産婦人科医監修|帝王切開の痛みはいつまで続く?痛みの原因と対策
出産時に帝王切開を行ったあと「この痛みはいつまで続くのかな…?」と、不安になってしまう妊婦さんも多いでしょう。筆者もそのひとりで、第一子の妊娠・出産で帝王切開を行ったあと、いつまで続くかわからない痛みにとても不安を感じました。妊娠中から気になる、帝王切開の痛みはいつまで続くのか、筆者の体験談も含めて解説します。
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目次
帝王切開の入院生活は?
自然分娩をした人は産後一週間以内での退院になりますが、帝王切開をした人は入院期間が長くなります。帝王切開後は傷口の消毒や抜糸などを入院中に行うため、入院期間は7日~14日くらいの病院が多いようです。
抜糸不要の溶ける糸で縫合した場合を除き、帝王切開後の入院期間中に「抜糸」を行います。病院によって傷の縫合の方法は異なりますが、最近は抜糸不要の溶ける糸で縫合する病院が増えているようです。
筆者は2回帝王切開を経験しましたが、1人目は13日間、2人目は9日間の入院生活でした。なお、2回とも帝王切開の後に抜糸を行いました。個人差があると思いますが、私の場合は数分で抜糸が終わりました。皮膚が引っ張られている感じや多少の痛みはありましたが、いつまでも続くような痛みではなく、産後に襲われる後陣痛の痛みに比べたら我慢できるものでした。
帝王切開後の痛みの原因は?
帝王切開後の痛みの原因は、主に2つ考えられます。
お腹を切ったときの痛み
帝王切開の手術中は麻酔が効いているので痛みはありませんが、術後に麻酔が切れると痛みが生じてきます。なお、術中の切り方(縦、横)で痛みの違いはほとんどありません。
お腹を切ったことによる痛みなのか、子宮の収縮による痛みなのかは、最初はわかりづらいかもしれません。しかし、後陣痛による子宮の収縮がおさまるころ、まだ表面的な痛みが続くようであれば、それは傷口の痛みだと考えられます。
子宮収縮による痛み
子宮収縮による痛み(後陣痛)は、帝王切開も自然分娩でも同じです。しかし、帝王切開の場合は子宮にメスを入れているため、後陣痛がつらい場合が多いようです。帝王切開は陣痛を待たずに手術を行うことが多いため、余計に後陣痛の痛みを感じやすいのかもしれません。
産み方に関係なく、初産婦さんに比べると経産婦さんのほうが子宮収縮の痛みを感じやすいといわれています。後陣痛の痛みは子宮が回復している証拠なので、前向きにとらえるようにしましょう。なお、入院中どうしても痛みがつらい場合は、我慢せずに痛み止めを処方してもらいましょう。退院後1ヶ月たっても子宮収縮の痛みが続く場合は、違う病気が考えられるので、医師の診察を受けるようにしてくださいね。
帝王切開後は、痛みがいつまで続くのか不安になりますよね。筆者の場合、2度帝王切開をしましたが、1回目と2回目でも痛みの感じ方は違いました。傷の痛みは第一子出産時の方が痛く、第二子出産の際は子宮収縮による痛みの方が激痛でした。傷の痛みなのか、収縮による痛みなのかわからないような痛みに悩まされました。妊娠している時は、帝王切開後がこんなに痛いとは想像していませんでした。
帝王切開の痛みはいつまで続くの?
帝王切開をした後は思うように身体を動かすこともできず、ガス(おなら)が出るまで食事も満足に食べることもできない中で、痛みとの戦いがはじまります。とはいえ、いつまでも痛みが続いているわけではないので、痛みのピークを過ぎれば徐々に楽になっていきますよ。
帝王切開後の痛みがいつまで続くのかは、個人差が大きいです。大半の人は術後に麻酔が切れてから痛みが始まり、出産当日夜~産後2日くらいで痛みのピークを迎えることが多いようです。退院するころには、痛みはだいぶ軽減していることでしょう。赤ちゃんのお世話などで毎日が忙しいため、痛いと思う時間が減る、ということもあるかもしれませんね。産後に行われる1ヶ月健診のときに、まだお腹が痛むときには必ず医師に伝えましょう。
筆者は出産当日、麻酔が切れてベッドで寝てるとき、身体を少しでも動かすと激痛を感じました。お腹の痛みで一睡もできなかったくらいです。出産翌日には歩いてトイレに行くように言われましたが、あまりの痛みに、目の前にあるトイレまで歩くのにかなり時間が掛かったことを覚えています。しかし、激痛が続くのは数日間のことです。退院するころには、だいぶ痛みは楽になっていましたよ。
筆者より1日前に帝王切開をしたママは、退院するまでずっと傷が痛いと言っていて歩くのが大変そうでした。逆に、筆者のママ友で帝王切開をした人は翌日から普通に動くことができ、痛みはほとんど感じなかったそうです。痛みがいつまで続くのかは、人によってまったく違うみたいですね。
帝王切開後、痛みがひどいときの対処法は?
