新生児にも風邪はうつるの?鼻水・咳の症状と病院へ行く目安|小児科医監修
小児科医監修|新生児はママの免疫で守られているため風邪をひきにくい、と考えられています。しかし、絶対に風邪をひかないというわけではありません。特に新生児の場合は、症状が進行すると危険がおよぶこともあり、入院する例もめずらしくありません。ここでは、新生児の赤ちゃんの風邪の特徴や病院にかかる目安について解説します。
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目次
新生児は風邪をひかないというのは間違い!
新生児から生後半年ころまでの赤ちゃんは、ママから受け取った免疫があるため、風邪などの病気になりにくいと考えられています。しかし、ママはすべてのウイルスや菌に対抗する免疫を持っているわけではありません。また、抗体をもっていたとしても、ウイルスや菌そのものが進化し、ママが持っている免疫が効かない可能性もあります。
「新生児は風邪をひかない」は間違いで、ウイルスや菌の種類によっては、風邪をひいてしまうことがあると認識しておきましょう。特に体力がない新生児の場合は、症状が悪化すると入院する可能性もあります。
風邪はパパやママ、上の子などの家族から新生児にうつる可能性が高いものです。とくに上の子の幼稚園や保育園で風邪が流行している場合は油断せず、家族みんなで風邪の予防対策を行うことが大事です。
新生児の風邪の症状は?
新生児の風邪の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。順にみていきましょう。
咳
喉や気管支は常に分泌液で覆われています。病原体やほこりなどの異物が喉や気管支に付着すると分泌液が増え、異物をからめとりながら体外に出そうと働きます。これが咳で、分泌液と異物が混ざったものが痰です。
新生児の赤ちゃんが時々咳をする程度であれば問題ありませんが、苦しそうな場合や咳が長く続いて治らない場合は小児科を受診しましょう。
新生児の赤ちゃんの咳がでるときには、下記のようなホームケアをして咳を和らげる環境を整えましょう。
・上半身を高くして寝かせる
・湿度をあげる(湿度50-60%が最適です)
・縦抱きにして背中をさする
・1時間ごとに空気を入れ替える
また、寝具のお手入れもこまめに行ってくださいね。
鼻水・鼻づまり
子どもの鼻の粘膜はとてもデリケートなため、ささいな刺激で鼻水がでたり鼻づまりになったりします。特に新生児の場合は鼻毛が少ないので、ほこりや病原体を吸い込みやすくなります。また。また赤ちゃんは自分で鼻をかめません。結果的に鼻水や鼻くその量が多くなり、鼻づまりを起こしやすくなります。
鼻水がでる場合、鼻水をぬぐったり鼻水吸引器で鼻水を吸い出したりして対処します。鼻くそが鼻を詰まらせているときは、蒸しタオルをあてる、綿棒にオリーブオイルを染みこませて鼻の穴になでるようにすると柔らかくなり取りやすいです。鼻の下がただれたらベビーワセリンやベビーオイルを塗りましょう。
鼻水や鼻づまりで苦しそうなときは、頭の位置を少し高くして寝かせるようにします。また湿度を高くすると、鼻づまりが楽になることがあるので、加湿器を使用したりお湯を沸かしたりなどして湿度を調節しましょう。
目やに
赤ちゃんは涙が鼻に抜ける管(鼻涙管)が狭く詰まりやすいため目やにの量が多い傾向にあります。特に新生児のころは寝起きの目やにの多さに驚くママも多いでしょう。風邪をひくと起きているときでも目やにが出やすくなります。
目やにとは、目の汚れや涙などの分泌物の塊です。これらは、通常鼻涙管から鼻を通って排出されています。しかし、風邪をひくと鼻の穴が詰まるため、目の分泌物が行き場を失い、目やにとして出てきてしまうのです。
目やには指でふき取らず、洗浄綿など清潔なコットンやガーゼを使います。目頭から目尻にかけてふき取りましょう。
熱
新生児は平熱が大人よりも高く、36.5度から37.5度です。ただ環境温に左右されやすく、着させすぎると「うつ熱」といって、熱をためこんでしまうことがあります。発熱に気づいた時には、まずは薄着にさせてみて、熱が落ち着くか確認しましょう。それでも発熱が続くなら、発熱していると判断されます。新生児は免疫力が低いため、発熱のある場合は早めに医療機関を受診することが大事です。生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんが発熱することは珍しいことです。特に生後1ヶ月に満たない新生児は発熱すること自体が異常なため、すぐに医療機関を受診しましょう。
ただし、新生児はちょっとしたことでも体温が高くなることがあります。熱が高いと感じたら、次の点に注意してみましょう。
・厚着をさせている
・部屋の温度が高い
・体温を測る直前に大泣きした
・お風呂の後
・授乳後
思い当たることがあれば、上記の原因を取り除いた後で体温を測りましょう。
新生児の風邪で病院を受診する目安
新生児に風邪の症状がみられる場合、どのタイミングで病院を受診すれば良いのでしょうか。症状別に目安をご説明します。
咳
咳は異物を外に出すという働きがあります。少しの咳があっても元気に過ごしていれば、あまり問題ありません。縦に抱っこしたり、部屋を保湿したりすることで、症状がよくなることがあります。しかし、新生児に下記の症状がみられる場合は早めに小児科を受診します。
・咳が数日たっても治らない
・熱がある
・呼吸が荒い
・発疹がある
・顔色が悪い
とくにオットセイのような咳や、ゼーゼーとした咳、呼吸のたびに胸がへこむ、せき込んで吐いてしまう、熱があるなどの症状がみられる場合は、直ちにかかりつけの医院を受診しましょう。
鼻水・鼻づまり
一時的な鼻水であればあまり心配がありません。しかし数日たっても症状が治らない、鼻づまりにより母乳やミルクが飲めない、またはいびきをかいている場合は、小児科を受診しましょう。
赤ちゃんの鼻水や鼻づまりの原因は風邪であることが多いですが、ほかの病気である可能性もあります。たとえば黄緑色のドロッとした鼻水が出る場合は、副鼻腔炎の疑いがあります。早めに病院を受診することをおすすめします。
発熱したらすぐに病院へ!
