乳幼児突然死症候群(SIDS)とは?原因や前兆、予防法はある?

元気な赤ちゃんが突然、何の予兆もなく亡くなってしまう乳幼児突然死症候群(SIDS)という原因不明の病気があります。毎年日本では100人前後の乳児(0歳児)が死亡しているSIDSを予防することはできるのでしょうか。SIDSの発症リスクを減らすためのポイントやその他の睡眠中の事故を防止するための対策を紹介します。

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この記事の監修

千葉 智子
小児科医
千葉 智子

目次

  1. 乳幼児突然死症候群(SIDS)とは
  2. 乳幼児突然死症候群(SIDS)に前兆はある?
  3. 乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因
  4. 乳幼児突然死症候群(SIDS)は予防できる?
  5. 睡眠中の赤ちゃんの死亡を防ごう!ここにも注意
  6. 乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを減らすために
  7. あわせて読みたい

乳幼児突然死症候群(SIDS)とは

突然死にいたる、原因不明の病気

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、元気に育っていた赤ちゃんが何の前兆や病歴がないにも関わらず、突然死にいたる病気です。減少傾向ではありますが、日本では毎年約100人ほど(※1)の赤ちゃんが乳幼児突然死症候群によって亡くなっています。乳児(0歳)の死亡原因としては、平成29年に第4位(※2)となっています。

赤ちゃんが睡眠中に亡くなる原因には、他に生まれつきの病気や窒息事故などがあげられます。できる限りの対策を行い、乳幼児突然死症候群をはじめとした睡眠中の危険から赤ちゃんを守ってあげたいですね。

乳幼児突然死症候群(SIDS)が起こりやすい時期

乳幼児突然死症候群は、主に睡眠中に起こります。生後2~6ヶ月頃(※3)の赤ちゃんに特に多く、まれに1歳以上の子どもでも発症する場合があります。

寒い冬の時期に発症する傾向が高いため、厚生労働省は平成11年から11月を「乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策強化月間」として啓蒙活動を行なっています。

乳幼児突然死症候群(SIDS)に前兆はある?

予兆や既往歴(過去の病気や怪我の経験)がないにも関わらず、乳幼児が突然死にいたるのが乳幼児突然死症候群(SIDS)です。このため乳幼児突然死症候群を発症する前の兆候は、ないといわれています。未然に防ぐことができれば良いですが、現段階では残念ながら難しいようです。

乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因

乳幼児突然死症候群の原因をつきとめようと、多くの研究者が日々努力をしています。しかし残念ながら今のところ断定できるような原因はまだつかめていない状態で、予防方法も確立していません。

原因がわからないことから、「怖い」「心配で眠れない」といったママの声は少なくありません。しかしポイントを守れば、乳幼児突然死症候群の発症率が低くなるというデータがあります。乳幼児突然死症候群に対して不安を抱えるママは多いでしょうが、過度に神経質になることはありません。まずはポイントを抑えて、発症リスクを低くしましょう。

乳幼児突然死症候群(SIDS)は予防できる?

乳幼児突然死症候群は、原因がはっきりわかっておらず、前兆を見抜くことが難しいのが現状です。しかし、育児をする上で3つのポイントを守れば、SIDSの発症リスクを減らすことができるというデータが得られています。

【ポイント1】あおむけに寝かせる

赤ちゃんをうつ伏せで寝かせていたときのほうが、乳幼児突然死症候群が引き起こされていることがわかっています。医学的な理由で医師からうつぶせ寝を指示されている場合以外では、窒息事故を防止するためにも、1歳まではおあむけに寝かせましょう。

【ポイント2】タバコをやめる

乳幼児突然死症候群のリスクを減らすために、赤ちゃんのそばでタバコを吸うことはやめましょう。妊娠中の喫煙でもお腹の中の赤ちゃんの呼吸中枢に悪影響があることがわかっています。ママやパパだけでなく、身近な人たちの協力も必要です。

【ポイント3】なるべく母乳育児をする

ミルクが乳幼児突然死症候群の危険因子というわけではありません。しかし母乳で育てられている赤ちゃんのほうが乳幼児突然死症候群の発症率が低いということが調査からわかっています。可能な範囲で母乳育児に挑戦してみましょう。

睡眠中の赤ちゃんの死亡を防ごう!ここにも注意

乳幼児突然死症候群だけではなく、窒息などによる睡眠中の赤ちゃんの死亡事故も発生しています。乳幼児突然死症候群以外でも、安全対策は不可欠です。

口をふさがれないように寝床を整える

うつぶせになり、やわらかい寝具に埋もれると窒息事故につながる可能性があります。このため赤ちゃんを寝かせるマットレスや敷布団はかたいものを使用しましょう。また、口をふさがれないように枕や掛け布団、タオルケット、ぬいぐるみなどにも注意が必要です。

赤ちゃんをひとりにしない

ママにとって赤ちゃんが寝ているあいだに家事をしたり、少しゆっくりしたりするママは多いですよね。しかし、よく寝ているからといって赤ちゃんをずっとひとりにするのは危険です。赤ちゃんが寝ている間の外出は避け、何かあったらすぐ対応できるように赤ちゃんの様子を定期的に確認してくださいね。

できればベビーベッドで寝かせる

赤ちゃんと同じ部屋で寝ることは望ましいですが、添い寝のまま赤ちゃんと大人が一緒に寝てしまうのは危険です。意図せず身体の一部で赤ちゃんを圧迫してしまう可能性があるため、できるだけベビーベッド(ベビー布団)に寝かせましょう。

暖めすぎ・冷やしすぎにも注意

赤ちゃんに厚着をさせたり、重い寝具をかけたりしたまま寝かせるのは危険です。同様にクーラーで極端に室温を下げたり薄着のまま寝かせたりすると風邪をひいてしまうかもしれません。暖めすぎ・冷やしすぎには注意しましょう。暑い・寒い場合には、室温・湿度も調整してくださいね。

寝室の壁とのすき間はなくそう

就寝中にベッドと壁のあいだに顔や頭が挟まってしまう場合があります。大人用ベッドは避け、なるべくベビーベッド(ベビー布団)に寝かせたほうが安全です。

乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを減らすために

毎年多くの赤ちゃんが命を落としているにも関わらず、いまだに乳幼児突然死症候群の原因は明らかになっていません。前兆がないことから未然に防ぐことはなかなか難しいかもしれませんが、発症リスクを減らすための対策を行うことはできます。乳幼児突然死症候群のリスクから我が子を守るために、日ごろの赤ちゃんとの生活を見直しましょう。

また乳幼児突然死症候群は1歳未満の乳児を中心に発生する病気ですが、事故防止の観点ではいつまで対策を行えばよいといった基準はありません。我が子の発達に合わせて定期的に対策を見直し、事故もあわせて防いでいきたいですね。

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