【小児科医監修】母乳の飲み過ぎとは?新生児がうなって泣くのは過飲症候群の可能性も|

新生児期に母乳やミルクを飲んでも飲んでも欲しがる様子を見せると、母乳が不足しているのではないかと心配になりますね。しかし、赤ちゃんが泣くのは母乳やミルクが不足ではなく、飲み過ぎのサインかもしれません。母乳やミルクの飲ませすぎからくる症状は過飲症候群と呼ばれます。過飲症候群の特徴や対処法、先輩ママの体験談をご紹介します。

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この記事の監修

千葉 智子
小児科医
千葉 智子

目次

  1. 新生児の母乳・ミルクの飲み過ぎとは?
  2. 新生児の授乳の基本
  3. 過飲症候群の赤ちゃんの特徴
  4. 母乳・ミルクの飲み過ぎへの対処法
  5. 母乳・ミルクの飲み過ぎの体験談
  6. 心配な場合は医療機関を受診しよう
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新生児の母乳・ミルクの飲み過ぎとは?

新生児期には、母乳やミルクが不足しているのではないかと悩むママが多いでしょう。しかし、母乳やミルクの飲み過ぎにより赤ちゃんが不調を訴えている場合もあるようです。この状態を「過飲症候群」といいます(※1)。過飲症候群は、聖マリア学院大学の医師・橋本武夫氏が発表した論文の概念で、母乳やミルクの飲み過ぎによりさまざまな症状があらわれます。

母乳は、ミルクよりも消化が良く、免疫も多く含まれています。そのため新生児のうちは、「赤ちゃんが欲しがったら欲しがるだけあげてよい」と指導されています。赤ちゃんが泣いたらまずおっぱいを与え、母乳を飲ませても泣き止まない場合、ミルクを足すというというママも多いでしょう。

しかし、赤ちゃんが泣くのはお腹が空いているからとは限りません。おむつが濡れていることの不快感、寝ぐずり、暑い・寒い、などさまざまです。また、お腹がいっぱいで苦しくて泣くこともあるのです。そんなときに、お腹が空いているのかもしれないと思い込み、母乳やミルクを与えてしまっては逆効果です。過飲症候群にならないために、新生児の授乳の基本や過飲症候群の特徴と対処法を知っておきましょう。

新生児の授乳の基本

生まれてすぐの赤ちゃんは、頻繁におっぱいを欲しがります。生後2週間ころからは1日の授乳回数が8~12回以上、1回あたり数分~30分の授乳時間が目安とされています(※2)。赤ちゃんが1回で飲む量は平均で80mLほどですが(※3)、これにも個人差があり、1回あたりの目安として示されている量は20~150mLと幅があります。

ミルクの場合は母乳よりも腹持ちが良く、授乳回数は母乳と比べて少なくなります。飲む量には個人差があり、どのメーカーのミルクを使うかによっても詳細は異なりますが、生後1~2週間までは1日7~8回、1回あたりの授乳量は80mLが目安です。生後2週間~1ヶ月までは1日6~7回、80~120mLを目安とするのが一般的です(※4)。

目安と比較して足りないと感じても、1日8回以上の授乳があり、体重が順調に増え、肌の張りがあって赤ちゃんが元気に過ごしていれば母乳やミルクは足りているといえます。心配しすぎることはないでしょう。

体重についてもみていきましょう。生後3ヶ月ころまでの赤ちゃんに期待される体重増加量は、1日あたり25~30gです(※5)。1日の体重増加が25g未満の場合、授乳回数や赤ちゃんの飲み方などを確認し、必要に応じて授乳方法などが指導されることがあります。一方で、目安以上に体重が増える赤ちゃんもいます。この場合、自己判断で授乳回数や量を減らすのではなく、赤ちゃんの状態に応じて授乳を管理することが大切です。

過飲症候群の赤ちゃんの特徴

過飲症候群の赤ちゃんにはどのような特徴や傾向があるのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう(※1)。

1日50g以上の体重増加

過飲症候群は生後1ヶ月健診前後に多くみられるといわれています。1ヶ月健診では、産院を退院したときの体重から健診日までの体重増加量をみますが、新生児の体重増加の目安を大きく超え、1日の体重増加量が50g以上になると、過飲症候群の可能性が考えられます。

ただし、1日の体重増加が50g以上であっても、それだけで過飲症候群というわけではありません。授乳中にむせる・吐くなどそのほかの症状があるか、身長とのバランスはどうかなど、赤ちゃんの様子を総合的にみていきます。

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授乳中にむせる

授乳中にむせる原因はさまざまあります。たとえば、授乳開始直後は、母乳の勢いが良すぎるために、むせることがあります。この場合は事前に搾乳をしておくことで、母乳の勢いが落ち着きます。

