【産婦人科医監修】帝王切開は怖くない!不安にならない帝王切開予習のススメ
帝王切開となったときに怖いと感じたり不安に思ったりする妊婦さんは少なくありません。しかし帝王切開は、赤ちゃんにとって安全度が高いと判断されたときに行われるものです。「帝王切開は怖くない、大丈夫」と安心して分娩に臨めるように、先輩ママの体験談を交えながら帝王切開になるケースや帝王切開の方法など詳しく解説します。
本ページはプロモーションが含まれています
この記事の監修
目次
帝王切開は怖くない!
帝王切開というと「お腹を切るのは不安」「赤ちゃんは無事に産まれるの」と感じるママは少なくないでしょう。しかし、帝王切開は赤ちゃんとママの身体のことを考えて選択される、安全性の高い手段といえます。
筆者自身もふたりの息子を二度の帝王切開で出産しています。逆子だった長男のときは36週に子宮口が開いてしまって緊急手術、次男のときは手術を予約していた数日前に破水してしまい、こちらも緊急手術でした。
帝王切開手術での出産は大変でしたが、ふたり目のときは冷静に状況を記憶しておこうと張り切る余裕もありました。「百聞は一見にしかず」です。経験してみれば、帝王切開も「なんてことない」ときっと思えるはずです。痛さも怖さも、赤ちゃんが元気に産まれれば吹っ飛んでしまいますよ。
帝王切開になるケースとは?
逆子の場合
帝王切開の理由で一番多いケースは「逆子(骨盤位)」です。骨盤位の場合はほとんど帝王切開での出産になります。通常赤ちゃんは、ママのお腹の中で頭を下にして成長しますが、頭を上にして育つ場合があります。こうなると足が引っかかってしまい、自然分娩は難しくなってしまうのです。
骨盤位といわれる逆子の場合、足やおしりが産道のほうに向いています。そのため、自力で下りていくと出産に時間がかかったり、出産に時間がかかることによって胎児の心拍が低下したりといったトラブルにつながることが考えられます。
30週を過ぎるとお腹の中で赤ちゃんが回転するのを促す「逆子体操」をすすめられることがあります。逆子体操で直る場合もありますが、直らない場合もあり、直らなければ帝王切開での出産となるのが一般的です。
逆子の場合は、出産予定日より少し前に帝王切開手術での出産を行うことになります。これは、赤ちゃんが無事に健康に産まれるための選択です。帝王切開は、無理に自然分娩して産道でつかえたり、吸引分娩したりといったリスクが少ない安全性の高いお産といえるでしょう。
双子以上の場合
多胎妊娠になると、産院によりますが、帝王切開での出産がほぼ必須になります。多胎妊娠での帝王切開は、ママと赤ちゃんの安全のための選択です。手術の時期は胎児の人数や成長の過程などによって異なり、主治医と赤ちゃんの様子を見ながら決めることになります。
ママの骨盤が狭い場合
ママが小柄だったり、ママの骨格が小さかったりすると、骨盤が狭く赤ちゃんの頭が物理的に産道を通れない場合があります。ママの骨盤が狭いと帝王切開での出産となる場合が多いようです。ただし、出産が近づくとママの骨盤は開きやすくなるため、骨盤が小さいからと必ずしも帝王切開になるわけではありません。
自然分娩からの帝王切開もある
胎児の成長が順調に進み、予定日になって陣痛が起こった場合でも、急遽帝王切開になる場合があります。微弱陣痛が長く続いたり、長時間の分娩で赤ちゃんの心音が弱くなったりと、赤ちゃんが危険な状態と判断された場合には、緊急で帝王切開に切り替えることがあります。これも赤ちゃんの命を考えた、安全のための選択です。
母体の様子を見て、帝王切開に切り替える場合もあります。順調に正産期に入っても帝王切開になるケースは珍しくないため、緊急手術になった場合も想定して入院準備をしておきたいですね。
帝王切開の切り方
帝王切開の切り方には、縦切開と横切開の二種類があります。名前の通り、おへその下を垂直に切るのが縦切開、水平に切るのが横切開です。
特に妊婦さんからの要望がなく、緊急帝王切開のように1秒でも早く赤ちゃんをお腹の外に出してあげなくてはいけないときには、縦切開になる場合が多いようです。赤ちゃんは縦方向に位置しているため、素早く赤ちゃんを取り出すことができ、手術しやすいといわれています。
