子どもの風邪の症状(咳・鼻水・目やに・熱)と過ごし方!外出は控えるべき?

子どもが風邪をひいたとき、どのように過ごすのが良いか悩みますよね。「元気そうにしていれば外出させて良いのか」、「どんな症状のときに病院に連れていくのか」など、子どもの風邪の疑問は尽きません。そんなパパやママの疑問に答えるべく、子どもの風邪の症状と症状別の対処方法や外出をして良いかどうかの目安についてご説明します。

527923

本ページはプロモーションが含まれています

この記事の監修

染谷 朋之介
小児科医
染谷 朋之介

目次

  1. 子どもの風邪の原因と経過
  2. 子どもの風邪の症状と対策は?
  3. 子どもが風邪のときの過ごし方!お風呂は入ってよい?
  4. 子どもが風邪の症状別!外出する目安
  5. 子どもの風邪で病院は小児科?耳鼻科?
  6. 子どもの風邪が治らない・長引くときの対処法
  7. 子どもの風邪は予防が大切!
  8. 子どもが風邪で仕事が休めないときには?
  9. 風邪は万病のもと!ひき始めの対処が肝心
  10. あわせて読みたい

子どもの風邪の原因と経過

風邪の原因の約90%がウイルスといわれています。ウイルスは空気中に浮遊しており、免疫力がない子どもがウイルスを吸い込むと風邪をひいてしまいます。残りの10%の原因には、細菌やマイコプラズマなどが含まれます。

感染後は次のような経過をたどります。

1.ウイルスが身体の中で繁殖する(この時点では元気なことが多い)
2.ウイルスに対抗するため、脳が発熱の指令を出す(寒気や身体の異変を感じることもある)
3.身体の中で熱をつくる(激しい寒気を感じる)
4.熱がピークになる(鼻水や咳などの症状も出る)
5.熱が徐々に下がる(身体のほてりや発汗がみられる)
6.鼻水や咳などの症状が落ち着く
7.治る

子どもの風邪の症状と対策は?

子どもが高熱を出すと不安になってしまいますが、風邪による発熱はウイルスを熱で撃退するための正常な反応です。体温が39~40℃になると、ウイルスが繁殖できなくなります。また、熱が上がると身体の免疫細胞が活発に働いてくれます。

熱には風邪と戦うという大事な役割があり、解熱剤を使って熱を下げると風邪の治りを遅らせる可能性があります。高熱により子どもが眠れないなど苦しそうな状態が続いていれば、解熱剤を使って少し楽にしてあげてもよいですが、むやみな解熱剤の使用は控えましょう。

一般的に、熱が上がり始めるときに人間は寒さを感じます。身体の震えや寒気がみられたら、服を1枚多く着せたり、布団を1枚多くかけたりしてあげましょう。熱が下がり始めると今度は身体のほてりを感じるようになるため、服や布団を1枚減らしてください。

高熱になると汗をかくので、衣類は通気性の良いものにし、こまめに着替えさせてください。また、食欲がない場合でも水分補給は欠かさないようにしましょう。

咳には気管支に入り込んだウイルスなどの病原体を体外に出すという役割があります。そのため、咳止め薬の安易な使用には懐疑的な意見も聞かれますが、あまりに症状がひどく息苦しそうにしているときは医師から処方されるでしょう。

風邪による咳だと思っていたら別の病気にかかっていた例もあります。熱がない場合でも、咳がなかなか治らない、発作のように咳込む様子がみられたら、早めに病院で診てもらいましょう。

咳の症状は、部屋を加湿したり、お風呂の湯気や蒸気を吸わせたりすることで楽になることがあります。また、身体を水平に寝かせるのではなく、枕やクッションを使って上半身を起こすような体勢で寝かせると良いでしょう。水分を取ると痰が出やすく咳を和らげてくれるので、こまめに水分を補給しましょう。

鼻水

鼻の粘膜が炎症を起こすと鼻水が多く出たり鼻づまりが起こったりします。最初は水っぽい鼻水ですが、時間が経つと粘り気のある黄色や黄緑色の鼻水に変化します。鼻水が鼻から喉に流れると、つらい咳やのどの痛みが引き起こされ、発熱につながる可能性があるでしょう。

鼻水の症状が長引くと、風邪の合併症である副鼻腔炎を起こすことがあるので、注意が必要です。副鼻腔炎が慢性化すると、においが感じられない、機嫌が悪い、もの覚えが悪くなる、いびきや口臭が悪化するなど、さまざまな支障が出ます。鼻水の症状がひどくなってしまった場合は、耳鼻科を受診しましょう。

鼻水症状は、部屋の温度や湿度を高めたり、室内でゆっくり過ごしたりすることで良くなります。市販の点鼻薬は子どもには効き目が強すぎることがあるので、使用は控えましょう。

年齢が低く自分で鼻をかめない場合は、鼻水を吸い出したりふいたりしてください。子どもが自分で鼻をいじると鼻血が出ることがあるので、気を付ける必要があります。鼻水で肌が荒れたときは、ベビーオイルやオリーブオイル、ワセリンで皮膚を保護してあげましょう。

