【助産師監修】妊娠中の母乳マッサージはいつから?おっぱいマッサージのやり方と効果!

おっぱいマッサージや乳首マッサージには、母乳の分泌を促したり、赤ちゃんが上手に母乳を飲めるようにサポートしたりする働きがあるとされます。おっぱい(乳頭・乳房)マッサージのやり方や行う時期について助産師監修で解説します。母乳育児をしたい妊婦さんや、母乳育児がうまくいかないと困っているママは、参考にしてみてくださいね。

2421791

本ページはプロモーションが含まれています

この記事の監修

河井 恵美
助産師・保育士
河井 恵美

目次

  1. おっぱい(母乳)が出る仕組み
  2. おっぱいマッサージの効果
  3. 【妊娠初期〜産後】おっぱいマッサージはいつから?
  4. おっぱいマッサージの準備とやり方
  5. 産前に行うおっぱいマッサージ
  6. おっぱいマッサージの注意点
  7. おっぱいマッサージに関する体験談
  8. おっぱいマッサージで母乳育児のサポートを
  9. あわせて読みたい

おっぱい(母乳)が出る仕組み

出産すると、どうして母乳が出るようになるのでしょうか。母乳の原料は血液です。出産後は、「プロラクチン」と「オキシトシン」というふたつのホルモンが多く分泌されることで、血液から母乳が作られるようになります。

妊娠中は、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という女性ホルモンの働きにより、ママの乳腺が発達していきます。一方で出産後に多く分泌されるようになるのは、母乳を作る命令を出す「プロラクチン」と、母乳を出す「オキシトシン」というホルモンです。

プロラクチンとオキトキシンは、赤ちゃんがママの乳首を吸う刺激でも多く分泌されます。より多く母乳を出すためには、赤ちゃんにおっぱいを直接吸ってもらうことが大切です。赤ちゃんに直接おっぱいを吸わせることができない場合は、あとでご紹介する乳房と乳頭のマッサージをしておくといいですよ。赤ちゃんが吸い付いたのと同じ刺激となり、ホルモンが出てきます。

母乳とは?おっぱいが出る仕組みと母乳の成分・栄養・カロリーを解説

おっぱいマッサージの効果

血液とおっぱいのつまりを解消して母乳の分泌を助ける

おっぱいマッサージには、血行を促進させる働きがあるといわれています。母乳をたくさん出すためには、母乳の原料である血液の流れを良くしなければなりません。おっぱいマッサージは、血流を改善することで母乳の分泌を促します。

乳腺がつまって「乳腺炎」を起こしている際に、おっぱいマッサージが施されることもあります。乳腺炎にはいくつか種類がありますが、産後に起こりやすいのは「うっ滞性乳腺炎」と「化膿性乳腺炎」で、どちらも乳汁が塊になって乳管をふさいでしまうことが原因です。

化膿性乳腺炎の場合は薬や外科的処置が必要になりますが、うっ滞性乳腺炎の場合は母乳マッサージで改善するとされています。ただし乳腺炎の場合には、しこりのある部分から乳頭に向かってやさしくマッサージするようにし、おっぱい全体を動かしたり圧迫したりするマッサージは控えましょう。

赤ちゃんがおっぱいを飲みやすくする

特に産後すぐは、おっぱいがパンパンに張って乳輪も硬くなってしまい、赤ちゃんがなかなか上手におっぱいを飲めないことがあります。乳輪の硬さが原因で授乳がうまくいかない場合にも、おっぱいマッサージが助けになるのです。

産院にもよりますが、妊娠中に乳首や乳輪のマッサージをして伸びを良くし、赤ちゃんがおっぱいを飲むための準備をすることが推奨されています。

【妊娠初期〜産後】おっぱいマッサージはいつから?

医師や助産師に相談する

母乳育児をスムーズにすすめたい妊婦さんは、できるだけ早い時期からおっぱいマッサージをしておきたいかもしれません。しかし、切迫早産になりやすかったり、リスクを抱えていたり、お腹が張りやすかったりするのであれば、マッサージをしないほうが良い場合もあります。そのため、始める前に必ず受診先の医師や助産師に相談し、自己判断でのマッサージは控えましょう。

妊娠中におっぱいマッサージを推奨しているかどうかはそれぞれの産院で異なります。産院によっては、おっぱいマッサージは必要ないという方針のところもあるので、健診時に確認しておくと良いですね。

妊娠初期はしてはいけない

乳首を刺激することで分泌されるホルモンには、子宮を収縮させる働きがあることが知られています。出産後は、子宮の収縮を促すことがママの体調回復につながりますが、妊娠初期は、身体があらゆる刺激に敏感なので注意が必要です。妊娠初期という大事な時期の身体に負担をかけないためにも、おっぱいマッサージは避けましょう。

