授乳中の風邪で飲める市販薬は?病院は何科?早く治す方法は?

授乳中は、睡眠不足が続いたり母乳に栄養が取られたりするため、風邪をひきやすいですよね。授乳中に風邪をひくと「何科を受診すれば良いのだろう」「薬は飲んでも大丈夫なの」と悩むママも多いでしょう。ここでは、授乳中に風邪をひいたときの薬との付き合い方や飲んで良い市販薬、風邪の予防法などをお伝えします。

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この記事の監修

眞々田 容子
小児科医
眞々田 容子

目次

  1. 授乳中は風邪をひきやすい!
  2. 授乳中の風邪は赤ちゃんにうつるの?
  3. 授乳中の風邪は病院の何科を受診すれば良い?
  4. 授乳中に市販の薬も飲めるの?
  5. 授乳中の風邪を早く治すには
  6. 授乳中は風邪の予防が大切
  7. 授乳中の風邪の体験談
  8. 授乳中の風邪は早めに治そう
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授乳中は風邪をひきやすい!

妊娠前はほとんど風邪をひかなかったのに、授乳をするようになって風邪をひきやすくなったと悩んでいるママも多いでしょう。母乳はママの血液からできています。授乳中のママは毎日献血をしているようなものなので、体調を崩しやすくなります。

特に冬の時期に授乳していると肌を露出することが多く、肌寒さを感じる人も多いでしょう。また、授乳服はゆとりがあるものが多いものです。気密性がなく暖かみに欠けるため、風邪をひきやすくなります。

授乳中の風邪は赤ちゃんにうつるの?

ママが風邪をひくと、母乳を通して風邪が赤ちゃんにうつってしまうのではと心配してしまいますよね。母乳から風邪がうつることはないため、授乳をやめる必要はありません。しかし、授乳中はママと赤ちゃんが身体を密着させることが多くなります。お世話をするあいだにママの風邪がうつってしまう可能性があります。

一般的に生後6ヶ月まではママの免疫で病気にかかりにくいとされていますが、ママがかかっている風邪は、ママが免疫を持っていない可能性があります。マスクをする、手洗いや消毒をするなどを徹底して予防に努めましょう。

一方で、風邪をひいたときにはママの身体の中で風邪に対する免疫を作っているので、母乳を通して免疫物質が赤ちゃんにも移行します。風邪をひいているときにも予防を心がけながら授乳を続けられると良いですね。

授乳中の風邪は病院の何科を受診すれば良い?

授乳中に風邪をひいてしまったとき、病院の何科を受診すれば良いのでしょうか。通常であれば内科で診てもらうところですが、母乳に影響がない薬を処方してもらえるかどうか不安だというママは多いでしょう。診察時に授乳中と伝えれば授乳中でも飲める薬が処方されますが、心配な方は産婦人科や小児科の受診をおすすめします。

ただし、小児科は基本的に子どもを診てもらうところです。大人のみでは受診できないところもあります。子どもと一緒に通院することで同伴者も診てもらえる可能性があるため、事前に医院の方針を確認しておくようにしましょう。

授乳中に市販の薬も飲めるの?

授乳中に薬を飲むと母乳に影響があるのではないかと心配になるかもしれません。薬の成分は母乳に移行しますが、移行する量が非常に少ないものがほとんどです。国立成育医療研究センターの中の「妊娠と薬情報センター」の情報では、放射性物質を含む薬や抗がん剤、代謝薬や向精神薬の一部を服用するときには授乳が適さないとされています。

市販の風邪薬の多くは、授乳中に飲んでも赤ちゃんに大きな影響を与えることはないでしょう。しかし、授乳中には服用を控えるよう注意されている商品が多いため、商品の説明書をしっかり確認するようにしてください。

授乳中の服用が許可されたものであっても、カフェインを含むものや強い眠気を引き起こすものなど、複数の成分が配合されていることがあります。可能であれば、病院で症状に合った単剤(ひとつの薬効成分のみによって作られた薬)を処方してもらうと、より安心です。

葛根湯

漢方薬である葛根湯は7つの生薬を元に作られています。風邪のひきはじめの症状や肩こり、筋肉痛、乳腺炎の症状に効果があるとされ、古くから使用されてきました。効き目が穏やかであることから、母乳への影響が少なく、多くのママにも使用されています。

