【助産師・保育士監修】母乳育児の基本「頻回授乳」はいつまでする?新生児の授乳間隔や時間、回数や量について
母乳育児の中でも授乳の時間は赤ちゃんとの大切なふれあいのひとつです。授乳は赤ちゃんの成長においてとても重要なので、いろいろな不安や悩みが出てきます。その中でも、授乳時間について悩む方が多いのではないでしょうか。ここでは、頻回授乳について回数や間隔、頻回授乳はいつまでするのか、授乳時間が長い原因と対処法をご紹介します。
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目次
頻回授乳とは?母乳育児の基本なの?
赤ちゃんを母乳で育てる場合、生まれてすぐは頻回授乳が基本です。頻回授乳をするのには理由があり、メリットがあります。実際にどのくらいの間隔や頻度で授乳すれば良いのか、頻回授乳について詳しく見ていきましょう。
頻回授乳とはどれくらいを言うの?
頻回授乳とは、1~3時間ごとに1日8回以上、頻繁に赤ちゃんに母乳をあげることをいいます。生まれてすぐの赤ちゃんは1日に何度も母乳を欲しがるので、その都度赤ちゃんに母乳をあげましょう。赤ちゃんが飲みたがるたびに授乳することは大変ですが、頻回授乳は赤ちゃんが健やかに成長するのにとても大切なことです。
ふたつのホルモンの働き
母乳はふたつのホルモンの働きにより作られています。ママの体内で母乳を作るのに必要なのが「プロラクチン」、赤ちゃんが母乳を飲みやすいように母乳を押し出してくれるのが「オキシトシン」です。
ふたつのホルモンは、赤ちゃんがママの乳首を吸うことで増加します。赤ちゃんがお乳を頻繁に飲むことで、母乳がたくさん作られることになり、母乳が出やすくなるのです。
母乳を作るのに必要なプロラクチンの分泌量は、授乳を始めて30~40分後にピークを迎え、授乳後2時間ほどで減少します。4時間以上たつとプロラクチンの分泌は一気に下がり、授乳していない女性と同じレベルになるといわれています。
新生児期には、授乳の間隔をなるべく1~3時間以内にし、1日8回以上は授乳するようにしましょう。頻回授乳をすることで母乳は常に作られ続けることになり、授乳ペースも作りやすくなります。
月齢別!授乳時間と間隔、回数
新生児のあいだは赤ちゃんの要求どおりに授乳するので、1日10回以上授乳することもありますが、徐々に回数は減っていきます。それでは、頻回授乳はいつまでするものなのでしょうか。月齢別に目安となる回数と授乳時間、間隔などをご紹介しますので、参考にしてみてください。
授乳のやり方
授乳は、赤ちゃんの月齢にあわせて、左右の乳房を均等な時間で交互に授乳するのが基本です。片方のお乳を長い時間飲ませすぎてしまうと、もう片方のお乳を飲んでもらえず、母乳がつまったり、分泌が悪くなったりすることがあります。
片方のお乳を飲ませる時間は赤ちゃんの月齢や母乳分泌の状態によってさまざまです。ある程度飲み方が上手になったら、左右の乳房を変更しながら飲ませるようにしましょう。
新生児
新生児のころの授乳間隔は一般的に2~3時間おきとされていますが、最初は母乳をうまく飲めない赤ちゃんがほとんどです。また、母乳の分泌量も多くはありません。母乳の分泌量を増やし、赤ちゃんが上手に飲めるようになるためにも、新生児期は欲しがるだけあげるようにしましょう。
授乳間隔は特に制限することなく、30分~1時間おきでも大丈夫です。夜の授乳は大変ですが、夜中から朝方にかけての時間が一番母乳のホルモン分泌が盛んになる時間帯といわれており、母乳の量を増やせるチャンスです。母乳の量が増え赤ちゃんが1回の授乳で満足できれば、まとまって寝てくれることも多くなるのでがんばりましょう。
新生児期の1回の授乳時間は、左右の乳房をあわせて長くても50〜60分程度を上限にしましょう。抱き方や乳頭の含ませ方などに慣れていないとその分時間がかかりますが、この時間を上限に考え、これ以上かかる場合はいったん終了すると良いでしょう。ただし、授乳時間は個人差があるため、もっと早く授乳が終わる方も多いでしょう。
