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記事の監修

産後の腰痛はどんな症状がいつまで続いた?
産後に起こる腰痛の「痛みが出現する期間」や「痛みの程度」は人それぞれです。3~4ヶ月で痛みが治まった人、年単位で痛みと向き合っている人、産後しばらくたってから痛みが出た人など、さまざまな体験談が寄せられています。その一部をご紹介します。
先輩ママの体験談
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産後の腰痛がひどい原因

リラキシンによる骨盤のゆるみ
リラキシンとは、お産がスムーズに進行するように卵巣や胎盤から分泌されるホルモンです。妊娠中から産後数ヶ月にかけ分泌され、骨盤周囲の「仙腸骨靭帯(せんちょうこつじんたい)」や「恥骨結合(ちこつけつごう)」をゆるめるはたらきをします。
靭帯や恥骨結合は、妊娠8週頃からゆるみはじめます。臨月から産後3週にかけては特に関節の可動性が大きくなり、仙骨(せんこつ)、寛骨(かんこつ)、仙腸関節(せんちょうかんせつ)と恥骨結合で構成される「骨盤輪(こつばんりん)」が不安定になります。
このように骨盤全体が緩んだ結果として、腰痛が起こると考えられます。骨盤がゆるむことで起こる腰痛は、一般的に寝返りや歩行などどちらか一方に体重が乗るときに強く感じる傾向があります。
赤ちゃんのお世話で腰に負担がかかる
赤ちゃんのお世話は、抱っこしたり授乳したりと腰に大きく負担がかかる姿勢が多いものです。たとえば赤ちゃんを抱っこするときは、骨盤は前傾し腰椎が大きく前わんします。片手で赤ちゃんを抱っこし、左右非対称の姿勢をとることもあるでしょう。授乳の際は、骨盤が後傾し、猫背になっていることが多いのではないでしょうか。
日常的な姿勢に起因した腰椎のゆがみは、腰背部の痛みを引き起こします。立っているときや座っているときなど、長時間同じ姿勢でいるときに痛みが生じやすくなります。
ストレスや睡眠不足による血行不良
産後はホルモンバランスが大きく変わり、数時間おきのミルクやおむつ替えなどで生活リズムも変わります。自律神経も乱れやすくなり、睡眠不足も重なって疲れやストレスを感じることが増えてきます。
疲れやストレスは筋肉の緊張を高め、血行不良を引き起こして、老廃物を体外に排出するはたらきをさまたげます。こうなると悪循環が起こり、筋肉や関節の柔軟性が失われて痛みが発生してしまうのです。
産後のつらい腰痛対策、先輩ママはどうした?

ストレッチ・体操をする
腰痛を和らげるには、筋肉を伸ばしてやわらかくすること、骨盤周りの筋肉を強化することが大切です。痛みが強くならないように注意しながら、自分にあったストレッチや体操を探してみましょう。
先輩ママの体験談
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骨盤ベルトをつける
骨盤ベルトには前締めと後ろ締めがあります。整形外科などでは、試着してみて痛みが軽くなるほうを選んで装着します。市販品では自分で締めやすい前締めが多いようです。締め付けが調整できるか、蒸れにくい素材か、産前・産後と長く使えるかも選ぶときのポイントです。
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整体に行く
妊娠、出産を経て日常的な疲れや動作で起こる腰痛は保険適用にはなりません。しかし、手足のしびれがある場合には、ヘルニアなどが疑われ、整形外科での診察・リハビリの対象となります。鍼灸師や柔道整復師が施術する整骨院、接骨院、整体院などでは、自費での診療メニューを用意していることもありますよ。
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接骨院はあまり馴染みがありませんでしたが、先生は気さくな方で、赤ちゃん連れでも診てもらえるのが気に入りました。日常的な疲れによる腰痛は、自費のカイロプラクティックが受けられるということなので、今度はそちらを試してみたいと思います。
寝方に気をつける
疲れをしっかりとるためにも、睡眠はとても重要です。痛みが軽くなる寝方は人それぞれですが、膝の下にタオルやクッションを当てて腰が伸びにくくする寝方をしたり、仰向けに寝ないようにしたりすると、痛みが和らぎやすいようです。
先輩ママの体験談
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腰に負担のかかる下着やパンツを避ける
産後は体形維持のためにも、補正下着やぴったりとしたパンツスタイルを選びたくなりますね。しかし、身体を締め付けすぎるのは骨盤への影響が気になります。腰痛があるときは、身につけるものも腰に負担がかからないものを選びたいですね。
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寝具を工夫する
寝具は体形や体重にあったものを選ぶのがいちばんですが、腰痛対策としては、体圧を分散し、骨盤と背中の2点をしっかりと支えてくれるものが良いとされています。寝具や家具を扱っているお店で、敷ふとんやマットレス、枕の寝心地を確かめてみるのも良いかもしれません。
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足にあった靴を履く
足のサイズよりも大きい靴を履いていたり、窮屈すぎる靴を履いていたりすると、歩きかたに影響が出て骨盤が歪む原因となります。外出の際は自分の足にあった靴を選ぶと良さそうです。
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産後の腰痛が治らない!整形外科での治療法は?

