【産婦人科医監修】帝王切開での入院、日数や費用、持ち物、準備、過ごし方
出産での入院は、日数や費用、入院中の上の子の世話など気になることが多いかもしれません。帝王切開を予定している場合、手術があることで普通分娩とはどのような違いがあるのか気になる方も多いでしょう。帝王切開で入院した場合の保険の適用や入院期間の違い、術後の入院生活に必要なグッズなどを体験談を交えて紹介します。
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目次
出産のための入院準備は気になることが多い
妊娠後期が近づくと出産のための入院時の持ち物やスケジュール、入院中の家のことなど気になり始める人もいるかもしれません。持ち物に関しては、病院から必要最低限の持ち物リストをもらえることもありますが、本当にそれだけで良いのか悩む人もいるでしょう。また入院中の生活もホームシックになるのだろうか、眠れない日々が続くのだろうか、といったことを考え出すとキリがないかもしれませんね。
帝王切開で入院する場合はどうなのでしょうか。帝王切開前にはどんなことに注意が必要で手術後はどのように過ごすのか、手術および術後に向けて準備した方が良いものはあるのか、自然分娩とは少し勝手が違うので悩む妊婦は多いかもしれません。最低限必要なものや準備に関しては病院側から指示がある場合が多いです。不安であれば病院に入院前にあらためて確認してみましょう。
二人目、双子、帝王切開の原因と自然分娩の違い
出産方法には自然分娩と帝王切開があります。自然分娩は、産道を通り腟から赤ちゃんが産まれる方法です。帝王切開とは、手術でお腹を切開することで赤ちゃんを取り出す方法です。大きな違いとしては、自然の流れに任せたものか、人の手が介在するものかという点でしょう。他にも帝王切開の場合にはお腹に傷跡が残り、自然分娩に比べて入院日数が長くなります。
帝王切開には2種類あり、あらかじめ日時を決めて手術を行う「予定帝王切開」と状況に応じてその場で判断して行われる「緊急帝王切開」があります。帝王切開になる原因としては、以前に帝王切開で出産したことがある人の二人目以降の出産、切迫早産、妊娠高血圧症候群、妊娠中毒症、低置胎盤、破水、逆子、双子、出産予定日の超過といったものがあげられます。逆子や双子、帝王切開での二人目以降の出産などは病院によっては自然分娩になることもあります。
帝王切開での入院、期間はどれくらいになる?
入院期間は自然分娩で5日程度、帝王切開で1週間程度が多いようです。帝王切開の場合には術後の経過によって入院期間が10日以上の延長になるケース、産後ケアも含めたプランを用意している産院などでは2週間以上過ごすことになるケースなど、さまざまな理由で期間が異なる場合があります。また赤ちゃんも経過によって入院が長引くことがあります。
日本では出産での入院の場合はおおよそ5日間程度が主流ですが、海外では最短で出産当日の数時間後から数日程度で退院になるケースが多いといわれています。日本では母子の産後の経過を見守るという意味に加えて新米ママのためのサポート期間としての意味もあるといわれています。長いと感じるか、短いと感じるかはママたちの状況にもよるのかもしれません。
帝王切開での入院スケジュール、過ごし方
帝王切開では手術の前日から入院になることが多いようです。入院中のスケジュールは病院により異なりますが、前日には行動制限はないケースが多いようです。手術の手順や手術で用いる麻酔の説明が行われたり、手術前日から絶飲食が始まったりすることもあります。必要に応じて除毛、赤ちゃんの心拍モニター確認、マニキュアを外します。
手術当日、予定帝王切開の場合には歩いて手術室に向かうこともあります。感染予防のための点滴や術後の安静に備えて尿管にチューブ(尿道カテーテル)を入れます。準備ができたら麻酔を導入し、手術が始まります。
手術後当日はベッドで安静になります。絶飲食が続くため点滴から栄養を摂ります。術後翌日には体調次第で安静が解かれ、食事をしたりトイレに行ったりといったことが許可されます。シャワーは数日のあいだ行うことができませんが、身体を拭くことができます。入院スケジュールの詳細は病院から入院後に説明があるでしょう。
筆者の場合、術後1日目は手術後の痛みで起き上がるのに精いっぱいで寝返りしたくてもできませんでした。トイレに行くにもすごく時間がかかり、座るのにも一苦労でした。お昼から重湯をたべ、夜は五分がゆを食べました。2日目の朝食から、普通食になり、赤ちゃんとの同室が始まりました。3日目にはシャワーの許可が出ました。3日目からは痛みも減ってきたように思います。5日目にママの検診があり、内診と触診で子宮の収縮や状態をチェックしました。
帝王切開、パジャマなど入院中の持ち物は?
