【助産師監修】授乳中の湿布は母乳に影響する?モーラステープやロキソニンテープは?授乳中の腱鞘炎・腰痛・肩こり対策【助産師監修】

赤ちゃんのお世話をしていると、腕や肩、腰に負担がかかります。とりあえず湿布を貼って痛みを和らげたいこともありますよね。湿布の種類や使い方によっては母乳に影響するのではないかと心配になるママもいるでしょう。ここでは、授乳中の湿布についての注意点や腱鞘炎、肩こり、腰痛の対策方法を助産師監修で詳しくお伝えします。

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この記事の監修

河井 恵美
助産師・保育士
河井 恵美

目次

  1. 授乳中の湿布は母乳に影響する?
  2. 病院で処方される湿布薬の母乳への影響は?
  3. 市販の湿布薬の母乳への影響は?
  4. 授乳中に湿布を使用するときには貼る場所に注意!
  5. 授乳中のつらい腱鞘炎・腰痛・肩こりへの対策
  6. 湿布は適切に使用・保管しましょう
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授乳中の湿布は母乳に影響する?

赤ちゃんのお世話をしていると、ママの身体には負担がかかることがあります。赤ちゃんの抱っこや授乳・搾乳をすることで、腱鞘炎になったり腰痛や肩こりに悩まされたりするママも多いでしょう。一番大切なのは腱鞘炎であれば手を使用せず安静にすること、腰痛や肩こりはストレッチや筋力トレーニングをすること、そしてポジティブな気持ちで生活することです。

とりあえず痛みをとるために痛む部分に湿布を貼りたいというママもいるでしょう。しかし授乳中に湿布することで赤ちゃんに影響するか心配になるママもいるのではないでしょうか。

湿布にはさまざまな成分が含まれており、皮膚から吸収することで痛みなどの症状を緩和させていきます。内服薬に比べて成分が母乳に影響する可能性は低く、少量であればあまり心配はいらないと考えられています。また、まれに報告される副作用はほぼ生後1−2ヶ月の赤ちゃんで起こっているので、生後3ヶ月以降であればほとんどの痛み止めを使用できます。

しかし、同時に大量に使用すると血液中の薬物濃度が上昇するため、母乳に移行する恐れがあるので注意が必要です。アスピリンなど、湿布によっては授乳期の使用に注意が必要なものもあります。自己判断で使用しないようにしてください。

病院で処方される湿布薬の母乳への影響は?

病院でよく処方されるモーラステープとロキソニンテープについて、授乳中の影響をご説明します。

モーラステープ

モーラステープは患部の炎症や痛みを抑える湿布です。モーラステープにはケトプロフェンという成分が含まれているのですが、かつてケトプロフェンの湿布を使用した妊娠後期の女性が胎児動脈管収縮をおこした事例や羊水が減少した事例が報告されています。

モーラステープは授乳期の安全性がまだ確認されていないため、厚生労働省は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ使用するように、医師に通達しています。

また、母乳とは直接関係ありませんがモーラステープには副作用が報告されています。日焼け止めや香水などに過敏症反応がある方は使用できないことがあります。

・接触皮膚炎(発症頻度5%未満)
→貼り付けた部分にみられるかゆみや発疹、刺激、紅斑(こうはん)などが悪化し、腫れあがる、水疱・びらんなどが起こることがあります。症状がみられたらすぐに使用を中止してください。

・光線過敏症(発症頻度不明)
→患部に紫外線が当たることで、かゆみをともなう紅斑や発疹、刺激感などが起き、身体全体に症状が広がり重篤化することもあります。使用中は患部に紫外線を当てないよう、厚手の服を着用するなど注意しましょう。使用後に発症することもあるため、気をつけてください。

ロキソニンテープ

ロキソニンテープは関節症や筋肉痛などさまざまな炎症に使用されている湿布薬です。妊娠中の女性に対しては、安全性が確認されていないため、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ使用することとされています。

しかし、ロキソニンに含まれるロキソプロフェンナトリウム水和物は母乳に移行しにくいため授乳中の女性については制限がありません。心配な場合は医師に相談しましょう。

市販の湿布薬の母乳への影響は?

国立研究開発法人国立成育医療研究センターのサイトでは、科学的な情報をもとに評価を行い、授乳期でも安全に使用できると考えられる湿布薬の成分として、以下の2つをあげています。(※1)

・インドメタシン(インテバン)
:解熱・鎮痛薬

・ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)
:解熱・鎮痛薬

また、ロキソニンに含まれるロキソプロフェンナトリウム水和物については、国立研究開発法人国立成育医療研究センターのサイトに掲載はないものの、医師の見解では母乳へ移行しにくいとされています。

市販の湿布は、基本的に授乳に影響はほとんどないと分かっていますが、メーカーの見解では異なるものもあります。

サロンシップ・サロンパス・フェイタス(久光製薬)

出典:amzn.to
【久光製薬】のびのびサロンシップFα フィット
¥937〜(2023/07/19 時点)

久光製薬のサイトによると、次の商品は授乳期にも使用できると記載されています。(※2)

・のびのび®サロンシップ®F
・のびのび®サロンシップ®FH
・のびのび®サロンシップ®Fα
・サロンシップ®(巻貼タイプ)

