【産婦人科医監修】飲酒後の授乳はNG!授乳中のお酒・アルコールの母乳や赤ちゃんへの影響は?飲酒後何時間空ける?いつから解禁?

「妊娠中もお酒をがまんしてきたのに、授乳中も飲めないなんてつらい」と感じているママは少なくないでしょう。なぜ授乳中にアルコールを摂取してはいけないのか、お酒を飲むと赤ちゃんにどんな影響があるのか気になりますね。もし飲酒をしてしまったとき何時間空けて授乳するべきか、どんな対処をすれば良いのかなどについてもご紹介します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 授乳中のアルコールが母乳や赤ちゃんに影響する?
  2. 飲酒後の授乳は何時間空ける?
  3. 授乳期のアルコール許容量チェック!
  4. 授乳期にアルコールを摂ったときの対処法
  5. 授乳期のカフェインやタバコはどうなの?
  6. 授乳期のアルコール解禁はいつから?
  7. 授乳中は飲酒以外のリラックス法をとりいれましょう
  8. あわせて読みたい

授乳中のアルコールが母乳や赤ちゃんに影響する?

母乳への影響

赤ちゃんが生まれると、ママの身体では「プロラクチン」という母乳をつくるホルモンが活発に分泌されるようになります。しかし、飲酒機関が長かったり、飲酒量が多かったりする場合は、プロラクチンの分泌量が低下し、母乳も減少するという研究結果が報告されています(※1)。

また、授乳中にママがアルコールを摂取すると、アルコールが母乳に移行することもわかっています。アルコールを摂取すると胃や腸ですぐに吸収され、早い段階で血中アルコール濃度が上昇します。ママの身体の血中アルコール濃度と母乳に出るアルコール濃度はほぼ同じです。

赤ちゃんへの影響

赤ちゃんは内臓や脳の発達が未成熟なこともあり、アルコールの影響を受けやすい状態です。母乳を介して赤ちゃんがアルコールを摂取することにより、落ち着きがなくなる、ぐったりするといった症状が出るだけでなく、場合によっては急性アルコール中毒を引き起こす可能性もあります。

海外の事例ですが、多量のアルコールを摂取して子どもに授乳をしたところ、生後数ヶ月の赤ちゃんが急性アルコール中毒で死亡したという事故も起こっています。

また、母乳の分泌量が低下することで赤ちゃんに十分な栄養が届かず、成長が抑えられる可能性も指摘されています。

飲酒後の授乳は何時間空ける?

飲酒後、血中アルコール濃度は30分から1時間ほどでピークに達します(※2)。母乳のアルコール濃度が高まるタイミングも同様といわれています。

日本では、授乳中の飲酒は乳児の発育や母乳分泌に影響を与えるため禁酒に務めるようにアナウンスがされているものの、「飲酒後何時間たてば授乳してよいか」という具体的なデータは示されていません。

アメリカ小児科学会が発表した「母乳と母乳育児に関する方針宣言」では、「アルコール飲料の摂取は最小限にとどめ、アルコールを摂取した場合は2時間以上の間隔をあけてから授乳する」といったことを示す内容が記載されています(※3)。

しかし、血中アルコール濃度が通常と同じ程度まで戻るのにかかる時間は、体重や体質、飲んだお酒の量などによっても異なります。「2時間程度」はあくまでも目安と考え、アルコールを摂取してしまった場合はできるだけ授乳までの時間をあけるようにしましょう。

授乳期のアルコール許容量チェック!

お酒1杯は?一口もだめ?

