【ヒヤリハット事例集】子育て中におこりやすい事故とは?覚えておきたい応急手当方法

子どもが危険な目に合うのは避けたいものですが、一歩間違えば大きな事故につながりかねない場面は少なくありません。このような子どもの事故が起こりやすい事例をまとめたヒヤリハット事例集や事故防止ハンドブックが公開されています。ヒヤリハット事例を知ることで、子どもを守る対策を確認しておきましょう。

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目次

  1. ヒヤリハットとは?
  2. ヒヤリハット事例集!気をつけたい事故とは?
  3. ヒヤリハットの応急手当方法は?
  4. ヒヤリハット対策で子どもの事故を予防しよう
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ヒヤリハットとは?

「ヒヤリ・ハット」とは、ヒヤリとした瞬間、ハッと息をのむようなできごとを指す言葉です。そのまま気づかなければ重大な事故につながっていたミスや、幸運にも事故を免れたようなケースがヒヤリハットにあたります。

ニュースでは、車からの降ろし忘れや川の事故など、子どもの身に起こった痛ましい事故が報じられています。その一方で、ニュースにならないようなヒヤリハット事例が数えきれないほどあるのです。

日常に潜むヒヤリハットには、どのような事例があるのでしょうか。こども家庭庁は子どもを事故から守るために未就学児の子どもに起こりやすい事故と対策をまとめた「事故防止ハンドブック」を消費者庁から引き継ぎ、ホームページで公開しています。内閣府がまとめた「教育・保育施設等におけるヒヤリ・ハット事例集」も参考にしながら、ヒヤリハットを防ぐポイントをみていきましょう。

ヒヤリハット事例集!気をつけたい事故とは?

窒息、誤飲

東京消防庁によると、毎年1,000人を超える乳幼児が、窒息や誤飲で医療機関に救急搬送されているといいます(※1)。救急搬送されていない事案を含めると、窒息や誤飲のヒヤリハットが日常的に起こっていると考えられます。

誤飲の場合、無症状であれば特別な処置をせずに経過観察となることがありますが、だからといって油断は禁物。窒息や誤飲の原因はさまざまにあります。その一例をみてみましょう。

ボタン電池や磁石

誤飲の原因として多いのが、おもちゃなどに使われているボタン電池や磁石です。電池や磁石が身体の中の一ヶ所にとどまった場合、短時間のうちに消化管の壁に損傷を与えることがあるため、誤飲に気づいたらすぐに病院を受診しましょう。誤飲防止のために、電池や磁石は赤ちゃんの手が届かないところで管理し、電池のふたが簡単に取れない構造の製品を選ぶと良いでしょう。

水でふくらむ樹脂製品

水でふくらむ樹脂製のおもちゃやインテリアなどに使われるジェリーボールは人気ですね。しかし、これらを誤飲するとお腹の中で大きくふくらみ、場合によっては開腹手術が必要になることがあります。災害時に便利な水でふくらむタオルなどの扱いにも注意が必要です。

医薬品やタバコ

薬やタバコ、またアルコール類は大量に飲むと中毒症状を引き起こす可能性があるものです。赤ちゃんの手の届くところには置かないようにしましょう。食品に似ている洗剤や入浴剤による事故も起こっています。

寝具

布団の選び方にも、窒息のヒヤリハットを防止するポイントがあります。それは、敷布団のかたさと掛け布団の軽さです。赤ちゃんはやわらかい敷布団だと、うつぶせになったときに顔が埋もれてしまいます。掛け布団が重いと、顔にかかっても払いのける力がありません。首に物が巻きつくことを防ぐため、布団の周りに物を置かないことも大切です。

水まわり(お風呂、プール、川など)

子どもは10cmの水深でおぼれるといわれており、水深20cmのプールでも水難事故が報告されています(※2)。子どもがおぼれるときは、音もなく、静かに沈んでいく「本能的溺水反応」という現象が起こります。バチャバチャと水音を立てることもなく沈んでいくため、事故を防ぐには「目を離さない」ことが重要です。

