赤ちゃんの臍ヘルニアとは?症状、原因、治療法について

臍(さい)ヘルニアとはおへそが何らかの状態で出ている、いわゆる「でべそ」の状態です。赤ちゃんの臍ヘルニアについて悩んでいるママやパパもいるのではないでしょうか。ここでは、臍ヘルニアの症状や原因、治療法についてご紹介します。赤ちゃんのおへそが心配なママやパパは、ぜひ読んでみてくださいね。

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この記事の監修

眞々田 容子
小児科医
眞々田 容子

目次

  1. 臍ヘルニアとは?
  2. 臍ヘルニアの症状
  3. 臍ヘルニアの原因
  4. 臍ヘルニアの診断
  5. 臍ヘルニアの対処法
  6. 臍ヘルニアの治療法
  7. 臍ヘルニアに関する体験談
  8. おへそのことで気になることがあれば、小児科を受診しよう

臍ヘルニアとは?

臍ヘルニアは「さいヘルニア」と読みます。おへそが何らかの原因で出っ張っている状態のことを指し、いわゆる「でべそ」のことです。余った皮膚が出ているだけの「でべそ」とは異なり、お腹の中身が出ている状態を臍ヘルニアと呼びます。

へその緒の切り方やママに原因がある訳ではありません。おへその見た目や、何か病気のサインではないかなど、心配されているママも多いのではないのでしょうか。臍ヘルニアは赤ちゃんが発症する場合と大人が発症する場合で、原因・治療の必要性・治療法が異なります。

臍ヘルニアの症状

臍ヘルニアはおへその皮膚が出ているだけのように見えますが、おへその下にある筋肉である「臍輪(さいりん)」がしっかりと閉じていない状態になっています。臍輪が閉じていないと、隙間からお腹の中の腸や脂肪が飛び出してしまいます。臍ヘルニアは赤ちゃんの5~10人に1人は発症するといわれています。

臍ヘルニアの原因

赤ちゃんの臍ヘルニアの原因

へその緒が繋がっていたときの名残で、赤ちゃんのへその真下の筋肉の隙間がうまく閉じない「臍輪閉鎖不全」という状態が「臍ヘルニア」の原因です。臍ヘルニアの赤ちゃんが泣いたり、おなかに力をいれたりすると腹圧があがり、筋肉の隙間から腸が押し出されて飛び出てしまいます。

大人の臍ヘルニアの原因

大人の臍ヘルニアはいくつかの原因が考えられます。赤ちゃんのころからあった臍ヘルニアをそのままにしていた、または手術や妊娠・太りすぎによる身体の変化などでへその下の筋肉に隙間ができ、臍ヘルニアになった可能性があります。

臍ヘルニアの診断

臍ヘルニアの診断では触診やエコーでの診察を行い、特に問題がなく本人の日常生活に支障がなければ経過観察となることがあります。赤ちゃんの臍ヘルニアの場合、指で圧迫すると飛び出た腸や脂肪をかんたんに元に戻すことできれば、臍ヘルニアであると診断されます。指の圧迫で元に戻らない場合は、飛び出た腸がねじれたり、それによって血行が悪くなったりしている「ヘルニア嵌頓」の場合があるため、無理に押し出したりせず早期に医療機関で検査、処置を受ける必要があります。

臍ヘルニアの対処法

2歳頃までは経過観察

赤ちゃんの臍ヘルニアは筋肉の発達に伴い自然に治ることが多いため、2歳くらいまでは手術はしないことが多いです。腹筋が発達する1歳頃には、95%以上の臍ヘルニアは自然治癒するといわれています。

圧迫療法を取り入れることも

圧迫療法という方法を取り入れる場合もあります。綿や綿球をへそに詰めて圧迫する方法です。この方法は新生児期など、なるべく早い段階で始めたほうが将来手術になる可能性が低下し、また手術になったとしても傷が小さくすむ良いという説もあります。

2歳以降は手術による治療

2歳を過ぎても治らない場合は自然治癒が難しく、手術をする場合もあります。

大人の臍ヘルニアの対処法

大人の臍ヘルニアは、すぐに治療が必要になる場合があります。まずは病院で診てもらいましょう。大人の場合は腸の一部がヘルニアにはまり込み、ヘルニア嵌頓という危険な状態になったり、腸への血流が止まってしまったりと、危険な状態になる可能性があります。

臍ヘルニアの治療法

手術が必要な場合

2歳を過ぎると自然治癒が難しいとされ、手術が必要になる場合があります。子どもがへその形を気にするようになる前に、なるべく早く手術をするほうが多いようです。小さいうちは手術中に動いてしまうため、全身麻酔による手術が行われます。

ヘルニアの原因となる筋肉の隙間を閉じることを目的とした手術を行います。傷がへその中だけに残る「臍内法」と、症状やへその形状に合わせて傷がへその外にまで及ぶ「臍外法」という手術法があります。

手術費用について

子どもは乳幼児医療費助成制度もあるため、手術費については各医療機関や自治体に問い合わせて確認しましょう。大人の手術の場合、自己負担は10~30万円程かかるそうです。

手術のリスクと再発の可能性

成功率が非常に高い比較的安全な手術であるといわれています。臍内法の場合には、へその中だけに傷が残るため、あまり手術跡は目立ちません。術後は再発防止のため、1週間ぐらいはガーゼや綿球をへそに詰めて固定します。再発する可能性は低く、次の日からは日常生活を送ることができます。

臍ヘルニアに関する体験談

筆者の娘も生後4ヶ月ぐらいのときに「臍ヘルニア」になりました。泣いているときは特におへそが飛び出ており、「触っていいのか」「痛くないのか」と不安でした。

小児科を受診したところ、先生に「腹筋がついてきたら、自然と治まることが多いので大丈夫ですよ。圧迫療法を試してみましょう」と言われました。おへそをぐっと押し、くぼんだ部分にガーゼを固くまるめたものを詰め、テープで固定する圧迫療法を教えてもらい、1ヶ月程続けました。娘の場合は1ヶ月でおへそがくぼみ、安定しました。娘のおへそが心配だったのですが、悩まずにかかりつけの小児科の先生に相談してよかったと思います。

おへそのことで気になることがあれば、小児科を受診しよう

赤ちゃんのおへそのことで悩み、心配している方もいらっしゃるでしょう。2歳までに自然治癒する場合も多く、圧迫療法を少しでも早い段階で行うことで効果も高まるようです。単なる「でべそ」で片づけず、赤ちゃんのおへそのことで気になることがあれば、迷わず小児科を受診しましょうね。

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