帝王切開の入院、必需品は?
自然分娩の場合も帝王切開の場合も、最低限の必要な持ち物は病院側からリストがもらえるでしょう。ある程度の規模の病院であれば売店が併設されているため、必要なものは売店で購入することもできます。自然分娩の場合と帝王切開の場合で持ち物が大きく変わることはありませんが、帝王切開の場合には腹帯を持参するようにいわれることがあります。
また、術後の傷跡ケアに使用したいテープ・クリームなどをすでに購入しているのであれば持参し、医師に使用して問題ないか相談してみても良いでしょう。
赤ちゃんに必要なものは?
生まれてきた赤ちゃんの必需品も最低限は病院側で用意しているでしょう。枚数が足りなくなったときのおむつや退院時の肌着・着替えは必要になることが多いため、産後の生活も考えて早めに用意しておいても良いでしょう。妊婦検診でわかるお腹の赤ちゃんの推定体重によっては、新生児小さめ用おむつ(3000g以下の赤ちゃん用おむつ)を用意しても良いかもしれませんね。
帝王切開の入院、パジャマはどうする?
入院中はほとんどの時間をパジャマで過ごすため、どのような服装にするべきか悩む人は多いでしょう。授乳を考えて最低限だけ開けるボタンタイプ、医師の診察を考えて膝丈のワンピースも良いかもしれません。
人と会う機会や写真に残ることを考慮して部屋着のようなラフな格好を選ぶ、リラックスできることを優先して本格的なパジャマを選ぶといった部分は好みで判断しましょう。洗濯できる病院であれば、乾かなかった場合・血などで汚れてしまった場合を考えて2〜3枚用意しておけば十分でしょう。
帝王切開の費用はいくら?保険の適用や各種手当
妊娠は病気ではないため、自然分娩は全て自己負担になります。一方で帝王切開は手術のため保険の適用対象となります。厚生労働省の調査では、自然分娩の費用は全国平均で約48万円です。保険の適用や各種手当を活用することで、帝王切開でも自然分娩とさほど変わらない金額になるといわれています。
ただし入院日数や部屋代・処置代・医療以外の費用で料金は大きく変わる場合があります。実費負担でいくらぐらいになるのか、事前に病院側に確認しておくと安心でしょう。
帝王切開手術の費用
帝王切開は手術自体の値段が診療報酬点数により定められています。あらかじめ日時を決めて行う「予定帝王切開」では20万1400円、その場の状況によって医師の判断により実施される「緊急帝王切開」では22万2000円です。さらに入院費や処置代、薬材料などが加算されます。
帝王切開は健康保険適用のため、通常の健康保険組合や国民健康保険の加入者はこのうちの3割が自己負担額です。この保険適用の自己負担額に通常の分娩費用が加算された金額が出産費用として請求されるでしょう。
健康保険・医療保険は利用できる?
