【保育園の先生にインタビューvol.2】1~2歳児がごはんを食べないで困る!保育園での対処法のコツを教えて!!

離乳食の時期を過ぎても、なかなかごはんを食べない子どもがいます。あの手この手を尽くしても子どもが食べてくれないと、本当に困ってしまいますよね。食べない子に食事を好きになってもらうためには、どのような工夫をすれば良いのでしょうか。今回は、食べない子への接し方のコツについて、保育園の園長先生にお話を伺いました。

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目次

  1. 1~2歳になると「食べない子」が増える
  2. 食べない子への接し方
  3. 食べない子に食べてもらう5つの工夫
  4. その子の好きなもの探しをしてあげて!
  5. あわせて読みたい

子どもの食が細かったり好き嫌いが多かったりと、子どもが食べないことに悩むママやパパは多いようです。横浜市で長年保育に携わってこられた「のぞみ山手駅前保育室」の鈴木幸代園長先生に、1~2歳児がごはんを食べないときの対処法のコツを教えていただきました。

【鈴木幸代先生 プロフィール】
1955年福岡生まれ。1976年に香蘭女子短期大学の保育科を卒業後、横浜市の保育園や養護施設に勤務。3児の子育てのために一時退職後、横浜市母子寡婦福祉会で母子相談員としての勤務を経て、2003年に横浜保育室(横浜市独自の基準で運営される認可外保育園)「のぞみ山手駅前保育室」の園長に就任。毎年0~2歳児のお子さんを愛情いっぱい育てています。

1~2歳になると「食べない子」が増える

読者の中には、1~2歳の子どもが食べないことに悩んでいる方が多いようです。



食べない子、いますよね。保育園でも「この子が食べなくて困った~」ということが、すごくあります。ただ、あるとき突然食べるようになることもあるんですよ。「え、このあいだまで全然食べなかったのに…」なんていうこともよくあります。

保育園では、0歳児は比較的なんでもパクパク食べられるのですが、1歳児になってくると好き嫌いが出てくるお子さんが多いですね。月齢が高ければ高いほど、味覚が発達してきて「これちょっと食べたくない」という意思が出てきます。「おみそ汁の具はイヤ」「緑の野菜は絶対イヤ」なんて言いながら、ポイッポイッと床に食材を落とすお子さんもいますよ。

食べない子への接し方

食べない子を見守ってあげることが大切

保育園では、食べない子にどのように接しているのですか?

お子さんに食べられる喜びを伝える工夫をしながらも、そのお子さんのペースを見守ってあげるようにしています。

たとえば、以前うちの保育園に通っていたお子さんで、本当に白いご飯しか食べないお子さんがいました。ずっとおかずを食べられなくて、ご飯は食べるけど、ほかは何も食べない。私たちも「どうしよう、どうしよう」と悩みました。ママやパパに聞いてみたところ、おうちでも本当に好きなものしか食べないらしくて。

でも痩せてしまっているわけではないし、まぁ本人がそれで良いなら、しばらくそれで様子を見ようということになりました。お子さんにも、「じゃあ、良いよ。ごはん食べて、もし食べられるものがあったら食べる?」というスタンスで接していましたよ。お子さん自身が食べるようになるのを我慢強く見守れるかが大切だと思います。

食べることを無理強いしないことも大切

子どもが食べないと、お腹は空かないか心配になります。

本当にこれしか食べないって子いますからね。保育園でも、ご飯だけでも食べてくれれば、多少なりともお腹に何か入ってくれれば、お昼寝もできるんです。でも、まったく食べてくれないと、お腹が空いてお昼寝もできないんですよね。そこを「少しでも良いから食べてみようね」と、なんとか工夫して少しだけでも食べてもらうようにしています。

ただ無理強いはしないし、無理やり口にいれるようなことは絶対にしません。たとえば、牛乳を飲めない子がいても良いじゃないかと思っています。牛乳を飲めなくても、死ぬわけじゃないですしね。

そんな子には、たとえばコップの底が見えるくらい、本当にちょっとだけコップに牛乳を入れて。その少量の牛乳がなくなったら「飲めたね!」って言ってあげて、また次へ少しずつでも量が増えていけば良いのかなって思っています。これは牛乳だけではなく、すべての食材に言えることですね。

食べない子に食べてもらう5つの工夫

1.食べられたという経験をさせてあげる

食べない子に少しでも食べてもらうために、保育園でしている対策を教えてください。

保育園の給食は、それぞれの年齢に合わせて食事の規定量が決まっていて、基本的にはその量をお子さんのお皿に盛ります。ですが、食べない子には、いったん規定量の半分くらいをお皿に持って出すようにし、それが食べられたらおかわりをさせるようにしています。

普段食べない子がお皿の上のものを食べきって、おかわりをすると「すごいね~!!!」とみんなでほめます。先生の中にほめ上手な人がいて、すごく盛り上げてくれるんですよ。そうやって、ちょっとでも食べられた経験をすると、子どもの喜びにつながります。食べられた喜びをいかに味わえるかで次のステップが見えてくるのですが、なかなかそれが遠いんですよね。

2.食べるきっかけを作ってあげる

特定のもの、たとえば緑の野菜を食べない子に対しての工夫はありますか?

