【保育園の先生にインタビューvol.1】赤ちゃんの生活リズムの整え方・寝かしつけのコツは?

赤ちゃんをなかなか寝かしつけられなかったり、うまく生活リズムを作ってあげられなかったりして悩むことはありませんか。子どもの基本的な生活リズムや寝ない子の対応方法のコツを知ると、毎日の寝かしつけが少し楽になるかもしれません。今回は、0~2歳児の寝かしつけや生活リズムについて、保育園の園長先生にお話を伺いました。

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目次

  1. 赤ちゃんの生活リズム・睡眠リズムの整え方
  2. 子どもを上手に寝かしつけける方法
  3. 寝ない子への対応方法
  4. 子どもの生活リズムをつけるうえでの心構え
  5. あわせて読みたい

小さな子どもがなかなか寝なかったり、生活リズムが整わずに悩んでいるママやパパは多いようです。横浜市で長年保育に携わってこられた「のぞみ山手駅前保育室」の鈴木幸代園長先生に、0~2歳児の生活リズムや寝かしつけの方法についてお話を伺ってきました。

【鈴木幸代先生 プロフィール】
1955年福岡生まれ。1976年に香蘭女子短期大学の保育科を卒業後、横浜市の保育園や養護施設に勤務。3児の子育てのために一時退職後、横浜市母子寡婦福祉会で母子相談員としての勤務を経て、2003年に横浜保育室(横浜市独自の基準で運営される認可外保育園)「のぞみ山手駅前保育室」の園長に就任。毎年0~2歳児のお子さんを愛情いっぱい育てています。

赤ちゃんの生活リズム・睡眠リズムの整え方

育児書などには「赤ちゃんの健やかな発育のために生活リズムを整えることが大切だ」と書かれています。しかし、0~2歳頃の小さな子どもを持つママやパパの中には、生活リズムをうまく整えられずに困っている方が多いようですが、どのようなことを心がければ良いでしょうか?

朝この時間に子どもを起こすためには、この時間に子どもを寝かせたほうが良い。そうわかっていても、それがなかなかうまくいかないというのが現実だと思います。その中で、いかにお子さんのペースを守ってあげるかが大切なことだと思いますが、なかなかそれは難しいですよね。

子どもにはそれぞれ必要な睡眠時間があります。一日の流れの中でしっかりお昼寝をしながら体力を温存したり補充したりすることは大切なことだと考えています。

ただ、保育園でも入園当初はなかなかうまく寝られなかったり、食事もとれなかったり、基本のリズムがつくまでに時間がかかるお子さんは多いですよ。そのような中で、少しずつ時間をかけてリズムを整えてあげることで、お子さんたちが子どもらしく一日の生活が送れるように心がけています。

赤ちゃんの基本的な生活・睡眠リズムは?

保育園の基本的な生活リズムはどのようなものですか?

基本的には、保育園に登園後9時半ごろにおやつを食べ、午前の活動を始めます。午前中は晴れていたらお散歩に、雨のときには室内でなるべく身体を動かして過ごしています。夏場は小さなプールを出して水遊びをすることも多いですね。

午前中しっかり活動してお腹がすいたら、11時半ごろから昼食です。お腹がいっぱいになったら歯を磨いてお昼寝の支度をします。お昼寝は12時半ごろ~15時ごろまで、たっぷりと睡眠をとっています。

15時前にお昼寝から子どもたちを起こし、15時ごろからおやつの時間です。そのあとはお迎えの時間まで園内で遊びます。歌を歌ったり、リズムに合わせて踊ったり、おままごとをしたり、制作をしたりと、お子さんが身体をたくさん動かして遊べるように工夫しています。

赤ちゃんや小さい子どもの生活リズムで気をつけること

特に0歳児~1歳児の赤ちゃんの生活リズムが整わないことに悩んでいるママやパパが多いようです。月齢の低い小さい子どものリズムで気をつけていることはありますか?

個々のお子さんのペースをできるだけ守るように気をつけています。たとえば、5時台に目が覚めてしまうようなお子さんと7時ごろに起きるお子さんでは、眠くなる時間も違います。保育園内で基本となるリズムは決めつつも、そのリズムを強制しないことも大切です。

たとえば、お昼寝前に子どもが眠くなってしまったときに、保育園ではどうしていますか?

