【医師監修】新型コロナウイルスの子どもの受診目安!症状は?日本小児科学会&厚生労働省の見解を紹介!

新型コロナウイルスは、変異を繰り返しながらいまだ社会の脅威となっています。その一方で、情報が蓄積され、当初と比べると診療体制や感染予防対策も整備されてきました。2022年3月から、5~11歳の子どもへの新型コロナワクチン接種も始まっています。現在の受診の目安や発症後の症状、予防策を医師監修の記事で確認しましょう。

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この記事の監修

染谷 朋之介
小児科医
染谷 朋之介

目次

  1. 新型コロナウイルスによる肺炎の感染とは
  2. 厚生労働省の新型コロナウイルスの受診目安は?
  3. 子どもが新型コロナウイルスに感染するとどうなる?
  4. 保育園・幼稚園での新型コロナウイルスの対策
  5. ママが新型コロナウイルスに感染したら母乳を与えて良い?
  6. 身近にできる予防法
  7. 子どものコロナ対策は感染状況を見極めて
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新型コロナウイルスによる肺炎の感染とは

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルスです。2019年に中国の武漢(ぶかん)で確認され、世界中に感染が拡大しました。日本国内でも爆発的に感染者数が増え、緊急事態宣言が繰り返し発令されたのは記憶に新しいでしょう。

新型コロナウイルス感染症は急性呼吸器症候群に定義され、高齢者や基礎疾患を持った人は重症の肺炎にいたることが多くなりますが、子どもが重症化することはまれです(※1)。

この3年で、新しい知見も蓄積されました。社会全体で新型コロナワクチン接種が進み、密閉・密集・密接を避ける新しい生活様式が示されたり、治療法や医療体制が整備されたりと対策が強化されています。

変異したウイルスが出現しても、基本的な感染予防対策は変わらないでしょう。その時々に公益社団法人日本小児科学会や厚生労働省などが発信する情報を確認し、正しく感染症と向き合っていきましょう。

厚生労働省の新型コロナウイルスの受診目安は?

現在の相談・検査体制

新型コロナウイルス感染症は感染症予防法により危険度が高い感染症の「2類相当」に分類されています。流行当初は保健所が窓口となる相談・検査体制がとられていました。厚生労働省はこの方針を見直し、2020年5月に「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」(※2)を発表しています。

2020年10月からは、発熱などの症状がみられた場合はかかりつけ医もしくは各都道府県に設置されている受診・相談センターに電話で相談できるようになっています。

相談・受診の目安

厚生労働省は、すぐに相談する目安として3つの項目をあげています。発熱の程度や症状の強さは個人差があります。もともと平熱が低いなど、普段の状態と比べて症状が強いと感じたらすぐに相談するようにしましょう。

センターに相談する目安
息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
高齢者や基礎疾患等重症化リスクがあり発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が4日以上続く場合

妊婦・子どもの受診の目安

妊娠中であっても、ほとんどの場合は妊娠していない女性と同じ経過をたどりますが、妊娠後期の感染では早産になるケースが報告されています。妊婦さんは重症化しやすい方と同様に、早めに相談するようにしましょう。

子どもが受診する場合は小児科医による診察が望ましいとされています。発熱などの症状がみられたらかかりつけ医に連絡し、かかりつけ医がいない場合は受診・相談センターに相談してください。とくに2歳未満の場合は早めに医師の判断をあおぐと安心ですね。

医療機関を受診する際の注意点

医療機関を受診するときは、マスクを着用する、指定された時間を守るなど施設の指示に従うことが重要です。かかりつけ医から別の医療機関を案内された場合や、受診・相談センターで医療機関を案内された場合は、指定された医療機関を利用しましょう。

医療機関までは公共交通機関の利用を避けるようアナウンスされています。いざというときに備え、感染疑いや陽性者の移動を受け入れているタクシー会社や民間の往診サービス、救急サービスを調べておくと安心です。

相談・受診の前に心がけること

厚生労働省では、発熱などの風邪症状が見られたら、学校や会社を休み、外出を控えるよう注意喚起しています。子どもの感染経路は、家庭内感染が主流です。子どもの健康状態が良くても、家族に風邪症状があるときは園や学校を休ませ、感染拡大を予防しましょう。

子どもが新型コロナウイルスに感染するとどうなる?