下着や水着になると傷口が見えるということから、横切開を希望するママも増えています。縦切開と比較して赤ちゃんを取り出すのに少し時間がかかるので、こちらは時間にある程度余裕がある場合に限られています。
経過に問題がなければ、帝王切開の傷口は時間が経つとあまり目立たなくなります。医師の判断に従い、ママと赤ちゃんにとって安全性の高い選択をしたいですね。
帝王切開でのお産の進め方
1.手術日の決定
予定帝王切開の場合は、病院で指定された手術日に行われます。手術日は、お腹の赤ちゃんの成長を考慮して主治医と相談し決定します。病院により、何曜日が手術日と決められていることが多いようです。
そのため、帝王切開では、事前に赤ちゃんの誕生日が決まることになります。ただし、それまでに陣痛が起こったり、破水したり、子宮口が開いてきたりすると、緊急帝王切開の手術となります。
2.入院する
昔は帝王切開での出産では、出産後10日以上入院することが多かったようです。最近は、何も問題なければ、おおよそ出産後5~10日目で退院になります。
入院前夜から夜の食事を抜いて朝早めに入院し、術前検査や準備ののち、昼過ぎに手術開始というスケジュールが一般的です。総合病院の場合は大部屋か個室か選択することになりますが、個人クリニックでは全部屋個室になっているところも多いようです。
個人病院は国公立などの総合病院に比べて費用は高めですが、サービスは大病院に比べると豪華な場合が多いようです。ベッドは電動で動いたり、お祝いディナーがあったり、エステがあったりと、お産を頑張ったママに至れり尽くせりのご褒美があることもあります。帝王切開の場合は自然分娩より入院も長めになるので、思い切って贅沢をしてみても良いかもしれませんね。
一方で、総合病院には多数の専門スタッフがおり、個人病院よりも不測の事態に素早く対応できるという利点があります。多胎妊娠や高血圧、その他の疾患がある妊婦さんの場合は、分娩時のトラブルに対処可能な総合病院を選択すると安心でしょう。
自然分娩では医療保険は適用外になりますが、帝王切開の場合は医療保険と高額医療費制度が適用されます。医療保険に加入している場合は入院給付が受けられるので、場合によっては自然分娩より安くなるかもしれません。
3.手術前の検査と準備
入院日前日は早めに軽く夕食を済ませ、それ以降は絶食です。朝早くに入院し、午前中に術前検査や準備を行います。排便・剃毛・消毒などを済ませ、午後から帝王切開手術となるのが一般的です。
手術室に入ったら手術台に横になり、麻酔が行われます。たいていの場合、使用されるのは、胸から下だけに効く局所麻酔です。膝をまげて丸まった姿勢で、背中から注射されます。局所麻酔の大きな痛みを和らげるために、軽い麻酔をしてくれる場合もあります。
4.帝王切開手術
手術は執刀医の他に助産師も同伴し、産まれた赤ちゃんのケアを担当します。胸から下の麻酔なので意識はしっかりあり、お腹を触られている感覚あります。これが少し怖いところかもしれませんね。
お腹のあたりに、布がかぶせられた衝立のようなものが置かれているため、お腹を切る部分はママからは見えないようになっています。皮膚、筋膜、腹膜、子宮など、たくさんの膜や臓器を切って赤ちゃんを取り出すことになります。
5.赤ちゃんの誕生
お腹から赤ちゃんを取り出すような感覚がわかることでしょう。しばらくして赤ちゃんの泣き声が聞こえてきます。きれいに洗浄し、特に異常がなければ、赤ちゃんをママの顔のそばに連れてきて対面させてくれます。
ママが赤ちゃんと対面しているあいだに、お腹の傷の縫い合わせが始まります。お腹の中は溶ける糸を使用して縫い合わせ、一番外の皮膚はホッチキスのような針でとめる場合が多いようです。傷の処置方法は、病院によって異なります。
6.手術後のケア
帝王切開手術後は、ママの経過観察が行なわれます。病院によっては、ママは一般病棟ではなく、回復室や、ナース室のすぐそばの部屋で過ごすことがあります。術後の痛み止めは点滴で行うところもありますが、背骨あたりから入れた管で麻酔を定期的に体内に入れる硬膜外麻酔という方法もあります。
