離乳食の食物アレルギー!症状や注意したい食材一覧!反応が出たらどうする?
離乳期にはさまざまな食材の味を教えてあげることが大切です。しかし、なかには赤ちゃんには控えたい食べ物や注意が必要な食材があるため、食材選びや調理方法は慎重に行うようにしましょう。ここでは、アレルギーの症状やリスクが高い食べ物、赤ちゃんにとって危険な食材、アレルギー反応が現れたときの対処法などをまとめて紹介します。
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目次
離乳食のアレルギーの症状や反応は?
離乳食を進めるにあたり、食べ物によるアレルギーの症状や反応を知っておくといざというときに対処しやすいでしょう。アレルギーの可能性がある食べ物を摂取したのち、2時間程度は赤ちゃんに下記の症状がないか様子をみてください。
皮膚や粘膜の症状:発疹やかゆみ
原因がある食材を食べた後に、皮膚や粘膜にアレルギー症状が現れるケースが多いとされています(※1)。なかには「アナフィラキシー」という、極めて短い時間のうちに全身にアレルギー症状が広がり生命の危険が伴うケースがあるということも視野に入れておかなくてはいけません。
少しでもアレルギー症状がみられたら赤ちゃんの様子を記録しておき、かかりつけの小児科を受診しましょう。
皮膚に出る主な症状 |
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口の周りから全身(あかみ・じんましん・腫れ・かゆみ・しゃく熱感・湿疹) |
粘膜で症状が出やすい部位 | 主な症状 |
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目 | 白目の充血・かゆみ・涙・まぶたの腫れ |
鼻 | 鼻水・鼻づまり・くしゃみ |
口の周り | 口の中や唇、舌のかゆみ・腫れ |
消化器の症状:下痢や腹痛
特定の食べ物を摂取したのち、腹痛や下痢など消化器に異常がみられた場合もアレルギーの疑いがあります。
消化器に出る主な症状 |
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嘔吐・腹痛・下痢・血便 |
呼吸器の症状:咳や息苦しさ
アレルギー症状は、呼吸器に影響をおよぼす場合もあります。呼吸がうまくできないと一刻を争うケースがあるため、あまりにも症状が重いときは救急車を呼ぶことも視野に入れておきましょう。
呼吸器に出る主な症状 |
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喉の違和感(かゆみ・声がかすれる・飲み込みにくい)・咳(「ゼーゼー」「ヒューヒュー」)・息苦しい・唇や爪が青白い・チアノーゼ(皮膚や粘膜が青黒い) |
全身の症状:ぐったりする・手足が冷たい
食事の後に赤ちゃんの元気がない場合も注意が必要です。明らかにぐったりしている場合は、アレルギーの可能性を考え早急に対処しましょう。
全身に出る主な症状 |
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頭痛・元気がない・ぐったりする・不機嫌・もうろうとする・尿や便を漏らす(失禁)・脈が速い・脈が不規則・手足が冷たい・唇や爪が白い |
食べた直後~数時間で症状が出ることが多い
比較的早い段階で症状が現れる即時型食物アレルギーは、原因のある食べ物を食べてから30分~1時間後が発症のピークとされています。アナフィラキシーのような重症でなければ半日以内に治まるケースがほとんどですが、離乳食を安全に進めるためにも少しでも症状がみられたらかかりつけの小児科を受診したほうが安心です。
「食べたもの」「症状が出た部位」「症状の程度」「症状が出た時間」などをわかる範囲で細かくチェックし、医師の指示をあおぎましょう。
離乳食で赤ちゃんにアレルギーが出やすい食材は?
