乳腺炎の対処法!マッサージの仕方や病院での治療は?
毎日、家族や赤ちゃんのために頑張るママは自分の身体のケアはあと回しにしがちです。ストレスや疲れも乳腺炎の原因になると知っていますか。ここでは乳腺炎になったときに、どういったケアが良いのか、乳腺炎になったときに気をつけること、病院や母乳外来にかかる目安や治療の内容について紹介します。
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目次
乳腺炎とは?
乳腺炎とは授乳中のお母さんが恐れる病気のひとつです。母乳が乳房のなかで固まってしこりになったり、細菌感染をして乳房のなかで炎症を起こしたりします。患部に痛みを感じたり、乳房や脇の下にしこりができたり、腫れたりするのが、一般的な乳腺炎の症状です。
乳腺炎が悪化すると風邪に似た全身の悪寒、38℃以上の発熱、頭痛といった症状が出ることがあります。さらに症状が進むと患部を切開したり、針を刺したりして膿を取り除く処置が必要になる場合があります。
おっぱいに乳腺炎の症状が出たら、早めの自宅でのケアで乳腺炎を悪化させないようにしたいですね。
乳腺炎の対処法1.赤ちゃんにおっぱいを飲んでもらう
乳腺炎になったときに自宅でできる、ベストな対策は赤ちゃんにおっぱいを飲んでもらうことです。ママに熱があっても乳首が化膿していなければ、乳腺炎でも授乳に問題はありません。
授乳の仕方
赤ちゃんの口に乳頭がしっかり入るように、口の真上からおっぱいを入れて吸ってもらうと母乳が出やすくなります。お母さんが座ったまま、赤ちゃんをおっぱいより少し低い高さくらいの台に乗せて上からおっぱいを上げるようにすると、授乳に良いポジションが取れるようです。
乳腺炎で赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれないときは?
赤ちゃんがおっぱいをなかなか飲みだしてくれないというときは、乳腺炎の症状が出ていない方の乳房から授乳をしましょう。赤ちゃんがうまく吸い付いたら、スライドさせて、症状の出ている方のおっぱいを飲ませます。スライドさせるときに飲ませたい乳房側の脇腹で赤ちゃんの身体を抱くようにすると良いでしょう。
しかし、おっぱいを飲ませなければならないとママが一生懸命になりすぎると、焦りが赤ちゃんに伝わって全然おっぱいを飲んでくれないということもあるようです。そういった焦りを感じたときは、乳房に赤ちゃんが口をつけられるようにしたまま、抱っこして部屋のなかを歩いたりするとママも赤ちゃんも気が紛れるでしょう。うまくいけば赤ちゃんの方から乳首に吸い付いてくれるかもしれません。
乳腺炎の対処法2.搾乳する
搾乳の前に乳首や乳頭の周りを軽くマッサージするようにすると母乳が出やすくなります。もし乳房にしこりのようなものを感じたら、しこりを押すようにすると良いでしょう。しかし、搾乳も無理は禁物です。おっぱいを絞りきろうと頑張りすぎると、乳房全体が痛くなったり熱を持ったりすることがあります。特に固いと感じる箇所を押すようにマッサージしたり、乳房の下の方からやさしくマッサージをしたりして搾乳すると効果があるようです。
乳腺炎の対処法3.乳房を冷やす
おっぱい全体が熱を持ったり赤く腫れあがったりするときには、冷やすのもおすすめです。しかし日常的に乳房を冷やすことは、身体の冷えにもつながり、母乳が固まってしまい乳腺炎を悪化させることもあるようです。
乳房を冷やすときは急激に冷やしすぎないよう、ハンカチやタオルで巻いた冷却ジェルなどを使いましょう。ゆっくりじっくり冷やすというのが乳腺炎の正しい対処法といえるでしょう。
冷えピタ
冷えピタは乳腺炎の対処として効果がある、という意見もありますが、急激に熱をとるため、おっぱいを冷やし過ぎてしまい、乳腺が詰まってしまうという意見もあります。しかしながら、手軽さという面では群を抜いていますよね。乳腺炎の症状が急激に悪化してきて、冷えピタを使う他ないというときは、搾乳をしながら短時間の使用にとどめるというのがコツのようです。
乳腺炎の対処法4.マッサージをする
