【助産師監修】陣痛時の吐き気は出産の予兆?陣痛の前・始まりに吐き気を感じる原因は?

陣痛が始まる前に、吐き気を感じることがあります。吐き気はこれから出産が始まる予兆といえるのでしょうか。本陣痛と前駆陣痛で吐き気の有無は変わるのでしょうか。なぜ吐き気を感じるのか、考えられる可能性を解説します。また、吐き気を感じたときに試せる対策もあわせて解説するので、参考にしてみてくださいね。

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目次

  1. 陣痛前・陣痛の始まりに吐き気を感じる原因
  2. 吐き気は陣痛・出産の予兆?
  3. 吐き気とともに感じる頭痛・腹痛・胃痛・腰痛
  4. 陣痛前・陣痛時の吐き気対策
  5. 陣痛前・陣痛時の吐き気に関する体験談
  6. 消化に良い食事とリラックスで陣痛と吐き気に備えよう
  7. あわせて読みたい

陣痛前・陣痛の始まりに吐き気を感じる原因

陣痛が始まる直前や陣痛の際に吐き気を感じたり、嘔吐したりすることがあります。つわりを乗り越えたママでも、吐き気が続くのは大変ですよね。どのような原因が考えられるのでしょうか。

ホルモンバランス

妊娠すると、ホルモンバランスに変化が起こります。とくに女性ホルモンと呼ばれる「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌量が増えていきます。女性ホルモンは骨盤まわりをふくめ、身体中の筋肉を弛緩させる役目があります。

しかし同時に、食道と胃をつなぐ食道括約筋も緩むため、陣痛前の吐き気や嘔吐を誘導する可能性もあります。また、女性ホルモンの作用によって胃腸の働きがにぶくなることもあるでしょう。胃腸が弱り、消化不良が続くと、胸やけや吐き気が起こる人もいます。

子宮による胃の圧迫

臨月のママの体内では、すくすく育つ赤ちゃんと一緒に子宮もどんどん大きくなっていきます。妊娠前は鶏の卵ぐらいの大きさだった子宮は、30cmほどにふくらみます。胃や腸は子宮の上に存在しているので、子宮が大きくなるにつれて圧迫され、働きがにぶくなることがあります。

胃が圧迫されると、それまで縦長だった胃の形が横に近く位置されます。そのため、胃液の流れが悪くなったり、食道に逆流したりして胸やけがしたり、吐き気がしたりするママもいます。胃の中の空気がスムーズに出ずに、吐き気をともなうげっぷが出ることもあるでしょう。

ストレスや不安

出産を控えた臨月のママはストレスを感じやすくなることもあります。疲れや睡眠不足からくる生理的なストレス、不安や心配からくる精神的ストレス、温度や湿度からくる物理的なストレスなど、さまざまな要因が考えられます。

ストレスが脳に負担をかけると、脳からの指令によってバランスを取っている自律神経が乱れることがあります。ストレスに対抗にするために交感神経が優位になりすぎると消化器系の働きが鈍り、陣痛前の吐き気や嘔吐につながることもあるかもしれません。

その他の病気

吐き気が病気の症状である場合もあります。たとえば、食中毒があげられます。魚介類や生水などが原因で食あたりになり、胃の痛みとともに嘔吐を引き起こす病気です。ノロウイルスやO157も食中毒の一種です。急性胃炎や胃潰瘍などの消化器疾患などの可能性もあります。

また妊娠後期からお産の後に発症しやすいといわれる「HELLP(ヘルプ)症候群」でも、吐き気や嘔吐の症状が現れることがあります。溶血、肝酵素の上昇、血小板減少といった症状があり、早急に治療が必要ですが発症率は全妊産婦の0.2~0.6%程度と高くはありません。

吐き気は陣痛・出産の予兆?