食べない子でも「これだったら食べるかもしれないというもの」を探してあげてみてはいかがでしょうか。もしお子さんが一回食べなかったとしても「この子無理だわ、緑のものはやっぱり駄目なんだわ」ではなくて、緑の野菜もこれだったら食べるかもしれないというものを探し当ててあげることもひとつだと思います。

たとえば、ブロッコリーが食べられなかったお子さんに、ブロッコリーを小さくして「ブロッコリーの赤ちゃん」って食べさせたことがあります。それで一度食べられたら、その後は形のあるブロッコリーでも食べられるようになって。ちょっとしたきっかけをどう大人が作ってあげられるかですよね。

3.おいしく食べられるように調理を工夫する

保育園の給食のメニューで気をつけていることはありますか?

やはり、おいしく食べられることが大切だと思います。おいしい食事を口にする。食に満足できる。「これおいしいよね」という言葉が自然に出るような給食を提供したいと考えています。

味覚は3歳ぐらいまで、最終的には7歳くらいまでにできあがるといわれることがありますよね。それまでに食べた物は量よりも質と言いますか、ただ食べれば良いってわけではないかもしれないと思っています。

食材選びで気をつけていることは?

うちの保育園の栄養士は、おうちでは食卓にのぼらなくなってきたような日本の伝統的な副菜、白和えや切り干し大根の煮つけなど、ちょっと面倒だなと思うようなものを意識して給食で提供してくれています。

ゴマ和えなどは、お子さんたちも大好きですよ。好きなゴマ和えであれば食材をちょっと変えても食べてくれます。切り干し大根も、煮つけだけでなくサラダにしてみるなど、工夫していますね。一つひとつの食材を大事に取り組むと、先生たちも食べておいしいから、自然に給食の時間に「おいしいよね」という言葉が出てくるんですよね。

ただ、ママが嫌いなものは食卓にのぼらないというのは普通のことだと思います。ママも頑張ればって思われるかもしれないけど、嫌いなものは嫌いですよね。そこは、ママの嫌いなものに代わる何かをお子さんに食べさせてあげれば良いのではないでしょうか。そこは柔軟性を持ってね。情報はいっぱいあるから、それを我が家風にどうアレンジするかだと思います。

調理方法で気をつけていることはありますか?

たとえば、お子さんが嫌いな食材は小さく刻むというのは代表的なやり方ですよね。ただ、小さく刻んでもわかる子はわかりますよ。そうやってわかることも大事です。子どもの味覚は敏感なので、とにかく大人が頭を使うしかないですね。

保育園の給食ではときどき鶏のレバーを使います。煮込みハンバーグにする、ミートボールにする、揚げるなど、お子さんが好きな食べ方を探しています。どうやったら子どもの「好き」が増えていくかです。「この子はこれが嫌いなのよね」というマイナスばかりではなくて、プラスのところにいかに突き詰めて考えてあげられるかではないでしょうか。

4.一緒に食卓を囲む

ごはんを食べるときに気をつけることはありますか?



おうちの食事でも楽しい雰囲気を味わえると良いと思います。ママと一緒、パパと一緒、みんなで食べるからおいしいというのが理想的ですよね。ただ、本当は家族みんなで食卓を囲めると良いですけど、それもなかなか現実的には難しいところはありますよね。

最近はお子さんとママとふたりで食事というご家庭が多いかもしれません。それでもお子さんをひとりでテーブルに座らせるのではなく、一緒に食べる空間を共有するというのは大切だと思いますよ。

5.一緒に料理を作ってみる

食卓以外での工夫はありますか?

保育園では2歳児からクッキングの時間があります。一緒に作ることで、食べることへの意欲、興味が持てるんですよね。

うちの保育園は0~2歳児のみの保育園なので、まだお料理なんてできないと思われがちです。ですが、小さいからできる、小さくても楽しめるというところを大切にして、何だったらできるのだろうって考えています。来週もお子さんたちと一緒にお団子を作るんですよ。

実際にお料理をしている子どもの反応はどのような感じですか?

春に保育園で希望するご家庭を集めて、味噌づくり会を開催しました。そのときに味噌づくりに参加した当時1歳の男の子ふたりは、2歳になった今では本当に食に興味がありますね。ごっこ遊びをしていても、ほかのお友だちよりも食事づくりに興味を持っているのがわかります。本当にこの子たち食べるのが好きなんだろうなぁって。

この子たちは家でもママやパパと一緒にお料理をしているみたいですね。そういう刺激を大人が与えてあげられて、お子さんがちゃんと受け止められていたのかなと思います。

ご家庭でも、ママやパパに余裕があるときに、一緒にお料理をしてみると良いかもしれませんよ。一緒に作る楽しみから、食べる楽しみにつながるのではないでしょうか。

その子の好きなもの探しをしてあげて!

貴重なお話をありがとうございます。最後に、子どもが食べないで困っているママやパパに気をつけて欲しいことはありますか?

とにかく「食べることが楽しい」ということが大切だなと思います。食べない子であっても、何がなんでも全部嫌いってわけではないはずです。好きなものを食べさせるようにすると、食卓がお子さんの好きなものばっかりになっちゃうかもしれません。それでも、まずは好きなものを食べることで食事が楽しい時間になれば、好きなものが少しずつ増えていくかもしれません。

お子さんが好きなものは何か、お子さんと一緒に探してみてあげてくださいね。

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