【小児科医監修】幼児のインフルエンザ!治療薬は服用しても良い?症状や対策方法
肌寒くなってくると、気を付けたいのがインフルエンザですよね。もしも自分の子どもがかかってしまったら、何に気を付ければ良いのか知っておきたいですね。ここでは、子どもの予防接種やインフルエンザ治療薬の服用、インフルエンザにかかってしまったときの食事、気を付けたい合併症、出席停止などについて小児科医監修で解説します。
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この記事の監修
目次
子どものインフルエンザの症状
インフルエンザとは、風邪の病原体とは違う「インフルエンザウイルス」に感染することによって起こる病気です。
通常の風邪との違いは、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感、食欲不振などの全身症状が強く現れることです。この全身症状の後に、通常の風邪と同じようにのどの痛み、鼻汁、咳などの症状がみられる傾向にあります。
通常の風邪によく似た症状だからといって放置してしまうと、重症化してしまうこともあります。子どもが重症化すると肺炎になったり、まれに急性脳症を引き起こしたりすることがあります。また新型コロナウイルスと初期症状が似ているので注意が必要です。
正しい判断ができるように、インフルエンザの特徴について知っておきましよう。
予防接種は何歳から?1歳児でも効果はある?
幼児のインフエルエンザワクチンの有効性に関してはさまざまな意見がありますが、おおむね20~60%の発病防止効果があったと報告されています(※1)。
大人と同様に感染を完全に阻止する効果はないものの、インフルエンザの発症を予防することや、発症後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。発症後の重症化を防ぐためにも、予防接種をしたほうが無難といえるでしょう。
乳児の予防接種の必要性にはさまざまな見解があるようですが、予防接種を推奨する医療機関がほとんどです。特に保育園など集団生活に参加している赤ちゃんには、インフルエンザの予防接種をすすめています。
2024/25シーズンからは、従来の不活化インフルエンHAザワクチンに加えて経鼻弱毒性生インフルエンザワクチンの接種が始まります。不活化ワクチンは生後6ヶ月から接種可能ですが、経鼻ワクチンの接種が認められているのはは2歳~18歳までです。
子どもへの抗インフルエンザ薬の服用
幼児に抗インフルエンザ薬は使える?
日本小児科学会では、1〜4歳までの幼児、5歳~9歳の小児(日本小児学会による区分)のインフルエンザ治療には、タミフルの使用が推奨されています。他にも吸入するリレンザやイナビルがありますが、幼児でも服用しやすい経口薬のタミフルが処方されることが多いでしょう。
※ 1歳未満の新生児・乳児へのタミフル投与に関する安全性のデータが蓄積されてきており、タミフルの投与が可能であるとされています。(2016年11月24日より保険適用対象)
幼児には処方しないケースもある?
インフルエンザは自然治癒する疾患でもあるため、年齢を問わず抗インフルエンザ薬の投与は必須というわけではありません。
薬の副作用といったリスクを回避するためにも、医師によっては抗インフルエンザ薬を処方しないケースもあります。抗インフルエンザ薬に限らず、薬の服用にはリスクもあることを理解し、医師に症状をしっかりと伝え、わからないことは必ず質問するようにしましょう。診察内容に不安な点がある場合、セカンドオピニオンを求めることもひとつの方法です。
ただし、タミフルなどの抗インフルエンザ薬は発症から48時間以上たってからの服用では効果が低いという研究結果があります。セカンドオピニオンを受けるときも、発症から48時間以内におこなうほうが良いでしょう。
解熱剤は使って良い?
子どもが高熱を出していると、心配になってしまいますよね。しかし医師の診断なしに解熱剤を使ってしまうと、薬の種類によっては脳症などの合併症をおこす可能性があるといわれています。少量でも自己判断で使用することはやめましょう。解熱剤の使用に関しては、医師の指導をよく聞いて服用させるようにしてください。
異常行動に注意!