帝王切開手術は、生命保険・医療保険・各種共済などの補償対象となり、お金が支払われる可能性があります。どのような民間の保険に加入しているかというよりは、帝王切開手術が対象となるかどうかを確認すると良いでしょう。
出産育児一時金、高額療養費制度などの手当
国民保険や保険組合に申請することでお金がもらえる「出産育児一時金」や1ヶ月間で所得に応じられ応じて決められた上限額以上を支払うとお金が戻ってくる「高額療養費制度」も活用すると良いでしょう。
出産育児一時金では一部のケースを除いて50万円が支給されます。帝王切開手術が予定されている場合には、事前に高額療養費制度を申請すると「認定証」をもらうことでき、これを提示することで上限額以上の料金を支払う必要がなくなります。ただし高額療養費制度では月ごとに上限額に達しているかどうかで判断しているため、月またぎの場合には各月での計算になる点は注意しましょう。
帝王切開での出産、大部屋と個室どちらを選ぶ?
分娩予約をする際に、入院中の部屋の希望を聞かれるかもしれません。入院中は相部屋・個室どちらが良いのか迷う人は多いでしょう。病院によっては直前まで部屋の変更ができたり、入院中に変更ができたりする場合もあります。いつまで変更ができるかを事前に確認しておくとギリギリまで考えられるので良いかもしれませんね。
大部屋のメリットとしては産後の赤ちゃんのお世話や不調など同じ境遇を話しあうことができたるなど、同時期のママと交流を持てる機会が増えることがあげられるかもしれません。デメリットとしては最低限のプライバシーしか守られない、音が気になるといったことがあるでしょう。
個室のメリットとしてはプライベート空間のため、リラックスした状態で自由に過ごすことができることですが、一方で同じ境遇のママ達との交流が大部屋よりは少なくなり、料金は高くなります。何を優先するかによって決めると良いでしょう。
夫、上の子、入院中の世話はどうする?
出産の入院準備は持ち物や心構えだけではありません。入院中の家族の世話に関して悩む人も多いでしょう。帝王切開を予定している場合には、あらかじめ退院後に赤ちゃんのお世話で忙しくなった場合も考えて、ある程度「自分が何かをしなくても生活できる環境」を準備をしておくと楽になるかもしれません。
産後も考えると、できる限り夫に最低限の家事は慣れさせる、ネットスーパーや翌日届くようなネットショッピングに登録しておく、必要な場合には家事代行の利用を検討しても良いかもしれません。
上の子がいる場合には、入院中に子どもの世話を考えなければいけません。身内に頼る、産前産後のみ一時保育に預ける、子どもの付き添い可の病院を探すといったところが主流でしょうか。
どの方法もメリット・デメリットがあるため、さまざまな面を考慮した上でどの方法が良いかを考えましょう。切迫早産などで緊急入院になった場合には、準備が整う前に入院になるかもしれません。入院中の子どもや家族の世話については、優先的に考えて話し合っておきましょう。
切迫早産などでの突然の入院!暇つぶしに何をする?
切迫早産などで緊急入院になった場合、安静の指示によりあまり動けない状態になると時間を持て余してしまうかもしれません。安静を指示されている場合にはベッドから動いてはいけない、フロアから移動してはいけない、病院から出てはいけない、といった段階はあれども行動が制限されるケースが多いかもしれません。
テレビは病院によっては有料となるため、使用に躊躇する方もいるでしょう。スマートフォンで暇つぶしをする場合は、入院が長期化してしまうとインターネット通信量に制限がかかることもあります。
可能であれば日記や手芸、読書といったものが好ましいかもしれません。スマートフォンでも動画などではなくインターネット接続の必要がないサービスを利用する、ポータブルDVDプレイヤーを持参し映画やドラマを見るといった方法はいかがでしょうか。
帝王切開での入院、自分なりに快適な環境を整えよう
出産での入院生活とはいえ、優先したいものは人によって異なるでしょう。特に、帝王切開後の入院は、傷などの痛みを考慮して「せめて個室でゆっくり過ごしたい」、「子どもとの写真をたくさん撮りたいのでかわいいパジャマを用意したい」など、さまざまな意見があるかもしれません。
母子同室かどうかでも変わるでしょう。自分なりに優先したいことを考えて、入院準備を進めてみてくださいね。
※この記事は2024年4月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。