基本的に授乳中の飲酒はすすめられるものではありませんが、お付き合いなどでアルコールを口にする場合があるかもしれません。

アメリカ小児科学会が発表した「母乳と母乳育児に関する方針宣言」によると、授乳中の飲酒について「1standard drink(基準飲酒量またはドリンク)」までは、赤ちゃんに有害であるという報告は確認されていないことが示されています。特に基準飲酒量1杯を飲んだ後に2時間以上空けた場合は、赤ちゃんに影響があるとは考えられていません。ただし、基準飲酒量を2杯以上飲むことはすすめられないという記述もあります(※3)。

この基準飲酒量とは、お酒の量を純アルコールに換算し基準として定めたものです。国によって異なり、アメリカでは1ドリンクはアルコール14g、イギリスは1ドリンク8gです(※4)。14gのアルコール量は、ビールで換算すると350mL缶1本分に相当します。

日本では基準飲酒量として「単位」が使われてきました。1単位は日本酒でいうと1合分、アルコール量は20g相当になります。世界各国と比べるとアルコール量が高いたため、近年は1ドリンク10gの基準量が提案されています。

種類
飲酒量
純アルコール量
ドリンク数
ビールレギュラー缶350mL14g1.4ドリンク
チューハイ(5%)レギュラー缶350mL14g1.4ドリンク
ワイン(12%)グラス1杯120mL12g1.2ドリンク
梅酒(13%)1合180mL19g1.9ドリンク

厚生労働省健康づくりサポートネット「飲酒量の単位(各酒類のドリンク換算表)」をもとに編集部で作成
※ドリンク数は1ドリンクあたり純アルコール10gで計算
※純アルコール量(g)は飲酒量(mL)×[度数(%)÷100]×比重0.8で計算

アルコール入りチョコは?

チョコレートなどのお菓子の中には、アルコールが含まれているものがあります。できるだけ摂取しないほうが安全ですが、お菓子を1~2個を口に運んだ程度であれば、過剰に心配する必要はないでしょう。

アルコールを含有するお菓子を食べたときは、一般的なアルコール飲料を飲んだときと同様に、できるだけ時間をあけてから授乳するよう心がけましょう。

【授乳中のチョコレート】母乳や赤ちゃんへの影響は?乳児湿疹や寝ない原因…

二日酔いしたら?

二日酔いするほどの量を飲酒した場合は、アルコールが十分に抜けるまで授乳することはおすすめできません。

血中アルコール濃度が平常時と同様の状態に戻るまでにかかる時間は、体質やお酒の量などが大きく関係しています。体重約60kgの人がビールを500mL(日本酒1合)飲んだ場合、アルコールが体内にとどまる時間は約3~4時間、その倍量飲んだ場合は、アルコールの処理に6~7時間かかるともいわれています(※5)。

女性の場合はアルコールの代謝能力が男性と比べて3/4程度しかないため、酔いがさめるまでの時間がさらに長くなります(※6)。多量のアルコールを摂取した場合は、アルコールが抜けるまではミルクなどで対応する必要があります。

また、生活習慣病などのリスクが高まる飲酒量は、女性の場合1日20gです。アルコールの処理にかかる時間と授乳の時間を考えると、多量に摂取することは好ましくありません。350mLのビール缶1本までを目安として考えると良さそうです。

ノンアルコール飲料は?

ノンアルコール飲料とは、アルコール含有量が1%未満の飲料を指します。アルコールの影響は軽微といえるため、基本的には授乳中に飲んでも差し支えないことがほとんどです。ただし、アルコール0%のノンアルコール飲料でない限り、大量に飲用するとそれだけアルコール摂取量が増えてしまうので注意が必要です。

また、ノンアルコール飲料には添加物など、アルコール以外にも気になる成分が含まれていることがあります。ノンアルコールだから大丈夫と思い込まずに、こちらも適切な量の飲用にとどめておきましょう。

授乳期にアルコールを摂ったときの対処法

飲酒後アルコールが完全に抜けるまで授乳しない

アルコールを摂取した場合は、アルコールが完全に抜けるまで授乳を控えましょう。アメリカ小児科学会が発表した「母乳と母乳育児に関する方針宣言」を参考に考えると、ビール1本(350mL×1本)程度の飲酒の場合、2時間以上の間隔をあけるという時間が目安となりますが、可能な限り飲酒から次の授乳までの時間はあけたほうが安心です。

