赤ちゃんの食物アレルギーの種類や症状、原因となる食べ物は?知っておきたい6つのポイントと検査・診断方法を解説

離乳期を迎えると、赤ちゃんの食物アレルギーが心配になる方は多いでしょう。0~1歳頃の赤ちゃんは、ほかの年代に比べ食物アレルギーになる割合が多いことから、食物アレルギーについて正しい知識を持つことが大事です。ここでは、食物アレルギーの基礎知識や、報告例が多い食物、アナフィラキシーショックについてわかりやすく解説します。

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この記事の監修

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小児科医
染谷 朋之介

目次

  1. 赤ちゃんの離乳食が始まったら食物アレルギーに注意!
  2. 赤ちゃん・子どもの食物アレルギーの種類と症状
  3. 赤ちゃん・子どもの食物アレルギーの原因になる食べ物
  4. 食物アレルギーで知っておきたい6つのポイント
  5. 食物アレルギー検査・診断方法
  6. 赤ちゃん・子どもの食物アレルギーは大人になったら治る?
  7. 食物アレルギーの悩みは抱え込まず、医師に相談を
  8. あわせて読みたい

赤ちゃんの離乳食が始まったら食物アレルギーに注意!

離乳期を迎えた赤ちゃんに注意したいのが食物アレルギーです。食物アレルギーにはさまざまな症状がありますが、なかには呼吸困難や意識障害など重い症状をもたらすケースもあります。食物アレルギーは乳児期に発症するケースが多いので、原因や対処法について正しく理解しておきたいですね。

食物アレルギーとは?

食物アレルギーとは、特定の食べ物を口にしたときに身体に現れる、かゆみ・腫れ・呼吸困難といった、さまざまな有害反応のことです。食べ物を直接口にしなくても、食べ物に含まれる成分を触ったり吸い込んだりするだけで症状が出ることもあります。

乳児の場合は、卵、牛乳、小麦を原因とした食物アレルギーが多く報告されています。ただし、子どもの消化吸収器官は成長とともに発達します。乳児期に発症する食物アレルギーの場合には、大人になるとアレルギーの原因となる食材を食べられるようになるケースも多いようです。

食物アレルギーが起こる仕組み

人間にはウイルスや菌から身体を守る「免疫」という働きがあります。食物アレルギーは、免疫の働きにより、本来であれば無害であるはずの食べ物を身体が異物と認識することでもたらされます。特定の食べ物に過敏に反応するため、結果的に自分自身の身体を傷付けてしまうのです。

赤ちゃん・子どもの食物アレルギーの種類と症状

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赤ちゃんや子どもの食物アレルギーの種類と症状について説明します。

食物アレルギーの種類

食物アレルギーは大きく5種類にわけられます。それぞれ特徴が異なるので、ひとつずつ確認しておきましょう。

【即時型の食物アレルギー】
特定の食べ物を口にしてから約30分~2時間のあいだに起こるアレルギー症状です。じんましん、嘔吐、激しい咳などの症状が見られます。0~1歳の患者数が多いのが特徴です。

【食物アレルギーが関係する乳児アトピー性皮膚炎】
特定の食べ物を口にしたときに起こるかゆみ、発疹などの症状です。顔や首、腕、足など、全身に見られます。

【新生児・乳児のアレルギー性胃腸炎】
主に粉ミルクに含まれる牛乳のたんぱく成分が引き起こすアレルギー症状です。下痢や嘔吐、血便など、消化器官の不調をもたらします。

【口腔アレルギー症候群】
特定の食べ物を口にしたときに見られる、口腔内や耳のイガイガや腫れ、かゆみといった症状のことです。りんごや桃などの生の果物や野菜、大豆などが原因となりやすいといわれています。

【食物依存性運動誘発性アナフィラキシー】
学童期~成人に多く見られるアレルギーです。じんましん、激しい咳、呼吸困難など、重症になるケースが多いでしょう。激しい運動の後に起こりやすく、小麦、えび、かにが原因になりやすいのが特徴です。

食物アレルギーの症状

食物アレルギーが引き起こす代表的な症状について紹介します。ただし、下記の症状が見られたとしても、必ずしも食物アレルギーとは限りません。自己判断で食物アレルギーと決め付けず、必ず医療機関を受診して指導を受けましょう。

