搾乳の方法は?メリット・デメリットと母乳の保存方法まとめ

母乳育児を進めるにあたってマスターしておきたいのが搾乳です。赤ちゃんと離れて過ごす場合や、事情があり直接母乳を与えられないとき、おっぱいのセルフケアをするときなど、搾乳をすると便利ですよ。ここでは、手や搾乳器を使った搾乳の方法と母乳の保存方法を紹介します。

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目次

  1. 搾乳(さくにゅう)とは?
  2. 搾乳のメリットは?
  3. 搾乳のデメリット
  4. 搾乳の仕方
  5. 搾乳した母乳の保存方法・保存期間は?
  6. 搾乳器は必要?搾乳器の選び方
  7. 搾乳に関する体験談
  8. 搾乳はいざというときに便利!
  9. あわせて読みたい

搾乳(さくにゅう)とは?

一般的に、赤ちゃんに直接母乳を与えることを直母、反対にママが母乳を搾ることを搾乳と呼びます。搾乳は母乳育児を進めるうえで大事な手法です。何らかの事情で赤ちゃんに直接母乳を与えられない場合はもちろん、赤ちゃんが母乳を飲み残したとき、おっぱいが張っているときのセルフケアとしても有効です。

搾乳のメリットは?

ママが赤ちゃんと離れても母乳育児が続けられる

搾乳をすれば、ママが赤ちゃんにつきっきりでなくとも母乳育児が続けられます。たとえば、産後に赤ちゃんが入院してしまった場合にも、入院先に搾乳した母乳を届けることで、赤ちゃんにおっぱいをあげることができます。

また、ママが一時的に赤ちゃんから離れなければならない場合も、搾乳した母乳があればミルクを与える必要がありません。ママが授乳期に仕事に復帰する場合にも、保育園での受け入れ体制が整っていれば、母乳育児を続けることができます。最近では冷凍母乳の受け入れをしている保育園も多いので、仕事をしながら母乳育児を続けたいママは保育園に相談してみてくださいね。

周囲の人と一緒に母乳育児を行える

直接母乳を与えられるのはママの特権ですが、その分負担がママに集中してしまいます。特に赤ちゃんが夜にまとまって寝るようになるまでは夜間授乳もあり、なかなかママの身体が休まる暇がありません。搾乳した母乳はパパが与えるなど、周囲の人と分担し、ママが休憩できる時間を作りましょう。パパにとっても、育児参加のきっかけになります。

寝かしつけの授乳や夜間授乳をパパが哺乳瓶で行うようにすると、ママが夜に出かけなければならないときにも対応することができますよ。

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ママが薬やお酒を飲むことができる

病気のために、授乳中は禁忌の薬を飲む必要がある場合にも、搾乳をすることで母乳育児を続けることができるでしょう。薬の種類、量にもよりますが、数時間で母乳への影響がなくなります。薬を飲む直前に搾乳を済ませておきましょう。

また母乳育児中にはお酒を控えるママがほとんどでしょう。しかし、ときにはママもお酒を飲みたい気分になるときもありますよね。お酒を飲む直前に搾乳をしておいて、数時間は搾乳した母乳を赤ちゃんに与えれば、赤ちゃんへのアルコールの影響を気にする必要がなくなります。搾乳を上手に取り入れて、ときには気分転換をしてみるのも良いでしょう。

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ママが直接おっぱいをあげなくても良い

直接母乳を与えているあいだは手がふさがってしまい、何もできずストレスに感じる人も多いでしょう。疲れていると赤ちゃんにおっぱいをあげることを苦痛に感じるママも珍しくありません。

赤ちゃんにおっぱいを直接吸わせた方が母乳の出がよく、哺乳瓶を使うより短い授乳時間で済む、というママもいます。一方、赤ちゃんによっては哺乳瓶を使う方が時間が短縮できる場合もあり、授乳の負担が軽くなったと感じるママもいます。

授乳は赤ちゃんとの大切なスキンシップの時間ではありますが、授乳自体がママにとって苦痛になってしまうと、ママにも赤ちゃんにもあまり良くないでしょう。授乳がストレスになるというときには、上手に搾乳を取り入れてみてください。