ほとんどが軽症か無症状

子どもが新型コロナウイルスに感染した場合、そのほとんどが軽症か無症状です。発症したときに見られる症状は発熱、咳、息切れ、下痢などで、発症後1~2週間以内に改善することが多いと報告されています(※3)。新型コロナ感染症に限定される特徴的な症状がないため、一般的な風邪との区別はつきにくいでしょう。

オミクロン株では高熱やけいれんが増加

2021年に猛威を振るったデルタ株に比べ、2022年に主流となったオミクロン株では、全体的に重症化の割合が低下しています。その一方で子どもの感染者数は増加傾向にあり、高熱や咳・咽頭痛が多く報告されるようになりました。

中等症や重症化する症例も増えています。犬が吠えるような音の咳があり息を吸うときにヒューヒュー音がするようなときや、嘔吐があり脱水症状がみられるときなどはかかりつけ医や自治体の発熱相談センターに相談しましょう(※4)。

特に熱性けいれんの発生数が増えていることから、高熱がある場合は注意が必要です。けいれんが長く続くときは救急に連絡してください。

回復後も子どもの体調や様子を気にかける

新型コロナウイルス感染症では、一部で回復後に小児多系統炎症性症候群(MIS-C)を発症する症例がみとめられています。新型コロナウイルス感染症の発症後、2~6週間後に発疹や眼球結膜充血など川崎病と似た症状があらわれることがあるため、注意深く経過を見守り、気になることがあればかかりつけ医に相談しましょう(※5)。

2歳未満と基礎疾患がある場合は注意

国内外から集まった知見により、2歳未満の子どもと基礎疾患を持つ子どもに重症化するリスクがあることがわかってきました(※6)。2歳未満の場合、無症状よりも入院した割合の方が高くなっています(※7)。

日本小児科学会があげる基礎疾患は以下の通りです(※8)。感染した場合のリスクや対応は異なるので、かかりつけの医師にしっかり相談するようにしましょう。

注意が必要な基礎疾患
①慢性呼吸器疾患
②慢性心疾患
③慢性腎疾患
④神経疾患・神経筋疾患
⑤血液疾患
⑥糖尿病・代謝性疾患
⑦悪性腫瘍
⑧関節リウマチ・膠原病
⑨内分泌疾患
⑩消化器疾患・肝疾患等
⑪先天性免疫不全症候群、HIV感染症、その他の疾患や治療に伴う免疫抑制状態
⑫その他の小児領域の疾患等

保育園・幼稚園での新型コロナウイルスの対策

感染予防対策

文部科学省や一般社団法人全国保育園保健師看護師連絡会学術委員会がまとめている衛生管理マニュアルでは、従来と変わらない基本的な感染予防対策を求めています(※9)(※10)。

子どもが共同で利用するおもちゃの消毒や歌唱時に人と人との距離をあけるなど、実践的な対策も示されています。特に保育園では排泄物を扱う際は手袋を着用し、尿やよだれなどで衣服が汚れた際は子どもも保育者も着替えるなど、きめ細やかな取り組みが行われていますよ。

5歳以上のワクチン接種

オミクロン株の流行により子どもの感染者数が増えるにつれ、一部で重症化する症例が出てきました。基礎疾患を持つ子どもは重症化リスクがあるため、ワクチンを接種することが望ましいとされています。5~11歳までの健康な子どもは、接種に意義があるという考えです。

日本より先に子どもへの接種が始まった海外では、5~11歳の小児は一般的に接種後の副反応症状の出現頻度が低かったと報告されています(※11)。子どもの接種については、メリットとデメリットをふまえ本人と保護者が納得して決めることが重要です。

就学前の子どものマスクの着用について

2歳未満では、息苦しさや体調不良を訴えること、自分で外すことが難しいことから着用は推奨されていません。

感染拡大時期は2歳以上のマスクの着用が推奨されていましたが、夏を前に熱中症対策の観点から見直しを求める声が上がっています。感染状況を踏まえてその時々に方針は変わるため、発信される情報に注意し対策していきましょう。

