ラマーズ法のやり方は?呼吸法を練習して出産に備えよう|産婦人科医監修

産婦人科医監修|「ヒッヒッフー」という呼吸リズムで有名なラマーズ法は、呼吸法だけではなくさまざまな方向から痛みの緩和を目指す分娩方法です。分娩の知識を身につけることで不安を和らげ、呼吸法や弛緩方を反復練習して本番にリラックスできるように目指します。ラマーズ法ではどのような呼吸をするのかを解説していきます。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. ラマーズ法とは?ソフロロジーとの違いは?
  2. ラマーズ法の呼吸法、やり方は?
  3. ラマーズ法の呼吸法や弛緩法、練習はどうする?
  4. ラマーズ法の体験談
  5. ラマーズ法を練習してスムーズな出産を
  6. あわせて読みたい

ラマーズ法とは?ソフロロジーとの違いは?

主体的で自然なお産を目指す 

ラマーズ法は、ラマーズという産科医が提唱した精神的無痛分娩法です。麻酔などを使わない、自然分娩が基本となっています。妊娠中の身体の変化や分娩のメカニズムなどを学ぶことで、ママは主体性を持って出産に臨むことができるといわれています。

痛いと思い込むと身体が緊張し、さらに痛みが増強する負のサイクルに陥ることがあります。ラマーズ法では身体の力を抜く「弛緩法」や、呼吸に集中する「呼吸法」を出産前に反復練習することで、痛みを軽減させようと試みます。

ママは分娩に関する知識を得ることで恐怖や不安を解消し、妊婦体操によって出産に必要な筋肉を鍛え、呼吸法などの反復練習によって分娩中条件反射的にリラックスができるように、心と身体の準備を進めていくことができます。

精神的無痛分娩法には他にもさまざまな種類があり、ヨガや禅を取り入れた「ソフロロジー」もそのひとつです。ラマーズ法がママの主体的なお産を目指すのに対し、ソフロロジーでは赤ちゃんも主役のひとりとなります。赤ちゃんへの母性が学びやトレーニングの中心にあり、陣痛は赤ちゃんを生み出すための大切なエネルギーとポジティブにとらえるのが特徴です。

夫・パートナーや助産師と一緒に取り組む

ラマーズ法の考えでは、出産はあくまでママ主体であり、医療側はサポートする立場だととらえています。しかし、そのサポートは、分娩のメカニズムに関する教育や陣痛緩和のアドバイス、励まして精神的な不安を解消することなど多岐にわたります。経験豊富な助産師や看護師は、ママの心に寄り添って、ともに安産を目指す立場にあります。

出産のプロフェッショナルである人たちだけではなく、ラマーズ法においてはパートナーの立ち会いも安産にとって大切と考えます。母親学級では、ママだけではなく夫やパートナーへの教育やアドバイスも行っていることがほとんどです。パートナーが一緒に呼吸法や弛緩法を練習し、陣痛のときはそばで呼吸をリードすることで、ママは安心して頑張ることができるかもしれません。

「ヒッヒッフー」で有名な胸式呼吸が特徴

「ヒッヒッフー」が一般的に有名なかけ声ですが、お産の進み具合に応じた呼吸法を使いわけるのがラマーズ法の特徴です。ラマーズ法では腹式呼吸ではなく、息を吸い込みながら胸をふくらませる胸式呼吸が基本となります。

お腹が大きい妊婦は腹式呼吸がしづらかったり、お腹のふくらみを自分で感じとりにくかったりすることがあるからです。ピラティスでもリフレッシュを目的に胸式呼吸を行います。一方、ソフロロジーやヨガでは腹式呼吸が基本となっています。

ラマーズ法の呼吸法では、吐くことからスタートし、吐くことで終了します。息を吐く動作はリラックスの呼吸といわれています。吐くことで自然と空気を吸うことができるので、吐くことにだけ集中し、他に何も考えないようにします。

呼吸法とともに妊娠中から練習するのが弛緩法です。普段から緊張とリラックスの違いを身体で感じとることで、緊張した部分から意識的に力を抜く技術をマスターできるという考えです。肩や腕などを緊張状態から息を吐いて静かに力を抜くように、繰り返しレッスンしていきます。

ラマーズ法の呼吸法、やり方は?

1.陣痛開始直後は基本の呼吸法

まだ陣痛の痛みが強くないときは、基本となる呼吸法をしてみましょう。1分間に6~9回ほどの、ゆったりとリズミカルな胸式呼吸です。鼻から空気を吸い込み、自然に任せて口から吐き出します。

途中で息を止めたり、リズムを崩したりしないように気をつけましょう。自然な胸式呼吸を意識しながら、弛緩法をつかって固くなっている部分の力を抜いたり、腹部に輪を描くようにマッサージしたりしても良いでしょう。

2.呼吸がしづらくなってきたら「ヒッフー」

痛みが強くなり、呼吸をしにくいと感じたら「ヒッフー」のリズムに移ってみましょう。まずはゆっくり息を吐いて深呼吸し、「ヒッ」と短く息を吐いてから「フー」と前よりもできるだけ長めに息を吐きます。