お風呂

ママやパパが髪を洗うときは、子どもを湯船の外で待機させましょう。首掛け式の浮き輪がずれたり外れたりする事故が起こっているため、空気の漏れや装着具合をしっかり確認し、使用中も目を離さないようにしましょう。

洗濯機や浴槽

湯船や洗濯機などに水をためたままにせず、水は抜いておきましょう。ドアにチャイルドロックをかけることも、事故を防ぐ方法のひとつです。

ビニールプール

水深が浅くても、なにかの拍子でうつぶせになってしまうと赤ちゃんは体勢を整えることができず溺れてしまう危険があります。水遊び中は目を離すことなく見守りましょう。

やけど

消費者庁と国民生活センターのまとめによると、2010年12月から2020年12月までの10年間で、乳幼児のやけど事故は約2,000件の事故が起こっているそうです(※3)。赤ちゃんは熱いものを避ける俊敏さがないため、熱いものに触れないようレイアウトを工夫したいですね。

炊飯器や電気ケトル

子どものやけどで多いのが、電気ケトルや炊飯器による事故です。高温の蒸気に触れたり、蓋が開いて中身がこぼれたりしてやけどを負うケースが報告されています。直接触れられない場所に設置しても、コードやテーブルクロスを引っ張って容器を倒し、高温のお湯や食品を浴びてしまうケースもあります。倒れてもふたが開かない製品を選び対策しましょう。

アイロンや調理器具

アイロンやフライパンなど、使用した直後は高温になるものの、使用していないときは冷たい製品には注意が必要です。子どもの警戒心が薄く、高温状態でも触ってしまう危険があります。使用後は放置せず、子どもの手が届かないところに片づけましょう。

グリルつきコンロや暖房器具

高温になるグリル付きコンロがあるキッチンや、暖房器具の周りには近づけないようにゲートを付けるのも効果的です。

転落、転倒

転落・転倒というと歩き始めた赤ちゃんというイメージがありますが、実は赤ちゃんが歩き始める前からこのような事故が起こっています。ハイハイやたっちの時期は、大人の思いもよらない動きをするため、行動できる範囲を制限することもポイントです。抱っこ紐やベビーカー使用時のヒヤリハットにも注意しましょう。

大人用のベッドやソファ

赤ちゃんは寝ながらでもよく動き回るため、添い寝をしていても上や下から転落するリスクがあります。

ベビーベッド

柵の閉め忘れによる転落事故に注意が必要です。おむつ替えのときは必要なものをあらかじめ準備して、その場を離れないようにしましょう。

階段や玄関の段差

赤ちゃんが近づかないように、階段や玄関など大きな段差の前には、ベビーゲートを設置しておくと安心です。

椅子やテーブル

椅子の上に立ち上がらないようベルトを装着したり、テーブルの上によじ登ったりしないように周りに台になる物を置かないことが大切です。

抱っこ紐

前かがみになったときに赤ちゃんがすり抜け転落する事故が起こっています。赤ちゃんに手を添え、支えるようにしましょう。

ベビーカー

ハンドルに荷物をかけすぎると、重みでベビーカーごと後ろに倒れやすくなります。段差で引っかかったとき、ベルトをしてない場合は赤ちゃんが飛び出す恐れがあります。赤ちゃんの後頭部や顔面のケガにつながるため注意が必要です。

置き去り

記録的な暑さが続く昨今、車内への子どもの置き去りが問題になっています。太陽のない曇り空でも思った以上に車内温度が高くなり、短時間で温度が上昇します。子どもは大人と比べて体温調節機能が低いため、熱中症には十分な注意が必要です。

子どもを降ろし忘れる事故を防ぐため、後部座席にいる子どもに注意が向くように、運転手のバッグは子どもの横に置くと良いでしょう。保育園の送迎時には送迎確認のメッセージを送りあうなど、複数の目で見守ることも対策のひとつです。車で子どもが寝てしまった場合は、起きるまで待つか一緒に連れていくことを心がけたいですね。

