乳幼児の耳だれ(耳垂れ)とは?症状や原因・治療法・ホームケアは?
赤ちゃんの耳の周りに、黄色っぽいカサカサしたものが付いたり、まれに黄色っぽくドロッとした液体が垂れていたりすることがあるかもしれません。これは「耳だれ」と言って、場合によっては赤ちゃんの病気の現れでもあります。赤ちゃんの病気を見逃さないためにも耳だれの症状や原因、治療法や、ホームケアを知っておきたいですね。
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目次
乳幼児の耳だれとは?
乳幼児のの耳だれ(みみだれ)とは、耳の周りに黄色くカサカサになった垢のようなものが付いていたり、黄色や白っぽい液体が流れていたりすることを言います。
このとき、赤ちゃんの耳をかぐと、異臭がすることがあるでしょう。耳から異臭がすると、何かしらの病気ではないかと心配になりますよね。
赤ちゃんの耳だれの種類
乳幼児の耳だれは、「環境によるもの」と「病気によるもの」とにわけることができます。
赤ちゃんの機嫌がよく、カサカサした黄色いものが付着しているだけであれば、病気の心配は低く、赤ちゃんの体質や環境によるものが原因と考えられます。耳が汚れている部分をガーゼや綿棒などで優しく拭くなど、清潔を保つようにケアをしてあげてくださいね。
一方、赤ちゃんの耳から臭いにおいがして、白や黄色っぽい液が垂れている場合は、病気による耳だれの可能性があります。機嫌が悪かったり、耳を頻繁に触ったりしているようならば、小児科や耳鼻科など医療機関を受診しましょう。
環境が原因の耳だれとは?
赤ちゃんの耳だれは、さまざまな環境と要因が重なっておこることがあります。日ごろからどのようなことに気を付けて、清潔を保ったり、ケアをしたりすれば良いのでしょうか。ここでは耳だれの原因を紹介します。
涙や母乳(ミルク)・よだれが耳に流れる
赤ちゃんは、母乳やミルクが口からこぼれたり、よだれが垂れたりしても自分で拭くことができません。仰向けで寝ていることが多い赤ちゃんは、口からあふれた液体が、頬を伝って耳に入りやすいとされています。また、涙を流すほど泣く場合も、涙が頬を伝って耳周りを濡らすことになるでしょう。
耳に口からこぼれた液体や涙が入ることで、耳の中が蒸れて、においがきつくなり、耳だれのような症状がおこります。耳周りに黄色っぽい液体が付いていたり、耳から異臭がするときは、まずは耳周りをガーゼか綿棒で優しく拭いてあげましょう。
向き癖があり耳が蒸れる
向き癖とは、月齢の低い赤ちゃんが、寝るときに同じ方向ばかりに首を向ける癖のことを言います。向き癖があると、ママが顔の向きを直してあげても、すぐに自分が向きやすい方向に位置を変えることもあるでしょう。
赤ちゃんは代謝が良いので、耳の中にも汗をかくことがあります。向き癖があると、同じ方向が下になりやすく、布団と密着する方の耳の通気性が悪くなり、蒸れやすくなります。蒸れると、耳の中にたまった垢やほこりなどの汚れが、におうことがあるでしょう。
また、蒸れた耳垢などが汗と一緒に耳の入り口まで流れてきて、耳だれのような症状がおこることがあります。
お腹にいたころの羊水のなごり
赤ちゃんは、胎児のときはママのお腹で羊水につかっていました。生まれて間もないころは、羊水が耳の中に残っていて、それが少しずつ耳だれのように出てくることがあります。
羊水は、一般的に無味無臭で透明な液体です。しかし、羊水が耳から出てくるときに、赤ちゃんの耳垢やよごれも一緒に出ることが多いので、耳のあたりがにおうことがあるでしょう。
耳だれがみられたときは、まずは耳の周りを優しく綿棒やガーゼで拭いてあげましょう。赤ちゃんの機嫌が良ければ、耳周りのケアをして清潔にしてあげてください。また、病気を見逃さないためにも、熱があったり耳を気にしたりするしぐさはないか、様子を見てあげてくださいね。
病気の原因の耳だれとは?
