医師監修【新型コロナウイルス】子どもの症状は?受診の目安!日本小児科学会&厚生労働省の見解を紹介!
日本国内でもなかなか収束の見えない新型コロナウイルス。思いもよらない地域での発症もあり、今や日本のどこにいても感染の危険性があるといっても過言ではありません。もし、子どもが新型コロナウイルスに感染したら、どのような症状が見られるのでしょうか。子どもの健康を守るためにも、受診の目安や発症後の症状、予防策を確認しましょう。
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目次
新型コロナウイルスによる肺炎の感染とは
新型コロナウイルスは、2019年12⽉30⽇に中国保健機関が公表した湖北省(こほくしょう)武漢(ぶかん)の「原因不明の肺炎」とされました。翌2020年1⽉7⽇には、その肺炎の原因が新種のコロナウイルス (2019-nCoV)と特定され世間を震撼させました。
発生直後は中国のみで蔓延していた新型コロナウイルスですが、またたく間にアジアを中心とする各国に広がり今や日本でも日に日に感染者が増えています。2021年1月には第2回目の緊急事態宣言が東京・神奈川・埼玉・千葉に発令されました。1都3府県以外でも日本国内での感染者は各都道府県で確かな収束がみられず、新たな感染者が増加しています。
厚生労働省が新型コロナウイルスの受診の目安は?
新型コロナウイルスの感染が国内で広がりを見せているのを受けて、厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」(※1)を発表しています。
正式な発表の目安を参考にして、優先度の高い方から相談や受診ができるように指針を確認しておきましょう。
相談・受診の前に心がけること
現在のところ、新型コロナウイルスの感染を心配している方たちが各相談センターや医療機関に殺到しています。しかし、現時点では新型コロナウイルス以外の病気の方が多いと発表がありました。
まずは日ごろから心がけたいことを確認して、事前に予防していきましょう。
日ごろから心がけておくこと |
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発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える |
発熱等の風邪症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録しておく |
基礎疾患(持病)をお持ちの方で症状に変化がある方、新型コロナウイルス感染 症以外の病気が心配な方は、まずは、かかりつけ医等に電話で相談する |
発熱などの風邪症状が見られたら、できるだけ学校や会社を休み、外出を控えるよう注意喚起されています。特に子どもが発熱した場合は、万が一のケースを考えて幼稚園や保育園を休ませるようにしましょう。
ワーキングマザーの方はなかなか保育園を休ませることができないかもしれませんが、ウイルスの拡散を防ぐためにも事前に会社などに理解を求めておくと安心です。
帰国者・接触者相談センターに相談する目安
少なくとも下記のいずれかの症状に該当する場合は、すぐに相談するよう促されています。
センターに相談する目安 |
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息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかが ある場合 |
重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合 |
上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合 |
(※)高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方や透析を受けてい
る方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
上記の症状が4日以上続く場合は、必ず相談するようにしましょう。症状には個人差があるので、症状が強いと感じる場合はすぐに相談が必要です。解熱剤などを飲み続けなければならない場合も同様に注意しましょう。
妊婦・子どもの受診の目安
妊娠中の方、小児についても相談や受診の目安が公表されています。
■妊婦の方へ
妊婦の方については、念のため、重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談センター等に御相談ください。
■お子様をお持ちの方へ
小児については、小児科医による診察が望ましく、帰国者・接触者相談センターやかかりつけ小児医療機関に電話などで御相談ください。(※1)
相談センターから受診をすすめられた場合、指定された医療機関を受診してください。心配だからといって複数の医療機関を受診すると、ウイルスを拡散したり他の病気で困っている方の受診をさまたげたりする原因になる場合があります。
医療機関を受診する際は、マスクの着用を徹底しましょう。手洗いや咳・くしゃみのエチケットを守り、適切な医療を受けるよう心がけることが大切ですよ。
子どもが新型コロナウイルスに感染するとどうなる?
