母乳を飲んだら赤ちゃんに蕁麻疹?授乳後の発疹の原因と対応策

授乳後、赤ちゃんの顔や身体に、赤くポツポツと発疹が現れたという体験をしたママは多いようです。発疹が徐々に広がることもあれば、1時間程度で自然と治まるなど症状はさまざまですが、ママは母乳が影響しているのではないかと心配になりますよね。ここでは、授乳後に赤ちゃんの発疹についての原因や対策法、スキンケアを解説します。

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この記事の監修

染谷 朋之介
小児科医
染谷 朋之介

目次

  1. 母乳を飲んだ後は赤ちゃんに発疹が出やすい?
  2. 授乳後に湿疹が出やすい場所
  3. 授乳後の発疹の原因は?
  4. 授乳後に発疹が出た場合の受診の目安
  5. アトピー性皮膚炎の可能性は?
  6. 授乳後に発疹がみられたときの対応策
  7. 赤ちゃんのスキンケア
  8. 授乳後の赤ちゃんの変化を見逃さないようにしよう

母乳を飲んだ後は赤ちゃんに発疹が出やすい?

発疹とは、皮膚が赤くなったりポツポツと赤い斑点(はんてん)のようなものができたり、皮膚に何かしらのトラブルがおこることを言います。

普段はきれいな肌をしている赤ちゃんが、授乳後に顔やお腹に発疹がでたという体験をしているママは多いようです。赤ちゃんの発疹と母乳は、関係があるのでしょうか。

母乳とママの食事の関係

母乳とママの食事の関係については、専門家や医療機関関係者によって意見がわかれることがあります。

一般的に、ママが食べた物は、消化器系をわたって血液に入り、母乳となって赤ちゃんにわたるとされています。食べ物が母乳に変わる時間は食品によって差はあるようですが、おおよそ1~5時間で母乳に移行するようです。

しかし、実際は、ママが食べたものが母乳を通じて赤ちゃんにわたるのは、ほんのわずかであるといわれています。WHO(世界保健機関)によると、「高脂肪や高塩分の食べ物が、母乳に影響すると考えられているが、科学的な根拠はない」との説明があります。このことから、ママの食事が必ずしも赤ちゃんに影響を与えているとは言い切れません。

とはいえ、授乳後に赤ちゃんに異変を感じたママもたくさんいます。ママの母乳に含まれるアレルゲン(アレルギーの元となる成分)に、影響を受けやすい赤ちゃんもいるでしょう。

授乳後に赤ちゃんに異変がみられたら、自己判断は控え、小児科などの医療機関を受診しましょう。医師に診てもらい、母乳が影響しているか判断してもらうことが大切ですよ。

授乳後の赤ちゃんに湿疹があらわれた体験談

ママの食事が母乳を通じて赤ちゃんに影響するのは、ほんのわずかとされています。しかし、甘いものや油っぽいものを食べ過ぎた後に乳腺炎などの母乳トラブルや、赤ちゃんに発疹が現れたという体験をしたママが多のも事実です。

授乳後の赤ちゃんの発疹について、ままのてに寄せられた体験談を紹介します。

息子は授乳の後に発疹が出ることがよくありました。しかし、そこまでひどくもなく、しばらくすると落ち着き、病院には行かずに回復しました。

違う件で小児科を受診したときに、授乳後の湿疹について医師に尋ねると、「しばらく様子を見ても症状が治まらない場合は受診が必要」と言われました。

ままのて体験談

3人の子どもがいますが、3人とも母乳育児をしていました。

第一子が2ヶ月のときに年末年始をはさみ、ケーキやおもちなどを食べて、通常よりもカロリーを多く摂りました。年が明けた1月上旬に、おっぱいがチクチク痛み、39℃の高熱が続きました。医療機関を受診したところ、乳腺炎と診断を受け、おっぱいマッサージを受けることで症状は治まりました。しかし、そのころの赤ちゃんは、母乳をあげるたびに顔が真っ赤になりお腹にも発疹が出ていたので、母乳が影響していたのではないかと感じています。

第一子の経験をいかして、第二子・第三子のころは、過度なカロリー摂取は控えました。それが良かったのかはわかりませんが、乳腺炎はまぬがれ、赤ちゃんの発疹も気にならない程度でおさまりました。