陣痛の始まる前に、吐き気があったという人はいます。しかし、まったく吐き気を感じないママや、後期づわりがあったものの陣痛が始まってから吐き気が治まったというママもいるため「吐き気があるから出産が始まる」とは限らないようです。

陣痛や出産の他の予兆としては「おしるし」があります。おりものに血が混ざる状態です。色や量は個人差があります。おしるしの数日中には陣痛が起こるといわれています。また、陣痛の前に破水が起こることもあります。破水が起こった場合はすぐに病院に連絡しましょう。

前駆陣痛も出産の予兆のひとつです。前駆陣痛の症状として吐き気を感じる人もいるため、吐き気の有無だけで本陣痛と見分けるのは難しいでしょう。前駆陣痛は痛みの間隔が不規則で、しばらくすると痛みは遠のくのが特徴です。

いつもと違う強い痛みや、ひどい吐き気が続くときは、陣痛であるかどうかは気にせずに病院に連絡して診てもらいましょう。医師に診てもらうことで精神的にも安心できますし、何か問題があればすぐに治療を受けられます。

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吐き気とともに感じる頭痛・腹痛・胃痛・腰痛

陣痛前や陣痛時に、吐き気以外の症状が出ることもあります。たとえば頭痛です。緊張や、ホルモンバランスの変化などが原因といわれています。陣痛は子宮の収縮が原因となるため、下腹部に痛みを感じることが多いですが、それより上の胃から痛みを感じるママもいます。原因はさまざまで、大きくなった子宮が胃を圧迫したり、ウイルスが原因であったりすることもあります。

腰痛も、陣痛前や陣痛中に起こりやすいといわれています。骨盤が大きく開くため、腰が砕けるような痛みを感じる場合もあります。腰をさすってもらったり、強く圧迫してもらったりすることで楽になることがあります。

どのような痛みでも、耐えられなくなる前に病院に相談しましょう。陣痛の予兆ではなく、病気の可能性もあります。「まだ陣痛が始まらないから」といって遠慮せず、気になる症状は担当の医師に診てもらうと安心して出産にのぞめますよ。

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陣痛前・陣痛時の吐き気対策

消化の良いものを食べる

吐き気がひどいときは無理に食べる必要はありませんが、まったく栄養を摂ることができない状態が続くと、出産に必要な体力が減ってしまう可能性もあります。食べられそうなものをゆっくり少量ずつ試してみましょう。温かい食べ物は胃腸の働きを高めますが、アイスなどの冷たい食べ物のほうが吐き気を誘発しないこともあります。

消化不良が吐き気の原因になることもあるので、消化に良いものをこまめに食べるように心がけてみましょう。脂質や食物繊維が少なく、柔らかく調理されたものが消化に良いとされています。おかゆや煮込みうどんを食べてみて、胃の不快感がないようなら煮た野菜やバナナなどの果物を試してみても良いですね。

食後はすぐに横にならず、椅子に座るなど身体を立てた状態にしておくと、胃酸の逆流を防げる場合があります。陣痛中は声を出したり汗をかいたりして、水分不足になることもあります。必要以上の量を食べる必要はありませんが、水分だけはしっかり摂るようにしましょう。

安静にしてリラックス

吐き気が治まらないときは、身体と心をゆっくり休めましょう。リラックスすることで緊張が和らぎ、自律神経のバランスが整って、吐き気が落ち着くこともあります。リラックスする方法は人それぞれです。

お気に入りの音楽を聞いたり、アロマを楽しんだりするのも良いですね。目を閉じて心地の良い状況を想像する「イメージ法」もあります。海や森など、自分が安らげる場所をイメージしながらゆっくり深呼吸します。そのとき、胃のムカムカを同時に吐き出すようにします。

誰かと会って、おしゃべりするほうが気がまぎれることもあります。自分にあったリラックス法を見つけておけば、陣痛が始まってからも役に立ちますよ。

姿勢を変える

姿勢を変えることで胃の圧迫感を減らし、吐き気が和らぐ可能性もあります。陣痛中も自分が楽と感じる姿勢をとると、痛みが緩和することがあります。どの姿勢が楽と感じるかは個人差があるので、いろいろなポーズを試してみると良いでしょう。仰向けに寝そべる仰臥位、横向きに寝そべる側臥位、座位、腹ばい(四つんばい)、立位などがあります。