また、2歳以上であっても子どもがマスクを着用する際は、保護者や周りの大人が子どもの体調に十分注意することが大切です。

休園・休校による有給休暇取得支援

子どもが新型コロナウイルスに感染したり、新型コロナウイルス感染症による臨時休園・休校になったりすることで、子どもの世話をするためにママやパパが仕事を休む場合の支援制度が設けられました。

この制度は「小学校休業等対応助成金」といい、2022年1月1日から6月30日までのあいだで実施されています。労働者の求めに応じて有給休暇を認めた事業者に対し助成金が支払われるもので、有給を申請しやすい環境を整えています。

対象は、小学校、幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業や放課後児童クラブ、放課後等デイサービスなどです。申請は事業主が行うため、有給休暇を取得したいときは事業者に相談してみましょう。

ママが新型コロナウイルスに感染したら母乳を与えて良い?

ママが新型コロナウイルスに感染した場合、母乳を介して子どもに感染する可能性は低いと考えられていますが、授乳中はママと子どもが密に接触するため、感染するリスクがないとはいえません。また、母乳中にウイルスが検出されたという報告もあります。

母乳による育児を希望する場合は、母乳からの感染や接触・飛沫感染の可能性を十分に考えたうえで、医師や助産師と相談して授乳方法や時期を検討しましょう。

身近にできる予防法

新型コロナウイルス感染症の予防法は、ほかの感染症予防にもつながります。ママやパパがお手本となり、手洗い・うがいの習慣を身につけていきましょう。

手洗い・うがい

子どもは水で濡らしただけで「洗った」と胸をはりませんか。しかしこれではウイルスを滅するには不十分です。

手を洗うときはハンドソープを泡立てて10秒、もみ洗い後流水で15秒すすぐことを2回繰り返すと、ウイルスの量を1/100万に減らせます(※12)。2回洗うことがポイントで、1回だけのときと比べ、100倍の効果がありますよ。

手洗いするときの5つのタイミング
・外から帰ったとき
・咳やくしゃみ、鼻をかんだあと
・食事の前と後
・ほかの人が触れるもの・場所を触ったとき
・ほかの人のお世話をしたとき

消毒

新型コロナウイルスの消毒や除菌にもっとも重要なのは手洗いですが、手洗いができない状況では消毒も有効です。

厚生労働省では、手指を消毒するときはアルコール濃度70%以上95%以下のエタノールを使用し、有効性や人体への安全性などが確認された「医薬品・医薬部外品」を選ぶようアナウンスしています。

ものに付着したウイルスは「次亜塩素酸ナトリウム」や界面活性剤を含む「家庭用洗剤」による消毒を推奨しています。厚生労働省のHPでは消毒液の作り方が紹介されています(※13)。ウイルスは80℃以上の熱水に10分間さらすことでも死滅します。やけどに注意しながら、食器類や汚れた衣類の消毒に役立てましょう。

新しい生活様式を取り入れる

感染状況はウイルスの型や地域によって異なりますが、感染状況が落ち着いている時期でも、再拡大を予防するための意識を持って行動したいですね。

人と人との距離をあける、こまめに換気する、3密を避ける、咳や発熱があるときは外出を控える、公共の場では会話はひかえめにするなど、一人ひとりが感染拡大防止について考え、子どもたちの未来を開くための行動をとっていきたいですね。

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子どものコロナ対策は感染状況を見極めて

新型コロナウイルスは変異を繰り返しており、新しい型が出現するたびに毒性や感染力の強さが変わります。社会的な体制が整ってきたとはいえ、感染後の影響などまだわからないことも多く、今後も感染しないように対策を意識する必要があるでしょう。

とはいえ、新型コロナウイルスにかかわらず、これまでも子どもがかかると重症化する病気は存在していました。感染することを怖がりすぎて、遊びや学びの機会が奪われるのも問題です。地域や社会の状況を見極め、新しい情報を確認しながら健康的な生活を送りましょう。

※この記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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