光化学スモッグとは?赤ちゃんや洗濯物にも影響する?原因や症状、対策|助産師監修
夏場は光化学スモッグが発生しやすく、自治体から注意報や警報が発令されることもしばしばです。どうして光化学スモッグが発生するのでしょうか。一時期改善されていた大気汚染が再び悪化しているのでしょうか。ここでは、光化学スモッグの原因と赤ちゃんに心配される症状、そしてその対策などについて説明します。
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目次
光化学スモッグとは?
光化学スモッグの発生原因
光化学スモッグとは大気汚染により起こる現象で、発生には自動車や工場などから排出される窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)が関係しています。
NOxやHCは太陽光に含まれる紫外線に反応して化学変化を起こし、オゾン、パーオキシアセチルナイトレート(PAN)などを含む光化学オキシダントという物質に変化します。大気中の光化学オキシダント濃度が上がると、もやがかかったように視界が低下するのです。この状態を光化学スモッグといいます。
光化学オキシダントは近年増加傾向にある
光化学スモッグは1960~70年代にかけて社会問題化したのち、大気汚染防止法の規制により日本国内では減少傾向にありました。ところが近年、空気中の光化学オキシダント濃度が上昇傾向にあり、光化学オキシダント注意報が発令される都府県の件数が増えているのです。(※1)これは汚染の広域化を意味しているとも言われています。
その原因のひとつとなっているのが、塗料やガソリンなどに含まれる揮発性有機化合物(VOC)です。日本では新たに大気汚染防止法の規制対象に加え、大気汚染を食い止めるための対策が行われています。
光化学スモッグの症状
光化学スモッグを発生させる光化学オキシダントは強い酸化性を持ち、人への健康被害や生態系への影響が問題視されています。人の皮膚や粘膜に付着すると目がチカチカしたり喉が痛くなったりする症状があらわれ、重症化した場合は息苦しさや頭痛・発熱、嘔吐といった症状が出る場合があります。
光化学スモッグは赤ちゃんにも影響がある?
光化学スモッグが原因で引き起こされる症状は光化学スモッグ障害と呼ばれます。赤ちゃんは健康な大人と比べて刺激に対する防御力が弱く、より強い影響が出ることがあります。
たとえば世界保健機構(WHO)は、大気汚染が子どもの肺の機能を低下させ、成長を遅らせることを示唆しています。(※2)また、運動機能の低下も懸念されていることです。特にぜんそくなどの呼吸器疾患、心臓病、アレルギー疾患などの既往があると、症状が重症化する可能性があるため注意が必要です。
光化学スモッグの対策は?
予報が出たら外出は控える
1日の最高気温が24℃以上で日中に2時間以上の日照があることや、風の強さ・風向きなどの条件がそろうと光化学スモッグが発生する可能性が高まります(※3)。
自治体では大気中のオキシダント濃度を測定し、基準値を超えると光化学スモッグ予報を発令します。濃度がさらに高まると、注意報、警報と危険度が増してくるため、予報が出たら屋外での活動は中止し、なるべく外出を控えるようにしましょう。
・日差しが強い(2時間以上の日照り)
・気温が高い(最高気温が24℃以上)
・風が弱い(平均風速5m/s以下)(※4)
(※4)参考文献は東京の気象条件から求めた光化学オキシダントが高濃度発生する気象条件該当日と、首都圏ブロックにおける注意報等の実際の発令の関係によるもの
発生しやすい時間帯を知る
光化学スモッグは地域によって発生状況が異なりますが、注意報の発令数は首都圏がもっとも多く、近畿、瀬戸内、九州でも件数が増えています。発令時間帯では13~14時にかけてピークとなり、解除の時間帯は17~19時に分布しています(※5)。
外出するときは光化学スモッグが発生しやすい時間をできるだけ避け、日中は屋内で過ごすなど工夫したいですね。
帰宅後はきれいに洗い流す
光化学スモッグは感染性のウイルスのように毒性があるわけではなく、身体に残留することはないと考えられています。しかし、汚染物質が皮膚や粘膜に付着すると刺激となるため、帰宅後はシャワーを浴びたりうがいをしたりして洗い流すと良いでしょう。
症状が出た場合は受診する
水で洗い流しても症状が治まらないときや症状が強く出ているときは、医師による診察を受けましょう。のどの痛みのほかに発熱の症状があるなど新型コロナウイルス感染症などほかの感染症との区別がしづらければ、医師の診察を受ける前に電話して確認すると安心です。
光化学スモッグは洗濯物にも影響がある?
光化学スモッグの原因物質である光化学オキシダントは、そのほとんどが酸素原子が結合したオゾンで構成されています。
オゾンは分解しやすい性質を持つため、外干しした洗濯物などにぶつかると壊れてしまい残留することはないといわれています。洗濯物を干したまま外出しているときに光化学スモッグが発令されていても、心配しすぎることはないでしょう。
赤ちゃんのために光化学スモッグの対策をしよう
紫外線量は春先から早秋の4~10月に増え、7~8月にピークを迎えます。この時期になると連日注意報が発令される地域もあるので、熱中症とともに光化学スモッグの対策を意識して過ごしたいですね。
あわせて、子どもたちの未来のために自分たちでできる取り組みをすることも大切です。たとえば制汗剤や虫よけ、殺虫剤などのスプレー製品には噴射剤としてVOCが使われており、車の排気ガスにもVOCが含まれています。
スプレー製品を霧吹きやポンプ式のものに変えたり、移動のときに車を使う機会を減らしたりするといった心がけがVOCの削減につながるでしょう。
※この記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。