消費者庁が規定する「食品表示基準」には、「特定原材料」が8品目と「特定原材料に準ずるもの」が20品目あります(※2)。赤ちゃんがさまざまな食材を初めて食べる離乳期にアレルギーが発症しやすいとされているため、下記の食材は慎重に与えていきましょう。
特定原材料
食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかになった食材の中でも、特に発症数が多く重症化しやすいものを「特定原材料」といいます。下記の8品目を初めて赤ちゃんに与える際は、特に慎重に進めるようにしましょう。
※2022年12月、特定原材料に「くるみ」が追加され、7品目から8品目に変更されました。
特定原材料(8品目) | アレルギーの特徴・注意点 |
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鶏卵 | 生後5~6ヶ月から固ゆでした卵黄を少量ずつ与えます。卵はアレルギーが強く出る食材のひとつです。卵黄と比較すると卵白のほうがより多くのアレルゲンを含むため注意が必要です。 |
牛乳・ヨーグルト(乳製品) | 乳製品に含まれるカゼインはアレルギーの原因となる物質です。加熱や発酵によっても減少しないため、牛乳、ヨーグルト、バターなどは慎重に与えましょう。 |
小麦粉 | パンやうどんなどは離乳食初期から食べられるので、むやみに恐れる必要はありません。しかし初めて与える際はしっかり加熱したものをごく少量としましょう。 |
そば | そばは激しいアレルギー反応を引き起こす食材のひとつです。明確な指標があるわけではありませんが、1歳半~2歳以降から与えましょう。そばをゆでた鍋などの調理器具にも注意を払い清潔に保つことが大切です。 |
エビ・カニ | 甲殻類アレルギーはじんましんやむくみ、皮膚症状があるほか、アナフィラキシーショックを引き起こすケースもあります。1歳以降から、しっかり加熱したものを少量ずつ与えましょう。 |
ピーナッツ(落花生) | ピーナッツは微量でも深刻なアレルギー反応を起こすことがあります。ピーナッツオイル、ピーナッツバターなどをはじめ、チョコレートやクッキーの原材料に含まれる場合もあり注意が必要です。 |
くるみ | くるみは近年症例数が急激に増加しており、新しく特定原材料に追加されました。お菓子や和え物などに使われることがあるので注意しましょう。 |
卵のあげ方については2019年3月に厚生労働省が発行する「授乳・離乳の支援ガイド」が改定され、卵(固ゆでした卵黄)は離乳食初期から与えることができる食材と認識されるようになりました(※3)。
ただし、卵は食物アレルギーの原因となることが特に多い食材です。赤ちゃんに初めて卵を与えるときは、しっかりと固ゆでした卵の黄身を少量から試しましょう。卵黄に慣れたら、中期以降でいり卵・卵焼き・ゆで卵など、全卵を食べさせましょう。
鶏卵は加熱すると抗原性が減るので、しっかり加熱するのが基本です。仮に加熱卵にアレルギーが出なくても生卵で出る場合もあるため、半熟卵や生卵は与えないようにしましょう。
下記の食材には非加熱の鶏卵が使用されることがあり、加熱した鶏卵が食べられるようになっても注意が必要です。与えるときは他の食材と同様、少しずつ様子を見ながら与えてください。
・マヨネーズ
・カスタードクリーム
・アイスクリーム
・マシュマロ
特定原材料に準ずるもの
食物アレルギー症状を引き起こしやすい食材の中で、特定原材料に比べると症例が少ないものを「特定原材料に準ずるもの」といいます。下記の食材を含む食品には可能な限り原材料として表示するよう定められているため、赤ちゃんに初めて与える際は事前に確認して慎重に進めていきましょう。
※2022年12月、「くるみ」が特定原材料に準ずるものから特定原材料に移行し、21品目から20品目に変更されました。
特定原材料に準ずるもの(20品目) | アレルギーの特徴・注意点 |
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アーモンド、いくら、キウイフルーツ、大豆、 バナナ、やまいも、カシューナッツ、 もも、ごま、サバ、さけ、いか、鶏肉、 りんご、まつたけ、あわび、オレンジ、 牛肉、ゼラチン、豚肉 | 食品メーカー等に対して表示が推奨されている原材料で、食物アレルギー症状を引き起こすことが多い食材。おかしや加工食品を与える際にも原材料の表示をチェックしましょう。 |
離乳食で赤ちゃんに食べさせてはいけない食材は?