産後の腰痛が3ヶ月以上続いていたり、腰痛のほか足や肩にしびれが出てきたりしたら整形外科を受診しましょう。整形外科ではまずレントゲンを撮り、骨や神経に異常があるか確認します。治療の基本は安静、鎮痛剤の投与、ブロック注射、骨盤ベルトやコルセットの装着、電気治療などです。
鎮痛剤はロキソニン、セレコックス、ボルタレンなどが処方されます。これらは授乳中も安全性が確認されている薬ですが、心配な場合は医師や薬剤師に相談してみましょう。内服薬と並行して、湿布が処方される場合もあります。
一般的に痛みが強い急性期のときは冷やし、痛みが慢性化したときは温めるほうが良いとされていますが、湿布に限っては温湿布と冷湿布で効果の違いはほとんどないので、使いやすい方を選ぶと良いでしょう。
産後の腰痛を悪化させない抱っこや授乳のコツ

ベビーベッドやおむつ交換台を使う
赤ちゃんを抱っこする際に、前傾姿勢で抱き上げると腰痛が悪化してしまいます。抱き上げる際の姿勢に気をつけるのはもちろんのこと、ママが楽な体勢を保てる道具を使うのもおすすめです。
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機能性抱っこ紐を選ぶ
赤ちゃんの抱っこ紐は、年々機能性が増してきています。たとえば赤ちゃんが寝てしまっても、そのままおろせるように前開きジッパーが付いている抱っこ紐なら、寝かせる際に前傾姿勢を長く取らずに済みます。腰全体をしっかりカバーしてくれるヒップシート付きの抱っこ紐も人気ですよ。
また、極端に腰に重みがかかるような抱っこ紐の装着は、腰痛の原因になりますので注意しましょう。
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授乳クッションを使う
長時間同じ姿勢を保たなければならない授乳の時間は、腰にとても負担がかかるものです。授乳クッションを使って、猫背にならないよう工夫してみましょう。
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授乳の姿勢を変える
授乳の体勢は横抱きが定番ですが、縦抱きやフットボール抱きは赤ちゃんの姿勢をコントロールしやすいため腰痛対策になります。腰が痛く座るのがつらいときは、添い乳を試してみるのも良いでしょう。
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産後の腰痛とうまく付き合おう
産後に腰痛が起こるのは、全体の50~70%といわれています(※1)。半数以上もの人が、腰痛になっているのです。なじみがある症状だけに、育児の忙しさから腰痛対策がおろそかになってしまうことも少なくありません。
しかし、産後の腰痛をそのままにしておくと、痛みが慢性化し年単位で苦しむ可能性もあるのです。骨盤の歪みを戻し、正しい姿勢をとるための筋力をつけるには、早め早めに対策をしておくことが大切です。赤ちゃんが歩けるようになったときに一緒に動き回れる身体を作っておきたいですね。