使用されている生薬は次の通りです。

・葛根(カッコン)=クズの根
・大棗(タイソウ)=ナツメの果実
・麻黄(マオウ)=ダイオウ属植物の根および根茎
・甘草(カンゾウ)=カンゾウ属植物の根や根茎
・桂皮(ケイヒ)=トンキンニッケイなどの樹皮
・シャク薬(シャクヤク)=シャクヤクの根
・生姜(ショウキョウ)=ショウガ

特に風邪のひき始めに効果が期待できるもので、「熱っぽい」「頭が重たい」「背筋がぞくぞくとする」などの症状を感じたタイミングで飲むのが良いとされています。もしものときに備えて常備しておくと安心です。症状が進行してからでは、効き目を感じられないことがあるので注意しましょう。

葛根湯を販売しているツムラの公式サイトでは、葛根湯を飲む際は必ず担当の医師と薬剤師に伝えてくださいと書かれています(※1)。葛根湯を飲む場合は、商品の説明書の指示に従うようにしましょう。

ルル(第一三共ヘルスケア)

風邪薬として知られているルルは、商品によって授乳中の注意事項が異なります。なかには授乳中に服用できないものもあります。商品名がよく似ているので気を付けましょう。

第一三共ヘルスケアの公式サイトの情報を抜粋します。(※2)

■授乳中の服用に注意事項がないもの
ルルかぜ内服液(葛根湯エキス製剤)
ルル内服液(麻黄湯)

■服用前に医師、薬剤師、登録販売者に相談が必要なもの
ルルアタック FXa 
ルルアタック FX 
新ルル-K錠(製造終了:最終使用期限:2021/07)
新ルル-K細粒(製造終了:最終使用期限:2020/11)

■授乳中の人は服用できない、あるいは服用後の授乳を控えるもの
新ルルAゴールドDX細粒
新ルルAゴールドDX
新ルル−A錠s 
新ルル−A錠
ルルアタック EX
ルルアタック EX 顆粒
ルルアタック NX

パブロン(大正製薬)

大正製薬から販売されている風邪薬のパブロンには、さまざまな種類があります。授乳中には使用できないものが多いので、よく確認しましょう。

大正製薬公式サイトの情報を抜粋します。(※3)

■授乳中の服用に注意事項がないもの
パブロン50顆粒
パブロン50錠

■服用前に医師、薬剤師、登録販売者に相談が必要なもの
パブロン鼻炎カプセルSα
パブロン鼻炎速溶錠

■授乳中の人は服用できない、あるいは服用後の授乳を控えるもの
パブロンSゴールドW微粒 
パブロンSゴールドW錠
パブロンSα微粒
パブロンSα錠
パブロンゴールドA微粒
パブロンゴールドA錠
パブロンメディカルT
パブロンメディカルC
パブロンメディカルN
パブロンエースPro微粒
パブロンエースPro錠
パブロンSせき止め
パブロンせき止め液
パブロン鼻炎カプセルZ

ストナ(佐藤製薬)

佐藤製薬から販売されているストナシリーズについて、授乳中の注意事項を公式サイトから抜粋しました。(※4)

■授乳中の服用に注意事項がないもの
ストナ葛根湯2
ストナ去たんカプセル
ストナ漢方かぜフルー

■服用前に医師、薬剤師、登録販売者に相談が必要なもの
ストナ三層

■授乳中の人は服用できない、あるいは服用後の授乳を控えるもの
ストナ®ジェルサイナスS
ストナ®アイビージェルS
ストナ®プラスジェルS
ストナアイビー
ストナデイタイム
ストナプラス2
ストナプラス2顆粒

授乳中の風邪を早く治すには

授乳中の風邪を早く治すためのポイントをご紹介します。赤ちゃんのためにもなるべく早く風邪を治してあげましょう。

休養をとろう

「風邪くらい大丈夫」と無理をして、いつも通りに家事や育児、お仕事をしてしまうママは多いのではないでしょうか。しかし、しっかり休養がとれないままでいると、症状を長引かせる、悪化させるなど、ママにも赤ちゃんにとってもあまり良いこととはいえません。

風邪を引いたら無理をせずに家事を休み、パパやほかの家族を頼るようにしましょう。周りに頼れる人がいないという場合は、ベビーシッターや地域のファミリーサポートなどを利用してみても良いですね。

食事で栄養をしっかり摂ろう

なるべく早く風邪を治すには、栄養があり消化に良い食事をとることが大事です。具だくさんのスープや、おかゆ、にゅうめんなら食べやすいですよ。身体を温めてくれるネギや生姜、消化に良い大根やリンゴ、咳止めや痰切りの効果が期待できる春菊など、症状に応じて食材を選んでみると良いでしょう。