目やに

起床時の白っぽい目やにではなく、まぶたがくっつくほどの大量の目やにや黄色い目やには、風邪の症状である可能性があります。特に自分で鼻をかめない赤ちゃんや幼児に多くみられます。

本来、目にはいったゴミや老廃物、涙などはまばたきのたびに目頭から鼻の方に流れていきます。しかし、風邪によって鼻が炎症を起こすと、目のゴミや涙が目やにとして出てきてしまいます。結果的に目やにの量が増えてしまうのです。

特に夏風邪の咽頭結膜熱(通称プール熱)の場合は、目やにや目の充血、涙目がみられるため、こうした症状があるかどうか確認しておきましょう。目やには手で取らずに蒸しタオルや洗浄綿などでふき取ります。目やにを介して病気が感染する可能性があるので、使用したタオルやコットンは使いまわさないようにしましょう。

嘔吐

嘔吐がみられる風邪は感染性胃腸炎によるもので、いわゆる胃腸風邪やお腹の風邪と呼ばれています。胃に入り込んだウイルスを体外に出すために吐くことが多いのが特徴です。腹痛や下痢、発熱や関節痛をともなうことがあります。

ウイルス性の場合はノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスが原因になることが多く、主に冬場に流行します。感染力が強いため、パパやママが看病をするうちに感染することがあります。子どもが食べ残したものは処分する、コップや食器を使いまわさない、嘔吐や下痢の処理は使い捨ての手袋をして行うなど、徹底して予防に努めましょう。

細菌性の場合は、サルモネラ菌やカンピロバクター、O-157といった菌に代表されるように、食品の傷みや加熱が不十分なために引き起こされることが多いです。特に夏場は食材を十分に加熱し、調理後は早めに食べきるようにしましょう。

発疹

特に夏場に起こる発疹は夏風邪の症状の可能性があります。発疹をともなう夏風邪には、手足口病と溶連菌感染症があります。

・手足口病 
コクサッキーウイルスやエンテロウイルスによる感染症です。手のひら、足の裏、口内に発疹がみられます。

・溶連菌感染症 
溶血性連鎖球菌による感染症で、かゆみをともなう発疹が全身にみられ、高熱が出ます。夏の風邪の代表的なものですが、冬場にも流行します。

そのほか、風疹や麻疹、水ぼうそうなど、発疹・湿疹が出る病気は風邪以外にも多くあります。発疹の症状がみられたら一度小児科や皮膚科で診てもらうと安心です。

子どもが風邪のときの過ごし方!お風呂は入ってよい?

安静は絶対に必要なわけではない

いくら風邪をひいていても、ずっと布団の中で寝て過ごすのは難しいですよね。少しでも元気があり、本人が希望するのであれば、DVD鑑賞や絵本の読み聞かせ、パズルや折り紙で遊ぶなど、室内で自由に遊ばせても構いません。良い気分転換になることでしょう。

お風呂には入ってよい?

昔はお風呂が屋外にあって暖房設備が不十分だったことから、入浴後の湯冷めにより風邪が悪化すると考えられてきました。現在では子どもが比較的元気そうにしていればお風呂に入っても良いと考えられています。ただし、長湯にならないように気を付け、風呂の後は身体を冷やさないように注意してください。

お風呂に入ると体力を消耗する恐れがあります。ぐったりしている場合は無理にお風呂に入れず、温かいタオルで身体を拭き、清潔なパジャマに着替えさせましょう。

よく寝る!睡眠をとろう

質の良い睡眠を十分にとることで、成長ホルモンが多く分泌されます。成長ホルモンは身体の細胞や組織を修復する働きがあります。免疫機能も高めてくれるので、風邪の治りを早めます。特に発熱は体力を消耗しやすいので、よく寝るようにして体力を回復させましょう。

反対に、睡眠不足が続くと免疫力が下がってしまうため、風邪を悪化させたりほかの合併症を引き起こしたりするおそがあります。普段から規則正しい生活を心がけ、免疫力を高める習慣を身につけるようにしましょう。

子どもが風邪の症状別!外出する目安

風邪をひいたとき、子どもを外出させても良いかどうか悩みますよね。症状別に外出して良いかどうかの目安をご紹介します。

鼻水が出ている

透明の水っぽい鼻水の場合は、比較的症状が軽いです。熱などがなければ外出させるという方が多いでしょう。

黄色や黄緑色の鼻水では、鼻の内部で炎症を起こしている可能性があるので、注意が必要です。息苦しい、だるい、イライラしているなど、本人もつらそうにしているのであれば外出は控えた方が良いでしょう。

咳が出ている

コンコンという軽い咳であれば、外出させるというママが多いようです。しかし、ゴホンゴホンという激しい咳や、痰が絡んだような咳がみられる場合は外出を最小限にし、自宅でゆっくりさせた方が良いでしょう。

小児科では、夜に咳が出て眠れないようなときは、外出をもう1日見あわせたほうが良いとアドバイスをすることが多いようです。夜の咳が出る場合、気管支がまだ炎症を起こしていることが多いためです。

