【産婦人科医監修】陣痛・出産時の呼吸法を練習しよう!ソフロロジーやラマーズ法とは
臨月を過ぎ、出産にむけて何か準備をしたいというママもいるでしょう。とくに初産のママは分娩の不安を少しでも減らしたいかもしれません。ソフロロジーやラマーズ法に代表される呼吸法を練習することで、いきみ逃しや安産につながることがあります。ここでは出産時の呼吸法を解説していきます。
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目次
陣痛・出産時の呼吸法の種類と効果
陣痛が始まったママは身体が緊張し、痛みで息もみだれがちです。分娩中に上手にリラックスできないと、痛みを強く感じることもあります。リラックスした状態での安産を目指すママのために、母親学級や産院などで陣痛時の「呼吸法」を教えるところも増えているようです。
呼吸法の種類
出産時の呼吸法として有名なのは「ラマーズ法」です。「ヒッヒッフー」という呼吸リズムを聞いたことがあるかもしれません。ラマーズ法は呼吸法のみをさすわけではなく、全身をリラックスしてお産に臨む心理的無痛分娩法のひとつです。心理的無痛分娩法とは麻酔を使って痛みをなくすのではなく、精神的に分娩の痛みを緩和しようとする試みです。
「ソフロロジー式分娩」もフランスを中心に、日本でも広まりを見せている心理的無痛分娩法です。出産を赤ちゃんとの共同作業ととらえ、痛みを前向きに受け入れ、長く息を吐く呼吸法が特徴です。
日本の病院で始められた心理的無痛分娩法に「リーブ(RIEB)法」というものもあります。リラックス(Relaxation)イメージ(Imagination)、エクササイズ(Exercise)、呼吸法(Breathing)を重要視し、呼吸法は中国の気功を取り入れているのが特徴です。
呼吸法の効果
分娩時に呼吸法を行う理由は、ママの身体と心をリラックスさせ、安産につなげるためだといわれています。緊張して身体がガチガチに固まっている状態では、血流が悪くなったり子宮の筋肉が硬くなったり、お産がスムーズに進行しないこともありえます。
呼吸法に意識を集中することで「痛い」という感情が逸れて、気持ちが落ち着いてくることがあります。気持ちと身体が緩まると陣痛も緩和する可能性がありますし、ひたすら痛みに耐えるよりは呼吸に集中したほうが痛くないと感じるママもいるようです。
また、陣痛の緩和だけではなく、ママや赤ちゃんの健康保持にもつながる可能性があります。陣痛や過度のストレスでママの呼吸が乱れると、赤ちゃんまでしっかり酸素が行き届かないこともあります。どんな状況下でもしっかり呼吸をして酸素を送り届ける練習をしておくのは、安産にとって大切なことといえますね。
呼吸法1:ソフロロジー
ソフロロジーとは
ソフロロジー式分娩の特徴のひとつに、出産は赤ちゃんとママの共同作業という考え方があります。また、どんなこともあるがままにポジティブにとらえていきます。たとえば、臨月のママは「陣痛は怖いから不安」という考えを持つこともあります。体調の悪さや、体形の変化に戸惑うこともあるでしょう。
ソフロロジーでは、自己暗示やイメージトレーニングを繰り返すことで不安や不調を受け入れ「もうすぐ赤ちゃんに会えるから嬉しい」というポジティブな感情にシフトさせます。痛みや恐怖に抵抗せず、受け入れて乗り切る柔軟な安産法といえるかもしれません。
分娩第1期の呼吸法
分娩第1期とは、分娩開始から、子宮口が完全に開くまでをいいます。陣痛がまだ強くないときやリラックスしたいときは、ソフロロジーでは「完全呼吸法」を試します。あぐらをして座り、鼻からお腹に大きく息を取り込み、胸や肺をふくらませた後、5秒以上かけてゆっくりと吐き出します。
痛みを少し感じるようになったら、あぐらなど股関節を開く姿勢で、鼻からすーっと吸って、口から「ふーーっ」と細く長くゆっくり吐き出してみましょう。耳を澄まさないとわからないほど静かな力で呼吸をつづけます。
さらに子宮口が開き、痛みを強く感じてきたら「ソフロロジー式呼吸法」をとることもあります。楽な姿勢をとり、おへその下を押しながら肺を空にするまでゆっくり力強く吐きます。吐ききったら腹筋を緩め、痛みがおさまったら全身を脱力させましょう。
分娩第2期の呼吸法
分娩第2期とは、子宮口が完全に開いてから赤ちゃんが生まれるまでをいいます。強い痛みを感じているときは息を吐くことに集中し、赤ちゃんの出ようとする力をサポートするように、陣痛の波に乗って息をもらしていきます。
いきむために息を止めたり、力をこめたりはせず、少しずつ自然に赤ちゃんと力をあわせるようにするのがソフロロジーのいきみの呼吸です。
呼吸法2:ラマーズ法
ラマーズ法とは
ラマーズ法は別名「精神予防性無痛分娩法」といいます。適切な呼吸法を妊娠中に訓練し、ママを医師や助産師が精神的にサポートすることで、陣痛の強い痛みを予防できるという考え方です。