マッサージも乳腺炎には効果的といわれていますが、身体や症状と相談するようにしましょう。おっぱいや身体に高い熱がある場合は、マッサージによって悪化させてしまうこともあるので、自己流のマッサージは控えたほうが良いでしょう。少し乳房に触れただけで痛みが走るというようなときも無理にマッサージをするのはおすすめできません。
乳腺炎の対策として授乳や搾乳をする前にも、マッサージをすると良いでしょう。乳腺炎のしこりやつまりが取れたあともマッサージを続けることで、乳腺炎の発症を抑えることもできます。
マッサージの仕方
乳房を上下左右にしっかり揺らして、包み込むようにゆっくり力を加えると乳房がほぐれていきます。脇の下が痛いママは、腕を上下左右にゆっくり回したり揺らしたりすることも効果があります。
乳房のしこりは母乳が滞ったものなので乳頭に向けて優しくゆっくり押し出すようにマッサージをしましょう。乳頭や乳輪の周りも優しくもむようにすると乳管の口が開いて母乳が出やすくなります。
マッサージのコツは、無理をしないことと身体や部屋を温めた状態で行うこと。鋭い痛みを感じたら中止するようにしてください。
乳腺炎の対処法5.しっかり休む
赤ちゃんの世話や家事で忙しいママは、意識しないとなかなか休憩をとることもできないという人も多いでしょう。乳腺炎はママが疲れているときにも発症しやすいといわれています。普段から家族や周囲の人に、「疲れると乳腺炎になりやすいから」というように声をかけておくのも良いかもしれません。
乳腺炎になってしまったときは、無理をせずしっかり睡眠をとるように心がけましょう。乳腺炎を悪化させるとインフルエンザを発症したときのような、全身の悪寒や発熱に襲われます。そんなときは、横になって授乳も添え乳で行うと良いでしょう。
高熱が出るような乳腺炎でも、添え乳をしながらしっかり眠ったら翌日には良くなっていた、というような話もあるようで
乳腺炎の対処法6.食事に気をつける
乳腺炎と食事の関係については、母乳外来などでは野菜や白身魚をメインに薄めの味付けを心がけた、和食中心の食事がおすすめされることが多いでしょう。しかし乳腺炎と食事の因果関係が医学的には立証されていないため、先生の考え方によっては食事は気にしなくても良い、といわれることもあるでしょう。
ただし乳腺炎は身体の炎症反応のひとつであるため、症状がひどいときには脂肪・塩分・糖分の多い食べ物は避けた方が無難です。基本的にはバランスの良い食事をとるように心がけ、自分の身体と相談しながら食べるようしてくださいね。
産後のママは忙しい家事や新生児育児の合間に、さっと食べられるもので自分の食事を済ませている人もいるでしょう。疲労を感じると、甘いものや脂っぽいものがほしくなるという人もいるはずです。一般的には、脂肪分の多いものや乳製品を使っているものは乳腺炎に良くないといわれています。乳腺炎を起こしているときに揚げ物、焼肉、乳製品、お餅類、カレーやシチュー(ルーを使ったもの)などを食べて、悪化させたママもいるようです。
水分を多めにとる、というのも効果があるようですが、過剰な摂取は母乳が作られる量を急激に増やし、新たなつまりを招くという意見もあるようです。何事もほどほどが良いということかもしれません。
乳腺炎の対処法7.葛根湯を飲む
葛根湯は乳腺炎の初期症状に効果があるとされる漢方薬です。授乳中のママの風邪に対して病院で処方されることもある薬で、赤ちゃんへの影響も少ないと考えられています。ただし乳腺炎の痛みがひどかったり、乳房がカチカチに腫れていたり、熱や悪寒があるときには、葛根湯で対処できる状態ではありません。乳腺炎の症状が出始めたタイミングで葛根湯を飲んで、症状の悪化を防げると良いですね。
乳腺炎のときにお風呂には入って良い?
しこりがある、おっぱいが固くなってきているなどの症状を感じたら、お風呂にはいったり、温かいものを飲んだりして身体を温めましょう。身体を温めることで乳腺が開き母乳のつまりが取れやすくなります。
ただし、高熱がある状態でお風呂に入ることはおすすめできません。お風呂に入る前後に身体を冷やしてしまい、悪化してしまうということもありえます。寝具を増やしたり、靴下をはいたりして身体が冷えないようにするのが良いでしょう。
乳腺炎がつらいときには母乳外来へ!
