【小児科医監修】夜間救急・救急医療を受診する目安!自宅療養や救急車を呼ぶ症状は?
夜間救急などの救急医療は、夜中や土日祝など一般的な医療機関が休みのときに、急を要する病気の症状がみられた人を診察してくれる機関です。いざというときの心強いシステムではあるものの、救急医療をどのタイミングで受診するか迷うママが多いようです。ここでは、救急病院に行く目安や救急車を呼んだ方が良い症状を紹介します。
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目次
夜間救急など子どもが受診できる救急医療とは?
一般的な医療機関の診察時間は、平日の昼間(9:00~18:00など)に設定されていることがほとんどです。休日や夜間に、子どもが高い熱を出したり嘔吐をくり返したりと突然の症状に見舞われた場合、診察をしてくれる医療機関はどのような機関があるのでしょうか。
夜間急病センター
夜間急病センター(やかんきゅうきゅうセンター)とは、一般的な医療機関が閉まっている夜間に、突然具合が悪くなった場合に受診できる救急医療機関です。受付が19:00ごろから夜中の受け付け時間が決まっていたり、朝方まで診察を受け付けていたりと、自治体によって診察時間はさまざまです。
まずは、地域の夜間急病センターが、どのようなシステムになっているか事前に確認をしておくと、いざというときに安心です。
休日診療所
休日診療所(きゅうじつしんりょうしょ)とは、土の午後や日・祝など、一般的に医療機関が閉まっているあいだに、救急を要する症状が現れたときに診察してくれる救急医療機関です。自治体によっては、夜間救急センターと同じ位置に設置されて、夜間・休日急病センターなどといわれている地域もあるでしょう。
夜間急病センターと同じく、自治体の休日診療所がどのようなシステムになっているのか、最寄りの休日診療所はどこなのかを確認しておくと安心です。
病院の救急外来
病院の救急外来とは、総合病院などが夜間や休日・時間外に、救急を要する病状が現れた人を対象に診察を行うシステムです。一般的な医療体制は、下記の三段階に分類されることがほとんどです。
・一次(初期)救急医療…入院治療の必要がなく、外来で診察して帰宅が可能な医療
・二次救急医療…入院が必要な医療
・三次救急医療…生命に危機がおよぶ高度な医療が必要な症状
病院の救急外来は、主に、二次救急医療を請け負うことが多いとされています。症状によっては平日の一般診療の受診をすすめられたり、重篤な症状の患者を優先したりと、診療までに長時間待つ場合があるようです。
もともと持病などがあり定期的に診察を受けている人などは、病院の救急外来で診察を受けた方が安心な場合があるでしょう。
処方される薬は最低限のもの
夜間救急センターや休日診療・救急外来で処方される薬は、一時的に熱や嘔吐の症状を抑えるなどの応急措置としての目的です。ほとんどの機関が、1日分の薬の処方が原則です。
夜間や休日を処方された薬で症状を落ち着かせて、翌日、もしくは休み明けには、かかりつけ医を受診することが必要です。そこではじめて必要な処置をしてもらい、適切な日数分の薬を処方してもらいましょう。
救急医療を受診するか自宅療養かを見極める目安
熱が38℃以上ある場合
38℃以上の発熱がみられ、無表情で活気がない・ぐったりしているなどの症状がある場合は、夜間急病センターや休日診療を受診しましょう。受診の際は、いつから何度の熱があったか・どのくらい続いているか・食欲はあるかなどをメモしておくと安心です。
また、発熱がみられても、元気があり、受け答えがしっかりとしているようであれば様子をみて良いとされています。翌日や休日明けに、かかりつけ医や近くの医療機関の診察時間に受診して、症状にあった措置をしてもらいましょう。
嘔吐や下痢が続く場合
嘔吐や下痢をともなう感染性胃腸炎には、ウイルス性と細菌性のものがあります。ウイルス性とはロタウイルスやノロウイルス、細菌性は発熱をともなう嘔吐や下痢が多いとされています。
高熱をともない、意識がおかしかったり脱水症状をおこしていたりする場合は、救急医療を受け、症状を落ち着かせる薬を処方してもらった方が良さそうです。もし、頭に強い衝撃を受けた・意識がもうろうとしているという症状とともに嘔吐をしたならば、早急に救急車を呼んで適切な処置が必要な場合があるので、注意が必要です。