新型コロナウイルスに感染した場合、大人も子どもも症状に大きな差はないとされています。いざというときに焦らず対処できるように、新型コロナウイルスに感染したときの症状を確認しておきましょう。
小児科学会の「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A(2020年12月3日現在)について」にくわしく書かれています。(※2)
発熱・咳・だるさを感じる
新型コロナウイルスに感染した場合、発熱、乾いた咳、だるいなどの倦怠感を訴える一方で、鼻汁や鼻つまりなどの症状は比較的少ないとされています。一部の患者の中には嘔吐、腹痛や下痢などの消化器症状を訴える方もいたようです。
子どもが発症した場合1~2週で回復しているケースがほとんどですが、息苦しさや強いだるさ、高熱のいずれかの症状などがあれば、適切な医療機関を受診するようにしましょう。
子どもの体調や様子を観察する
明らかに子どもの体温が上がっていれば、大人が気づくことができます。しかし、だるかったり頭痛がしたりと倦怠感などの症状は、子どもが正確に訴えることができない場合が多いでしょう。
いつもよりも元気がない、ぐったりしている、ぐずるなど、いつもと様子が違う場合は、すぐに体温を測りメモしておくようにしてください。子どもの体調をしっかりと見守ってあげることで、いざというときに対処しやすいですよ。
子どもの重症化の危険性は極めて低い
現在、子どもが新型コロナウイルスに感染した場合でも、軽症で完治しているケースがほとんどだとされています。医療機関の混雑を避けるためにも、大人と同じように受診の目安どおりの対応が推奨されています。
しかし、感染後1週間ごろから、呼吸状態が突然に悪化する可能性も指摘されています。子どもの月齢や年齢、体調によっては重症化する危険性も考慮して、日ごろの体調や様子をしっかりと見守ってあげましょう。
小児ぜんそくを持っている場合は注意
小児喘息などの合併症を持っている子どもは、新型コロナウイルスなどの呼吸器感染症は重症化する危険性があるといいます。しかし、感染した場合のリスクや対応は異なるので、かかりつけの医師にしっかり相談するようにしましょう。
保育園・幼稚園での新型コロナウイルスの対策
感染予防対策
インフルエンザが蔓延しても基本的に学級閉鎖がない保育園でも、新型コロナウイルスの感染を予防する取り組みが行われています。
・咳エチケット
・石鹸やアルコール消毒液などによる手洗い
・湖北省(こほくしょう)または浙江省(せっこうしょう)から帰国者は、14日間登園を控えてもらう
咳エチケットやアルコール消毒による手洗いなどは、保育園や幼稚園で取り組まれているケースがほとんどです。
就学前の子どものマスクの着用について
乳幼児、特に小学校に上がる前の年齢のマスクの着用には注意が必要です。2歳未満では、息苦しさや体調不良を訴えることや、自分で外すことが困難であることから着用は推奨されていません。
2歳以上でも、マスクを着用する際は保護者や周りの大人が子どもの体調に十分注意するようにしましょう。本人の体調や継続したマスクの着用が難しい場合は、無理をしなくて良いとされています。
ママが新型コロナウイルスに感染したら母乳は与えて良い?
授乳中のママが感染した場合、接触や咳などから子どもに感染するリスクがあるので直接の授乳は避けたほうが良いとされています。
母乳の安全性についてはまだ明らかではありませんが、産婦人科学会の「妊婦・産褥婦の新型コロナウイルスの感染予防対策について」(※4)では、⺟体の血液にウイルスが混ざっている可能性があるので、授乳は控えるようにと書かれています。解熱後3⽇までは感染⼒があると判断して、授乳は解熱後4日目から開始するよううながしています。
身近にできる予防法
新型コロナウイルスの予防法は、まずは大人が見本になってマスクや手洗い・うがいをして、子どもがすすんで予防できるように声かけしていきましょう。
手洗いうがい
こまめな手洗いうがいは、新型コロナウイルス以外のウイルスを避けるためにも徹底したい予防法です。
手を洗うときは流水で手をよくすすぎ、指輪や時計をしている場合は取り外しましょう。その後、石鹸やハンドソープをしっかり泡立て、手のひらや手の甲、指の間、手首など、皆が触れやすい部分をきれいに洗います。
手をきれいに洗ったら、清潔で乾いたタオルで水分をしっかりとふき取ることも大切ですよ。
アルコール消毒
新型コロナウイルスにはアルコール成分が入ったスプレーやジェルの消毒薬が有効とされています。手洗いを済ませた後は、アルコール消毒しておくと安心でしょう。
あわせて、家具やドアノブなどみんなが触る場所をアルコールのウェットティッシュで清潔に保つことも感染の予防につながりますよ。
感染症状のある人との接触を避ける
新型コロナウイルスの感染経路は、現時点で咳やくしゃみなどによる飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染のふたつ考えられます。
多くの人が集う場所は、さまざまなウイルスが潜んでいる危険性があります。新型コロナウイルスが落ち着くまでは、できるだけ人込みは避けたほうが良さそうです。
親子で感染予防して発熱したら適切な対処をしよう
中国で発症が確認された新型コロナウイルスですが、今や世界中に広がりを見せています。日本も例外ではなく、国内の思わぬ地域からの発症報告がされています。
新型コロナウイルスに振り回されないためにも、まずは身近にできる予防を徹底して正しい知識を持つことも大切です。とくに子どもはママやパパがしっかりと様子を見てあげるようにしましょう。親子で元気に過ごすためにも、家族みんなが予防の意識を高められると良いですね。
※この記事は2021年1月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。