生後2ヶ月~4ヶ月
母乳の分泌量が増え、1回の授乳で赤ちゃんが飲む量も増えてくるので、授乳ペースが安定してきます。授乳リズムが整ったら、2~3時間おきに1日8回程度の回数を目安に授乳しましょう。1回の授乳時間は、個人差が大きいですが、左右の乳房をあわせて10~15分程度といわれています。
このころになるとママも赤ちゃんも授乳に慣れてきて、集中して飲まない、いつまでも乳首を離さないなどの遊び飲みが始まります。母乳が十分に出ている場合は、赤ちゃんが自分で乳頭を離して授乳を終えることも増えてきます。
授乳時間が短かったり遊び飲みが始まったりすると、きちんと飲めているのか心配になるかもしれませんが、おしっこの回数が1日に15~20回あり、体重が増えていれば問題ないといわれています。まとまった量が飲めるようになれば頻回授乳をいつまでも続ける必要はなくなるため、授乳時間がどれくらいかかっているか、その後の赤ちゃんの様子はどうかなどを確認するようにしましょう。
生後5ヶ月〜離乳食開始前
生後5ヶ月~6ヶ月頃は、離乳食を始める時期になります。赤ちゃんがママやパパの食事に興味を示すようになったり、よだれの量が増えたり、支えがあれば座れるといった状態になったら、離乳食を始めてみましょう。授乳は4時間おきの間隔で、1日5~6回程度が目安となります。
離乳食開始後
離乳食開始後の授乳は、離乳食後の授乳を含めて1日5~6回です。離乳食を開始する場合はまず、午前中の授乳のうち1回の授乳時間に合わせて離乳食を与えましょう。離乳食後は、赤ちゃんが欲しいだけ授乳します。離乳食が3回食になってしっかりと量も食べられるまでは、赤ちゃんの栄養はまだまだ母乳が主になります。赤ちゃんが欲しがるだけ母乳をあげながらすすめても大丈夫です。
離乳食が始まると、赤ちゃんがおっぱいを吸う力はたいぶ強くなり、1回の授乳時間がぐっと短くなる子もいます。1回の授乳時間は、左右の乳房で10分程度を目安にしましょう。
3回食開始後
離乳食が3回食になると授乳も落ち着いてきます。授乳回数は、離乳食後の3回に加え、寝る前と夜中の合計5~6回が目安です。3回食になると、ミルクの赤ちゃんは哺乳瓶からコップに切り替わります。母乳の場合は、この時期に不足しがちな鉄分をとるために、食事に鉄分を多く含む食材を取り入れていくと良いですね。
1回の授乳時間は左右の乳房で約10分、食後は5分程度を目安にしましょう。
フォローアップミルクは、離乳食の進みが良い場合は、不要とされています。
ですが、9か月以降は体に含まれている鉄分がだんだん不足してくる時期であるため、鉄分の補給が必要になります。鉄分補給は基本、食事でカバーします。
しかし、あまり離乳食を食べないとなると栄養分の補給も難しくなってきます。
そのような場合、鉄分補給のためにフォローアップミルクでカバーしていくという使い方が正しいです。
また、牛乳は鉄分の吸収を妨げる働きがあります。
ただ、フォローアップミルクは毒ではないので、おやつ程度に与える分には問題ないと思います。
しかし、ただのミルクよりもフォローアップの方が栄養豊富だと思われがちですが、そうではありません。
特に1歳未満で母乳やミルクの代わりにフォローアップミルクを与え続けると、栄養バランス的には偏りがみられる可能性があります。
ミルク:母乳の代わり、タンパク質や微量元素など必要な栄養素を網羅している
フォローアップミルク:牛乳の代わり、牛乳よりもカルシウムや鉄分が豊富、亜鉛などの微量元素は含まれていない、ミルクよりもタンパク質多め
と覚えておくと良いでしょう。
1歳以降
1歳以降は、離乳食が順調に進み、牛乳やフォローアップミルクが飲めるようになってきたら、そろそろ卒乳を考えてもよい時期になります。ですが、いつ卒乳するかは親子の気持ちや状態で決めても大丈夫です。