水分が摂れて受け答えがしっかりしているならば、自宅で様子をみていて良いとされています。吐いたものが喉に詰まらないように、横を向いて寝かせましょう。
咳がひどい場合
赤ちゃんや子どもが、ゼェゼェと呼吸が苦しそう・38℃以上の発熱をともなう症状があった場合は、救急医療を受診した方が良いでしょう。気管支が弱い・喘息があると診断を受けたことがある場合も、症状を落ち着かせるために受診した方が良さそうです。さらに、胸がヒューヒュー鳴っている・犬が泣くようにケンケンと乾いた甲高い咳を激しくしているなどの場合も注意が必要です。
咳がみられてもあやしているうちに眠るようであれば、朝まで様子をみても良いでしょう。
救急車を呼ぶ目安
自宅で子どもに異常がみられる場合、救急医療を受けるべきか、救急車を呼ぶべきか迷うこともあるでしょう。総務省消防庁が発行する救急車利用マニュアルによると、下記の症状がみられたらためらわず救急車を呼んで、適切な医療機関を受診することが必要だと呼びかけています。(※1)
生後3ヶ月未満の場合
生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38℃以上の高熱を出し、様子がおかしければ、救急車を呼び、適切な処置をしてもらう必要があるとされています。
ネルソン小児科学19版によると「3ヶ月未満児の発熱の90%はウイルス感染症によるものだが、残りの10%程度は、生命をおびやかす敗血症(はいけつしょう)や細菌性髄膜炎(さいきんずいまくえん)のような重篤な感染症の場合がある」とされています。(※2)
主に生後3ヶ月未満は、抗体が少なかったり免疫細胞が未熟であったりすることから、重症化しやすい時期です。赤ちゃんの高熱が続き、ずっと泣いていたり授乳量がいつもより少なかったりする場合は、救急車を呼ぶことも視野に入れましょう。
意識障害がある
子どもの意識がおかしく、返事がなかったりもうろうとして焦点が定まらなかったりする場合は、救急車を呼んで適切な医療機関を受診しましょう。意識に障害がある場合は、脳に何かしらの異変がおこっている可能性もあります。
高熱でうなされている場合の意識障害は、ママの早い判断が重症化を防ぐ場合があります。子どもの様子を定期的に確認しましょう。また、意識がおかしく救急車を呼ぶ場合は、呼吸が正しいか・顔色が悪くないかなどを確認して、電話の際に伝えてください。
けいれんが5分以上続いた場合
赤ちゃんに限らず、子どもに高熱が出るとけいれんをおこす場合があります。けいれんが止まらず、5分以上続く・けいれんが止まっても意識が戻らないという症状がみられたら迷わず救急車を呼びましょう。
けいれんの持続時間や、全身か部分的なけいれんか、どのような動きをしているかなどが診断の助けになることも多いとされています。子どもの状態をメモしておくか、余裕があればスマホの動画などで撮っておいても良いでしょう。
じんましんが身体に広がっている場合
突然、じんましんが全身に広がる場合は、救急車を呼んで処置をしてもらう必要があります。虫に刺された後やアレルギー反応・熱などでじんましんが広がり、目や唇が腫れるなどの症状がみられたら早めに対処しましょう。
「皮膚の症状だけで救急車を呼ぶのは…」とためらうママも多いようですが、じんましんがひどくなると、生命をおびやかすこともあるようです。症状を軽くみず、適切な判断を心がけましょう。
やけどがひどい場合
子どもがやけどをして、痛みがひどかったり、やけどの症状が広範囲におよんでいたりする場合は、救急車を呼ぶ必要があります。特に、服の上から広い範囲に熱湯がかかってしまった場合や、やけどにより意識を失ってしまった場合は、早急に対処が必要です。
救急車を呼び、適切な医療機関へ搬送してもらいましょう。
飲み込みなど誤飲した場合
食品でない液体や形のあるものを飲み込んだ場合、症状によっては救急車を呼ぶ必要があります。飲み込んだものによっては、胃洗浄が必要だったり、手術によって取り出さなければいけなかったりと、適切な医療措置が必要です。自己判断で様子をみるのは避けましょう。喉になにか詰まっていると感じたら、すぐに救急車を呼ぶことをおすすめします。
子どもの誤飲には、下記のものが多いとされています。
・指輪
・ボタン電池
・ピアス
・タバコ
赤ちゃんや子どもは、なんでも口に入れたがる時期があります。子どもがあやまって飲み込むことがないよう、日ごろから気を配ることができると良いですね。
夜間や休日に受診したときの持ち物は?料金はかかる?