症状が出やすい部位症状
皮膚紅斑、湿疹、じんましん、むくみ、かゆみ、ほてりなど
粘膜(目・鼻・口内)目の充血、むくみ、かゆみ、まぶたの腫れ、鼻づまり、鼻水、くしゃみ、口腔内の腫れ・違和感など
呼吸器喉の違和感・かゆみ・しめつけ感、声の枯れ、呼吸困難、喘鳴、チアノーゼなど
消化器吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、血便など
神経頭痛、ぐったりする、意識障害、失禁など
循環器血圧低下、脈の異常、手足の冷え、蒼白など

アナフィラキシーショックには特に注意が必要

アナフィラキシーとは、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が身体に侵入することで生じる、強いアレルギー反応のことです。特に血圧低下や意識障害をともなう症状をアナフィラキシーショックといい、死亡にいたるケースもあります。アナフィラキシーショックは、激しい運動の後に見られることもあります。

アナフィラキシーショックは、原因となる食べ物をごく少量口にするだけも症状が引き起されることがあります。ほかの人と食事をするときなどは、十分に気を付けましょう。ママやパパはもちろん、保育園・幼稚園の関係者、祖父母、ママ友など、子どもと接する機会が多い相手からはしっかりと理解を得ておきたいですね。

アナフィラキシーを起こしやすい食べ物は、鶏卵や牛乳のほか、甲殻類やそば、ピーナッツ、ゴマなど、多岐にわたります。

赤ちゃん・子どもの食物アレルギーの原因になる食べ物

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消費者庁では、食物アレルギーの原因となりやすく、過去に深刻なアレルギー症状が見られた食べ物を「特定原材料等」と指定しています。ここでは、特定原材料等の中でも、原材料に表示が義務付けられている特定原材料7品目と、表示が推奨されている20品目について紹介します。

鶏卵

鶏卵は、日本国内で最も多く報告されている子どもの食物アレルギーの原因です。特に、黄身よりも卵白のほうがアレルギーを引き起こすたんぱく成分を多く含んでいます。鶏卵は、加熱することでアレルギー反応を起こす力が弱まります。

離乳期に鶏卵を初めて食べさせるときは、しっかり加熱した卵の黄身から始めましょう。黄身を食べさせて異常がなければ、少しずつ白身も食べさせます。

すでに鶏卵アレルギーと診断されている場合は、担当医師の指導を受けてください。鶏卵は、ハンバーグのつなぎや、コロッケなど揚げ物の衣にも使用されているので、特に外食時などは原材料をよく確認しましょう。鶏卵アレルギーの場合、ウズラの卵にも反応することがあるため、あわせて注意が必要です。

鶏卵アレルギーは成長とともに耐性化(食べられるようになる)するケースも多いので、焦らずにじっくり対応しましょう。

牛乳(乳成分)

牛乳は鶏卵の次に多く報告されている、食物アレルギーの原因食材です。鶏卵と異なり、加熱・発酵してもアレルギーを起こす力は変わりません。バター、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品や、シチュー、アイスクリーム、マーガリンなど乳成分を含む食品でもアレルギー反応を起こすことがあります。

離乳食や幼児食をつくるときは、牛乳の代わりに豆乳やココナッツミルクを代用するのもおすすめです。牛乳を使用していないカレールウやホイップクリームなども販売されているので、チェックしてみましょう。

小麦

小麦アレルギーは乳幼児に多く報告されており、鶏卵、牛乳、小麦はまとめて3大アレルゲンとも呼ばれています。小麦は、パン、麺類、お菓子、加工食品、餃子やてんぷらなどのお総菜類など、さまざまな食べ物に使われているため、小麦アレルギーの場合は入念に原材料をチェックしましょう。

最近は、小麦の代わりに米粉やタピオカ粉を使ったパンや麺類など、代替食品が多く販売されているので、一度試してみるのもおすすめです。ただし、「米粉パン」と表記されていても、小麦のたんぱく質(グルテン)が使用されているものもあるため、食べて問題ないかどうかは原材料表記から判断してくださいね。

そば

そばアレルギーの場合は、食後にじんましんや喘息発作など、重篤なアナフィラキシー症状をもたらすことがあります。そばを直接食べていなくても、そばを扱う飲食店に入っただけで症状が出るケースも珍しくありません。そば殻枕にも注意が必要です。