妊娠中期は乳頭の手入れ

産院によって具体的な週数は異なりますが、妊娠20~27週あたりで、医師や助産師の許可が出てから乳輪・乳首・乳頭の手入れを始めます。

1.乳頭をお掃除してカスを取り除く
妊娠中期にはいると、乳頭のあたりに垢(あか)のようなカスがつまっていることに気づくかもしれません。これは、乳腺の発達がどんどん進んで乳汁が作られるようになり、黄色っぽい分泌液が出てくるようになるためです。

乳頭にカスがたまっていたら、やさしく掃除をしましょう。乳頭に、スウィートアーモンドオイルやホホバオイルなど、植物性キャリアオイルを浸み込ませたコットンをしばらくくっ付けておきます。乳頭がふやけてきたら、ゴシゴシと力を入れずに汚れをぬぐってください。または、シャワーの20分ほど前にオイルをつけておいて、いつも通りに洗い流すだけでもキレイになります。

2.乳輪から乳首をやわらかくする
妊娠中から乳輪や乳首をマッサージして皮膚をやわらかくしておくことは、赤ちゃんが上手におっぱいを飲むためのサポートになりますよ。

乳首や乳輪の皮膚はとても傷つきやすいため、マッサージをする前にも、植物性キャリアオイルで乳輪全体をパックしておきましょう。カスを取り除いたあとに、そのままマッサージを行なっても良いですね。

妊娠後期は乳房のマッサージ

妊娠後期に入ればおっぱいマッサージも解禁です。乳腺は血行がよくなることで開きやすくなるので、入浴時や入浴後に行うのがおすすめです。冷えないように暖かい部屋で行うようにしてください。

このころになると、お腹が張りやすいときもあるでしょう。お腹が張るときはすぐにマッサージを中止してください。一度にたくさんやるのではなく、毎日1回〜2回、1回10分〜15分くらいが目安だとされています。乳頭を傷つけないように注意してくださいね。また、母乳マッサージにより分泌物が出る場合もありますが、問題ありません。

産後授乳中はおっぱいマッサージをいつ行ってもよい

出産後は、いつおっぱいマッサージを行なっても問題ありません。授乳の前に乳首をやわらかく伸ばしておいたり、血流を良くするために乳房全体をマッサージしたりと、ママが必要だと思うときにあわせて行なってみてくださいね。乳頭が硬めなママは、授乳の直前にマッサージをすると効果的です。


ただし、痛みを感じる場合は中止し、受診することをおすすめします。乳腺炎などのトラブルを起こしている際に自己流のマッサージを行うと、かえって悪化させてしまうこともあるので注意しましょう。

おっぱいマッサージの準備とやり方

乳頭の形をチェック

乳首の形には、以下の3つの種類があります。

・赤ちゃんが飲みやすい形の乳頭
ある程度のくびれがあり、乳輪から高さが5mm以上ある乳首です。赤ちゃんにとっても、母乳が飲みやすい形だといえます。

・扁平乳頭
平らな乳首や、乳輪からの高さが5mm以下でくびれがあまりない形の乳首のことを「扁平乳頭」と言います。口に含ませることが難しいので、赤ちゃんがおっぱいを飲みにくいケースが多いようです。

・陥没乳頭
「陥没乳頭」とは、おっぱいに埋もれ、横から見ると引っ込んでいるような状態になっている乳首のことです。陥没乳頭は、自分で簡単につまみ出せる「軽度」、何とかつまみ出せてもすぐに戻ってしまう「中度」、つまみ出すことが不可能な「重度」の3段階にわけられます。

赤ちゃんが飲みやすい形の乳首であれば、授乳もスムーズにすすみやすいでしょう。しかし、扁平乳頭や陥没乳頭の場合は、赤ちゃんが上手におっぱいを吸えるようになるために、マッサージをしたり、乳頭吸引器やニップルフォーマーを使用したりと、何らかの対処が必要になります。

また、妊娠中に扁平乳頭や陥没乳頭であると気付くことができれば、あらかじめ助産師などに相談し、対策をしておくことが可能です。赤ちゃんを産んでから、乳首の形状のせいで授乳がうまくいかないと悩まなくてすむように、しっかり準備しておきたいですね。