夜間や休日に受診したときの持ち物
夜間や休日に指定された医療機関を受診する際の持ち物は、いつもかかりつけ医に受診するときと同じものを必要とする機関がほとんどです。
・保険証
・子ども(小児)医療費証
・母子手帳
・お薬手帳
また、必要に応じて下記の症状をメモしておきましょう。
・嘔吐や発熱など、いつから症状が現れたか
・熱がある場合は、いつから何度の熱があるか
・痛いところがある場合は、どの部分か
・現在、服薬している薬はあるか
・アレルギーはあるか
夜間など救急医療で小児医療費助成は適用される?
赤ちゃんや子どもが、夜間や休日に発熱・嘔吐などの症状がみられて救急医療を受けた場合も、小児医療費助成を受けることができます。自治体によって、医療費が無料であったり数割の負担があったりと費用の差はありますが、通常の診察と同様のシステムと考えて良いでしょう。
救急車を呼んだとき小児医療費助成は適用される?
赤ちゃんの子どもの意識がない・けいれんがあるなどの症状によっては、「119番」で救急車を呼んだほうが良いときがあります。救急車は、原則無料で呼ぶことができ、症状に応じて適切な医療機関へ搬送してくれます。診察においても小児医療証が適用されて、原則料金がかかることなく処置を受けて薬を処方されるでしょう。
しかし、救急車が出動すれば、次に必要とする人のもとにたどり着くまでに時間を要することになります。総務省消防庁が発行する救急車利用マニュアルによると、過去に「交通手段がない」「どこの病院に行けば良いかわからない」などの理由で救急車が呼ばれた事例があるようです。(※1)
救急車や救急医療は、限りある資源といわれています。いざというときの頼りになる機関も、受診の目安などをしっかりと見極めて、本当に必要なときに皆が平等に利用できると良いですね。
夜間急病センター・休日診療・救急外来はどのような場合でも受診できる?
救急車の利用方法が問題視されるなか、夜間急病センター・休日診療・救急外来などの救急医療の受診についても一度見直してほしいという声があるようです。救急医療機関は、一般的に医療機関が閉まっている時間に診察をしてくれる、心強いセンターです。夜間や休日に、突発的に救急を要する病態に見舞われたときに、受診できるようにとシステムが整えられている機関がほとんどでしょう。
しかし、これらの機関は、救急の処置を必要とする患者のための診察です。まれに「病院でもらっていた薬がなくなった」「昼間は仕事で診察ができない」「海水浴に行って日焼けをしてヒリヒリして眠れない」などの理由で受診する人もいるようです。さまざまなライフスタイルがありますが、早急に受診が必要な患者を後回しにしてしまうというトラブルもあるといいます。
とはいえ、医師に診察を受けた方が良い症状なのに、家で様子をみていては症状が悪化したり家族に感染したりと、取り返しがつかない病状もあります。子どもに早急な受診が必要かを見極めて、適切に受診できると良いですね。
「#8000」夜間や休日に受診すべきか迷ったときのダイヤル
病院の受診や救急車を呼ぶべきか迷った際は、まずは「#8000:小児救急電話相談」をダイヤルして、早急な診察や措置が必要か判断してもらいましょう。
これは厚生労働省が管理している小児救急電話相談事業の一環で、#8000をダイヤルすると、住んでいる都道府県の小児救急相談窓口に自動的に転送されます。電話では小児科の医師や看護師により、子どもの症状の対処方法や受診すべきかどうかのアドバイスを受けることができるシステムです。(※3)
自治体によって、一般的な医療機関の受診が難しい時間帯である、19時頃~朝ごろまで相談受付をしています。赤ちゃんや子どもの病状で判断がつかない場合は、#8000をダイヤルして、適切なアドバイスを受けましょう。
必要に応じて救急医療を受けて、適切な処置を受けよう
かかりつけ医や近隣の医療機関が閉まっている時間に、子供が突然の発熱や嘔吐をした経験のあるママは多いようです。高熱があったり嘔吐を繰り返したり、症状がひどくなる場合は、迷わず夜間急病センターなどの救急医療を受診しましょう。
また、症状によっては救急車を呼んだ方が良い場合もあります。パパやママではどのような対処をしたら良いか判断が付かないときは、小児救急電話相談の「#8000」で、専門家にアドバイスを受けると安心です。
救急医療や救急車は適切な利用が求められてはいますが、子どもが重症化したり手遅れになったりしてはいけません。電話相談などの医療相談システムを利用することで受診するタイミングを見極めて、子どもの健康を守っていけると良いですね。