ミルクに頼ってもOK

体調を崩しているときは、授乳することもつらいですよね。そんなときは授乳をお休みして、ミルクを与えることも選択肢のひとつです。夜中のミルクはパパにお願いするなどし、ママがしっかり休める時間を作りましょう。ただし、授乳間隔があくとおっぱいが張りやすくなるので、注意が必要です。

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自家製シロップで風邪対策しよう

風邪の症状に効果が期待できる、自家製シロップをつくってみませんか。身近な材料で簡単に作れます。ぜひお試しください。

【はちみつ大根シロップ】
大根を1cm角程度のさいの目切りにし、はちみつに3~4時間漬け込んだものです。漬け込んでいるうちに、大根のエキスがはちみつに溶け出したシロップができます。このシロップをそのまま飲んだり、お湯で溶いて飲んだりします。

はちみつには強い殺菌作用があるといわれています。はちみつの高い粘性と保湿力には皮膚を保護する働きがあり、口の中の炎症や喉の痛みに効果的です。また、大根に含まれる酵素にはのどの粘膜の炎症を鎮める作用があるとされており、昔から大根は風邪のときに利用されてきました。

使用後の大根は、しょうゆ、お酢、お塩で味を調えれば、甘酢漬けにも早変わりです。常備菜としてもおすすめですよ。

【生姜シロップ】
生姜は葛根湯をはじめとした漢方薬にも使われている生薬のひとつです。身体を温め、新陳代謝を良くすることで知られています。生姜のエキスをたっぷり含んだシロップは、寒気があるときや食欲がないときにおすすめです。薄切りした生姜に砂糖をまぶして数時間おいた後、水とはちみつを加えて煮詰めます。

お湯で溶いて飲むと、身体を内側から温めてくれます。レモン汁を加えると、さっぱりとして飲みやすくなります。

授乳中は風邪の予防が大切

服用できる薬が制限されている授乳中だからこそ、風邪の予防が大事です。外から帰ったら手洗い・うがいを徹底しましょう。人が多い場所にでかけるときはマスクを使うことも大事です。冬場は部屋を加湿し、ウイルスの活動を抑制しましょう。

バランスの取れた食事を摂ることやしっかり休養をとることも風邪予防につながります。ぜひ実践してくださいね。

授乳中の風邪の体験談

授乳中の風邪についてままのてに寄せられた体験談を紹介します。

妊娠前までは体力に自信を持っており、風邪で発熱をするのも数年に一度のペースでした。しかし授乳を始めてから、何度も風邪をひき、なかなか治らないという経験をしています。授乳中というのは、こんなにも体力・抵抗力が落ちているのかと、自分で驚いています。

産後初めて風邪をひいたときは、一日15回以上の頻回授乳をしているころでした。寒気がして横になっていたいと思っていても、子どもが欲しがるため授乳をしなければならず、フラフラで病院に行く気力・体力すらないという状態でした。

状況をSNSに書き込んだところ、先にママになっていた友人数名から「葛根湯なら授乳中でも飲めるよ」といったアドバイスを受けました。仕事帰りの夫に薬局で葛根湯を買ってきてもらい、葛根湯を飲んで一晩眠ったところ、症状がだいぶ軽くなって安心したことを記憶しています。

別のタイミングで風邪をひいたときには、友人にすすめられてはちみつ大根を飲むようになりました。最初は本当に効くのかなと疑っていましたが、想像していた以上に喉の痛みが早くひき、びっくりしたのを覚えています。それ以来、喉が痛くなったり喉がイガイガしたりすると、はちみつ大根を飲むようにしています。

それからは、なるべく風邪をひかないように気を付け、風邪をひいたとしても症状が軽いうちに葛根湯を飲んだり、身体を温めたり、はちみつ大根を飲んだりするようにしています。

授乳中の風邪は早めに治そう

赤ちゃんにとって、ママが元気でいてくれることはとても嬉しいことです。日ごろの予防を大事にし、少しでも異変を感じたら、早めに小児科や産婦人科を受診したり、葛根湯を飲んだりと対応するようにしましょう。

授乳中は免疫や体力が低下しています。風邪を放置しておくと症状が長引くことも多いです。また、赤ちゃんに風邪がうつってしまうリスクもあるので注意してくださいね。

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