また、生後間もないころは母乳やミルクの飲み方が下手で、むせてしまうことがあります。慣れるとむせる回数が少なくなるでしょう。

しかし、上記のいずれでもないときに頻繁にむせる場合は、母乳やミルクの飲み過ぎによる過飲症候群の可能性がありますので、注意しながら様子を見るようにしましょう。

うなる・いきむ

うなる、いきむ頻度が高い場合は、母乳やミルクの飲み過ぎが原因かもしれません。新生児の赤ちゃんは満腹中枢が発達していないため、お腹がいっぱいになっていても、おっぱいや哺乳瓶が近づくと反射的に飲んでしまいます。結果的に苦しさが増し、うなったり、いきんだりしてしまいます。

うなる、いきむことは、お腹の張りや飲み過ぎにより苦しさを訴えている可能性もあります。授乳回数を調整する、お腹をマッサージしたり、綿棒で肛門刺激などを行なったりして、張りを和らげるなど対応してあげましょう。

鼻やのどに風邪のような症状がある

母乳やミルクを飲み過ぎていると、鼻やのどに風邪のような症状が出ることもあります。鼻水が多く、鼻の奥やどのがゼロゼロ・ゴロゴロとなる場合は、その症状が風邪によるものなのか、それとも過飲症候群によるものなのか、全身状態とあわせて判断することが必要になります。

母乳・ミルクを吐くことが多い

母乳やミルクの飲み過ぎで、吐いてしまうことがあります。赤ちゃんの胃は小さく、また大人と形状が違うため、げっぷや身体を動かした拍子に吐くことがあります。一日に何度も吐くときは、母乳やミルクを飲み過ぎていないか注意が必要です。吐くほどの勢いはないものの、授乳後に赤ちゃんの口からだらだらと母乳やミルクがこぼれている状態も飲み過ぎのサインのひとつです。

ただし、少量であれば吐いても問題ありません。頭を少し高くして寝かせることで、吐きにくくなります。吐いたミルクが鼻や耳に入ることも防げますのでぜひ試してください。一方で、噴水のように吐くことが多く、ぐったりしている場合は、別の病気の可能性もあります。すぐに小児科を受診しましょう。

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お腹が大きく張る

過飲症候群の症状のひとつがお腹の張りです。頻繁な授乳により胃や腸の消化が間に合わず、お腹がパンパンにふくれてしまうことがあります。

また、母乳やミルクの飲み過ぎにより、空気やガスがたまっている、便秘を起こしていることも、お腹の張りの原因です。

げっぷやおならが多い

赤ちゃんは母乳やミルクを飲むときに、空気も一緒に取りこむため、げっぷやおならの量が多いものです。しかし、げっぷやおならの回数があまりにも多い場合は過飲症候群の可能性があります。とくに、便秘の場合はおならが臭くにおうので、注意してください。

また、おならの量が多い場合は、胃軸捻転症(いじくねんてんしょう)という、別の病気の可能性があります。胃軸捻転症は胃がねじれを起こしているもので、おならの回数が多い、嘔吐する、お腹が張る、機嫌が悪い、食欲がないなどの症状がみられます。心配な場合は医療機関を受診するようにしてください。

便秘や頻回のゆるい便

母乳やミルクを飲み過ぎると、便秘になることがあります。数日便が出ていなくても問題ではないこともありますが、機嫌が悪い、お腹が張っているという場合は対応が必要です。

新生児期のうんちの回数は個人差が大きく、1日に5~6回という頻度が多いものの(※6)、1日に10回以上でる子もいれば、母乳育児では授乳のたびに排便する子もいるなど、赤ちゃんによってバラつきがあります。

過飲症候群の場合は、うんちの回数が多いことに加え、粘液がまじっていたり母乳やミルクの脂肪分のつぶが混じったりしたゆるいうんちがみられます。これが頻回に続くことで肛門のまわりが赤く腫れ、皮膚炎になることもあります。

機嫌が悪い

母乳やミルクを多く飲んでも機嫌良く過ごしていれば、あまり心配ありません。しかし、抱っこしたりあやしたりしても泣いている、寝つきが悪くぐずっている、などいつもと様子が違う場合は、不調のサインととらえましょう。

母乳・ミルクの飲み過ぎへの対処法

母乳やミルクの飲み過ぎにより過飲症候群の症状がある場合、次のことを試してみましょう。

母乳・ミルクの量を調整する

赤ちゃんが泣いていると母乳・ミルクが足りていないことを心配し、どんどん母乳を飲ませたり、ミルクを足したりするママも少なくありません。

もちろん、本当にお腹が空いていれば問題ないのですが、過飲症候群の場合は逆効果。かえって赤ちゃんを苦しめてしまいます。母乳やミルクの量を調整して様子を見ましょう。

ミルクの場合は週数に応じた量を与えるようにしましょう。母乳の場合は飲んだ量がはっきりわからないので、足りているかどうか見極めにくいですよね。そんなときは、おむつの状態を観察しましょう。1日でずっしりとしたおしっこが6回以上出ていれば問題ないといわれています。

自己判断で授乳量を減らすと、栄養不足に陥る可能性もあります。心配な場合は小児科を受診しましょう。

授乳以外で赤ちゃんをあやしてみる

赤ちゃんが泣くのはお腹が空いているからとは限りません。パパやママに構ってほしいという場合もあります。抱っこやわらべ歌などで優しくあやしてみましょう。ガラガラやラトル、メリーなどのおもちゃなども試してみてくださいね。