お散歩のあと給食の前に眠くなってしまうお子さんの場合には、15分ほど軽くお昼寝をさせてあげると、お昼ご飯をスムーズに食べられるという場合があります。保育園入園したばかりの月齢の低い時期には、午前のおやつのあとに軽くひと寝入りさせてあげることもありますね。

眠くなるということは身体が睡眠を求めているということなので、それぞれのお子さんに合ったリズムになるべく合わせてあげるようにしています。15分くらい眠るだけでも、子どもの気分がちょっと変わりますよ。長く寝かせてしまうと、次のリズムに響いてしまいます。だいたい15~20分くらい寝かせてあげると、次のお昼寝に影響しないですよ。

子どもを上手に寝かしつけける方法

寝かしつけを焦らないことが大切!

赤ちゃんや子どもの寝かしつけがうまくいかずに悩んでいるママやパパは多いようです。保育園の先生方はどうしてあんなに上手に寝かしつけられるのですか?

経験もありますよ。保育士でも最初のうちは子どもをスムーズに寝かしつけられないものです。

一番は「早く寝てよ」と思わないことだと思います。「次にこれをしなければいけない」というときには「早く寝てよ」という気持ちがあるものですよね。すると、子どもはなかなか寝ないものです。

気持ちに余裕を持って「眠くなったら寝れば良いよ」というスタンスで、子どもと一緒にゴロゴロしながらおしゃべりをしてあげると、寝かしつけに成功することが多い気がします。たとえば、好きな食べ物の話をしながら一緒にゴロゴロします。すると、子どもの身体は睡眠を求めているのでだんだん眠くなるのです。

子どもに合ったトントンのリズムを見つけよう!

具体的な寝かしつけのコツはあるのですか?

寝かしつけのトントンのリズムにもコツがあります。そのお子さんによって速いリズム、ゆっくりのリズムが良いなど、合うリズムが違うのです。その子にとってのリズムをママやパパが見極めてあげると良いですよ。

私の場合には、キラキラ星の歌を口笛で吹きながらトントンすることが多いです。するとお子さんだけでなく、近くにいる保育士が寝てしまうこともあるんですよ。

なかには、子どもの呼吸に合わせて息を吹きかけてあげる方もいるみたいですね。お子さんにとっての心地良いタイミングを見つけてあげてくださいね。

入眠儀式に絵本やお話がおすすめ!

寝る前に絵本を読んであげるのは効果的ですか?

眠る前に絵本を読むことを習慣にしているご家庭は多いと思います。ただ、寝る前に絵本を読もうとすると、際限なく絵本を持ってきますよね、子どもって。なので「今日はこの1冊ね」などと声をかけてあげても良いですね。

素話(作り話)もおすすめです。私の子どものころの記憶ですが、母親に作り話(素話)をよくしてもらっていました。そのときの温かい思い出はなんとなく今でも覚えています。

絵本を読んであげても、すぐに子どもは忘れてしまうのではないかと思うかもしれませんが、きっと読んでもらっている記憶はどこかで蓄積されていると思います。本を読んであげることもお話をしてあげることも、きっとお子さんの気持ちに届いていますよ。

眠るときの環境づくり

保育園で子どもが寝るときの環境づくりで気をつけていらっしゃることはありますか?

まずカーテンをしめて、電気を消して眠れる環境を作るようにしています。テーブルを移動させてお布団を敷いて、その横で子どもたちは絵本を読んでもらいます。お布団に子どもたちが横になったら、保育士が一人ひとりのお子さんをトントンとしてあげています。

うちの保育園では、寝るまでのあいだ先生たちがそばにいるようにしています。ときには「この先生とでなきゃ寝たくない」という子もいるんですよね。そのときには、お子さんの要求になるべく応えたいと思っています。好きな先生がそばにいてくれるという安心感が、お子さんの安定した眠りにつながると思っています。

場所にも気をつけています。この子とこの子が隣同士など、だんだん同じ場所で同じメンバーで眠るようになるのです。同じ環境で眠るということを繰り返してあげることが、お子さんの安心・安定につながると思っています。もちろん心地良く眠れる温度や湿度を保てるように空調を整えることにも気をつけていますよ。

入園当初は30分しか眠れなかったお子さんが、少しずつ2時間~2時間半ぐっすり眠れるようになっていきます。安心して眠れる環境づくりは大切ですね。

そのほかに寝かしつけのアイデアはありますか?