乳頭の手入れ

乳頭・乳輪マッサージは乳頭の伸びを良くし、授乳期の摩擦に強い乳頭へと整えます。乳頭が固いままだと赤ちゃんがうまく吸えなくて母乳が出にくくなります。

授乳が始まると、ママは1日に何度も赤ちゃんにおっぱいを吸わせますが、赤ちゃんは強い吸引力でママの乳頭を吸いますので、しばしば乳頭がヒリヒリしたり傷ができたりすることがあります。さらに授乳中は乳首が常に濡れた状態のため、下着とこすれて皮膚がただれを起おこすといったトラブルが絶えません。

あらかじめ乳頭のお手入れをしておくことが皮膚の鍛錬になり、産後の乳頭の裂傷などの予防になります。乳頭・乳輪部マッサージを行う場合はアーモンドオイル、オリーブオイル、馬油などのオイルを塗布してから行うことをおすすめします。

産前に行うおっぱいマッサージ

おっぱい全体のマッサージ1

1.指を上にあげた状態で両手を内側に向け、おっぱいの脇にあてる
2.ちょうどブラのワイヤーがある脇の部分に親指をくっ付ける
3.両方のおっぱいを中心に引き寄せて離す動きを3回繰り返す

おっぱい全体のマッサージ2

1.両手の指を下に向けた状態で、おっぱいのななめ下にあてる
2.ブラの下部分のワイヤーあたりに小指をくっつける
3.おっぱいをななめ上に少し持ち上げるような形で、引き寄せて離す動きを3回繰り返す

おっぱい全体のマッサージ3

1.手のひらを上に向け、両手の小指をおっぱいの真下にあてる
2.胸の下にあてた小指のほうにのせるような状態で、おっぱいを真上に持ち上げて下げる動きを3回繰り返す

乳輪と乳首のマッサージ1

1.親指と人差し指、中指で乳輪部をつまむように圧迫する
2.縦・横・斜めなど、さまざまな角度から圧迫する
3.慣れてきたら徐々に力を強くする

乳輪と乳首のマッサージ2

1.親指と人差し指、中指で乳輪部をつまむ
2.こよりをよるような形で乳輪部をつまみながら横方向に動かす
3.乳輪部を前後にずらしながら縦方向に動かす

産後に行う母乳体操

こちらで紹介する体操は、出産後に行う産褥体操のひとつです。母乳体操は、血行を良くすることで母乳の分泌を促します。

1.両手を曲げ、左右それぞれの肩にそっとのせる
2.脇をしめるような感じで、肘で脇を軽く8回たたく
3.胸を下からすくい上げるように、肘をうしろ方向に3回まわす
4.手のひらは肩にあてたまま、後ろから前の方向に肘を大きく3回まわす
5.1~4の動きを繰り返し行う

おっぱいマッサージの注意点

おっぱおマッサージができる時期を確認

まずは、おっぱいマッサージをすることが可能な時期をきちんと確認することが大切です。多くの産院では、出産の前に準備するもののリストや、出産時の呼吸法、出産後のスケジュールなどが記載されている冊子を配布しています。産院の冊子には、おっぱいマッサージはいつから行えば良いのか、どんな方法で行うのかなどが記載されていることもあるので、よく確認してみましょう。

また、健診の際、担当医や助産師におっぱいマッサージを開始してもよいか尋ね、許可をもらうことも忘れないようにしてくださいね。

優しく行う

妊娠すると乳腺が発達するだけでなく、乳首や乳輪も変化するため、刺激に敏感になります。下着がこすれて痛い、かゆみがあるという方もいるでしょう。特に乳首や乳輪あたりの皮膚は傷つきやすいので、強引にマッサージをすると大きな負担となってしまいます。

そのため、おっぱいマッサージをするときは力を入れ過ぎないように気を付けましょう。乳首や乳輪をマッサージする際は、植物性オイルを使ってできるだけ刺激を与えないようにすると良いですよ。

毎日、長時間しなくてもよい

おっぱいマッサージは、毎日必ず行わなければならないというものではなく、長い時間行えば良いというものでもありません。仕事や家事が忙しくてマッサージをする時間が取れない日や、調子が良くないためにマッサージができない日もきっとあるでしょう。

しかし、1日でもマッサージを欠かしたら母乳が出ない、といった極端なことは起こらないので、もしおっぱいマッサージができなかったとしても、気にし過ぎないでくださいね。また、おっぱいマッサージはお腹の張りを誘発することが指摘されているため、妊娠中の長時間のマッサージは避けると良いでしょう。

痛みを感じるときは無理にしない

おっぱいマッサージを行なっているときに痛みを感じる場合は、乳腺炎になっているおそれがあるため中止しましょう。痛みを我慢して無理にマッサージを続けることで、乳腺炎を悪化させてしまっては大変です。