ちょこちょこ飲みをさせるのではなく、寝る前と夜中だけなど、時間を決めて授乳するのもひとつの方法です。欲しがるときに与えたいと感じたら、無理に我慢せず与えても問題ありません。
また、1回の授乳時間の目安は10分といわれています。
新生児の授乳時間が長くなる原因と対処法
原因1:母乳がうまく飲めていない
新生児の赤ちゃんはまだ母乳を吸う力が弱いため、母乳がよく出る最初のほうの母乳をほとんどこぼしていることがあります。また、胃腸の働きも弱いので、飲んだ母乳を吐き戻してしまうこともよくあります。母乳の量が多すぎる場合も、母乳をこぼしてしまいがちです。
母乳がきちんと飲めていないと、赤ちゃんがいつまでたってもお腹いっぱいにならず、授乳時間が長くなってしまう原因になります。
対処法:赤ちゃんの成長を待つ
生後1週間から2週間は、授乳時間が長くなってもあまり気にせず、赤ちゃんの成長を待ちましょう。2週間を過ぎたあたりから、しっかりと飲んでくれるようになることが多いです。母乳が出すぎる場合は、授乳前に少し搾乳をしてから赤ちゃんに飲ませましょう。
吐き戻してしまう場合は、きちんとげっぷができていないことが原因あることが多いです。片方の母乳をあげた後に1回、もう片方をあげた後に1回の頻度で、赤ちゃんを起こした状態で抱き、背中をやさしくトントンと叩いてあげましょう。げっぷがどうしても出ない場合は15分ほど、母乳がお腹に落ち着くまで抱っこしておいてあげると良いですよ。
原因2:母乳で不快感を解消している
新生児の赤ちゃんは、快・不快の感情がとても強いものです。授乳のときにおむつが濡れているなどの不快な状態が重なっていると、母乳を飲むことで不快感を解消しようとし、授乳時間が長くなります。
対処法:授乳前に不快なことがないかチェック
授乳前には、赤ちゃんのおむつが濡れているなどの不快症状がないかをチェックし、赤ちゃんが心地良い状態で母乳を飲めるようにしましょう。
原因3:母乳が足りていない
母乳の出が悪い状態だと、生産された母乳を赤ちゃんがすべて飲みつくしても満腹にならず、いつまでも吸い続けてしまいます。
対処法:水分を多く摂るように心がける
母乳の量が足りない人は、水分を多く摂るようにしましょう。母乳は液体のため、水分を多く摂るほうが母乳の出は良くなります。1日3L前後を目安に、カフェインが含まれない麦茶や水分などをこまめに飲むようにしましょう。
原因4:母乳が詰まりやすい
乳管が詰まってしまうと母乳が出づらくなり、よく出るといわれている飲み始めは母乳が十分に出ていないことがあります。乳管が詰まっている場合、赤ちゃんは長い時間をかけておっぱいを吸わないと、満足する量の母乳を飲むことができません。
乳管が詰まる原因としては、赤ちゃんが片方のおっぱいしか飲まない、赤ちゃんの吸う力が弱く乳管から母乳が出てこないなどが考えられます。
対処法:バランスの良い食事を心がけ左右の乳房を均等に授乳
吸う力が弱い新生児期の間は、赤ちゃんが上手に吸えるようになるまで、授乳時間が長くなっても1時間ほどを上限に、根気良く授乳を続けましょう。片方しか飲まない場合は、もう片方の母乳の出が悪いことも考えられます。授乳するときはまず、飲まない方の乳房から授乳を開始するなどの工夫をしましょう。
油っこいもの・刺激物・甘いもの・アレルギーの出やすい食べ物(牛乳・小麦・卵など)を多く摂取すると、乳管が詰まるといわれています。しかし、食べたものによって乳管が詰まるという確実な調査結果が出ているわけではありません。
母乳は、ママの血液から作られており、ママの食事や体調などで母乳の味などが変わるともいわれています。赤ちゃんがおいしいと思える母乳を作るためには、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
産後は妊娠時よりも1日350キロカロリー多く摂取すると良いでしょう。
頻回授乳はいつまでする?