また下記の商品については、医師や薬剤師に相談することをすすめるというのがメーカーの見解ですが、授乳期にも安全性が確認されている成分を使った湿布薬です。
・サロンシップ®インドメタシンEX(成分:インドメタシン)
・フェイタス®Zシップ(成分:ジクロフェナクナトリウム)

ボルタレンEXテープ(グラクソ・スミスクライン)

出典:https
【GSK】ボルタレンEXテープL
¥979〜(2023/07/19 時点)

ボルタレンEXテープは、ジクロフェナクナトリウムを含んでいる湿布薬です。グラクソ・スミスクラインのサイトによると、成分が母乳へ移行することはほとんどないため、授乳中の方も使用できると記載されています。(※3)

ロキソニンSテープ(第一三共ヘルスケア)

【第一三共ヘルスケア】ロキソニンSテープ 14枚入
¥1,365〜(2023/07/19 時点)

ロキソニンSテープに含まれる医療用成分「ロキソプロフェンナトリウム水和物」は、母乳に移行しにくいとされています。そのため授乳中の使用についても問題はないと考えられるでしょう。(※4)

授乳中に湿布を使用するときには貼る場所に注意!

授乳中に湿布を使用する場合は、赤ちゃんの手や口が触れる場所には貼らないように気を付けましょう。抱っこや授乳のときに触る可能性がある胸の周りや肩、首に貼る場合は注意が必要です。

また、湿布には独特のにおいがあるため、上半身に貼ると赤ちゃんが授乳を拒むことがあります。湿布を貼る前に授乳を済ませておくなど、工夫をしましょう。

授乳中のつらい腱鞘炎・腰痛・肩こりへの対策

長時間の抱っこや授乳により、姿勢が悪い状態で過ごすと、腰痛や肩こり、腱鞘炎を起こすことがあります。症状を和らげるために、以下の対策をしましょう。

ストレッチをする

育児中に腕や肩、腰に痛みを感じたときには、緊張状態になった筋肉をほぐすためにストレッチを積極的に行いましょう。深呼吸をしながら首、肩、背中、腰をゆっくり伸ばしていきます。特に背中や腰のこりが気になる方はバランスボールやエクササイズ用のポールなどを使うと便利です。

マッサージ・整体の施術を受ける

セルフケアをおこなっても不調を感じる方はマッサージや整体の施術がおすすめです。出産による骨盤のゆがみや、育児による姿勢の悪化などは、自分ではわからないもの。専門家に診てもらうことで客観的なアドバイスが得られます。短時間でも自分の時間を作れるので良い気分転換になります。

サポーター・骨盤ベルトをつける

手首のサポーターや骨盤ベルトを使用することで、痛みが軽減されることがあります。サポーターは腱鞘炎の対策におすすめです。手首と親指の動きを制限するもので、薄手のものやワンタッチのものなど、さまざまな商品があります。自分に合ったものを探してみてくださいね。

骨盤ベルトは太ももの付け根あたりに巻き付けて使うもので、骨盤をしっかりサポートすることで腰痛を予防します。また、出産による骨盤の開きを戻す効果が期待できます。

痛みのある部分を使わない(腱鞘炎)

長時間の抱っこや搾乳など、赤ちゃんのお世話により腱鞘炎になる人は少なくありません。病院では湿布の処方やテーピングなどの処置が行われますが、より早く治すには、痛みがある部分を極力使わないことが大事です。

ベビーラックやバウンサーを使用して赤ちゃんを寝かしつける、抱っこ紐を使うなど、腕に負担をかけないように工夫しましょう。

周囲の人を頼る

肩こりや腰痛、腱鞘炎などの症状を感じたときは、パパや自分の家族、パパの両親など、遠慮せず頼りましょう。周囲の人に迷惑をかけまいとママが無理をしてしまうと、かえって重症化することもあります。頼られた周囲の人も赤ちゃんのお世話を楽しんでくれるかもしれません。

湿布は適切に使用・保管しましょう

湿布は内服薬に比べ母乳への影響が少なく、授乳中でも手軽に頼れる医療品のひとつです。しかし湿布によっては安全であると言い切れないものもあり、メーカーの見解が「授乳中は使用を避ける」となっているものもあります。また、産後は肌が敏感になっているママも多く、湿布によるかぶれや炎症が起きやすいようです。心配な場合は使用前に薬剤師や医師に相談しましょう。使用後も何か異変を感じたら医師に相談するなど対応してください。

授乳中に湿布をはることで母乳に影響することも心配ですが、無理に痛みを我慢してママが苦痛を感じながら赤ちゃんのお世話や家事をしていると悪化したり、精神的にもきつくなることが考えられます。ひどく悪化する前に湿布を使いながらほかの対策もとってみてはいかがでしょうか。

また湿布の取り扱いにも注意が必要です。手に届くところに湿布を置いておくと赤ちゃんが誤ってなめてしまって体調を崩す場合やゴミ箱に捨てたはずのフィルムを飲みこんで窒息する可能性もあります。子どもが触れない場所に保管し、捨てる際にも十分に注意しましょう。

※この記事は2023年7月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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