術後1~2日は、帝王切開の傷の痛みに、子宮が収縮する痛みも伴います。これが一番つらいところかもしれません。産まれた赤ちゃんは、24時間ほど保育器で過ごすことが多いようです。赤ちゃんの経過に問題がなければ、保育器から出て他の新生児たちと同じベッドで過ごすようになります。
7.ママの身体の回復期
帝王切開後24時間程度が経過し、ママの体調に問題がなければ一般病室に戻ります。一般病室に戻る際は、ママが自分で歩いて行く場合が多いようです。術後24時間経過後に検査を行い、問題なければ、おかゆなどの食事がとれるようになります。
8.退院前の処置
一般的には、手術後5日目くらいでシャワーを浴びることができるようになります。衛生面を考え、傷口には防水テープが貼られます。この時期はまだ傷口は赤く、見るのも痛々しい状態です。また、ママの調子が良ければ、母子同室にする病院もあるようです。
術後5日~10日の退院する日に、皮膚をとめたホッチキスをはずします。そのころには傷がくっつき、皮膚の痛みはほとんどなくなるでしょう。ただし、お腹の中の痛みや、たびたび感じる子宮の戻りによる痛みはまだ続きます。
9.経過観察
帝王切開の傷は、ケロイド体質でなければ肌色になります。ただし、光にあたるとうっすら目立つような感じの傷跡は残ります。産後に太らなければ傷の幅は細いままですが、太ると傷跡も横に広がり、少し目立つようになるかもしれません。
帝王切開で良かったエピソード
筆者は逆子での帝王切開の術後に、執刀した先生から「へそのおが首に巻きついていました」と言われました。もし無理をして自然分娩していたら、首に巻きついたまま産道を通ることで、仮死状態で産まれることになっていたかもしれません。帝王切開をして良かったと心から思いました。
帝王切開で出産した有名人ママ
・宮崎宣子さん
・キンタローさん
・イモトアヤコさん
・浜崎あゆみさん
・前田敦子さん
・滝川クリステルさん
・AKINAさん
・蛯原英里さん
・美馬アンナさん など
皆さん帝王切開で元気な赤ちゃんを出産しています。ブログやご自身の書籍で出産体験を語っているママもいるので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
帝王切開だと何人産めるの?
一般的には帝王切開で出産したのちの出産では、無条件で帝王切開をすすめる病院が多いようです。一度切った経験のある子宮は、自然分娩での負担に耐えられない可能性があるためです。昔は帝王切開による出産は2回までといわれていましたが、最近は医療技術が進み、3回までは問題ないといわれています。
帝王切開で横切開した場合は腹直筋と腹膜が癒着することがあるため、2回目以降の帝王切開では検討が必要となり、前回と異なる切開方法となる可能性もあります。
赤ちゃんの無事が一番
帝王切開での出産が大変であっても、かわいい赤ちゃんと対面すると、そのつらさも怖さも吹き飛ぶものです。怖かったことやつらかったことも、いつか笑い話になりますよ。出産がどんな方法でもあっても、赤ちゃんが無事に産まれてきてくれることが大切だといえるでしょう。
「ままのて」が妊娠・育児中のママをサポート
ままのてが提供する、妊娠・育児中の疑問や不安・悩みをサポートするアプリ「ままのて」。妊娠週数や赤ちゃんの月齢にあわせて、ママへのメッセージを毎日お届けします。
▼無料インストールはこちら▼
おすすめの本はこちら
発売日:2013年08月
著者/編集:竹内正人, 細田恭子
出版社:中央法規出版
人は誰しも、知らないことに関しては不安に感じるものですね。この本は、帝王切開が怖い妊婦さんの気持ちに寄り添い、ママと家族の視点から帝王切開のことをまとめた帝王切開ガイドブックです。
ママから寄せられた83個の質問に回答しながら、入院から手術前・後の様子、身体の回復まで網羅的に解説します。この本を読めば、帝王切開も怖くないと自信が生まれるかもしれません。