一般的に胃の不快感があるとき、横に寝そべるよりは、身体を立てた状態のほうが胃酸が逆流しにくいといわれています。また、じっとしているよりも自由に身体を動かしたほうが吐き気がまぎれるということもあるようです。

呼吸法

呼吸法は陣痛の痛みやいきみ逃しだけではなく、吐き気の軽減に役立つこともあります。ポイントは吐く息を意識することです。陣痛が始まっていないときはリラックスして、鼻からゆっくりと息を吸い込み、口からゆっくり息を吐き出すようにしてみましょう。

陣痛が始まってからは、深呼吸をした後「ふーふー」と2回吐くようにしてみましょう。一点をみつめながら、呼吸のリズムと気持ちを整えるようにします。力が上手に抜けると吐き気や陣痛が緩和される可能性もあります。普段から練習をしておくと良いかもしれません。

ツボ押し

吐き気を和らげるとされるツボを試してみるのもひとつの手です。臨月ではお腹が大きくなっているので、バランスを崩しやすくなっています。ツボの刺激は座った安全な状態で行いましょう。

手軽に試せるものでは「内関(ないかん)」といわれるツボがあります。胃の不快感を和らげ、乗り物酔いやつわりに有効といわれています。手首の内側、手首の皺から肘側にむかって指三本離れたところです。肘側から、手首のすじの間に指先を押し込むように2~5分間ほど指圧します。

パートナーにお願いして、指圧してもらっても良いでしょう。妊娠中は身体が特別な状態であり、普段とは体調が違うこともあります。ツボ押しを試す前には、医師や助産師に相談してからのほうがより安心ですよ。

吐き気を我慢しすぎない

お産中に吐き気がある時は、いつ吐いても大丈夫なよう、産院でガーグルベースンや洗面器などを借りておくと安心です。ない場合はビニール袋や紙袋でも構いません。近くに吐ける場所があるだけでも気分は落ち着いてきますし、吐き気を無理に我慢する必要もありません。吐いた後は水分補給をしっかりと行い、口腔内が不快な時は飴やフリスクなどで味覚をまぎらせるのもいいですね。

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陣痛前・陣痛時の吐き気に関する体験談

陣痛時の吐き気はとにかくリラックスが大事

筆者は予定日の一ヶ月前から胃の圧迫感がすごく、何かを食べるとすぐに吐きそうになるので食事の量が減っていました。食事量が減ることで体重も増えすぎずにすんだので、結果としては安産につながったかもしれません。

ほとんど食べられない日が続いたころ、なぜか胃もたれがしない朝があり、その日に陣痛が始まりました。予定日より3週間早まっていました。今思うと、吐き気で食べられなくなっていたのは、赤ちゃんからの「少し早めに生まれる準備をしているよ」というサインだったのかもしれません。

陣痛時は吐くことはありませんでしたが、痛みの合間に「もうすぐまたあの痛みがくる」という緊張感で吐き気を感じることはありました。ゆっくり呼吸を繰り返したり、家族と話すことで緊張を和らげると、吐き気も少し楽になりました。自分なりにリラックスできる方法を用意しておくと良いかもしれません。

消化に良い食事とリラックスで陣痛と吐き気に備えよう

出産への緊張や不安、ホルモンバランスや自律神経のみだれによって陣痛前に吐き気が起こるママもいます。分娩中に嘔吐することも少なくないようです。消化に良い食事をとったり、心身ともにリラックしたりすることで、吐き気が治まることもあります。自分にあった方法を試してみましょう。

吐き気が陣痛の予兆となることもありますが、そうではない場合もあります。あせらずに、陣痛の間隔が狭まるときを待てると良いですね。陣痛に関係なく、吐き気の症状がひどいときは、我慢せず医師に相談してみましょう。

※この記事は2023年10月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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