おっぱいトラブル・ケアにも有効

おっぱいが詰まると乳腺炎を引き起こすことがあります。赤ちゃんが途中で寝てしまって母乳が残っていると感じるときや、強い張りがある場合には搾乳をしましょう。

母乳が出すぎて赤ちゃんがむせているときは、軽く絞ってから与えます。また、赤ちゃんが乳首を噛んで傷になっているなど、授乳に痛みを感じるときには、搾乳をしておっぱいを休ませても良いでしょう。

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搾乳のデメリット

手で搾乳する場合は直母よりも時間がかかることがあるため、ママにとってはストレスに感じてしまうことも多いです。また、1日に何度も搾乳すると、肩や首が凝ってしまう、腕がだるいといった症状を引き起こし、なかには腱鞘炎になってしまう人もいます。

基本的には、直接母乳を飲んでもらうことで、ママの負担は少なく、母乳の出も良くなります。普段は赤ちゃんに直接おっぱいをあげ、おっぱいが張っていたり乳首が傷ついていたりするとき、ママがおっぱいをあげられないときに搾乳を取り入れてみてはいかがでしょうか。また、どうしても搾乳がつらい場合はミルクに頼りましょう。

搾乳の仕方

具体的な搾乳方法について説明します。基本的には力の調節がしやすい手での搾乳がおすすめですが、手が腱鞘炎になっている場合などは、搾乳器を使用しても良いでしょう。搾乳する前には使用する容器が清潔であるか確認をしておきましょう。

手で絞る

まず手を洗って清潔な状態にし、下記の順序で搾乳をしましょう。

1.片方の手で母乳を入れる容器を持ち、乳頭から2cmほど離れたところ(乳輪と乳房の境目の部分)にもう片方の親指と他の4本の指を、乳輪をはさみこむようにあてます。
2.親指と人差し指を胸壁に向かって内側に少し(1~2cm)押します。
3.親指と人差し指の腹を使って乳輪から乳頭にかけて圧迫していきます。このとき、強くつまんだりひっぱったりすると、おっぱいを傷めてしまうので気を付けましょう。

母乳が出てくるまで数分かかる場合がありますが、親指と人差し指で押したり離したりをしばらく繰り返しているうちに射乳反射がおき、母乳が流れるように出始めます。指の位置を変えるなどして、母乳が部分的に残らないよう乳房のいろんな部分から搾乳をしていきましょう。


月齢が進むと、母乳の分泌量・必要量が増えます。搾乳時は片手で乳頭を刺激し、もう片方の手の平でおっぱいの上の部分に圧をかけていきます。両手を使って搾乳することで分泌がスムーズになり、時間が短縮できます。

手動の搾乳器で絞る

搾乳器は、胸に専用のカップを押しあて、カップの中の空気を吸いだすことで母乳を搾る装置です。最初は「シュッシュッシュッ」と浅く短いリズムで刺激を与え、母乳を出やすくします。母乳が出てきたら赤ちゃんが普段母乳を飲む「ごくっごくっ」というペースのように深く長いリズムに変え、搾乳を進めていきます。

電動の搾乳器で絞る

電動の搾乳器は、内蔵されているモーターによって搾乳をするものです。ボタンで力の調節を行います。長期間搾乳する事がみこまれる場合や、短時間で量を確保したい時にはおすすめです。詳しい使用方法は、商品の説明書を確認しましょう。


搾乳した母乳の保存方法・保存期間は?

冷蔵保存

母乳を冷蔵保存する場合は哺乳瓶にキャップをつけ、そのまま冷蔵庫で保管します。冷蔵保存の目安は施設によって差がありますがおよそ1日とされています。

ただし、家庭用冷蔵庫は開閉の頻度が高く、温度が安定しないことから、長時間の保存は控えると安心です。夏場も温度があがりやすい為、搾乳した母乳はなるべく早く使用する事を心がけましょう。

冷凍保存

冷凍保存する場合は、専用の母乳バッグを用意しておきます。保存方法は商品説明書を確認しましょう。家庭用の冷凍庫であれば母乳は約1ヶ月は保存できるとされています。ただし母乳は赤ちゃんの成長段階にあわせた免疫や成分で構成されているため、冷凍した状態であっても搾乳から一週間を目安に飲み切るようにしましょう。

母乳パックに付属されている日付シールを使用し、母乳の期限が切れないように注意しましょう。冷凍時にパックがやぶれないよう、母乳パックの7分目くらいを目安に搾乳を入れるようにし、パックは平らになるようにして冷凍庫に保存をします。