痛みを感じるからこそマッサージをしたいと思うかもしれませんが、きちんと母乳外来や助産院を受診することをおすすめします。母乳外来や助産院では、ママが診てもらっているあいだは助産師さんや看護師さんが赤ちゃんを見てくれるので、安心して受診することができますよ。

授乳中のおっぱいに「しこり」!?授乳中も乳がんになるの?|産婦人科医監修

おっぱいマッサージに関する体験談

おっぱいマッサージに関してままのてに寄せられた体験談を紹介します。

乳首のマッサージは大切だと感じました

ずっと切迫気味だったので妊娠中からの母乳マッサージはできず、臨月に入ったころから少しずつマッサージを始めました。出産後は入院中からすぐに乳頭が切れてしまい、出血したり血豆みたいな物ができたりして、乳首が鍛えられるまでにかなりの時間がかかりました。しかし、毎日助産師さんがマッサージしてくれたり、授乳方法を教えてくれたりと、大変お世話になりました。病院にいるあいだはそれなりにトラブルもありましたが、上手く母乳が出ていたので、乳首さえ鍛えれば問題ないと思っていました。

しかし、家に帰って来ると寝不足や身体がまだ本調子じゃないので、授乳前に母乳マッサージをするのが億劫になってしまいました。幸い母乳の分泌は良かったため、息子が泣いたらすぐおっぱいをくわえさせていましたが、その後も乳首は頻繁に切れました。乳首から出血すると痛くて母乳をあげられなくなるので、乳腺が詰まって乳腺炎にまでなりました。

こうしたおっぱいトラブルが続くと、授乳時間が嫌になってきたり、息子に対して罪悪感を持ってしまったりします。もちろん自分の身体も、痛みや熱で本当に辛かったです。

トラブルのたびに病院にいき、自分でも驚くくらい乳首が柔らかくなるまでマッサージをしてもらい、おっぱいも軽くしてもらうと後の授乳が本当に楽でした。病院でマッサージをしてもらうたびに、母乳マッサージの大切さを改めて感じましたよ。

マッサージをしていなかったら乳首にかさぶたができました

出産直前まで仕事をしており、仕事が終わるとくたくただったため助産師さんからしつこくいわれていた乳頭マッサージをずっとさぼっていた私。出産後の頻回授乳で1ヶ月経ったころには私の乳首はすり切れかさぶたができて痛んでいました。

お風呂から上がると傷が染みて涙が出そうになるくらいでした。生後3ヶ月頃には息子が上手におっぱいを飲んでくれるようになりましたが、それまでは地獄のような日々でした。

おっぱいマッサージで母乳育児のサポートを

母乳マッサージは、ママの血流を良くすることで、母乳の分泌を良くする働きが期待できます。また妊娠中に乳首と乳輪のマッサージを行なっておくと、授乳がスムーズにすすむケースも多いようです。

ただし、妊娠中も出産後も、おっぱいマッサージを行う際は自分の体調をよく確認することを忘れないようにしましょう。おっぱいマッサージが妊娠トラブルに直結することはありませんが、妊娠中のママは、痛みがあったりお腹が張り過ぎたりする場合は、すぐにマッサージを中止してください。特にお腹の様子が気になるときは、早めに受診することが大切です。

※この記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

あわせて読みたい

【産婦人科医監修】母乳育児が順調にスタートできる乳頭ケア!いつから始める?ケアのやり方は?
https://mamanoko.jp/articles/32072
母乳の量を増やす方法は?母乳量を増やすための7つのコツ
https://mamanoko.jp/articles/29432
【産婦人科医監修】胎動カウントとは?激しくても大丈夫&いつから始める?おすすめアプリもご紹介
https://mamanoko.jp/articles/32011
母乳育児のメリットや食事との関係は?母乳育児の基礎知識
https://mamanoko.jp/articles/29433
ママの食べ物が母乳の質に影響する?授乳中の食生活のポイントと注意点
https://mamanoko.jp/articles/18987
母乳外来とは?母乳外来を利用するメリットと注意点
https://mamanoko.jp/articles/18159
【助産師監修】ピュアレーンとは?授乳中のおっぱいケアにおすすめのクリーム
https://mamanoko.jp/articles/28379
母乳はいつから出る?出ないときの原因と対処法は?マッサージは効果ある?
https://mamanoko.jp/articles/28242
初乳とは?色や量は?いつからいつまで出る?【助産師監修】
https://mamanoko.jp/articles/29408
産後に胸が張って痛い!母乳育児でおっぱいが張るときの対処法|助産師監修
https://mamanoko.jp/articles/29457