ここでは、痛みをやわらげるための対処法をご紹介します。なお、帝王切開後の激痛がなかなか収まらないときは、我慢せずに担当医や看護師さんに伝えましょう。
痛み止めの使用
出産後体力のない時期に、いつまでもお腹の痛みが続くのはとてもつらいですよね。痛いときは無理せず、医師に相談してください。授乳に影響のない痛み止めを処方してもらえるでしょう。痛いからといって、自己判断で市販薬の痛み止めを医師の許可なく使用するのはやめましょう。
座薬の効果
痛みがひどいときは、座薬を入れてもらうことも良いでしょう。座薬はひんぱんに使用することはできないので、だいたい6時間間隔で入れてもらうことが多いようです。効果には個人差が大きいため、痛みが消える人もいれば、少しだけ軽減するだけの人もいます。
筆者は第一子出産の帝王切開後は、薬に頼ってはいけないような気がして痛みを我慢していましたが、第二子を帝王切開で出産したときは、看護師さんからの「痛いときは我慢しないで!」の言葉に助けられて、痛み止めを使用しました。
第二子出産の際には、出産当日夜から座薬を使用し、痛み止めの注射を打ってもらったおかげで、早くから動けるようになりました。「もっと早くから痛みの対策をしていればよかった…」と後悔しました。いつまで続くかわからない痛みと戦うより、痛みがひどいときは我慢しないほうが良いですよ。
傷跡のテーピング
帝王切開でできたお腹の傷跡を保護したり、傷口の見た目をよくしたりするために、傷口にテープを貼るよう指導する病院もあります。テーピングを行うことで傷口を触らないようにできるため、痛みを軽減する効果が期待できます。下着などが傷口に触れるだけでも違和感があり痛かったので、そこを保護するようにテープを貼ると痛みが軽減しますよ。
筆者が出産したクリニックでは、妊娠中も産後もテーピングの説明はありませんでした。帝王切開を行ったママたちのあいだでは、テーピングをしたとの声をよく聞きます。いっぽう、テーピングはすべての人に有効というわけではなく、傷の状況や皮膚の状態によって効き目は変わるため、注意が必要です。いつまでもテープを貼っているとかゆくなってしまうこともあるので、肌にあわないと感じたときなどは使用をやめましょう。
寝方による痛みの軽減
帝王切開後はお腹の痛みがひどいために、仰向きで寝るのがつらいママも多いようです。妊娠中に使用していた抱き枕を使って、横向きで寝るママもいるようですよ。痛みをやわらげる寝方は人それぞれですので、自分にあった向きを探してくださいね。
筆者の場合、やや横向きで寝ているほうが痛みを感じませんでした。第一子出産後は寝返りも打てなかったので、ずっと仰向けで痛みに耐えていました。しかし、それだと起き上がるときにもつらかったため、第二子出産後は横向けになっていることのほうが多かったです。
帝王切開後の体験談
筆者は帝王切開後、看護師さんに積極的に動くように言われ、驚きました。筆者のように「帝王切開後で痛いのに動いたほうが良いの?!」と思うママは多いかもしれませんが、動いたほうが痛みを忘れるのも早く、傷の治りも早いそうです。無理をして動くのはよくありませんが、痛いからといっていつまでも動かないでいると、少し動くだけで激痛が走るようになってしまいます。
第一子出産のときは帝王切開が初めてだったので、出産後はまったく動かず痛みに耐えていました。第二子出産のときは、帝王切開後の夜から自分の左右にあるベッドの柵につかまり、身体を少し動かして痛みにならしていくと、あまり痛さを感じませんでした。そのおかげか、翌日の朝にはひとりで起き上がって歩くこともできたので、看護師さんに驚かれました。
帝王切開による痛みを我慢しないで
感じ方には個人差がありますが、帝王切開は産後に傷みをともなう手術です。しかし、いつまでもその痛みを我慢していると、赤ちゃんのお世話をしたくてもできなくなってしまいます。せっかく面会に来てくれた家族や友達とも、楽しく会話をすることができず、早々に帰ってもらうことになりかねません。
帝王切開直後はいつまでも痛みをがまんせず、つらいときには痛み止めなどの対策を早くから行いましょう。また、痛みがひどいときは、母子同室でのお世話をやめて、夜間の赤ちゃんのお世話などは看護師さんにお願いしてください。ママがしっかり身体を休めることも大切ですよ。決して我慢や無理はしないでくださいね。
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