冷凍しても母乳の栄養成分が変わることはほとんどありませんが、レンジや熱湯を使用して温めると、免疫物質が壊れるおそれがあるので気を付けてください。冷凍母乳を使用する際は冷蔵庫でゆっくりと自然解凍、もしくは流水で解凍させた後に湯煎で温めるようにします。また、一度解凍した母乳は再冷凍できません。赤ちゃんが母乳を飲まなかった場合は必ず処分してください。

搾乳器は必要?搾乳器の選び方

搾乳は自分の手でもすることができます。しかし手で絞る場合には、なかなか量を絞るのが難しいものです。おっぱいケアや授乳トラブルへの対処のために搾乳するという方は搾乳器は必要ないかもしれません。しかし赤ちゃんと離れるために搾乳する、家族と授乳を分担するために搾乳するといった場合には、搾乳器があると便利でしょう。

手動か電動か

手動の搾乳器は力加減が調節しやすいというメリットがありますが、電動搾乳器よりも手間がかかるという意見もあります。1日に何回も手動搾乳器を使ったために、腱鞘炎になってしまったというママもいます。

反対に、電動の搾乳器は自動で搾ってくれるので楽ですが、手動の搾乳器よりも値段が高い、モーター音がうるさい、力が強く乳首を傷めるおそれがあるというデメリットがあります。産院に搾乳器がある場合は使い心地を試してみてはいかがでしょうか。

レンタルか購入か

産後すぐに仕事に復帰するなど、長期的に搾乳する予定がある場合は新品を購入しても良いでしょう。しかし、ママによっては、せっかく搾乳器を買ったのにすぐに要らなくなったといったことは少なくありません。

長期間使うかどうかわからない方は、レンタルで安く借りても良いでしょう。レンタルなら断乳・卒乳後の処分にも困りません。

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搾乳に関する体験談

搾乳に関してままのてに寄せられた体験談を紹介します。

自己流の搾乳でおっぱいにしこりが!

子どもが生後2ヶ月のころにおきた、搾乳の失敗談です。母乳の出が良かったこともあり、おっぱいが張りやすく、毎日搾乳していました。そのころは強く押せばたくさん出ると思っており、自己流で搾乳をしていました。

しかし、張りがなくなるどころか日に日にしこりのようなものができ、少し触れただけでも痛みを感じるようになりました。授乳中も強い痛みが起こり、顔をしかめながら母乳を与えていました。

どうやら搾乳の力が強すぎ、おっぱいの組織を傷めて炎症を起こしていたようです。そこでようやく搾乳の方法が間違っていたと気づきました。そこからは搾乳を最小限にし、おっぱいを休めることを意識しました。2日ほどで痛みが治まりました。

授乳した母乳をパパがあげられて大喜び

母乳の出が良かったため、第一子も第二子も完全母乳で育てました。ミルクの調乳が必要ないという点は楽でしたが、一方でなかなか授乳間隔があかず、体力的には自分に負担がかかっていました。

第一子のときには授乳が大変でも、子どもの要求に応じて授乳をしていました。しかし、第二子のときには上の子の面倒もあり、下の子が欲しがればすぐにおっぱいをあげられるわけでありません。そのため、余裕がある時間帯に搾乳をしておき、上の子の寝かしつけで忙しい時間帯にパパが授乳を担当することになりました。

パパは自分の腕の中で一生懸命おっぱいを飲む子どもの姿に大喜び。上の子もその時間はママを独占することができ、満足そうな様子でした。搾乳をするのが面倒ではありましたが、家族でみんなにとって良いスタイルだったと感じています。

搾乳はいざというときに便利!

母乳育児を行っていると、ママは赤ちゃんから離れられず、病気のときでも一部飲めない薬があるなど、何かと負担が多いです。しかし、搾乳と母乳の保存方法を知っておくと、いつでも誰でも母乳を赤ちゃんに与えることができます。ママの負担軽減にもつながるでしょう。

おっぱいが詰まったときの対処や母乳過多にも搾乳は有効です。これから母乳育児を始める人は、ぜひ搾乳方法を覚えておいてください。

おっぱいの内部は動脈や静脈、乳腺組織が張り巡らされており、デリケートにできています。皆さんも搾乳のしすぎや力加減にはご注意くださいね。

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