【産婦人科医監修】小さく生まれた赤ちゃん「低出生体重児」とは?原因やリスクについて解説

生まれたときの体重が2500gに満たない赤ちゃんは、低出生体重児と呼ばれます。低出生体重児はNICUに入院し特別な治療やケアを必要とする場合があり、発育・発達にも注意が必要です。ここでは、低出生体重児となる原因やリスクについて解説し、受けられる支援制度を産婦人科医監修で紹介します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 低出生体重児とは? 
  2. 低出生体重児が生まれる原因は?
  3. 低出生体重児のリスクはある?
  4. 低出生体重児の届出は必要?
  5. 低出生体重児のサポート体制
  6. 低出生体重児の成長をゆっくり見守ろう
  7. あわせて読みたい

低出生体重児とは? 

出生体重が2500g未満の赤ちゃん

在胎週数や身体の大きさにかかわらず体重のみで分類する定義において、生まれたときの体重が2500g未満の赤ちゃんのことを「低出生体重児」といいます。

このほかに2500g以上4000g未満の赤ちゃんを指す正出生体重児と、4000g以上で生まれた赤ちゃんを指す高出生体重児という区分があります(※1)。低出生体重児はさらに細かく分けられており、1500g未満が極低出生体重児、1000g未満が超低出生体重児となります。

妊娠中は妊娠週数や身体の大きさなど、さまざまな尺度で赤ちゃんとママの健康状態を管理していますね。出生時にも同じように体重や在胎週数などで赤ちゃんの状態を確認し、必要な医療や支援につなげているのです。

高出生体重児4000g以上
正出生体重児2500g以上4000g未満
低出生体重児2500g未満
極低出生体重児1500g未満
超低出生体重児1000g未満

全体の9.4%が低出生体重児

最新の統計が出ている2023年には、日本全国で72万7,288人の赤ちゃんが誕生しました。このうち2500g未満で生まれた赤ちゃんは約7万人で、全体の9.6%にあたります(※2)。1000g以上~1500g未満は3,238人(0.4%)、1,000g未満は2,220人(0.3%)でした。

1980年代から2005年までは低出生体重児の割合は年々増加傾向にありましたが、それ以降は9.5%前後で推移しています。全体で見ると高い数値ではありませんが、100人のうち9人は低出生体重児であることを考えると、決して珍しいケースとはいえません。

赤ちゃんが小さく生まれた場合のリスクやその後の成長について正しく理解し、早産の予防や子育て支援の活用につなげることが重要です。

低出生体重児が生まれる原因は?

「早産」が原因のひとつ

低出生体重児が生まれる原因はさまざまですが、在胎週数が37週未満の早産では低出生体重児となる可能性が高くなります。早産で生まれた低出生体重児は「早産低出生体重児」と呼びます。

早産のリスク要因としては、喫煙、受動喫煙、飲酒、長時間労働などの生活習慣があげられます。若年妊娠、高齢妊娠、妊娠前の体重が痩せている人や肥満の人も早産のリスクが高い傾向にあります(※3)。

早産を予防するためにもこうしたリスクはできるだけ避けたいものですが、心配をしすぎてストレスをためないことも大切なことです。気がかりなことがあれば医師や助産師に相談したり、自治体の支援制度を活用したりしてひとりで抱え込まないようにしましょう。

母体側が要因となる場合

ママが妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剝離(じょういたいばんそうきはくり)、子宮頸管無力症(しきゅうけいかんむりょくしょう)などを発症した場合、赤ちゃんとママの身体の状態を総合的に判断し分娩を早めることがあります。このように医学的に早産を選択すると、低出生体重児となる可能性が高くなります。

細菌感染による絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)も早産にいたる要因です。感染していても無症状や症状が軽い場合であれば適切な治療により妊娠の継続が可能となる場合もあるため、妊婦健診を必ず受診し、気になることは早めに医師へ相談するようにしましょう。

子ども側が要因となる場合

双胎や多胎妊娠では低出生体重児の割合が高くなります。2023年のデータでは、双胎以上で生まれた赤ちゃんの約70%が2500g未満でした(※2)。

赤ちゃんの発育が遅れる胎児発育不全や妊娠中に判明した赤ちゃんの病気を治療するため、妊娠を中断し出産を早めることもあります。

低出生体重児のリスクはある?

