誤嚥に注意!赤ちゃん・子どもが喉に詰まらせやすい食べ物と予防法は?誤嚥したときの対処法

「お餅が喉に詰まった」など、食べ物をうまく飲み込めずに気管を詰まらせることを誤嚥(ごえん)と呼びます。乳幼児による誤嚥は死亡例も多く報告されており、周りの大人が正しい知識を持つことが大事です。ここでは、子どもが喉に詰まらせやすい食べ物や予防法、誤嚥をしたときの対処法について、詳しく説明します。

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この記事の監修

河井 恵美
助産師・保育士
河井 恵美

目次

  1. 誤嚥(ごえん)とは?赤ちゃん・子どもは食べ物を喉に詰まらせやすいの?
  2. 誤嚥による赤ちゃん・子どもの死亡事故も!
  3. 喉に詰まらせやすい食べ物1.餅
  4. 喉に詰まらせやすい食べ物2.ピーナッツなどの豆類
  5. 喉に詰まらせやすい食べ物3.ポップコーン・せんべい
  6. 喉に詰まらせやすい食べ物4.ぶどう・ミニトマト
  7. 喉に詰まらせやすい食べ物5.飴玉・ラムネ・グミ
  8. 喉に詰まらせやすい食べ物6.ピーナツバターやディップ類
  9. 喉に詰まらせやすい食べ物7.ゼリー・マシュマロ
  10. 喉に詰まらせやすい食べ物8.ホットドッグ・パン
  11. 喉に詰まらせやすい食べ物9.唐揚げや焼き肉などの肉類
  12. そのほか事故の報告がある食べもの
  13. 誤嚥を予防するために気を付けること
  14. 子どもが食品を喉に詰まらせたときの対処法
  15. 家族みんなで楽しい食事ができるように
  16. あわせて読みたい

誤嚥(ごえん)とは?赤ちゃん・子どもは食べ物を喉に詰まらせやすいの?

誤嚥とは、食べ物を飲み込む(嚥下・えんげ)ときに起こる事故のことです。食べ物が喉に詰まったり気管に入ってしまったりして、最悪の場合は死にいたることもあります。

また、誤嚥したことに気づかず、食べ物や唾液などとともに細菌が肺や気管に誤って入り、気管支炎や肺炎を起こすことも珍しくありません。

赤ちゃんや子どもが誤嚥を起こしやすい理由として、次のことがあげられます。
・口に食べ物を詰め込みすぎる
・よく噛んでいない
・話しながら食べる
・吸い込んだ拍子に気管に入ってしまう(豆類・ぶどうなど)

よく似た言葉に「誤飲」がありますが、誤飲はボタン電池や画びょう、タバコなど、本来食べてはいけないものを誤って口に入れる事故を指します。成長とともに誤飲事故は起こりにくくなりますが、一方で誤嚥事故は小学生でも十分に起こり得るので、注意が必要です。

誤嚥による赤ちゃん・子どもの死亡事故も!

誰しも「食べ物が喉に詰まった」「うまく飲み込めずにむせてしまった」という経験をしたことがあるかもしれません。大人の場合は激しい咳とともに詰まった食べ物が排出されますが、子どもの場合は飲み込みや咳き込む力がまだ弱く、気管内に食べ物が残って気道をふさいでしまうこともあります。誤嚥はいつでも起こりうるものですが、一歩間違うと死にいたることがある、とても危険な事故です。

消費者庁の発表によると、14歳以下の子どもの食べ物を原因とした窒息死の件数は、平成22年~26年の5年間で103件と報告されています。(※1)そのうち、約半数は0歳の乳児に起こっています。しかし、6歳以降の子どもでも死亡した事例が数件あることから、誤嚥事故は年齢を問わずに注意が必要といえるでしょう。

喉に詰まらせやすい食べ物1.餅

お餅はお正月に欠かせないものですが、大人でも喉に詰まらせることがあるほど、注意が必要な食べ物です。白玉団子なども誤嚥事故が報告されているので、お餅と同様に気を付けましょう。