3ヶ月以降は徐々に落ち着くことが多い
頻回授乳をする時期は、ママの母乳量が安定し、赤ちゃんが一度にたくさんの量を飲めるようになる生後3ヶ月頃までといわれています。しかし、赤ちゃんによって個人差があることなので、生後3ヶ月頃というのは、ひとつの目安としてとらえておきましょう。
頻回授乳をいつまでするのかということよりも、赤ちゃんの体重が成長曲線に沿って順調に増えているかということのほうが大切です。
おむつをチェックして母乳が足りているか確認
赤ちゃんのおしっこ回数で確認する方法があります。おしっこの回数も、母乳が足りているかの目安になります。1日に5~6回、しっかりとおしっこが出ていれば大丈夫ですが、回数や量が少ない場合は頻回授乳を続けましょう。
頻回授乳で母乳が出なくてつらい!対処法は?
睡眠不足・ストレスをできるだけ軽減しよう
母乳はホルモンの影響を受けやすいため、ママのストレスや睡眠不足などが原因で出なくなってしまうことがあります。母乳が出にくい場合、頻回授乳をするのが基本です。
しかし、頻回授乳をすることで疲れがたまっていたり睡眠不足になったりしている場合は、昼間に赤ちゃんと一緒に寝る、ストレスを発散する時間を作るなど、気分転換をしましょう。
身体を温める
身体を温めることも有効です。お風呂タイムはパパに赤ちゃんを見てもらい、ゆっくりとリラックスして湯船に浸かると良いですよ。頻回授乳時期は家族に協力してもらいながらできるだけ睡眠時間を作り、ストレスをためないように過ごしましょう。
授乳後でも赤ちゃんが泣くときはどうする?
赤ちゃんに不快症状がないかチェック
授乳後に赤ちゃんが泣くのには、何らかの理由があります。母乳が足りていない場合は、再度乳首を赤ちゃんの口元に持っていくと吸いつくので、もうしばらく授乳をしましょう。その他、げっぷが出なくて苦しい、おむつが濡れている、眠たいのに眠れないなどの不快症状が原因で泣いている場合があります。
何が原因で泣いているのかわからないときは、赤ちゃんに不快症状がないか、ひとつずつチェックしていきましょう。
授乳後はしばらく抱っこをして寝かせる
赤ちゃんは授乳中に寝てしまうことがありますが、寝たと思ってすぐにふとんに寝かせると、ママと離れる不安から泣いて起きてしまうことがあります。授乳後はすぐにふとんに寝かせずにしばらく抱っこをして寝かせてあげると、赤ちゃんも安心して眠ることができますよ。
赤ちゃんとのふれあいを楽しみましょう
授乳時間や授乳回数について悩んでいる人、授乳時間が長くなることや赤ちゃんが飲んでくれないことが苦痛に感じてしまう人、授乳に関しては人それぞれ悩みがあることでしょう。しかし、赤ちゃんを抱きおっぱいを与えるという時間は、長い子育て期間の中であっというまの短い時間です。
赤ちゃんと一番身近にふれあえる幸せを感じながら、日々の授乳を大切に過ごせると良いですね。悩みながらも気を楽にして、自分にあった方法でゆっくりと解決していきましょう。
※この記事は2024年7月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。