しかし、チョコレートやケーキを少し多めに食べた後に授乳をすると、湿疹が目立つことが多かったように感じます。そのため、授乳中は、過度な糖分の摂取は控えて、普段の食事でお腹を満たすように意識しました。

ままのて体験談

授乳後に湿疹が出やすい場所

授乳後に、赤ちゃんの肌にポツポツと発疹が現れる場所には個人差があります。とはいえ、授乳後の赤ちゃんを観察すると、いつも同じような場所に発疹がみられるというママもいるでしょう。

一般的に、発疹は、赤ちゃんの身体のどの位置に現れやすいのでしょうか。

口周り

授乳後に、口周りが赤く荒れ、唇がはれぼったくなるという症状がみられることがあります。

口周りは、よだれやおっぱい・ミルクがこぼれ、赤く荒れやすい場所です。気を付けていてもトラブルがおきやすいでしょう。まずは、日ごろから赤ちゃんの口周りを優しくガーゼで拭き、保湿をしてケアするよう意識してみましょう。

目の周り

授乳後に、目の周りが赤くなったという赤ちゃんも多いようです。目の周りは皮膚が薄くデリケートな部分なので、ちょっとしたことで乾燥したり、赤みが目立ったりする部分でもあります。

赤ちゃんの目の周りが赤くなる原因には、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎など、さまざまな要因があります。授乳後に赤くなった場合は、様子を見るようにしましょう。しばらくして落ち着くようであれば、授乳で赤ちゃんの体温があがったことが関係しているのかもしれません。

赤ちゃんの症状は、家庭での診断が難しいものです。日常的に目の周りが赤いようであれば、まずは小児科や皮膚科で相談しましょう。

お腹

授乳後に、赤ちゃんのお腹に湿疹がみられることがあります。赤ちゃんのお腹に見られる湿疹には、乳児湿疹やあせも・虫刺され・アレルギーなどが考えられるでしょう。

授乳後、赤ちゃんのお腹に赤い湿疹が出た場合、熱があったり機嫌が悪かったりと他に症状がなければしばらく様子を見て大丈夫です。発疹がひどくなり、赤ちゃんが発疹を気にしてかくようであれば、迷わず小児科や皮膚科を受診しましょう。

授乳後の発疹の原因は?

授乳後に現れる、赤ちゃんの発疹の原因はさまざまです。発疹が出た場合、どのような病気や要因が考えられるのでしょうか。

乳児湿疹

乳児湿疹(にゅうじしっしん)とは、新生児~乳児期にかけて現れる、赤ちゃん特有の湿疹です。いつまで現れるかは個人差がありますが、1歳頃までは、湿疹の経過を観察する医師が多いでしょう。

赤ちゃんの肌はバリア機能が未熟なため、さまざまな原因で肌トラブルがおこりやすいものです。また、赤ちゃんは代謝が良いことから、汗の分泌が盛んであったり、逆に乾燥しやすかったり、肌の健康状態を一定に保つことが難しいとされています。

乳児湿疹を予防するには、日ごろから赤ちゃんの肌の清潔を保ち、保湿などで肌にうるおいを与えることが良いとされています。赤ちゃんのスキンケアをして、健康な肌を保ってあげましょう。

赤ちゃんの体温が上がる

授乳は、おっぱいを吸ったり母乳を消化したりと、赤ちゃんにとってエネルギーをたくさん使うものです。そのため、授乳中は、赤ちゃんの体温が上がりやすいとされています。

体温が上がると、今まで目立っていなかった細かい肌トラブルに赤みが帯びて、目立つようになります。しばらくして体温が下がるとともに、赤みが落ち着けば問題ありません。その際は、赤ちゃんに発熱がないか、機嫌が悪くないかなど、健康状態にも気を配ると安心ですね。

食物アレルギー

ママの食事が母乳を通じて赤ちゃんに影響をおよぼすのは、ほんのわずかだとされています。そのため、赤ちゃんがママの食事を通して、アレルゲンが含まれた母乳を飲んだとしても、症状が現れない場合がほとんどとのようです。

しかし、赤ちゃんの体質や状態によっては、発疹や呼吸の異常など、アレルギー症状をおこしやすいことがあります。赤ちゃんのアレルギー症状は、自己判断せずに、小児科や小児アレルギー科を受診することが大切です。