ピーナッツ(落花生)

ピーナッツは、そばと並んで重篤なアナフィラキシー症状をもたらす可能性があるため、注意が必要な食べ物です。特に米国では発症数が多く報告されており、日本でも件数が増えています。ローストピーナッツのように高温で加熱したものは、アレルギーの症状が強くなりやすいといわれます。

甲殻類(かに・えび)

かに、えびなどの甲殻類アレルギーは2~3歳以降から学童期に発症するケースが多く、大人になっても治りにくいといわれています。

甲殻類を食べている魚介類を網で捕獲し、分別せずに原材料として加工するケースがあるため、しらすや魚のすり身にも注意が必要です。商品の表示に「本製品で使用しているアサリなどの二枚貝には、かにが共生しています」といった表記が見られたら、食べさせないようにしましょう。

そのほか

そのほか、食物アレルギーの原因として報告例が多く、原材料表記が推奨されている食べ物は次の通りです。

あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、 牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、 豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、 カシューナッツ、ごま

特に最近は、いくらのアレルギーが多く報告されています。昔に比べて、保護者がいくらを幼児に食べさせるようになったことが、発症数増加の要因と考えられています。離乳期は生の魚卵を与えないようにしましょう。

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離乳食の食物アレルギー!症状や注意したい食材一覧!反応が出たらどうする?

食物アレルギーで知っておきたい6つのポイント

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食物アレルギーについて知っておきたい6つのポイントを紹介します。

1.遺伝や家族歴が発症リスクに影響するといわれている

アレルギーは遺伝や家族歴が影響することがある病気です。両親がアレルギー性疾患にかかっていると、子どももアレルギーを発症しやすくなります。

ママやパパに食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギーがあるのであれば、子どもに新しい食材を与えるときに注意をするようにしましょう。海外では、子どもが小さいうちに受動喫煙をするとアレルギーを発症する割合が高くなることを示唆する研究結果が発表されています(※1)。

2.授乳中のママの食事制限は必要ない

授乳中の母親の食物除去が、子どものアレルギーの発症を追予防するという科学的根拠はありません。授乳中は妊娠中よりも積極的に栄養摂取が必要なことから、自己判断で食事制限をするのは控えましょう。心配な場合はかかりつけの医師に相談してください。

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母乳育児は赤ちゃんのアレルギーに影響するの?母乳と食物アレルギーの関係

3.自己判断による特定の食べ物の除去をしない

アレルギーが心配だからといって、自己判断で特定の食べ物を除去すると、赤ちゃんの栄養バランスが崩れるおそれがあります。離乳食の進みも遅くなるでしょう。

なかには、アレルギーと無関係な皮膚疾患をアレルギーと勘違いしてしまい、本来必要な治療ができないケースもあるようです。食物アレルギーを疑われる場合には、自己判断で食べ物を除去せず、かかりつけ医の指示に従うようにしましょう。

なお、離乳食の開始時期を遅らせることでアレルギー性疾患の発症が予防できるという考えもありますが、科学的根拠は不十分です。子どもの食物アレルギーが心配な場合は、専門医の指示にしたがってアレルギー検査を受けるなどしてくださいね。

4.アトピー性皮膚炎がある子どもは発症リスクが高い

乳児期に発症した食物アレルギーの多くは、乳児のアトピー性皮膚炎(かゆみを伴う湿疹)に合併して見つかることが多いといわれています。厚生労働省が発表したガイドラインでは、乳児期のアトピー性皮膚炎の約5割~7割程度に食物アレルギーが関与していると報告されています(※2)。

アトピー性皮膚炎がある乳幼児の場合、特定の食べ物を口にすることで症状が悪化する可能性があります。アトピーによって皮膚のバリア機能が低下するため、アレルゲンが侵入しやすくなり、ますます症状が出やすくなります。

最近の研究では、新生児のころから保湿スキンケアを行うことで、アトピー性皮膚炎のリスクを軽減できるという結果が出ています。保湿によって食物アレルギーの発症リスクを下げることは証明されていませんが、スキンケアでアトピー性皮膚炎のリスクを軽減することは大切です。