息を吐きながら、全身の力を抜いていきます。痛みがおさまってきたらまた深呼吸しておきましょう。吸うときは自然のタイミングに任せます。自然の子宮収縮を利用した呼吸法です。

3.陣痛がつらくなったら「ヒッヒッフー」といきみ逃し

お産が進み、陣痛の痛みで身体が緊張状態になってくるころには、吐くリズムも変えていきましょう。「ヒッ」「ヒッ」と短く息を吐き出し、そのあと「フーッ」と身体の力を抜くように長めに息を吐きます。一点を見つめ、呼吸にだけ集中します。痛みのピークにあわせて、リズムを整えていきましょう。

それでもいきみ逃しが難しいようであれば「フーッ」と長く吐いてから、喉から上の方に向かって「ウン」と少し声を出すことで、いきみを逃してみましょう。痛みで声が出そうになっても、「ウン」以外はなるべく声は出さず、静かに強く吐き出しましょう。声を出すと緊張して、弛緩につながらなくなる可能性があります。

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4.子宮口が全開になったらいきむ

子宮口が全開になり、医師や助産師から「いきんで」という指示があったら、いきみの呼吸をしてみましょう。子宮収縮のリズムにあわせて「フー」と短く息をつき、「ウン」でいきみます。「フー」「ウン」「フー」「ウン」と繰り返していきますが、「ウン」は1~2秒程度にとどめておきましょう。それ以上長くいきむと、赤ちゃんを圧迫してしまうこともあるためです。

おへそを引っ込めるようにして、肛門付近をお腹のほうへ向かっていきませます。赤ちゃんが出るときは、いきまずにゆっくりと「フーフー」と吐いて力を抜きます。基本の呼吸法よりも、より深くゆっくりと吐くのを意識し、全身の筋肉の力を抜いていきましょう。

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ラマーズ法の呼吸法や弛緩法、練習はどうする?

妊娠中期~後期から練習開始

ラマーズ法の呼吸法や弛緩法は、妊娠中から何度も練習することで、陣痛が始まったとき反射的に行えるようになるといわれています。しかし、妊娠初期はまだ身体の調子が安定しないことも多いので、妊娠中期(妊娠5ヶ月~)を目安に練習を始めてみましょう。妊娠後期(妊娠8ヶ月~)からでも遅すぎるということはありません。体調が良いときに、座った状態で行うと良いでしょう。

弛緩法は、一日一回を目安にしたほうが良いでしょう。緊張と弛緩のレッスンでは、それぞれの状態の違いをしっかり感じとるように丁寧に動かします。肩甲骨をぎゅっとあわせた後、すとんと両肩を下に落としたり、両腕を上げて肘から脱力したりします。呼吸法も毎日イメージトレーニングしながら練習します。基本の胸式呼吸を中心に、一点を見つめながらリズミカルに吐くことに集中してみましょう。

夫・パートナーも一緒に

呼吸法や弛緩法の練習は、夫やパートナー、出産時に立ち会ってもらう人とともに行うと良いでしょう。何度も練習していても、いざお産が始まると、緊張や痛みから呼吸のやり方を忘れてしまうママもいます。

そんなとき、そばにいる人が「ヒッフー」と実践して呼吸のリズムを整えることで、ママも呼吸をあわせることができるかもしれません。母親学級で教わったことは、すぐにパートナーと共有しておくと、いざというとき頼りになってくれるかもしれませんよ。夫婦そろっての意識づけとして、「両親学級」に参加してみるのも良いでしょう。

ラマーズ法の体験談

もっと練習しておけば良かった

筆者の産院はラマーズ法を取り入れていましたが、呼吸法の練習は事前に行いませんでした。仕事がギリギリまであったので、母親学級などに行く機会がなかったのです。陣痛が始まってから助産師が呼吸法を教えてくれたので、付け焼刃で試してみました。

陣痛がピークに達するまでは、一点を見つめながら呼吸にだけ集中すると、確かに痛みが和らぐ感じがしました。しかし最終的にはもう呼吸法を守ることができず、痛みで力が入って息も止まりがちになってしまいました。横で助産師や夫が大きな声で「フーフー」と言ってくれたので、意識が薄いままその声にあわせて呼吸をしていました。

結果的に安産となったので、横で呼吸をあわせてくれた人たちのおかげだと思っています。お産は良い思い出ですが、無意識状態が長かったので、事前に呼吸法をもっと練習して、より主体的に参加したかったと思うこともあります。

ラマーズ法を練習してスムーズな出産を

ラマーズ法は、妊娠中に分娩の知識を身につけ、さまざまな訓練をすることで出産時の痛みを軽くしようという方法です。出産に必要な体力や筋力をつける妊婦体操、身体の力を抜く弛緩法、リラックスして酸素を取り込む呼吸法などがあります。主体的で自然なお産を臨むなら、ラマーズ法の練習をしておいても良いでしょう。助産師やパートナーとも相談して、自分にあった分娩方法で臨めると良いですね。

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