年末年始の帰省時に多い子どもの健康トラブル5つと対策【パパ小児科医コラム】
年末年始は帰省のシーズンですが、小児科の救急外来では帰省中に体調を崩して受診するお子さんが大勢いらっしゃいます。風邪はもちろん、この時期ならではの健康トラブルもあり、事前に知っておくことで未然に防げる場合があります。帰省時にはどんなことに気をつければ良いのか、具体例と対策をあげながらパパ小児科医が解説します。
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はじめまして。パパ小児科医(ぱぱしょー)と申します。TwitterやInstagramを中心に小児科医の立場とパパの立場から子育て情報を発信しています。
年末年始の帰省のときには発熱や転落、アレルギーなどこの時期ならではの健康トラブルが多く、小児科を受診するお子さんも多いです。
では、実際にどんなことに気をつければ良いでしょうか。具体例をあげながら子どもの健康トラブルの予防法を考えていきます。
【アレルギー】食べ物はもちろん布団も注意
気管支喘息
押入れにしまっておいた寝具の中にダニが繁殖していることは多いです。それらをすいこんでアレルギー症状が引き起こされ、喘息発作やくしゃみ、鼻水などが出る場合があります。
予防には、あらかじめ布団を干し、風通しを良くして寝室に掃除機をかけておいてもらってください。貸し布団を手配するのも良いかもしれません。
食物アレルギー
久しぶりに会う親戚はお子さんの食物アレルギーを把握はしていません。つい食べられないものや、今まで食べたことのないものを食べさせてアレルギー症状が出てしまうことは少なくありません。
たとえば卵アレルギーがある場合、茶碗蒸しやすき焼きなどで起こることがあります。卵は加熱するほどアレルギーが出にくくなりますが、茶碗蒸しはそれほど火は通っていませんし、すき焼きは生卵をつけて食べるため、これらは「卵アレルギーの症状が出やすい料理」になります。
茶碗蒸しは柔らかくて食べやすそうで赤ちゃんに与えがちですが、注意が必要です。また、すき焼きの生卵が入ったお椀についつい赤ちゃんが手をつっこんでしまう可能性もあるので、食事中は子どもから目を離さないようにしましょう。
【誤嚥・誤飲】お餅を食べ始められる年齢の目安は…
誤嚥
お正月といえばお餅です。縁起物ですが、ご高齢の方と同様、赤ちゃんが餅をのどに詰まらせる事故も起こっています。
何歳からお餅を食べられるか、明確な目安があるわけではありませんが、個人的にはおおむね4歳以上と考えています。アメリカ小児科学会は一般向けのwebサイトの中でホットドッグやガムなど、のどに詰まらせやすいものは4歳以上からにしましょうと述べています。(※1)
文化の違いからお餅については述べられていませんが、誤嚥の危険性のあるものはおおむね4歳以上という認識でいいと思います。もちろん個人の飲み込み能力によって異なるところもありますが、少なくとも1、2歳の子に与えるのはまだ早いでしょう。
誤飲
子どもがいる家庭では、口にして危険なものは手の届かないところに置くようになっていますが、帰省先ではお薬やタバコ、ボタン電池などが不用意に置いてある場合があります。
お薬は貼り薬にも注意してください。貼り薬の中には成人量の薬が入っているため、子どもがシール遊びのつもりで身体に貼ると、多量の薬を飲んだのと同じことになってしまいます。
【やけど】電気ケトルのコードも要注意
電気ケトルのコードを引っ張ってひっくり返したり、石油ストーブやヒーターなどの暖房器具に触れてしまったりしてやけどすることがあります。
私の祖母の家ではストーブの上でヤカンを温めているため、触ってやけどしないようにずっと抱っこしていなければなりませんでした。
自宅にないものは赤ちゃんにとっては新鮮で魅力的に見えて触りたくなってしまいますので、手の届かない場所に移動させるなどで安全を確保してください。
【転落】大人が多いと油断しがちに
帰省先では子どもにあわせた家屋の作りにはなっていませんので、段差でつまずいたり、イスから落ちたりすることはよくあります。
私自身、実家にはベビーゲートがないために子どもがハイハイで階段を登っていってしまい、ヒヤヒヤした経験があります。
久しぶりに親戚が集まって話しこんでいると、目も離れがちになりますし、たくさん人がいるから大丈夫と、逆に気が緩んでしまうこともあります。帰省先でケガをすることは多いということを知っておいてください。
【発熱などの体調不良】帰省先での救急受診先は要チェック
いつもより不規則な生活や長距離の移動で疲れたり、人混みで風邪をもらったりして、帰省先で子どもが発熱など体調を崩すことはよくあります。帰省先での救急受診先や診察時間を調べておきましょう。
受診すべきか悩むときはこどもの救急(ONLINE-QQ)などを参考にしてください。
もともと持病がある場合には、普段使っているお薬やお薬手帳を持っていくことはもちろん、かかりつけ医にもしものときの相談をあらかじめしておくと良いかもしれません。
楽しいお正月になるようにしっかり対策を
毎年、年末年始に救急外来をしていますと、これらのトラブルにはよくであいますが、事前に起こりやすい事故を知っておくことで予防ができるものもあります。
トラブルの予防法はそれぞれの家のつくりや、マンパワーによっても異なりますので、ぜひパパ・ママだけでなく、おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさん皆さんでこの記事をお読みいただき、「子どもの安全を守る」ために知恵を寄せ合ってください。
子どもたちにとって、皆さんにとって安全で楽しいお正月になることを願っています。
なお、子どもの誤飲や転倒、やけどなどの応急処置の方法については以下のサイトも参考になります。家族で一度目を通しておくと安心ですよ。
年末年始はトラブルがないようしっかりと用心しつつも、普段子育てを頑張っているママやパパが息抜きできる時間にもなると良いですね。
次回、先生には「子どもが離乳食を食べてくれない」ときの対処法を解説していただきます。先生自身もお子さんの離乳食では苦労されたそう。パパと医師の両方の目線でのアドバイスにご期待ください。(ままのて編集部)
著者情報
二児(2歳、4歳)の父で小児科専門医。
TwitterやInstagramを中心に子育て当事者の立場から、また医療者の立場から子育てに役立つ情報を発信しています。