【助産師監修】産後に胸が張って痛い!母乳育児でおっぱいが張るときの対処法
助産師監修|母乳育児のママを悩ませるのが、おっぱいの張りや痛みです。そのまま放置してしまうと乳腺炎になり、発熱やおっぱいの激痛、酷い場合は外科処置が必要になることもあります。そうならないように、セルフケアをしっかり行うことが大切です。ここでは、産後に胸が張る原因や胸が張って痛い時に自分でできる対処方法を紹介します。
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目次
産後おっぱいが張って痛いとはどういう状態?
おっぱいが張るというのは、おっぱいが硬い、赤く腫れている、熱を帯びている、痛むといった症状のことを指します。おっぱいの張りは多くのママが経験しており、特別なものではありません。特に張りが強いものを乳房緊満と呼んでいます。
母乳が出る仕組み
女性は思春期になると胸がふくらみはじめます。このころから乳腺が発達し母乳分泌の準備は始まっています。妊娠を機に乳腺はますます発達し、乳汁を作るホルモンが出始めます。
しかし、胎盤から「まだ母乳をつくらなくてよい」というホルモンが出ているため、妊娠中に母乳がたくさん分泌されることはありません。出産により胎盤が体外に出ると、母乳分泌のストップが解除され、本格的に母乳を作る体制が整います。
分泌を促すには、赤ちゃんにおっぱいを吸わせることが大事です。乳頭への刺激がママの脳に伝わり、母乳を作り赤ちゃんに届けるように指令を出します。
約10mLの母乳を作るためには、約500mLの血液が乳房を通過するという説もあるようです。(※1)そのため、授乳中に血のめぐりが実感できる人も多いでしょう。
産後すぐにおっぱいが張って痛い原因
出産当日から6日目ごろまでに、生理学的な乳房緊満がみられることがあります。おっぱいに母乳がたまることでリンパや血管がつまりやすくなり、むくんだ状態になります。痛みや熱を帯びることもあります。
症状がみられたら、なるべく赤ちゃんに母乳を飲ませるなどして、張りを解消するようにしましょう。硬いおっぱいは赤ちゃんにとって飲みにくいことがあります。赤ちゃんが嫌がる場合は事前に軽くマッサージや搾乳をしておきます。(※2)
授乳中におっぱいが張って痛い原因
授乳のリズムができ、育児に慣れたころであってもおっぱいが張ることがあります。赤ちゃんが母乳を飲む量よりも母乳の分泌量が多い場合や、授乳間隔があいたときに、おっぱいが硬く張ってしまうことがあります。
脂肪分の多い食事をとったあとに胸が張るという説や実際に経験したというママもいます。しかし、ママのとった食事がすぐにおっぱいの張りにつながるという医学的な根拠や関係性は証明されていません。
また乳腺炎にかかったことがあり治りきっていない場合や、乳腺炎が完治していても一度乳腺炎になった乳腺は再発しやすいため乳腺炎の経験者、ストレスが強い場合などにもおっぱいは張りやすくなります。
生後6ヶ月頃になると、離乳食が始まります。ある程度離乳食を食べるようになると、母乳を飲む量が減ってしまうことがあるため、おっぱいの張りを感じることが増える人もいます。また、体形にあっていないきついブラジャーや抱っこ紐、スリングなどが胸を圧迫することで、乳腺の組織を傷め、張りの原因になることもあります。
おっぱいが張って痛い状態を放置すると乳腺炎のリスクも!
母乳はおっぱいの奥にある乳腺でつくられ、細い管を通って乳頭に運ばれてきます。赤ちゃんのおっぱいの飲み残しなどによりたまった乳汁は、時間が経つとヨーグルトのような白い塊になることがあります。この塊が管をふさいで、母乳を詰まらせると白斑ができたり乳口炎になったりすることがあります。
早めにケアをすればつまりは取れやすいですが、そのままにしておくと乳腺炎となり、高熱や乳房の腫れ、激痛がみられます。ひどい場合は外科処置が必要になることもあります。
このように、おっぱいの張りをそのままにしておくと乳腺炎をおこすことがあるため、しっかりとケアすることが大切です。
産後のママのおっぱいが張って痛くなりやすい時期
産後すぐ
産後におっぱいが張り始めるタイミングは人それぞれですが、早い人では産後3日目ごろからおっぱいの張りを感じるといいます。4~5日目ごろには、催乳感覚といって、おっぱいにツーンという刺激を実感できる人もでてきます。
このころの赤ちゃんは、おっぱいを吸う力が弱いこともあり、上手に飲めないことも多いです。赤ちゃんに飲ませることが基本ですが、この時期にすでにたくさん母乳が出ている場合、飲み残しなどがあれば搾乳しておきましょう。
赤ちゃんの母乳を飲む量が変わったとき
離乳食を開始してよく食べるようになると、赤ちゃんは母乳に頼らなくても満腹感を得られます。お昼寝前や夜間のみの授乳になるママもいるでしょう。
赤ちゃんの飲む量が急に減るとママの身体が順応できず、おっぱいが張りやすくなります。しばらくは搾乳をして、身体を慣れさせていくようにしましょう。
おっぱいが張って痛いときの対処法
産後は乳房の状態、母乳の分泌量、赤ちゃんの状態などさまざまな要因により、思ったように授乳が進まないことは少なくありません。産後に「胸が張って痛い」と感じたときの対処法には、どのようなものがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
赤ちゃんにおっぱいを飲んでもらう
おっぱいが張るときの基本的な対処法は、赤ちゃんに飲んでもらうことです。赤ちゃんがおっぱいを飲むことで、つまりがとれて張りが徐々に収まります。特に夜間は母乳の分泌が盛んなので、つまりやすいといわれています。
赤ちゃんへの授乳時間は何分以内というルールはありません。細かいことにこだわらず、赤ちゃんが満足するまで飲ませてあげましょう。
何らかの事情でミルクを飲ませる必要がある場合は、ミルクの飲ませすぎに注意しましょう。ミルクは母乳よりも腹持ちが良く、吸う力が弱くても飲めるので、ミルクに慣れてしまうとおっぱいを嫌がることがあります。
軽く搾乳する
おっぱいが張っていても、赤ちゃんが飲んでくれない場合や飲み残しがある場合は、軽く搾乳することで張りが和らぎます。あまりにもおっぱいが硬い場合は、事前にマッサージをしておくとおっぱいが柔らかくなり、搾乳しやすくなります。
乳房を冷やす
おっぱいの張りが強く、熱を帯びているときは冷湿布などで軽く冷やしましょう。おっぱいの上部から脇にかけて冷やします。自分が気持ちいいと感じる程度がベストです。冷やしすぎるとおっぱいが硬くなり逆効果です。保冷材や氷水を使う場合は、ガーゼなどにくるんでください。
授乳間隔を調整する
完全母乳育児を目指す場合は、1日8回以上を目安に授乳を行います。赤ちゃんが熟睡するなどして授乳間隔があきすぎると、おっぱいが張りやすくなります。指を口元に近づけたときに口をパクパクしていれば、授乳を試してください。
リラックスした授乳タイムを過ごそう
赤ちゃんのお世話をしていると毎日があわただしく、一息つく暇もありませんよね。産後に胸が張って痛みが強くなるとストレスに感じてしまうかもしれません。胸が張って痛いときの対処法を参考にしながら、気になることがあればすぐにかかりつけの産婦人科に相談してみましょう。せめて授乳しているあいだは、ゆったりとした気持ちで過ごせると良いですね。
※この記事は2024年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。