5.初めての食材はひと口から

赤ちゃんに初めて与える食材は必ず1日1種類にし、ひと口からにしましょう。食後しばらくは、体調に変化がないか様子を見ましょう。異変が見られたら病院に連れていけるよう、初めての食材は平日の日中に食べさせると安心です。

6.食物アレルギーの出やすい食べ物はよく加熱する

食材によっては、しっかり加熱することで食物アレルギーを引き起こす可能性が低下し、症状が出にくくなるものがあります。代表的なものが鶏卵です。

鶏卵アレルギーの原因となるたんぱく質にはオボアルブミンとオボムコイドがあり、オボアルブミンは加熱することで凝固するため、アレルゲン性が低下することがわかっています。ただし、オボムコイドに反応するタイプの鶏卵アレルギーの場合は、加熱しても症状が出るため、注意が必要です。

鶏卵のほか、りんご、牛肉も加熱することでアレルギー症状が出にくくなります。牛乳や小麦、バナナ、桃のように加熱してもアレルゲン性が変化しない食材も多いので、それぞれの食べ物の性質を十分チェックしておきましょう。

食物アレルギー検査・診断方法

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食物アレルギーが疑われる場合は、医療機関で検査を受けましょう。食物アレルギーの検査・診断方法について説明します。

血液検査

血中抗原特異的lgE抗体検査と呼ばれるもので、血液を採取することで食物に対するIgE抗体(アレルギー反応に関わる抗体)の値を調べます。結果は0~6のスコアで表され、スコアが大きいほど陽性が強いとされますが、必ずしも症状が出るわけではありません。血液検査は、アレルギーを起こす原因の特定には役立ちますが、診断を確定するものではありません。

皮膚検査

皮膚検査はプリックテストと呼ばれています。原因と疑われる食物の成分を腕の内側に1滴たらし、専用の針で肌に弱い刺激を与え、その後の皮膚の状態を観察するものです。肌が赤く腫れたら陽性と判断されますが、診断を確定させるものではなく、補助的な検査という位置付けです。

食物除去試験

食物アレルギーの症状が見られる乳幼児に対し、原因と疑われる食物を1~2週間除去して、症状がおさまるかどうかを見るものです。ママが授乳している場合は、ママも同様に食物除去を行います。食物除去試験は必ず医師の指導のもとで行いましょう。

食物負荷試験

食物負荷試験は、アレルギーの原因を特定し、かつ、どのくらいの量なら食べられるのか、どのような症状が出るのかを診断するものです。試験では医師の指導の下、食物アレルギーの原因と疑われる食物を少量ずつ複数回に分けて食べさせ、症状が出るかどうかを観察します。

アナフィラキシーショックなどの重篤な症状が出るおそれがあるため、医療機関によっては入院をすすめられることもあります。食物負荷試験は危険を伴うので、決して自己判断で行わないように注意しましょう。

赤ちゃん・子どもの食物アレルギーは大人になったら治る?

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食物アレルギー診療ガイドライン2016によると、食物アレルギー患者の年齢分布では、0歳児の割合が34%と最も高く、1歳以降は患者数の割合が右肩下がりに減少します。0~10歳までの患者数は、全体の90%を占め、大人になるにつれ治るケースが多いといえます。

特に、乳児期に多い鶏卵・牛乳・小麦アレルギーは、成長とともに耐性化(食べられるようになる)する場合が多いようです。鶏卵アレルギーは6歳で66%、牛乳アレルギーは3歳で60%、小麦アレルギーは3歳で63%が耐性化すると報告されています(※3)。

ただし、学童期になると、新たに甲殻類、果物類、魚類などにアレルギーを示す例も多いため、アレルギーを起こしやすい食物については継続して注意が必要です。

食物アレルギーの悩みは抱え込まず、医師に相談を

離乳食の後に湿疹が出たり、様子がいつもと違ったりした場合には、食物アレルギーによる症状かもしれません。気になることがあれば、ひとりで抱え込んだり自己判断で対応したりせずに、必ず医師に相談しましょう。呼吸困難などのアナフィラキシー症状が見られたら、夜間でもすぐに救急外来へ連絡してください。

医療機関を受診するときは、食事内容や食事時間、症状をメモしておくとスムーズですよ。食物アレルギーが見られても、多くの子どもは元気に成長していきます。焦らずに落ち着いて対処しましょう。

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