赤ちゃんの耳だれは、場合によっては病気が原因でおこることがあります。耳だれがみられたら、まずは赤ちゃんの機嫌を観察することが大切です。病気が原因の場合は、主に以下の症状がみられるでしょう。
・機嫌が悪い
・頻繁に夜泣きをする
・ぐっすり眠れていない
・母乳やミルクの飲みが悪い
鼻と耳がつながっている管(くだ)を耳管(じかん)といいます。赤ちゃんの耳管は成長段階で、大人よりも短いものです。そのため、赤ちゃんが風邪をひいた場合、細菌が含まれている鼻水などが、耳管を伝い耳に流れ込みやすいとされています。病気による耳だれがおこる場合は、赤ちゃんは鼻風邪をひいていることが多いでしょう。
病気が原因でおこる耳だれの場合は、医療機関で治療をしてもらったり薬を処方してもらったりする必要があります。赤ちゃんの機嫌が悪く、頻繁に耳をかいたり引っ張ったりしているようであれば、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
耳だれがおこったときに考えられる病気
中耳炎(ちゅうじえん)
中耳炎(ちゅうじえん)は、鼓膜の奥の中耳という部分に膿(うみ)がたまる病気です。乳幼児の耳だれがおこったときに、まず考えられる病気と言っても良いでしょう。
中耳炎は、6ヶ月~2歳の子どもに多いとされます。生後1歳までに60%程度、就学前までには90%近くの子どもが発症するというデータがあるようです。風邪をきっかけに発症することが多く、耳の中に強い痛みを感じ、なかには38~40℃の高熱が続くことがあるでしょう。こじらせると切開手術を進められる場合があります。
中耳炎が悪化すると、耳だれの他に、高熱や耳が聞こえづらくなる症状がおこります。また、中耳炎は、乳幼児がくり返しやすい病気のひとつです。赤ちゃんに風邪症状があり、機嫌が悪かったり頻繁に耳を気にしていたりするようなら、できるだけ早く耳鼻科を受診することが大切ですよ。
外耳炎(がいじえん)
外耳炎(がいじえん)は外耳道炎(がいじどうえん)とも呼ばれ、外耳道という耳の穴から鼓膜までの通路の器官が炎症をおこすことを言います。外耳道が炎症をおこすと、耳だれの他に、痛みやかゆみをともなうことが多いでしょう。
外耳炎は、耳そうじのときや耳に指が入ることで、外耳道に傷がつき、細菌が侵入することが原因です。風邪症状がみられず、赤ちゃんに耳だれがおこり、耳を頻繁に触ったり引っ張たりしている場合は、外耳炎の可能性があります。
外耳道湿疹(がいじどうしっしん)
外耳道湿疹(がいじどうしっしん)とは、外耳炎のひとつで、外耳道に傷がつき、ただれや湿疹などの症状がおこることを言います。乳幼児の場合は、母乳やミルク、よだれが垂れて耳の中に流れ込むことが原因のひとつともされています。
外耳道損傷(がいじどうそんしょう)
外耳道損傷(がいじどうそんしょう)とは、耳そうじなどで外耳道に傷がつき、出血してしまうことを言います。痛みは時間とともに治まることがほとんどですが、放っておくと炎症をおこして耳だれなどにつながることがあります。
外耳道を傷つけてしまった場合は、他の場所に傷がないか確認するために、また、傷が悪化するのを避けるためにも、できるだけ早めに耳鼻科を受診すると良いでしょう。
頭部外傷(とうぶがいしょう)
頭部外傷(とうぶがいしょう)は非常にまれな症状ですが、頭に強い衝撃を受けたときに、血が混じったものや水性の耳だれがおこることがあります。
頭部外傷がおこった場合、生命に関わる危険な状態であることが珍しくありません。頭を強く打ったときに耳だれがおこったならば、赤ちゃんを動かさずに、早急に救急車を呼ぶことが大切です。
耳だれの受診の目安
赤ちゃんは、耳に異常があったり熱が上がったりしても、言葉で伝えることができません。赤ちゃんの機嫌が悪く、耳をしきりに触ったりひっかいたりするようなしぐさがみられたら、熱がなくても医療機関を受診して良いでしょう。また、赤ちゃんが、よくぐずる・夜泣きがひどくなった・頻繁に首を振るなどの症状がある場合も同様です。
中耳炎は、放っておくと慢性化しやすい病気のひとつです。慢性化すると、中耳炎を繰り返すだけでなく、難聴などの後遺症が残ることもあるようです。そのため、できるだけ早く、適切な処置を受けて、その都度完治させることが大切とされています。
赤ちゃんの機嫌が悪く、耳をしきりに気にしていたり、首を頻繁に振るような仕草が見られたりするのであれば、耳の病気を疑って医療機関を受診しましょう。
何科を受診する?