離乳食作りをする際に、赤ちゃんに食べさせてはいけない食材があります。重いアレルギー症状や食中毒、誤嚥(ごえん)を引き起こすおそれがある食材をチェックしておきましょう。
※誤嚥……食べ物をうまく飲み込めずに気管を詰まらせること
食材 | アレルギーの特徴・注意点 |
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はちみつ・黒糖・黒砂糖 | 1歳未満の赤ちゃんがはちみつ、黒糖を食べると、乳児ボツリヌス症を引き起こすことがあります。主に便秘、哺乳力の低下、泣き声が小さくなるなどの症状があります。 |
サバ(青魚) | 青魚にはアレルギーの心配があります。「白身魚→赤身魚→青魚」の順番で少しずつ魚に慣れていきましょう。サバをはじめとする青魚は、9~11ヶ月頃からが目安です。 |
貝類 | 食中毒のリスクが高く、アレルギー症状を引き起こす可能性がある食材です。弾力があり誤嚥のおそれもあるため、1歳以降に慎重に与えるようにしましょう。 |
銀杏(ぎんなん) | 銀杏は食べすぎると中毒を起こす食材として知られています。離乳食期は使用を控え、離乳期以降も与える場合は少量ずつとし、赤ちゃんが好んだとしても食べすぎに注意しましょう。 |
刺身や生肉 | 生ものは食中毒の危険性が高く、離乳食期は避けたい食材です。生ものを加工する際に使用した調理器具や箸にも注意を払い、清潔に保つようにしましょう。 |
誤嚥しやすいもの 飲み込みにくいもの | 小さくて噛み砕くことが難しかったり噛み切りにくかったりする食品は、喉や気管を詰まらせる恐れあります。保管場所は赤ちゃんの手の届かないところを選びましょう。 ・ナッツ、豆類 ・餅、こんにゃくゼリーなど |
主に乳児がはちみつ・黒糖を食することで発症しやすいボツリヌス症とは、ボツリヌス毒素によって全身の神経が麻痺する中毒疾患をさします(※4)。生後1歳未満の乳児は腸内でボツリヌス菌が定着・増殖しやすいため、特に注意が必要です。
他にも常温で保存した要冷蔵食品、自家製発酵食品の瓶詰や野菜スープなどからもボツリヌス菌が検出された例があります。過去には幼児の死亡例が報告されている危険な中毒疾患のため、赤ちゃんだけではなく大人が食べる場合も注意しましょう。
赤ちゃんに食べさせるときに注意が必要な食品は?
赤ちゃんが口に入れるものでは、加工食品の原材料にも注意が必要です。初めて与える食品はパッケージに表示された原材料をチェックし、慎重に選ぶようにしましょう。
アレルギーや食中毒に注意が必要な食品
食品 | アレルギーの特徴・注意点 |
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ホットケーキミックス | 全卵粉末(鶏卵を乾燥させた粉末状の製品)が入っていることがあります。卵黄と比較すると卵白のほうがより多くのアレルゲンを含むため注意が必要です。 |
だし汁 | だし汁はアレルギーが少ない植物性の昆布だしがおすすめです。動物性のだし(かつお、煮干しなど)は青魚がたべられるようになってから徐々に試していきましょう。 |
ゼラチン | ゼラチンは動物の骨や皮に多く含まれるコラーゲンというたんぱく質から作られています。アレルギーが少ない植物性の寒天(誤嚥を防ぐために、やわらかく仕上がるよう溶いたもの)で代用できます。 |
野菜スープ | 家庭菜園などの自家製野菜を使った野菜スープでは、中毒疾患が起こりボツリヌス菌が検出された例があります。離乳食で赤ちゃんに与える際は、市販の野菜を使用しましょう。 |
誤嚥や刺激に注意が必要な食材
食材 | 特徴・与え方 |
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ミニトマトやブドウ | 球形で表面に凹凸がない食材は、喉にすべり込んで窒息を起こす可能性があります。小さな粒でも必ず細かくカットしてから食べさせましょう。 |
海苔(のり) | 乾燥した海苔をそのまま食べさせると、喉にへばりついて誤嚥の恐れがあります。離乳食の進み具合や月齢に合わせて、ふやかす、ちぎるなど工夫しましょう。 |
ひじき | ひじきには発がん性が指摘される物質である無機ヒ素が含まれていることがあるため、必ず水戻ししてからゆでるようにしましょう。適量を心掛け、食べすぎないよう気を付けてください(※5)。 |
昆布や海藻類 | 昆布や海藻類に多く含まれるヨウ素は、摂取しすぎると甲状腺の病気にかかるリスクが高まります。昆布だしの使いすぎには注意しましょう。 |
パイナップル・パパイヤ・マンゴー・イチジク | たんぱく質を分解する消化酵素が多く含まれ、唇や舌がヒリヒリしたり消化器官に負担をかけたりします。イチジクは2歳、その他は3歳頃まで与えないようにしましょう。 |
赤ちゃんが控えたほうが良い、刺激が強い食品は?