風邪のウイルスが消えてから体力が完全に戻るまでに、1~2週間ほどかかります。免疫力が低下している時期は、また新たな風邪をもらいかねないため、注意が必要です。

子どもが外に出たがりぐずっているときは、人の少ない公園などを選び、外出した後はゆっくりと休ませてあげることが大切です。児童館など、ほかの子どもたちと一緒に過ごす場に連れて行くと、周りに風邪をうつしてしまうことや、周りのママが快く思わないことがあるので気を付けましょう。

発熱している

子どもは熱があっても元気そうにしていることが多いですが、基本的には病院以外の外出を控え、旅行などの予定も見あわせた方が良いでしょう。小児科でも、発熱時に人が多い場所に行くとウイルスや菌をもらってくる可能性があり、風邪の症状を悪化させるおそれがあるため、外出を控えるようにと指導することが多いです。

微熱であればスーパーへの買い物に同行させるというママもいます。少しくらいの外出で症状が悪化するとは断言できませんし、自宅で子どもをひとりで留守番させる方が危険といえます。ただし、どうしても連れていく必要がある場合は買う予定のものをリストアップしておき、なるべく短時間で済ませるように工夫してください。

熱が下がったからといって無理をさせると、症状がぶり返すことがあります。解熱後もしばらくはゆっくり過ごすようにしましょう。

下痢をしている

胃腸風邪などによって下痢がある場合は、外出を避けた方が良いでしょう。小児科では、胃腸炎の多くは感染力がとても強いため、下痢が治まってから2日以上経ち、食欲や体力が戻ってからの外出が好ましいとアドバイスされることが多いようです。

外出先で腹痛や下痢になると子どももつらい思いをしてしまいます。通院以外の外出はなるべく控えるようにしましょう。

子どもの風邪で病院は小児科?耳鼻科?

一般的に、子どもに風邪の症状がみられたら小児科を受診することが多いでしょう。小児科では子どもの全身状態の診察をしてもらうことができます。しかし、風邪の合併症である中耳炎や副鼻腔炎(蓄膿)の症状が疑われるときには耳鼻科を受診し、専門的な治療を受けるようにしましょう。

子どもの風邪が治らない・長引くときの対処法

熱がなかなか下がらない、一度治った症状がぶり返すなど、時間が経っても子どもの風邪が治らない場合は、一度小児科で診てもらいましょう。病院を受診する際は、症状の経過をメモに書いて持参するとスムーズです。熱の推移のほか、嘔吐、下痢、鼻水、咳などの症状の経過を記録しておきましょう。

子どもの風邪は予防が大切!

風邪をひいた後の対応も大事ですが、一番大事なのは予防です。特に幼い子どもは抵抗力や体力が少なく、風邪をひきやすいものです。パパやママが率先して予防の大切さを教え、実践させるようにしましょう。

パパやママがかかった風邪が子どもにうつることは珍しくありません。家族みんなで風邪の予防対策を行ってください。予防のポイントは次の通りです。

・手洗い・うがいを行う
・風邪が流行りはじめたら人ごみを避ける
・マスクを着用する
・部屋をこまめに換気する
・冬場は湿度を高くし、ウイルスの活動を抑制する。
(ただし、夏風邪のウイルスは湿度を好むため、夏場は湿度を下げるようにする)
・規則正しい生活をし、睡眠時間をたっぷりとる
・室内では厚着をさせすぎない(汗による冷えを防ぐ)
・外遊びやスポーツなどで身体を鍛える
・バランスが取れた栄養豊富な食事をとる

子どもが風邪で仕事が休めないときには?

子どもの風邪の症状がひどくなると、幼稚園や保育園をお休みせねばなりません。しかし、どうしてもパパもママもお仕事を休めないこともありますよね。数日であれば仕事を休めても、何日も仕事を休むというのは難しいという場合もあるでしょう。そんなときは祖父母など周囲の人の手を借りることも大切です。

周囲の人を頼れない場合には、病気の子どもを預かる病児保育や回復期の子どもを預かる病後児保育といったサービスを利用し、保護者に代わって子どもを看病してもらいましょう。病児保育や病後児保育を利用できない場合は、病児専門のシッターサービスを利用しても良いですね。

病児保育とは?インフルエンザでも預けられる?料金や施設、利用方法を解説
病後児保育とは?病児保育との違いは?預けられる基準や利用方法

風邪は万病のもと!ひき始めの対処が肝心

小さい子どもは免疫力が低いため、風邪をひきやすいです。1年に何度も風邪をひきますが、あまり心配はいりません。多くの子どもたちが風邪を繰り返しながら免疫を付け、少しずつ丈夫な身体になっていきます。

しかし、「風邪は万病のもと」という言葉があるように、症状が長引いていたり悪化したりする場合は、本人もつらい思いをしてしまいます。特に風邪はひき始めが肝心です。子どもの異変に気づいたら、早めに対処するように心がけましょう。

あわせて読みたい

【小児科医監修】子どもが風邪のときの食事は?控えたい食べ物は?乳児は?
https://mamanoko.jp/articles/29325
【小児科医監修】子どもの発疹!原因、病気の種類と判断基準、受診の目安とは?
https://mamanoko.jp/articles/26925