産後に集中力や記憶力が低下する?マミーブレインとは?

産後に物忘れがひどくなったり、ぼーっとして思いもよらない行動をしてしまったりした経験はありませんか。このような状態を「マミーブレイン」と呼び、SNSなどで取り上げられることが増えてきました。マミーブレインとはどのようなものなのか、いつまで続くのかなど、科学的根拠を踏まえて現在の見解を紹介します。

11892

本ページはプロモーションが含まれています

目次

  1. マミーブレインとは?どんな症状?
  2. マミーブレインの原因は?
  3. マミーブレインはいつまで続く?
  4. 産後うつの可能性も
  5. マミーブレインを前向きにとらえよう
  6. あわせて読みたい

マミーブレインとは?どんな症状?

次に何をすれば良いのかぱっと思い浮かばなかったり、やらなければいけないことを忘れてしまったり、産後に頭が回らないと感じるママは多いようです。その反面赤ちゃんのうんちのにおいや機嫌、体調の変化には敏感に気づきます。

ママが赤ちゃんのお世話や発達のことが第一になり、生活に関することがあとまわしになるのは珍しくありません。あわただしい毎日のなかで、出産前と比べて記憶力や集中力が落ちた、判断力が鈍ったと感じる状態を一般的に「マミーブレイン(ママの脳、女脳)」と呼びます。

マミーブレインは、ぼーっとしたりうっかりミスが増えたりする「産後ボケ」のような現象であり、医学用語や病気の症状ではありません。SNSなどでは、自分の「やらかしてしまった体験談」にマミーブレインのハッシュタグをつけて発信している人もいます。

マミーブレインの原因は?

「ブレイン」という単語が意味するように、これまでマミーブレインの原因とされてきたのは、脳の萎縮により脳機能が低下するのではないかという説です。しかし実際は脳の変化と認知能力に関する文献は少なく、科学的根拠に乏しいのが実状でした。

このような状況のなか2016年にイギリスの科学誌で、妊娠から出産後にかけて女性の脳の一部が縮小するものの認知能力の低下は見られなかった、という論文が発表されました。研究チームは、脳の変化が赤ちゃんの感情や体調の変化を察知する能力や、危険を予測して回避する能力などを高めている可能性も示唆しています。

2023年にアメリカの医学雑誌に掲載された記事でも、産後の女性が認知能力の低下を感じている一方で、実際には子どもがいる女性と子どもがいない女性のあいだに認知能力の有意な差は認められなかったという報告がなされました。

これらの報告を含む最近の研究では、脳の変化は認知能力の低下をもたらすものではないという考えが示されています。ママたちが感じているマミーブレインは、睡眠不足や育児疲れ、ホルモンバランスの変化などによるものと考えられます。

マミーブレインはいつまで続く?

マミーブレインは疲れや睡眠不足が原因で起こると考えられるため、回復時期は生活環境や体力などによって人それぞれです。一般的には赤ちゃんの生活リズムが一定し、育児に慣れてくる半年から一年ころに産前の状態に戻る人が多いようです。

ただ、産後に脳の変化が起こることを突き止めた研究では、脳の変化は妊娠中からみられ、産後2年間続いたケースが報告されています。とはいえママが子育てに集中しているあいだは、物忘れが多くなっても心配しすぎず、おおらかに受け止めて良いのかもしれませんね。

産後うつの可能性も

気をつけたいのは、マミーブレインの状態に病気が隠れている場合です。記憶力や集中力の低下は、産後うつにもみられる症状のためです。

不安感や心配する気持ちが強い、赤ちゃんに対してネガティブな感情を抱く、自分を責めてしまう、意欲がなく物事をおもしろいと思えないなどが2週間以上続いている場合は、産婦人科や婦人科、自治体の窓口などで相談してみましょう。

表面上は家事や育児ができていても、心が疲れている場合もあります。決して無理をせず、少しでも気になることがある場合は早めに受診することが大切です。

マミーブレインを前向きにとらえよう

マミーブレインは病気ではないとはいえ、自分の小さな失敗にあきれてしまったり嫌気がさしたりすることもあるでしょう。しかし、裏を返せばマミーブレインはママとしての専門性が高まった証拠でもあるのです。

最近の研究に先立ってアメリカのジャーナリストであるキャサリン・エリソンは、2005年にアメリカで刊行した著書「The Mommy Brain」のなかで「子どもを育てることは母親をより賢くする」と伝えています。また、脳の一部が縮小する一方で、意思決定や感情制御をつかさどる分野は大きくなっているという報告もあります。

子どもを安全に健康的な状態で保護すること、家事や仕事をこなしながら子どもと向き合う時間を確保することは、複数のタスクを同時にこなす複雑なプロセスを踏みます。記憶力や集中力が低下したと感じても、心配したり自分を責めたりする必要はないといえるでしょう。

マミーブレインだと感じたら無理をせず、家事を外部に委託したり家族に頼ったりしながら心身ともにゆっくり休む時間をつくってくださいね。

※この記事は2023年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

あわせて読みたい

【産後のママに寄り添う】「産後ケアリスト」とは?サポート内容や料金・利用方法を紹介
https://mamanoko.jp/articles/32097
【編集部調査】産後、パパがやってくれて嬉しかったこと!先輩ママのリアルな声&ワーク・ライフ・バランスの取り方を…
https://mamanoko.jp/articles/32128
【保健師監修】産後うつとは?症状や原因、治療法は?夫とはどう過ごす?
https://mamanoko.jp/articles/29174
【助産師監修】産後のママを助けてくれる「産後ヘルパー」とは?サポート内容や料金・利用方法
https://mamanoko.jp/articles/32077
【助産師監修】産後の寝方が重要な理由とは?寝方のおすすめやNG、睡眠の質を上げる方法もご紹介!|助産師監修
https://mamanoko.jp/articles/28203