保育園の保護者に話を聞くと、眠りの儀式を考えているという人も多いですね。たとえば、まるでキャンプのように、寝室でランタンをつけて絵本を読んで…と準備をしていくという話を聞いたこともありますよ。空間づくりをするのもひとつのアイデアですよね。

ママやパパが一緒に寝てしまう作戦も良いですよ。まぁ、ママやパパが寝ても平気で遊んでいるお子さんもいるんですけれどね…。それでも隣にママやパパが寝ている安心感から、そのうち寝る子が多いですよ。

寝ない子への対応方法

日中にしっかりと運動させる

1歳後半~2歳頃になると、子どもが夜なかなか寝ないことで困るママやパパが増えるようです。なかなか寝ない子どもにはどのように対応すれば良いでしょうか。

夜に寝ないお子さんの場合には、活動量が足りているか見直してあげることも大事なところではないでしょうか。保育園でも、お天気が悪くて一日中外に出られない日には、お昼寝の時間がずれこむことがあります。一日の流れの中で運動量・活動の質などを見直していけると良いですね。

大人も疲れたらぐっすり眠れるものです。理想は、子どもがいっぱい遊んでいっぱい食べてコテッと寝てくれること…そのためには、体力をしっかり使って一日を終われると良いですね。

小さいお子さんの場合にはそこまでハードな運動をするわけではないですが、しっかりと歩いてお散歩する、お散歩の距離を見直すなど、少しのところから始めてみてはいかがでしょうか。

たとえば、うちの2歳児クラスの子は、最近では往復50分~1時間かかる公園に歩いて散歩に行っています。公園ではどんぐりを拾って遊び、自分で拾ったどんぐりをしっかり握って帰ってきています。すると、みんな疲れているうえ気持ちも満足しているので、ぐっすり眠ってくれますよ。

寝られない理由を見つけてあげる

日中にしっかりと身体を動かしているのに眠れない場合もあるようです…

運動量が足りているのに寝られない場合には、「なんで寝られないのかな?」と考えてみることも良いかもしれません。運動の刺激不足とは逆に、興奮しすぎたり、嫌なことがあったり、ストレスを感じることがあったりするときにも、なかなか子どもは眠れないことがあるようです。

もしお子さんが心地良く眠りに入れないのであれば、今日一日を振り返りながら、理由を見つけてあげられると良いですね。

子どもが寝なくて困るのは誰?

子どもが寝てくれないときに気をつけることはありますか?

お子さんが寝ないときにいろいろやってみても、なかなかうまくできないものだと思います。ただ「子どもが寝なくて困るのは誰かな」と考えてみても良いかもしれません。

もちろん子どもにとってもしっかりと寝たほうが良いのですが、実は子どもが寝なくて困っているのはママやパパですよね。実際にママやパパも疲れているし、子どもに早く寝て欲しいですよね。

でも、「大人がこうして欲しいから子どもにこうしてよ」ではなく、できるだけ大人都合にならないようにしてあげて欲しいなと思います。そのためにも、どこで自分が「ま、いっか」という心境になれるかも大切なのではないかと思いますよ。

子どもの生活リズムをつけるうえでの心構え

貴重なお話をありがとうございます。ベースの生活リズムを意識しつつも、子どもの様子に合わせて調整してあげる、子どものリズムを探してあげることが大切なのですね。

必ずしも毎日カチッとプログラムに合わせて過ごさなくても大丈夫だと思いますよ。お子さんのその日の体調やママ自身のバイオリズムもありますよね。いかに折り合いをつけながら、できるだけ同じペースで生活できるかが大切なのではないでしょうか。「ここくらいまでは大丈夫かな」という自分の中での許容範囲を狭めないことも大切だと思います。

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