身体的な障害

赤ちゃんの発育には個人差がありますが、低出生体重児は乳幼児の発育の基準である乳幼児身体発育値と比較して体格が小柄です。特に極低出生体重児や超低出生体重児は身体の機能や器官が未熟なことが多く、NICU(新生児集中治療室)に入院して、特別なケアを必要とすることがあります。

1500g未満で生まれた赤ちゃんに比較的多くみられるのは、肺、心臓、消化器の疾患です。黄疸・高ビリルビン血症などの血液・凝固系疾患、神経系や内分泌系の疾患、視力障害なども起こりやすくなります(※1、4)。

ただし、これらすべてが起こるわけではなく、赤ちゃんによって経過も異なります。心配なこと、気になることがあればひとりで悩まず、医師に相談してみましょう。

運動や言葉の発達の遅れ

低出生体重児のリスクに運動機能の遅れがあげられ、10ヶ月頃までは2500g以上で生まれた子どもと比べてできること・できないことの差に悩むことがあるかもしれません。しかし、1歳6ヶ月健診や3歳児健診のころにはその差はほとんどなくなっています(※5)。

3歳児ころまでに成長が追いつくかどうかは、乳幼児健康診査の結果が指標になると考えられます。4ヶ月の首すわり、10ヶ月のハイハイやつかまり立ち、動作の模倣、1歳半の言葉の模倣などは、その後の発達を評価する重要な項目です。

低出生体重児は、視力・聴力に障害が起こる頻度が高いことや、発達障害との関連も指摘されています。ただし、運動機能同様に年齢があがるにつれ改善するケースもあることから、子どもの成長は長期的に見守る必要があります。その時々に適切な療育サービスなどの支援が受けられるよう、自治体のサポートを活用していきましょう。

成人後期の生活習慣病リスク

低出生体重で生まれた人は、出生体重が3kg台の人と比べて40歳から74歳までの成人後期に心血管疾患にかかるリスクが高く、高血圧や糖尿病の生活習慣病になりやすいことが近年の研究で明らかになっています。

これは、胎児期の低栄養状態によるもので、低栄養によりエピジェネティクな変化やホルモンの低下などが引き起こされ、将来的に循環器系や分泌系の病気につながっていると考えられています(※6)。

生活習慣病は適切な食事や運動を行うことで予防につなげられることから、自治体の子育て相談などを活用し情報を集めると良いでしょう。

500g未満は生存率が8割以下に

2015年に出生した超低出生体重児のNICU入院中の死亡率を出生体重別に見てみると、出生体重400g未満では死亡率が38.3%、400~499gが23.0%でした(※7)。在胎週数では在胎22週台が32.3%、23週台が27.0%という結果です。

しかし、出生体重が700g以上になると死亡率は5.5%、在胎週数が26週台で5.8%まで低下します。近年の医療技術の進歩は著しく、出生体重が1000g未満の超低出生体重でも助かる命は増えています。早産の傾向がみられるときには医師の指導を受けましょう。

低出生体重児の届出は必要?

出生時の体重が2500g未満で生まれた赤ちゃんは、母子保健法第18条により住んでいる市区町村への届出が必要とされています。これは家族と地域、医療機関が連携して自治体からの適切な支援を受けるためです。

届出の用紙や形式は自治体によって異なりますが、出産児の状況のほか、相談したいことや保健師による訪問支援の希望などを記入する欄が設けられています。

低出生体重児のサポート体制

医療費助成

小さな身体で生まれてきた赤ちゃんのママやパパは、発育や発達について大きな不安を抱えていることが少なくありません。自治体ではそうしたママたちの不安に寄り添うため、さまざまなサポートを提供しています。

そのひとつが未熟児養育医療給付制度です。自治体が定めた基準に該当する赤ちゃんが指定の医療機関で入院治療を行った場合に医療費の一部が給付される制度で、市区町村が申請を受けつけています。

自治体によるサポート

保健師による家庭訪問や低出生体重児の保護者向けの赤ちゃん教室を行っている自治体もあります。高度な医療や福祉の支援が必要な場合でも、医療費補助や障害福祉支援、教育相談といった公的支援が受けられる可能性があるため、自治体で設けられている支援と申請について確認しておきましょう。

情報の発信

低出生体重児は身体が未熟な状態で生まれることが多く、新生児期の合併症などの影響が続くことも珍しくありません。生まれてからもしばらくは小柄なため、従来の成長曲線では発育の状況を追うことができませんでした。

そこで厚生労働省は「医療機関退院後の低出生体重児の身体発育曲線(2022年)」を作成し、ウェブサイトなどで公開しています。低出生体重児の身体発育曲線は、こども家庭庁が開設した「母子健康手帳情報支援サイト」でもみることができます。

低出生体重児の成長をゆっくり見守ろう

赤ちゃんが小さな身体で生まれ特別なケアが必要になると、子どもの将来のことが心配になりますね。ママやパパは自分を責めたり愛情をうまく形成できなかったりすることがあるかもしれません。そのようなときは医療機関や自治体に相談することで気持ちが前向きになることもありますよ。

乳児期から幼児期・学齢期と年齢があがるにつれ、成長が追いつくことも多くあります。自治体や医療機関による支援を活用しながら経済的・精神的にかかる負担を減らし、焦らず成長を見守っていきましょう。

この記事は2026年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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