、どのような副作用があるのでしょうか。プレマリンの飲み方や飲み忘れたときの対処法、プレマリンと併用される薬についても解説します。
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目次
プレマリンとは?効果や排卵率は?
プレマリンとは、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)を補充するホルモン剤です。プレマリンを服用することで、エストロゲンにかかわる婦人科系疾患の改善が期待できます。卵巣機能不全、卵巣欠落症状、更年期障害、腟炎、機能性出血などの治療に用いられます。それぞれの病気と治療効果について解説します。
卵巣機能不全
プレマリンで治療できる病気の中で不妊症にもっとも深くかかわる病気は「卵巣機能不全」です。卵巣機能不全による無月経や無排卵月経などの治療における排卵率は34.1%となっています。卵巣機能不全の場合、プレマリンを服用することで妊娠の可能性が高まることが期待されます。
卵巣欠落症状
エストロゲンの分泌量の減少により生理がこなくなって、更年期障害のような症状が起こることを「卵巣欠落症状」といいます。プレマリンを服用してエストロゲンを補充することにより、その症状を改善することができます。
更年期障害
加齢にともなう卵巣機能の低下によりエストロゲンの分泌が抑えられ、脳の視床下部の自律神経に影響をおよぼし「自律神経失調症」を引き起こすのが更年期障害です。エストロゲンを補充するプレマリンは、更年期障害の治療に対しても効果があるといわれています。
腟炎
プレマリンは、腟にかゆみや不快感をもたらす炎症のひとつである腟炎の治療にも効果があります。特に、トリコモナスやカンジダといった病原微生物が検出されず、原因がはっきりしない非特異性の腟炎や、感染への抵抗力が弱い老人、小児の腟炎の治療においてプレマリンが用いられることがあります。
機能性子宮出血
子宮や腟などの病気ではなく、ホルモンバランスの乱れが原因で子宮内膜から出血することを機能性子宮出血といいます。プレマリンは機能性子宮出血の治療にも用いられることがあります。
プレマリンの飲み方は?飲み忘れたら?
プレマリンはエストロゲンを補充して子宮内膜を増殖させるホルモン剤で、不妊治療に効果があります。プレマリンはどのような飲み方をすれば良いのでしょうか。また、飲み忘れた場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。
1日1~2錠(0.625~1.25mg)を服用
プレマリンは通常、卵巣欠落症状や卵巣機能不全、また更年期障害の治療でプレマリンを服用する場合は、1日1~2錠を服用します。機能性子宮出血や腟炎では、1日1~6錠を服用します。服用する錠数は、治療を受ける疾患や年齢、症状によって増減するので主治医の指示に従いましょう。
飲み忘れについてはあらかじめ医師に確認を
プレマリンを飲み忘れた場合は、基本的には気づいた時点ですぐに飲むようにします。しかし、次の服用時間に近い場合は、次の時間に飲みましょう。2回分を一気に服用することだけは避けてください。飲み忘れた場合の対処法についてはあらかじめ医師に確認しておくと安心です。
プレマリンを飲み忘れてしまい、どのように服用して良いかわからない場合には、その都度、医師に確認するようにしましょう。
プレマリンの副作用は?太るの?
不妊治療でも活躍するプレマリンですが、副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。プレマリンを飲むと眠気が出ると感じる人、また、太ると感じる人もいるようです。気になる症状が出たり、あまりにもひどかったりする場合は、プレマリンを処方した医師に報告し、相談しましょう。
血栓症
プレマリンの副作用として、血栓症や血栓塞栓症があらわれることがあります。喫煙している人の場合は血栓症の発生率が高まるといわれています。プレマリンの服用中は喫煙を控えるようにしましょう。
肝機能障害
長期間の服用により、肝腫瘍が発生したとの報告があります。さらに、肝臓に負担がかかることがあるので、もともと重い肝機能障害を持っている人は、悪化防止のためプレマリンの服用を避けるべきとされています。
乳房に関する副作用
胸の張り、痛みなど、乳房に関する副作用が起こる可能性もあります。アメリカでの閉経後の女性を対象とした無作為臨床試験の結果、プレマリンとプロゲステロン配合剤を服用した人たちは、乳がんになる可能性が高くなることがわかっています。
子宮や腟に関する副作用
おりものの増加、不正出血、生理の経血量の変化などの副作用が起こることがあります。
消化器系の副作用
腹痛や吐き気、食欲不振などが起こることがあります。
精神神経系の副作用
頭痛やめまいなどが起こることもあります。
色素沈着や脱毛
色素沈着や脱毛もプレマリンの副作用として起こることがあります。
むくみや体重増加
電解質代謝系の副作用として、体内に水分がたまることによるむくみや体重増加があらわれることもあります。
呼吸困難、血圧低下
呼吸困難や血圧の低下が起こる可能性もあります。軽い呼吸困難の場合でも、医師に伝えるようにしてください。血圧の低下は、検査することで副作用としてわかることがあります。
プレマリンの長期間使用による副作用
エストロゲン剤であるプレマリンを1年以上にわたる長期間服用した閉経期以降の女性では、子宮内膜がんになる可能性が使用期間に応じて高くなることがわかっています。また、この危険性はプロゲステロン剤との併用により抑えられるとの報告もあります。
エストロゲン剤を長期間使用した閉経期以降の女性では、卵巣がんの危険性が高くなるとの調査結果もあります。
プレマリンを服用してはいけない人、慎重に服用すべき人は?
プレマリンを服用してはいけない人や慎重に服用すべき人がいます。どのような人なのでしょうか。
プレマリンを服用してはいけない人
妊娠している人あるいは妊娠可能性のある人、乳がん、子宮内膜がん、血栓性静脈炎、肺塞栓、動脈性の血栓塞栓疾患、重度の肝障害、治療していない子宮内膜増殖症、原因が特定されていない不正出血がある人は、プレマリンを服用してはいけません。
エストロゲン依存性悪性腫瘍の人についても、服用しないようにしてください。自分があてはまるかどうかがわからない場合は、医師に既往歴を伝えましょう。
プレマリンを慎重に服用すべき人
肝障害、子宮内膜症、子宮筋腫、心疾患、腎疾患、てんかん、糖尿病の患者、思春期前の小児は、プレマリンの服用に関して慎重になるべき人です。服用にあたっては必ず医師に相談しましょう。
プレマリンはルトラールやデュファストンと併用する?
排卵障害が起こっている場合、プレマリンのようなエストロゲン剤とプロゲステロン剤を併用することで卵巣の機能を高めるカウフマン療法が行われることがあります。同じ考え方で、エストロゲンとプロゲステロンの合剤である中用量ピル「プラノバール」などを使うホルモン療法がとられることもあります。
不妊治療で一般によく使われるプロゲステロン剤は、「ルトラール」「デュファストン」「プロゲストン」「プロベラ」「ノアルテン」「ヒスロン」などです。プレマリンはプロゲステロン剤と併用することで、妊娠しやすい身体を目指します。服用中は排卵しない状態となりますが、服用をやめたときに排卵が起こることがあります。
プレマリンは不妊治療に効果のあるエストロゲン剤
プレマリンは併用が禁じられている薬も少なく、使用しやすいエストロゲン剤といわれます。しかし血栓症などの重大な副作用が起こることがあります。また、妊婦さんや妊娠の可能性がある人など、飲んではいけない人がいるので注意が必要です。プレマリンがどのような薬なのかをきちんと知ったうえで、不妊治療への効果を期待して服用したいですね。