アルコールの分解時間は、体質や体重、飲んだお酒の種類や度数、量などによって異なるため、気になる場合はネット上の簡易計算機などを使って調べてみましょう。

代わりにミルクを与える

アルコールが抜けきる前に授乳時間が来てしまった場合には、代わりにミルクで対応しましょう。特に多量のアルコールを常習的に摂取している場合は、母乳を飲ませることで赤ちゃんもアルコールを摂取してしまう可能性が高くなるため、ミルクを活用することをおすすめします。

アルコールを飲む前に搾乳しておけば、母乳を哺乳瓶であげることもできます。ただし、赤ちゃんによっては哺乳瓶を嫌がる子もいるため、事前に慣らしておくなどの配慮が必要です。

赤ちゃんのミルクのメリット、デメリット!飲ませ方と注意点

どうしても飲みたいときは?

どうしてもお酒が飲みたい場合は、アルコール度数の低いものをコップ1~2杯飲む程度に留め、飲酒から次の授乳までの時間をできるだけあけるようにしましょう。

飲酒後はミルクや事前に搾乳した母乳に切り替え、アルコールが抜けきったら授乳に戻すという方法ができないわけではありませんが、胸が張ったり、母乳量が落ちてしまったりする可能性もあります。

授乳中はアルコールを摂取しないことが一番ですが、どうしても飲みたい場合には、暴飲を控え、授乳直後に少しだけ飲むようにするなど、赤ちゃんにできるだけ影響がない方法を選んでくださいね。

授乳期のカフェインやタバコはどうなの?

授乳期に摂取を控えたほうが良いものとして、アルコールの他にカフェインやタバコがあげられます。赤ちゃんがカフェインを摂取すると、落ち着きがなくなる、不眠になるといった症状が出る場合があります。ただし、ママがカフェインを摂取したとしても、母乳への移行量は少ないため、一般的なレギュラーコーヒーを1日2杯程度飲むのであれば問題ないとされています(※7)。

喫煙は、母乳からタバコの成分であるニコチンが赤ちゃんに移行するリスクと、受動喫煙のリスクというふたつを考える必要があります。喫煙後の母乳には高濃度のニコチンが含まれますが、その母乳を飲んだ赤ちゃんの健康への影響をあらわす明確なデータはありません(※8)。

一方で、受動喫煙に関しては子どもの喘息や乳幼児突然死症候群との関連が指摘されています。ママが受動喫煙となる環境も同様です。そのため、授乳中はママがタバコを吸うのは控えるのと同時に、家族にも禁煙してもらったり、禁煙が無理なら煙を吸わなくて良い場所に移動してもらったりするなどの対応をしましょう。

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授乳期のアルコール解禁はいつから?

アメリカの小児科学会が発表した「母乳と母乳育児に関する方針宣言」では、「アルコールの摂取は母乳育児の禁忌にはならない」としながらも、量や授乳までの間隔に条件があります。また、授乳期にママがアルコールを摂取したことによる赤ちゃんへの影響については、十分な研究結果がそろっていないというのが現状です。

お酒を飲み始めると、ついついお酒がすすんでしまうことも考えられます。そのため、赤ちゃんの安全を第一に考えれば、安易に自己判断で「このくらいなら大丈夫」と思い込まず、アルコールを解禁するのは卒乳後にするのが望ましいといえます。どうしても定常的にお酒を飲みたいという場合には、赤ちゃんの月齢などを考慮しながら、ミルク育児への切り替えを検討してみましょう。

授乳中は飲酒以外のリラックス法をとりいれましょう

「妊娠中に10ヶ月もお酒をがまんしたのに、まだ飲めないなんて」とがっかりする方も多いでしょう。アメリカでは少量ならば大丈夫というガイドラインもありますが、「どの程度のアルコールなら問題ないか」という研究が乏しいことや、アルコールへの反応には個人差が大きいことなどから、原則として日本においては授乳期の飲酒は推奨されていません。

ハーブティーやカフェインレスコーヒーなど、お酒に代わるリラックス方法を取り入れて、上手にお酒を飲めないストレスを緩和していけると良いですね。

※この記事は2026年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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