赤ちゃんの耳だれがおこった場合は、まずは「耳鼻科」を受診すると良いでしょう。耳鼻科は「耳」「鼻」「のど」を専門にした診療科なので、耳に異常がある場合に、耳の中をより詳しく診察してもらえます。
しかし、風邪のひきはじめであれば、お腹や呼吸の調子も診てもらうために、小児科を受診した方が良い場合があります。赤ちゃんの様子を見ながら、まずはかかりつけ医である小児科を受診して、風邪が長引いて機嫌の悪い日が続き、耳に違和感があるようであれば、耳鼻科を受診しても良いですね。
耳鼻科と小児科は、いずれにしても赤ちゃんの様子をしっかりと診察してくれます。医師は専門外だと感じたら、他の診療科を受診するようにすすめたり、紹介状を書いてくれたりすることがあるでしょう。ママが気になる点は、受診の際に医師に相談して解決していきたいですね。
耳だれがおこったときのホームケア
普段の耳のケア
赤ちゃんの耳はとても繊細です。赤ちゃんの耳の入り口周りに、黄色いカサカサしたものがついていたら、見える部分のみを柔らかいガーゼや綿棒できれいに拭いてあげましょう。無理に耳の奥まできれいにしようとすると、皮膚を傷つけて炎症をおこす原因になることがあるので注意が必要です。
お風呂に入れるときに、赤ちゃんの耳に水が入っても、過度に心配する必要はありません。お風呂上りに、バスタオルや綿棒などで耳の入り口を優しくふき取ってあげてくださいね。
中耳炎のときの耳のケア
赤ちゃんの機嫌が悪く、耳から黄色っぽい液が出ている場合は外耳道の炎症か、中耳炎をおこしている可能性があります。迷わず耳鼻科を受診しましょう。
乳幼児にとって、中耳炎はくり返しおこしやすい病気でもあります。慢性化させないためにも、その都度しっかりと治療を行うことが大切です。赤ちゃんに風邪症状がみられるときは、耳をしきりに気にしたり、頻繁に首を振ったりするしぐさを見逃さないようにしましょう。
耳鼻科で中耳炎と診断された場合、発熱がある以外は、入浴は普通に行って大丈夫です。お風呂で温まって、耳の中にたまっている垢や膿(うみ)が表面へ出てきやすくなるので、お風呂上りは耳周りを優しく掃除してあげてくださいね。
子どもの病気おすすめ本
出版社: 主婦の友社
ページ数: 191p
初めて育児をするママやパパにもわかりやすく、写真で子どもの病気が解説されています。0~6歳と幅広い年齢の症状が紹介されているので、長く使える貴重な一冊でしょう。
症状やケアのコツ、症例写真、体格、視力、歯ならびまで網羅されているので、いざというときに頼りになりますよ。
引用元:review.rakuten.co.jp■この商品に関する口コミ
・病気になった子どもの写真が多く掲載され、病気の症状も詳しく書かれていてとてもわかりやすかったです。
・同じシリーズの子育て本にも病気のことは書いてありますが、より詳しいので助かります。
出版社: ベネッセコーポレーション
ページ数: 233p
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病状を写真で比較でき、症状に対する的確な処置の仕方が記載されています。いざというときに慌てず対処ができるよう、お守り代わりに持っておいてはいかがでしょうか。
引用元:review.rakuten.co.jp■この商品に関する口コミ
・症状別に病気を探すことができ、カラー写真やイラスト付きで、わかりやすく書かれています。新米ママなので、子育ての勉強のためにも買って良かったです。
・誰かに訪ねることができないときに役立ちます。
清潔を保って耳だれを予防しよう
赤ちゃんの耳だれは、清潔を保つことで治まるものと、病気によるものがあります。まずは、赤ちゃんの耳周りを清潔に保つように、お風呂上りにきれいにガーゼや綿棒で優しくケアをしてあげましょう。このとき、耳入り口を掃除してあげるだけで大丈夫です。無理に耳の奥に綿棒を入れて、耳の中を傷つけないように気をつけましょう。
また、赤ちゃんは、辛かったり痛かったりしても言葉で表現することができません。風邪症状がみられ、頻繁に耳を気にしている場合は中耳炎の可能性があります。症状が悪化する前に、できるだけ早く耳鼻科を受診しましょう。
赤ちゃんの耳は、とても繊細な器官でもあります。赤ちゃんの病気を見逃さないためにも、できるだけいち早く異変に気付いて、適切な処置をしてあげられると良いですね。