抗インフルエンザ薬の服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザの症状自体に現れる場合があるといわれています。インフルエンザに感染して自宅で療養をおこなう場合には、医薬品の服用の有無にかかわらず、少なくとも発症から2日間、保護者は小児・未成年者をひとりにしないよう注意喚起がされています。
上手な薬の飲ませ方
子どもは薬のにおいや苦みに慣れず、吐き出してしまうこともあるかもしれません。水でといたり、甘いものに混ぜたりする方法もありますよね。多くの薬局や医療機関では子どもが薬を上手に飲めるようにアドバイスをしてくれるので、気になることがあれば聞いてみるのも良いでしょう。
子どもがインフルエンザになったら
十分な水分補給を
まずは水分を十分に補給することを心がけましょう。インフルエンザになると発熱や下痢などにより、体内の多くの水分が失われます。脱水症にならないように、こまめに水分補給をしましょう。
インフルエンザに感染しているあいだは、水分だけでなくナトリウムなどの電解質も失われます。そこで、水分補給には経口補水液やスポーツ飲料がおすすめです。これらには電解質が含まれているので、水分と一緒に失われた成分を補うことができます。子どもがスポーツ飲料を飲む場合には、水かお湯で2~3倍に薄めて飲ませるようにすると良いようです。
症状にあわせた食べ物を
食欲が戻ってきたら、少しずつ栄養のあるものを摂取するようにしましょう。インフルエンザは、感染したインフルエンザの種類やその段階によって異なる症状が出る傾向にあります。そのときにあった食事をとることで、適切に身体を回復させましょう。
子どもは特に、発熱や嘔吐などでつらく、食事がうまくできないときもあるかもしれません。食欲がわかないときなどは無理に食事をする必要はありません。
無理に食べると吐き出してしまうこともあり、子どもが食事をつらく感じてなかなか食べなくなってしまうこともあるようです。刺激物を避けながら、食べられるものから徐々に食べさせてあげましょう。
温度調節
熱の出始めは寒く感じることがあります。寒がっている場合は衣類などで身体を温めてあげましょう。熱が上がりきって汗が出てきたら、こまめに着替えさせ、汗で冷えないようにしてあげましょう。このときにも、水分をしっかり補給し脱水症状にならないように気を付けてください。室温は23〜25℃が適温とされていますが、子どもの様子を見ながら、調整をしてあげてくださいね。
湿度調整
適切な湿度は50~60%といわれています。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使うのも良いでしょう。空気が乾燥すると喉の粘膜の防御機能が低下し、看病しているママやパパもインフルエンザにかかりやすくなってしまいます。二次感染には十分気を付けましょう。
手洗い、うがい
手洗いによって手指についたウイルスを取り除きましょう。また、洗顔にも感染予防の効果があるといわれています。手洗いうがいとあわせて実施してみてくださいね。
換気をする
ときどき窓を開けて換気をするように心がけてください。換気がされていないと空気中の飛沫などが濃縮し、インフルエンザウイルスが空気感染しやすくなるようです。二次感染を防ぐためにも定期的に窓を開けましょう。
子どもはインフルエンザの合併症に注意!
インフルエンザ脳症
乳幼児が発症しやすいインフルエンザの合併症のひとつが、インフルエンザ脳症です。身体の自己防衛作用が過剰に反応し、かえって脳を傷つけてしまうという病気です。発熱から24時間以内に発症することが多いため、インフルエンザ検査の結果が出る前に発症することもあります。
症状としては次の通りです。
・意識障害(ボーっとする、目の焦点が合わない、呼びかけに反応しない)
・異常行動(何かを怖がる、目の前にいるママを探す)
・激しい嘔吐(頻度はまれです)
このあと、痙攣(けいれん)が出た場合には、すぐに医師の診察を受けましょう。
※10分以上の痙攣が続く場合は、ためらわずに救急車を呼んで病院に行くようにしましょう。
インフルエンザ脳症は、悪化すると後遺症が残ったり、最悪の場合死に至ったりするケースもあります。少しでもいつもと様子が違うと感じるようなことがあれば、嘔吐や痙攣がなくても早めに受診をしてくださいね。
熱性痙攣(けいれん)
熱性痙攣は、インフルエンザではなくても38℃以上の熱が出た乳幼児10人のうち1人が発症するといわれています。特に1歳前後~2歳の幼児の発症率が高く、注意が必要でしょう。
熱の出始めから24時間以内に熱性痙攣は起こることが多く、2~3分で収まることがほとんどのようです。痙攣の様子としては次のようなものです。
・白目をむいて手足を突っ張らせ、びくびくとする
・眠っているときにびくびくと震えが続く
・びくびくっと顔が震える程度だが、何度も繰り返す
※痙攣のような震えが10分以上続くときは速やかに救急車を呼びましょう。
※受診や救急車を呼ぶ際には、インフルエンザ脳症発症の疑いもないかを振り返って、その可能性も含め病状を説明するようにしましょう。
肺炎
肺炎はインフルエンザの合併症のなかでもかかりやすい病気のひとつです。子どもが肺炎を起こすと、数時間で重症化してしまうこともあるため注意が必要です。
症状としては次の通りです。
・痰が絡み身体が大きく揺れるほどの咳を繰り返す
・咳を繰り返し息苦しい
この症状がある場合はすぐに受診をしましょう。
大きな咳が出ているときは身体を横にしていると呼吸がしづらい場合があります。無理のない程度に上体を起こしたり縦向きに抱っこをしたりして、呼吸がしやすいよう工夫をしてあげてください。
中耳炎
インフルエンザの高熱が出た後に、中耳炎を発症する子どもも多いようです。症状は次の通りです。
・耳に触れると痛がる
・耳を引っ張ろうとする
・耳から変なにおいがする
インフルエンザで幼稚園や学校はいつから行ける?
インフルエンザにかかると、学校保健法や厚生労働省の保健所の感染症対策ガイドラインで、一定期間の出席を禁止するように定められています。インフルエンザによる出席停止期間は、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで 」とされています。
インフルエンザの流行時期
インフルエンザシーズンはその年の第36週から翌年の35週までのあいだで、2024/25シーズンは2024年9月2日~2025年8月31日までになります。
インフルエンザは11月末ごろから報告数が増えはじめ、1月ごろにピークを迎えます。近年は新型コロナとの同時流行の可能性も懸念されているため、引き続き感染症対策をとるようにしましょう。
周りにも協力を得ながら看病を
大人でもかかってしまうととてもつらいインフルエンザ。自分の子どもがかかってしまったら、さまざまなことが心配でならないかもしれません。特に子どもはインフルエンザにかかってしまうと、大人よりも重症化するリスクが高いといわれています。
何に気を付ければ良いか知っておくと、安心しながら看病ができますね。ママだけが無理をせず家族にも協力してもらいながら、ひとつずつ焦らずに対応をしましょう。
※この記事は2024年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。