縦に抱っこして母乳やミルクの消化を待つのも方法のひとつ。首をしっかり支えながら実践してみてください。赤ちゃんをあやしながら、少しずつ授乳間隔をあけてみましょう。

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お腹が張っているときには足を動かしてみる

母乳やミルクを飲み過ぎて消化できず、お腹が張ってしまうことがあります。そんなときは両足を優しく持って、太ももをお腹に近づけるように、右、左、右、左と優しく動かしてあげましょう。

お腹に刺激が伝わり、たまっていたガスや便がでて、すっきりできるかもしれません。赤ちゃんの足は、強く動かすと股関節を脱臼する恐れがあるので気を付けてください。

また、お腹を「の」の字に優しくなでるマッサージもおすすめです。指先ではなく、手のひら全体で優しく包むようにするのがポイントです。

綿棒浣腸をする

赤ちゃんが数日便秘の状態にあり、苦しそうにしている場合は、綿棒浣腸を試してみましょう。綿棒浣腸の方法は次の通りです。

1.綿棒の先端3cmくらいまでにベビーオイル(ベビーワセリン、馬油、オリーブオイルも可)をなじませる
2.赤ちゃんを仰向けにし両足を軽く持ち上げる
3.綿棒の先端を(深さは10mm程度まで)赤ちゃんの肛門に入れる
4.綿棒の先端をくるくると回すようにゆっくり刺激を与える

綿棒浣腸の最中に便をする赤ちゃんもいるので、新聞紙やおむつ替えシートの上で行うと安心です。

片側授乳を試してみる

母乳育児をしていて赤ちゃんの母乳の飲み過ぎに悩んでいる方は、両方のおっぱいを交互に飲ませるのではなく、片方のおっぱいをしっかり飲ませてみても良いでしょう。

母乳の成分は、授乳の初めと終わりで少しだけ変化し、「前乳」「後乳」とわけて呼ばれています。まず、それぞれの特徴を下記の通りです。

前乳…水分量が多く脂質が少ない。透明が買った白色。
後乳…脂質が多くカロリーが高い。腹持ちが良い。濃い白。

前乳と後乳は、タンパク質やミネラル、免疫成分などは、ほとんど変わりません。しかし、後乳の方はカロリーが高く飲みごたえがあります。

もし、両方のおっぱいを交互に飲ませていると、両側からカロリーが少ない前乳のみを飲むことになります。水分が多くお腹がふくらんだ状態になりますが、満腹感が続かずにすぐにおっぱいを欲しがってしまいます。結果的に過飲症候群の悪循環に陥るといわれます。

そのため、片方の後乳をしっかり飲み切ってから、もう片方のおっぱいを与えるようにします。赤ちゃんの吸う間隔が長くなれば、後乳を飲んでいるサインです。そうすることで、高カロリーで腹持ちの良い後乳を飲ませることができ、満腹感が持続するというメリットがあります。

片側授乳は、飲ませていないほうのおっぱいが張りやすく、母乳が詰まるリスクがあります。搾乳するなどして、ケアをしておきましょう。次の授乳は、飲ませていないほうのおっぱいから始めてください。

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母乳・ミルクの飲み過ぎの体験談

母乳の飲み過ぎについてままのてに寄せられた体験談を紹介します。

母乳のあげすぎと医師にいわれました

出産直後に初めて分娩台でおっぱいを吸わせたとき、今まで経験したことがない幸せな気持ちを味わいました。それ以来、授乳することが嬉しく、また母乳も順調に分泌されていたので、ことあるごとにおっぱいを飲ませていました。

しかし、退院4日目ごろから、授乳しても、ものの数分ですぐ泣いてくることが増えました。母乳が足りていないのかと思い、1日に20回近く、必死で与えていました。また、飲みながらうなっていること、顔を真っ赤にしていきんでいるにもかかわらず、うんちが出ていないこともありました。

そして迎えた1週間健診。医師にいわれたのが「母乳のあげすぎです」の一言。体重は1日あたり70gも増加していたようです。「赤ちゃんはお腹が空いていなくても泣くので、何で泣いているのか考えるように」と諭されてしまいました。知らずのうちに赤ちゃんを苦しめてしまったと、非常に反省しました。

それ以来、泣いていても、抱っこやバウンサーでゆらすなどして、母乳をあげる間隔を伸ばすように努力しました。何で泣いているのかを考えることで、赤ちゃんとの意思疎通ができるようになった気がします。

次第に、うなる、いきむこともなくなり、体重増加も落ち着きました。1歳半の現在では標準体重に落ち着いています。

心配な場合は医療機関を受診しよう

母乳やミルクは赤ちゃんにとって大切な栄養です。過飲症候群の疑いがあっても、自己判断で母乳やミルクの量を減らすのは抵抗があるという方も多いでしょう。

心配な場合は医療機関を受診したり、1週間健診や1ヶ月健診で相談したりすることをおすすめします。その際は、1日の授乳リズムを記録したものを持参するようにしましょう。

※この記事は2026年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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