予防法

お餅は誤嚥のリスクが高い食べ物です。3歳までは与えないようにしましょう。3歳以降の子どもにお餅を食べさせる場合は、必ず小さく切ってから与えます。お餅を食べるときは、決してひとりにさせないようにしましょう。 

喉に詰まらせやすい食べ物2.ピーナッツなどの豆類

ピーナッツや豆は、硬さ、大きさ、形状ともに誤嚥しやすいとされています。口に入れた豆を思わぬ拍子に吸い込んでしまい、気管に入り込む事故が多く報告されています。乳幼児にはピーナッツや豆を噛み砕くことが難しく、そのまま喉に入り込んでしまうことがあるのです。

細かく砕かれた状態でも、喉に引っかかったり気道に入り込んだりして、肺炎や窒息を起こした事例もみられます。また、グリンピースや枝豆など、軟らかい状態の豆であっても、誤嚥の原因になったケースがあります。

深刻な事故では肺の部分切除や窒息死にいたることもあるので、十分注意しましょう。

予防法

ピーナッツや節分の豆などは3歳頃までは食べさせません。3歳以上の子どもに与える場合は、危険性を十分に注意し、きちんと椅子に座った状態でよく噛んで食べさせましょう。

特に節分の時期には、赤ちゃんや幼児が豆まきをした豆を口にすることがあるものです。誤嚥の事故を防ぐためにも、豆まきのときには大人が必ず子どものそばに付き添い、落ちた豆も全て拾うようにしてくださいね。

喉に詰まらせやすい食べ物3.ポップコーン・せんべい

ポップコーンは、幼児には噛み砕きにくい形状をしているため、うまく飲み込めないことがあります。せんべいも硬さがあるので、低年齢の子どもには上手に噛めず、誤嚥を起こしたり破片で口の中を傷付けたりすることがあります。

予防法

ポップコーンやせんべいは十分に噛む力が備わってから与えます。子どもが食べにくそうにしている場合は、無理に飲み込ませようとせず、吐き出させてもよいでしょう。

喉に詰まらせやすい食べ物4.ぶどう・ミニトマト

ぶどうやミニトマトなど丸い形状をしているものは、口に入れてもすぐに噛まずに、口の中でコロコロと転がしてなめ続ける子どもが多くいます。転んだときやびっくりしたときなど、ふとした拍子にブドウやミニトマトが喉の奥に入り込んでしまうことがあります。

過去には巨峰を食べた子どもが窒息死した事故や、栽培中のミニトマトを丸飲みして窒息死した事故も起こっています。十分注意しましょう。

予防法

ぶどうやミニトマトなど丸い形状のものはそのまま出さず、必ず半分か4分の1に切ってから与えます。

家庭菜園などでミニトマトを栽培している方は、収穫してすぐの野菜をその場で食べさせたいかもしれません。手元に包丁がない場合は、必ずかじらせてから与えましょう。また、座らせてから食べるように注意してくださいね。

喉に詰まらせやすい食べ物5.飴玉・ラムネ・グミ

子どもたちが大好きな飴玉、ラムネ、グミなどは窒息事故の原因として報告されています。特に、お菓子は遊びながら食べることが多いため、転んだ拍子に喉につまらせたり、おしゃべりの途中にひっかかってしまったりすることがあり、危険と隣り合わせといえるでしょう。

予防法

飴玉やラムネ、グミなどは、低年齢の子どもには食べさせないようにし、ボーロや赤ちゃんせんべいなど、年齢に応じたおやつを与えましょう。飴玉などを子どもに与える場合は、危険性について十分に説明し、遊びながら食べないように注意しましょう。

喉に詰まらせやすい食べ物6.ピーナツバターやディップ類

ピーナッツバターやジャムなどのディップ類は、一見喉に詰まらせることがないように思えますが、大きな塊になると飲み混むのが難しく、喉に引っかかってしまうことがあります。特に、冬場はバターなどの脂質が凝固するため、注意しましょう。

予防法

ピーナッツバターやジャムなどをパンに塗るときは、必ず大人が薄く伸ばしてから食べさせましょう。瓶などの容器は、使用したらすぐに片付けてくださいね。

喉に詰まらせやすい食べ物7.ゼリー・マシュマロ

ゼリーやマシュマロなど、軟らかいものでも誤嚥事故を起こすことがあります。特にゼリーは勢いよく吸い込むことで誤嚥を起こしやすいです。こんにゃく入りのゼリーなど、スプーンを使わずにカップから直接食べるタイプのゼリーは特に注意が必要です。