また、授乳後の発疹が毎回でなければ、何を食べた後に赤ちゃんに反応が出やすいか観察しておくと安心です。卵を食べた日しか出ないのに、牛乳や小麦まで断つ必要はありません。ママと赤ちゃんのストレスを減らした食生活を送るためにも、赤ちゃんの異変を見過ごさないようにしましょう。

母乳育児は赤ちゃんのアレルギーに影響するの?母乳と食物アレルギーの関係

授乳後に発疹が出た場合の受診の目安

授乳後に発疹が出た場合、しばらく様子を見て1時間程度で発疹が治まるようであれば自宅で様子を見て大丈夫です。

一方、授乳後に現れた発疹が数時間たっても治まらなかったり、赤ちゃんの機嫌が悪かったりするようであれば、迷わず医療機関を受診しましょう。症状によっては、アナフィラキシーショックなどの早急な処置が必要な場合があります。

まずは、かかりつけの医療機関や、時間外であれば総合病院や市の医療センターの窓口に電話で相談してください。重篤な症状を避けるためにも、赤ちゃんの異変を見逃さないようにしましょう。

何科を受診するの?

一般的に、赤ちゃんの皮膚に発疹がみられたら、皮膚科の受診が良いとされています。

しかし、同時に赤ちゃんの機嫌が悪い、発熱や嘔吐があるなどの症状がみられたら、小児科を受診した方が良いでしょう。発疹の他に、咳や下痢、目の充血などがないか観察し、診察のときに赤ちゃんの様子や変化を医師に伝えるようにしてください。

もし、授乳後に初めての発疹で、小児科か皮膚科を迷った場合は、まずは小児科を受診して大丈夫です。小児科にしても皮膚科にしても、赤ちゃんの様態をしっかり診てくれます。受診した科の医師が、他の科を受診した方が良いと判断をすれば、紹介状を書いてくれるなど、他の医療機関をすすめてくれるので安心してください。

ママが気になることは、医師に相談して不安を解消していきましょう。

時間外でも受診すべき症状

発疹の原因がアレルギーによる場合、「皮膚の異常+粘膜の異常」や「皮膚の異常+呼吸器の異常」など、アナフィラキシーショックという複数もの異常がみられることがあります。

また、急激な血圧の低下から意識を失うショック症状をおこした場合は、早急な対処が必要です。迷わず救急車を呼び、医師や救急隊員の指示にしたがいましょう。

アナフィラキシーショックをおこし、意識を失うと、生命に危険をおよぼすことがあります。また、時間が経つほど、さまざまな後遺症が残る可能性があります。

赤ちゃんが意識を失うと、ママは慌てずにはいられないでしょう。しかし、そういうときほど冷静な判断が必要だということを頭にいれておくと、いざというときに素早い対処ができるはずですよ。

アトピー性皮膚炎の可能性は?

アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは、生後1ヶ月~2ヶ月頃から湿疹がみられるという医師もいます。最初は頭部や顔に湿疹がみられ、次第に身体の下部に湿疹が広がるようです。

しかし、授乳後に赤ちゃんに発疹がみられたからといって、必ずしもアトピー性皮膚炎とは言い切れません。むしろ、この時点ではアトピー性皮膚炎と断定せずに、経過観察を行う医師が多いようです。

一度、乳児湿疹と診断を受けても、徐々に皮膚トラブルがひどくなるようであれば、医療機関を変えても良いかもしれません。アトピー性皮膚炎の疑いがある場合は、皮膚科か小児アレルギー科を受診すると良いでしょう。

乳児湿疹にしてもアトピー性皮膚炎にしても、赤ちゃんにとって、とてもかゆい症状といわれています。赤ちゃんの状態をみながら受診する科を変えてみるなど、さまざまな選択ができると良いですね。

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の違いは?