ラマーズ法を取り入れている病院では、出産に必要な筋肉を鍛える妊婦体操、陣痛の段階に応じた呼吸法、身体をリラックスさせて産道を開きやすくする弛緩法などを教えてもらうことができます。
分娩第1期の呼吸法
ラマーズ法の呼吸のやり方は、「吐く」からスタートし「吐く」で終了します。肩からおへそのあたりに向かって力を抜きながら少しお腹をふくらませるようにゆっくりと息を吐く肩呼吸がポイントです。呼吸に集中することで気がまぎれるので、普通の腹痛にも効果があるかもしれません。
痛みが強くないときは、一点を見つめながら自然に深く呼吸します。痛みが出てきたら、深呼吸のあと「ヒー、フー」と吐きます。ヒーは短め、フーは長めに吐く息です。痛みがおさまったらまた深呼吸します。
痛みが強くなるにつれ、「ヒッ」と短く息を吐き、次はできる限り「フーーー」と長く吐いて全身の力を抜いていきます。いきみ逃しの呼吸は「ヒッヒッフーー」と吐いてから、「ウン」と少し声を出していきみをのがします。
分娩第2期の呼吸法
子宮が全開大になって「いきんで大丈夫」と指示があったら、いきむ呼吸に変えます。短く「フー」と息を吐き、肛門のほうに1~2秒力をこめていきみます。おへそを引っ込めて、肛門あたりをお腹の方向にいきむと良いでしょう。赤ちゃんが出てくるときは、いきまずに「フーフー」と深く、ゆっくりと全身の力を抜くように息を吐きます。
病院によって異なる呼吸法
分娩の際にソフロロジー式分娩法を行うか、ラマーズ法を行うかは病院によって異なります。気になる呼吸法があれば、それを実践している病院があるか調べておくと良いでしょう。ラマーズ法をベースとして、自院で開発した呼吸法を行っているケースもあります。
学習方法も病院によりさまざまです。マタニティクラスや動画であらかじめ呼吸法を学ぶ病院もあれば、実際に分娩が始まってから助産師が指導する病院もあります。気になることは、病院で確認しておきましょう。
ただし、陣痛時の呼吸法をあらかじめ学習していても、分娩が始まると呼吸に意識がいかなくなるのも珍しくありません。そのようなときは助産師さんたちが声掛けしてくれるので、「覚えてない」「できない」とあわてずに、周りのスタッフの声に耳を傾けてみてくださいね。
陣痛・出産時の呼吸法に関する体験談
筆者の産院はラマーズ法をとりいれていましたが、事前に訓練などはありませんでした。痛みがひどくなってくると、助産師がそばで「ゆっくり深く息をしてください」「はい、ふーぅ、ふーぅ」と指示をしてくれるので、とにかくそれにあわせることに必死でした。
子宮口が全開大になったころは、痛みで身体に力が入り、呼吸が止まりがちになるので、夫や助産師の「フーフー」という声にあわせることしか考えられなくなりました。声をかけてくれる人がいるのは本当に大事だったと思います。「とにかく吐きさえすれば、無意識でも息を吸うから」といわれて、吐くことだけに意識を向けました。
結果的に安産ではありましたが、もう少し呼吸法を練習しておけば良かったかもしれません。いわれるままではなく、自分から主体的に頑張れたら良かったと反省しています。痛みやいきみを逃すために、タイミングにあわせた呼吸は有効だったと思いますよ。
呼吸法とともに陣痛・出産時の痛みの緩和に役立つ知識
陣痛の緩和に役立つとされる呼吸法ですが、他の方法をあわせることでさらに効果を強めることができるかもしれません。たとえば、陣痛に耐えるときの姿勢です。仰向けでじっとしているよりは、自分の楽だと感じる姿勢をいろいろ試してみましょう。四つん這いは子宮が圧迫されにくいですし、椅子に座る座位や立った状態は赤ちゃんが重力で下りやすい姿勢といわれています。
ツボ押しを試してみるもの良いでしょう。陣痛緩和に効くとされるツボには、三陰交(さんいんこう)や太衝(たいしょう)などがあります。ゆっくり指圧したり、温めたりするのも良いですね。また、産院によってはゴルフボールやテニスボールで圧迫することもあります。適度なかたさのものを肛門付近に押しあてることで陣痛が楽になったり、いきみ逃しになったりする可能性もありますよ。
リラックスすることが大切なので、お気に入りのアロマをかいだり、パートナーに手を握ってもらったりするのも良いでしょう。背中や腰をゆっくりマッサージしてもらうと痛みが楽になったというママもいます。呼吸を意識しながら、自分にあった陣痛緩和法を探してみてくださいね。
呼吸法を練習し、リラックスして出産に臨もう
出産時の呼吸法を練習しておくことで、出産に向けての心構えができ、いざというときにリラックスして臨めるかもしれません。陣痛時の呼吸を整える呼吸法はラマーズ法、ソフロロジー法などいろいろなやり方がありますから、自分にあったものを練習してみましょう。自分の産院がどういう分娩方法を取り入れているのかを調べてみても良いですね。
※この記事は2024年11月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。