赤ちゃんにとって刺激が強かったり消化器官に負担がかかったりする食品も、離乳食期は控えるようにしましょう。
食品 | 控えたほうが良い理由 |
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塩分 脂肪分 油分の多い食材 | 塩分や脂肪分は消化器官に負担をかけます。調味料は離乳食後期まで使用しないほうが無難です。食材も脂肪分が少ないものを選びましょう。 |
カラシ 唐辛子 こしょう わさびなどの香辛料 | 香辛料は赤ちゃんには刺激が強く、口の中がしびれたり腫れたりするおそれがあります。保管場所も赤ちゃんの手が届かないところを選びましょう。 |
にんにく しょうが | 香味が強い食材は、赤ちゃんの消化器官に負担をかけるおそれがあります。大人の食事を取り分ける際も気を付けましょう。 |
コーヒー 紅茶 炭酸飲料 | カフェインを多く含む飲み物は赤ちゃんにとって刺激が強いだけでなく、中毒症状を引き起こすおそれがあります。炭酸飲料など糖分が高い飲み物も控えましょう。 |
離乳食でアレルギーが出たら病院を受診する?
アレルギーが出やすい食材はしっかりと加熱したものをごく少量ずつ与えることから始め、食後の赤ちゃんの体調に変化がないか観察することが大切です。さらに、もし症状が出た際にすぐに受診できるよう、病院が開いている日の午前中に試すようにしましょう。
しかし、どのようなタイミングでかかりつけ医を受診すればよいか迷うママも少なくありません。すぐに受診したほうが良い症状の目安は下記の通りです。
・短時間で発疹やかゆみなどの症状が進む場合
・下痢や嘔吐を繰り返す場合
・血圧が下がり顔色がすぐれない場合
・意識を失う場合
日ごろから落ち着いて対処できるよう、かかりつけの病院の電話番号を控えておくと良いでしょう。特に意識を失ったり呼吸が困難になったりする場合は、救急車を呼ぶなどの緊急対応が必要です。
食事記録をつけている場合は受診の際に医師に提示すると、より症状を把握してもらいやすいですよ。母子手帳やお薬手帳を持参できるとなお良いでしょう。
離乳食で初めての食材の進め方は?
離乳食で初めての食材を与えるタイミングには個人差がありますが、基本的な進め方は変わりません。さまざまな食材を赤ちゃんに安心して食べさせるためにも、離乳食を進めるときの注意点を確認しておきましょう。
小児科の開いている日の午前中に
初めての食材を与えるときは、小児科を受診可能な平日の午前中に試すようにしましょう。アレルギー症状がみられたときのために、日ごろから「食べた食材」「調理方法」「量」「食べた時間」などをメモしておくと安心です。
初めての食材は一度に1種類だけ
初めての食材を食べさせるときは、一度に1種類が基本です。アレルギー症状がみられた場合に原因の食材を特定できるようにするためにも、初めての食材は一度に複数の種類を与えないようにしましょう。
初めて与える時期をむやみに遅らせない
アレルギーを気にするばかりに離乳食が遅れがちになっては、赤ちゃんの栄養が偏ってしまいます。初めての食材を与える時期をむやみに遅らせないことも大切です。赤ちゃんに合った離乳食の進め方を意識して、食べることの楽しさも教えてあげたいですね。
離乳食を食べた後は赤ちゃんの様子をチェックしよう
離乳食がスタートすると、何をいつから食べさせてよいか、どのようなものを食べさせてはいけないかなど気を付けるべきことがたくさんあります。赤ちゃんの内臓器官は幼児や大人に比べて未発達なため、成長に合った食材選びや調理方法を意識しましょう。
アレルギーを起こす可能性がある食材を使うときは、必ず中心まで加熱したものを少量から初めてください。食後、赤ちゃんの様子に異変がないか確認することも大切です。離乳食で心配なことはかかりつけ医や地域の保健師に相談しながら、安心して赤ちゃんの離乳食を進めてあげたいですね。
※この記事は2023年1月時点の情報をもとに作成しています。