乳児期に、乳児湿疹とアトピー性皮膚炎を見分けるのは、医師でも難しいようです。乳児湿疹とは、新生児から乳幼児期までに、皮膚が赤くなったりポツポツと発疹が見られたりする肌トラブルのことを言います。

一方、アトピー性皮膚炎は、湿疹が首や身体、耳の付け根やひざの裏などの皮膚がカサカサと乾燥したり、切れて流血したりなどの症状が反復します。また、目の周りに赤みが増すと、アトピー性皮膚炎を疑う医師もいるでしょう。アトピー性皮膚炎と診断するには、このような症状が続くことが条件となります。

赤ちゃんの皮膚のトラブルは、場合によっては大人でも耐えられないほどのかゆみをともなうことがあるようです。医療機関を受診したら、医師から処方された薬を決められた期間に使い切ることが大切ですよ。

授乳後に発疹がみられたときの対応策

授乳後に赤ちゃんに異変がみられたとき、どのような対処をして良いかわからないママも多いようです。湿疹や蕁麻疹がみられたり、呼吸が苦しそうだったりしたときは、どのよな対処が必要なのでしょうか。

赤ちゃんの様子をみる

授乳後に赤ちゃんに異変がみられたときは、ひとまず赤ちゃんの様子をしっかりと観察しましょう。おっぱいを飲むことで体温が上がり、普段であれば目立たなかった湿疹が浮き上がることがあります。

しばらくして治まるようであれば、赤ちゃんの体温が上昇して、皮膚に赤みが増したことが原因と考えられます。その際に、赤ちゃんの機嫌が悪くないか、発熱がないかなど、発疹以外の症状も観察できると良いですね。

小児科・皮膚科を受診

授乳後に赤ちゃんに発疹がみられ、しばらくしても症状が治まらなかったりひどくなったりするようであれば、アトピー性皮膚炎やアレルギーの可能性があります。

迷わず小児科や皮膚科・小児アレルギー科を受診しましょう。

授乳期に食事制限は必要?

一般的に、赤ちゃんに赤く発疹が現れたり、呼吸が苦しそうだったりと異変がない限りは、授乳期の食事制限は必要ないとされています。

しかし、昔から日本では和食中心の食事が良いといわれています。厚生労働省が作成した「妊産婦のための食事バランスガイド」によると、産後は、主食を中心とした食事でエネルギーを補給し、栄養バランスのとれた食事を心がけるようにと記載されています。

また、母乳を出すために水分が失われやすいので水分補給をしっかり行い、ママの身体の健康を維持できる食生活をおくれると良いですね。

赤ちゃんのスキンケア

日ごろのスキンケア

授乳後の赤ちゃんの発疹は、成長とともに徐々に治まることが多いとされています。また、新生児のときは授乳後に発疹がみられたとしても、月齢が上がるとともに症状が落ち着くこともあるでしょう。

乳児期の肌トラブルを予防するためにも、保湿は大切です。入浴のときに赤ちゃん用の刺激の少ない石鹸をよく泡立てて洗い、入浴後は、皮膚の乾燥を防ぐためにしっかりと保湿をしてあげましょう。

また、理化学研究所は、アトピー性皮膚炎発症のメカニズムに、ワセリンを塗ることで発症を予防できる可能性があることを発表しています。

赤ちゃんの肌は、ふわふわしているようでも乾燥しがちで、皮膚のバリアが未熟です。保湿をして、肌の健康状態を保ってあげられると良いですね。

発疹がみられたときのスキンケア

赤ちゃんに発疹がみられた場合は、まずは小児科や皮膚科を受診することが大切です。また、発疹以外に、呼吸の異常や下痢や嘔吐などのアレルギー症状がみられた場合は、小児アレルギー科も視野に入れて受診しましょう。

発疹がある場合は、日ごろのスキンケアに加えて、医療機関で処方された薬を塗布しましょう。発疹の状態によって、治療内容が変わることがありますが、まずは、非ステロイド系軟膏が処方されることが多いようです。

また、赤ちゃんに発疹がみられる場合は、定期的に受診をして、赤ちゃんの肌状態を安定させることが大切ですよ。

授乳後の赤ちゃんの変化を見逃さないようにしよう

授乳後に、赤ちゃんに赤いポツポツとした発疹がみられると、ママの食事が影響しているのではないかと心配になりますよね。

ママの食事が母乳に影響をおよぼすのは、ほんのわずかとされています。しかし、赤ちゃんの体質や状態によって、アレルギーなどの症状が現れやすいことがあるので、授乳後に発疹が出た場合は、赤ちゃんの様子を見て、受診のタイミングを見逃さないようにしましょう。

また、授乳後の赤ちゃんに異常がみられない場合は、ママは特別な食事制限は必要ないとされています。授乳期は食べ物に気を使う時期ですが、できるだけママのストレスを減らした食生活を送ることができると良いですね。