「たびたび、乳腺炎になる」「乳腺炎になって大変な思いをした」という人は乳腺炎を繰り返さないように、産婦人科や小児科、助産院などに併設されている母乳外来や母乳育児教室などに通うのもひとつの手です。
母乳外来や母乳育児教室では母乳育児についての相談や食事指導、おっぱいマッサージの施術やマッサージの指導などをおこなっています。初めての子どもの育児中や、乳腺炎に度々なってしまうなどの悩みのあるときは心強い味方となるでしょう。
ただし、たまにママの考え方とは異なる食事や授乳方法を指導される、ということもあるようです。フィーリングや自分の考えにあったところが見つかるように、まずは電話でどんな感じか問い合わせてみると良いかもしれません。
乳腺炎が悪化したときの病院での治療法
いろいろ対処法を試したけれど改善されない場合は医療機関を受診しましょう。また、発熱や頭痛、悪寒などがある場合にはなるべく早めの受診がおすすめです。
薬での治療
抗生物質を処方されることもありますが、だいたいは母乳育児にさしつかえのない量が処方されるでしょう。ほかに解熱剤などを処方される場合もあります。授乳にさしつかえのない量や種類の薬ですので、決められた期間はしっかり服用しましょう。
膿吸引処置
薬での治療でも症状が良くならなかった場合、母乳が膿を持ってしまっている可能性があります。母乳が膿を持っているときには、たまった母乳が出にくかったり、母乳の味が変わり赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれなくなったりということがあるようですね。
こういった場合には、乳房やしこりや熱を持っている部分に直接針をさして、注射器のような器具で膿を吸引する処置がおこなわれることがあります。この処置は麻酔もいらず、時間も数分で済むことが多いようです。
切開手術
投薬や吸引といった処置をしても乳腺炎が良くならない場合や、高熱などの症状が良くならなかった場合、切開手術になることがあります。
乳腺炎の切開手術は、患部を切り開いて膿を取り出す手術です。超音波エコーで乳房のなかや膿の状態を確認し、切開部分にマークをつけます。麻酔注射のあと、患部を1cmほど切開して中の膿を絞り出します。麻酔は打っていますが、痛みを感じたというママが多いようです。
切開手術は日帰りで行える手術ですが、手術後は抗生物質の点滴や患部の消毒のため、数日から数週間通院することになるでしょう。切開手術をしてもなかなか完治しない場合、細い管を切開部分に取り付け、そこから膿をだしていきます。
乳腺炎の体験談
乳腺炎についてままのてに寄せられた体験談を紹介します。
子どもが生後1ヶ月ごろに乳腺炎にかかりました。当時は母乳の出はスムーズだったものの、乳首や乳頭が痛くて授乳がうまくいかない時期でした。
里帰り出産でしたが、日中は家でひとりだったので、家事の大半を受け持っていました。歩いて行ける距離にスーパーもないほど田舎なので食事に気を遣うこともできず、家族が買ってきたお菓子などをつまんでは子どもの世話をするような状況でした。食事内容も悪かったのですが、ストレスも疲れもかなりありました。
乳腺炎にかかったときは、急に身体がガタガタ震えだし、足に力が入らなくなりました。熱を測ってみると38℃。おっぱいがカチカチに腫れて熱を持っていました。夜でしたが、念のために子どもを産んだ産婦人科の緊急外来で診てもらい、抗生物質を処方されました。
抗生物資を飲んだ後、助産師にマッサージをしてもらいました。温かい手でおっぱいをほぐしてもらうととてもホッとしました。施術を初めて数分でぴゅーっとおっぱいが飛ぶのが見えると、薬も効いてきたのか、腫れが治まったような気がしました。
マッサージ後は、自宅で濡れたタオルでおっぱいを冷やしたり、母乳ブレンドのハーブティーを飲んだりするようにしました。大きなつまりが取れたせいか、薬のせいか、乳腺炎が悪化することはありませんでした。
乳腺炎で何度か母乳外来に通いました。母乳専門助産師の先生には、食事の内容や、薄着なことなどをたくさん注意されてしまいました。しかし、身体の調子が悪いことや、里帰り出産からなかなか自宅に戻れず心ぼそいことなど、たくさん話を聞いてもらうことができました。
話しながら感情が流れ出てきて涙も出てきましたが、話すことで心のなかで凝り固まったものが溶け出すような気持ちになりました。先生から厳しくも励まされ、前向きな気持ちにもさせてもらいました。
また、温められた部屋で足湯に入りながら乳房のマッサージを受け、ビュービューっと自分のおっぱいが描く何本もの放射線をみているとリラックスできました。
3回通った後、先生から「もう大丈夫そうね」と言われました。母乳外来を卒業した後も、先生の言葉通りストレスや食事内容、冷えなどに気をつけていたところ、断乳のときまで乳腺炎にはなりませんでした。
乳腺炎の対策にはしっかり心と身体の休息を
授乳中の多くのママが乳腺炎に気をつけています。しかし、一定数の人が授乳トラブルとして乳腺炎を経験しています。かなりつらいですし、手術などになったらどうしようと恐れてしまいますよね。乳腺炎にかかっても多くの場合、投薬などで治るので早めに専門家や医師に相談しましょう。診察や相談をすることで気持ちが楽になったり、良いアイデアをもらえたりすることもあるでしょう。
記事のなかで紹介した自宅でもできるケアは、乳腺炎になってから実行しても効果がありますが、予防にも効果があります。ママは知らず知らずのうちに無理をしてしまいがちなので、ストレスや疲れ、冷えなどには注意していきたいですね。赤ちゃんや家族のためにも、自分の身体や心に無理をかけないよう授乳期間を過ごせると良いですね。