新生児や生後3ヶ月までの赤ちゃんが発熱することは一般的にはあまりありません。特に生後1ヶ月未満の新生児が発熱するときは、風邪以外に何か病気が隠れているサインの可能性もあります。お風呂の後や泣いた後などの一時的な体温上昇ではなく、37.5℃以上の発熱がみられる場合は医療機関を受診しましょう。
また発熱以外にどのような症状があるかチェックしておきましょう。たとえば、おう吐や下痢が多い場合はかぜの可能性もありますが、ロタやノロウイルス感染症の恐れがあります。耳を触ると痛がるときは、急性中耳炎あるいは外耳炎の疑いがあります。
そのほか、母乳やミルクの飲みが悪い、鼻水が多く出る、おしっこの量が少ないなど、ささいな症状でも診断の手掛かりになることがあります。子どもの様子をしっかり見ておきましょう。
新生児の風邪で病院に行くときに気をつけること
新生児を連れて病院に行く場合は、待ち時間が少なくスムーズに診療が受けられるようにしたいものです。また、病院でほかの病気がうつることがないように細心の注意を払うことが大事です。ママもマスクの着用や手の消毒、うがいなど予防対策が必要です。
このほかにも、病院を受診する際に気を付けた方が良いことを説明します。
病気の症状を説明できるようにメモをとって行く
熱の推移や鼻水や咳などの症状の経過、授乳や排泄回数がわかるようにメモを取り、病院に持っていきます。入浴できるかどうかなど、医師に質問したいことがあれば一緒にメモしておきましょう。
いつもと違う便やおう吐がみられたら、診断の手掛かりになることがあります。写真を撮っていくか、汚物が付いた服やおむつをジップ付きの袋に入れて持参しましょう。院内感染防止のため、必ず密閉してください。
診察予約できるときには予約をしてから行く
かかりつけの病院が予約制をとっている場合は、予約をしてから受診しましょう。待ち時間が少なく、新生児の負担も軽減できます。また院内感染予防にもつながります。予約をする場合は、患者さんが少ない時間帯を聞いておくと良いでしょう。
なるべく人が少ない時間帯に行く
病院はさまざまな患者さんがおり、免疫力の少ない新生児の赤ちゃんは、ウイルスや菌に感染する可能性が高くなります。連休明けの午前中や土曜日などは混雑しやすいのでなるべく混雑する日や時間帯を避けて受診しましょう。
車で通院した場合は、受付後から子どもの順番が来るまでのあいだ車内で待機できることがあります。また、新生児の場合は別室を用意してくれるところもあるので、相談してみましょう。
新生児が風邪をひいたら薬は使えるの?
できる限り薬を飲ませたくないというママは多いでしょう。病院にも新生児のあいだはなるべく薬を使わないという方針のところが多くあります。なるべく赤ちゃん本人の治癒力に任せるほうが良いと考えられています。
しかし、赤ちゃんの症状によっては薬が必要なこともあります。メリットとデメリットをしっかり確認した上で、医師の指示に従いましょう。素人判断で処方薬を飲ませないことは危険です。
薬の使用方法や保管方法はしっかり確認しておきましょう。
新生児が風邪をひいたときにはお風呂に入れても良い?
新生児の赤ちゃんの風邪の症状が軽く、比較的元気そうであればお風呂に入れても構いません。しかし、入浴は体力を消耗させる恐れがあるので、無理にお風呂に入れることは避けましょう。
お風呂に入れない場合は、身体を蒸しタオルで拭いて清潔な状態にして着替えさせます。新生児は首や脇の下、足の付け根などに垢がたまりやすいので、優しくふき取りましょう。こすりすぎないように注意してください。
赤ちゃんの病気におすすめの本
自宅に置いておきたい、赤ちゃんの病気やケアに関する本をご紹介します。
はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア
「はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア 」は主婦の友社から出版されている、新米パパ&ママにおすすめの1冊です。写真やイラストを使用しており、オールカラーでわかりやすいと評判です。
病気の対処法や予防方法のほか、体格や視力、歯並びの疑問についても触れられています。新生児~6歳ごろまでの子どもの健康や病気についての内容が網羅されています。
はじめてであう小児科の本第4版
町の小児科医として医療の現場に携わってきた山田真氏による作品です。30年以上前に出版されてから、多くのパパやママに読み継がれてきました。時代に応じて内容が改訂されています。ご紹介している第4版は2016年に改訂されたものです。
身体の仕組みや病気の症状・処置、予防方法、薬についてなど、忙しいパパやママでも読みやすいようにかみ砕いて説明されています。読み物としてもおすすめの作品です。
赤ちゃんの異変に早く気付くために
新生児の赤ちゃんの異変を察知するには、元気なときの様子を把握しておくと良いでしょう。生理的な欲求である、睡眠や食事(哺乳)がうまくいないような症状があれば、すぐに受診をおすすめします。たとえば、決まった時間に体温を測ることで、平熱を知ることができます。
また、呼吸が早いのは体調がかなり悪いサインです。元気なうちから赤ちゃんのみぞおちに手を当てて、1分間でお腹が上下する回数を計測しておきましょう。
そのほか、便やおしっこの回数、授乳回数、お昼寝の回数なども記録しておくと、異変に気付きやすくなります。抵抗力の弱い新生児のうちは、赤ちゃんの体調の変化に早めに気付けると良いですね。