マシュマロは軟らかそうに感じますが、お餅のように弾力があり、食べ物を噛む力が弱い小さな子どもにはあまり向いていません。誤って喉に詰まらせることがあるので注意しましょう。

予防法

ゼリーは、なるべくスプーンで一口ずつすくって食べるようにしましょう。一定の年齢までは、カップから直接吸い込んで食べるタイプのゼリーは控えたほうが無難です。特に、こんにゃく入りのゼリーは過去に死亡事故が起きたことでも知られているので、なるべく食べさせないようにしましょう。

マシュマロは、しっかり噛める年齢になるまで控えたほうが良いでしょう。また、食べさせるときも小さくちぎったりかじらせたりして、丸飲みしないように気を付けます。

喉に詰まらせやすい食べ物8.ホットドッグ・パン

アメリカで報告されている誤嚥事故の原因として多いのがホットドッグです。ウインナーは先端が丸い形をしているので、喉に入り込みやすいと考えられています。

また、パンは水分量が少なく飲み込みにくいため、大食いや早食いをすると詰まらせてしまうことがあります。日本でも、大食い番組の真似をしてパンを勢い良く食べ、窒息してしまったという事故が起こっています。

予防法

ホットドッグなどのファーストフードは、ついつい早食いになってしまうことがあります。慌てて食べると誤嚥につながる恐れがあるので、よく噛んで一口ずつ食べるように注意しましょう。自宅でホットドックを作るときは、ウインナーを縦にカットしたりハムで代用したり、ひと工夫してはいかがでしょうか。

パンを食べさせるときは、食べやすい大きさにちぎる、牛乳などの飲み物を一緒に与えるなどして、誤嚥を防ぐようにしてくださいね。

喉に詰まらせやすい食べ物9.唐揚げや焼き肉などの肉類

乳幼児に肉料理を出すと、うまく飲み込めずに吐き出してしまうことがあります。小さな子どもにとって繊維の多いお肉は食べづらく、よく噛まずに飲み込んでしまうと誤嚥を起こすことがあります。成長に合わせて肉の種類や調理法をアレンジするようにしましょう。

予防法

肉料理を食べさせるときは、調理後に硬くならないように、肉の種類と調理方法に気を付けましょう。たとえば鶏肉料理の場合は、ささみよりももも肉のほうが軟らかいです。また、調理前に片栗粉をまぶすことで、水分が逃げず、噛み砕きやすくなります。

豚肉や牛肉などは、なるべく薄切りのものを使用し、子どもの歯でも噛み砕けるようにしましょう。それでも飲み込むのが難しい場合は、ひき肉や鶏レバーなどを使用してはいかがでしょうか。

そのほか事故の報告がある食べもの

上記で紹介した食材以外にも、誤嚥の報告がある食べ物は数多くあります。次に紹介する食べ物はその一例です。

■スープのわかめ
・生後8ヶ月 ・男子
・状況:食事中、保育者の介助でスープを飲んでいて、急に顔を真っ赤にし始めたため、慌てて吐き出させた。

■スイカの赤い部分の小さいもの
・生後9ヶ月・男子
・状況:食べようと飲み込んだが飲み込めず、苦しそうにしていたため、慌てて吐き出させた。

■スティック状の野菜
・生後11ヶ月・女子
・状況:子ども自身が自分のひと口量を把握できておらず、口に入れすぎて詰まりかけた。

■おかずの中に入っていたモヤシ
・1歳3ヶ月・女子
・状況:多くの量を口の中に入れたわけではないが、ずっと噛みにくそうに口の中に含んでいた。それを飲み込んだときに、むせて吐き出した。

誤嚥を予防するために気を付けること

誤嚥を防ぐために気を付けたいことについて、ひとつずつ見ていきましょう。

子どもの食べやすいサイズに食べ物を切る

調理の際には、食材を子どもの食べやすいサイズにカットするのがポイントです。一口ずつよく噛んで食べることを練習させてあげましょう。ソーセージなど、切り口が円になるものについては、縦に割くようにカットしてくださいね。

ただし、あまり細かくしすぎると、噛まずに飲み込むようになってしまうため注意しましょう。

一口の量を少なくする

お腹が空いていたり好きなおかずが目の前にあったりすると、つい口の中にたくさんの量を詰め込んでしまうことがあります。一口の量を少なくし、よく噛んで食べるように促してあげましょう。

気管支に入りやすい食べ物は3歳頃から

お餅やピーナッツなど、気管支に入りやすい食べ物は、3歳までは与えないようにしましょう。市販の商品を食べさせる場合は、商品に表示されている注意をよく確認してから食べさせてくださいね。

遊び食べをさせない

遊びながら食事やおやつを食べていると、転んだ拍子に食べ物が詰まってしまうことがあります。過去には、寝転びながら飴をなめていた子どもが、誤って飴を喉に詰まらせたという事故も報告されています。

日ごろから遊び食べをさせず、食事やおやつは椅子に座ってから食べることを習慣付けましょう。

ゆっくりと食べる習慣を付けさせる

早食いや大食いは誤嚥を起こす原因になります。よく噛んで食べることは、満腹感につながり、消化や吸収を良くします。日ごろからゆっくり味わって食べるように習慣付けましょう。

食事の時間が長くなると、つい早く食べるように急かしてしまいますが、ゆっくりでもしっかり食べているようであれば、温かく見守ってあげましょう。

お茶や水を飲みながら食べる

幼児は口の中で唾液と食べ物を上手に混ぜることが難しいため、水分を取り入れたほうが食事しやすい場合があります。ただし、食事中にお茶やお水を出すと、食べ物をよく噛まずに流し込んでしまうことがあるので注意しましょう。

子どもが食品を喉に詰まらせたときの対処法

もしも子どもが食べ物を喉に詰まらせてしまったら、どのように対処すれば良いのでしょうか。

意識があるとき

まず、口の中に入っているものを手でかき出します。喉の奥に手を入れると、かえって食べ物を押し込んでしまうことがあるため注意しましょう。舌の付け根を押さえて、吐き出させるようにします。それでも取れない場合は、次のことを試してください。

■乳児の場合 背部叩打(こうだ)法
1.大人が椅子に座った状態で、膝の上に子どもを抱きうつ伏せにさせる
2.背中をトントンと強くたたき吐き出させる

■乳児以外の場合 ハイムリッヒ法
1.子どもを立たせて背後にまわり、子どもの両脇の下から手を回す
2.子どものへそを確認し、へそとみぞおちの間で両手を組む
3. へそとみぞおちの間のところを自分の方(手前上方)に圧迫して吐き出させる

背部叩打法やハイムリッヒ法を試しても、異物が取れずに呼吸困難になった場合はすぐに救急車を呼びましょう。誤嚥した状況や誤嚥した食べ物をしっかり説明できるように落ち着いて行動してください。呼吸に問題がない場合も病院を受診しましょう(※2)。

意識がないとき

呼吸困難に陥り、チアノーゼが見られる、反応がない、声が出ないといった場合は一刻を争います。直ちに119番通報をして救急車を呼び、周囲の人に助けを求めましょう。

救急車を待つあいだも、救急隊員の指示に従い、状況に応じて気道確保や人工呼吸を行います。外出先であれば、近くにAEDがないか確認し、周囲の人に手配してもらいましょう。

家族みんなで楽しい食事ができるように

誤嚥は食材の調理の仕方や正しい食べ方によってある程度防ぐことができますが、びっくりしたときなど、何かの拍子に食べ物を詰まらせてしまうこともあるでしょう。

大事なことは、子どもの異変に大人がすぐに気付いてあげることです。向かい合って食事をしていれば、早食いや大食いをしていないか、食べにくそうにしていないか、察することができます。万が一食べ物を詰まらせてしまっても、すぐに対応できるでしょう。

食事は家族にとって大切な団らんの時間です。なるべく子どもだけで食事をさせず、家族で食卓を囲むようにしたいですね。

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