自転車やベビーカー

自転車のシートに子どもを乗せたままその場を離れたり、ベビーカーに赤ちゃんが乗っている状態で手を離したりするのも避けましょう。自転車ごと転倒したり、ベビーカーが傾斜で走りだしたりと思わぬ事故につながります。

その他

外出先でのヒヤリハットも少なくありません。お出かけ前にエスカレーターやエレベーターなど身近な場所に潜む危険を確認しておくと事故やケガを防ぐことができます。

チャイルドシート

チャイルドシート不使用による事故は、使用しているときの事故よりも致死率を4.6倍高めるというデータが公表されています(※4)。ほんの少しの距離だから、子どもが泣いてしまうからなどの理由があっても、6歳まではチャイルドシートを使って安全に移動しましょう。チャイルドシートは座席にしっかり固定し、ベルトを装着して正しく使うことがポイントです。

エスカレーター

子どもに履きやすい樹脂製サンダルは、滑りにくく柔らかいという特性からエスカレーターに巻き込まれる事故が多発しています。エスカレーターに乗るときはステップの中央に乗るように心掛け、大人が一緒に付き添いましょう。

エレベーターや電車

エレベーターや電車のドアの近くでは、ドアの開閉時に赤ちゃんの手や足が戸袋の中へ引き込まれる危険があります。実際にベビーカーに乗っていた赤ちゃんの足が引き込まれた事案が報告されています。できるだけドア付近から離れ、赤ちゃんの手足の位置に気を配りましょう。

ヒヤリハットの応急手当方法は?

打撲をしてしまった

身体を打撲した場合の応急処置では、無理に動かさずタオルでくるんだ氷のうで患部を冷やします。骨折や脱臼の疑いがあるとき、腫れや痛みが強いときなどは医師の診察を受けてください。出血がある場合は、傷口を心臓より高い位置にあげ、清潔なガーゼやハンカチで覆って止血します。

頭を打ったときは1~2日ほど安静にして様子をみますが、出血や吐き気、嘔吐がある、焦点が定まらないなどの症状があれば救急で受診してください。頭の打撲は数時間後に症状が出ることもあるため、元気にみえても無理せず過ごしましょう。

異物が喉につまってしまった

異物の除去は一般的に「背部叩打法(はいぶこうだほう)」を試し、異物が取れない場合は「腹部突き上げ法(ふくぶつきあげほう)」を行います。いざというときに即座に対応できるよう、覚えておきたいですね。背部叩打法は1歳未満の乳児と1歳以上とでやり方が異なります。また、乳児には腹部突き上げ法は行えないので注意しましょう。

異物がのどに詰まったときは緊急を要するため、まずは119番に通報して救急車を手配します。周囲に人がいれば、救急車を呼んでもらいましょう。

背部叩打法

子どもをうつぶせにして、背部をたたく方法です。片腕の上に赤ちゃんを片うつぶせに乗せ、手のひらであごを支え頭を低くします。もう一方の手のひらで、背中の真ん中付近を強く数回たたきます。

1歳以上であればわきの下から腕を通して身体を支えながらあごをそらせます。手のひらのつけ根部分で、肩甲骨のあいだを強く連続でたたきます。

腹部突き上げ法

背後から子どもを抱くように両腕を回し、握りこぶしを作ってみぞおち付近を下方から手前上方に向かって圧迫します。

やけどをしてしまった

やけどで何よりも大切なことは、流水で冷やすことです。10分~30分程度、十分に冷やすことがやけどを進行させないポイントです。衣類の上からやけどをした場合は、無理に脱がさず服の上から冷やしましょう。シャワーや水道から水を直接あてると刺激が強いときは、洗面器などに水をためながら冷やすと良いでしょう。

やけどは範囲やその程度により対応が異なります。広い範囲のやけど、顔のやけどは救急車を呼びましょう。病院を受診する目安は、手のひら以上の範囲でやけどを負った場合や水ぶくれができているやけどです。陰部にやけどを負った場合も、感染症を起こすことがあるため医療機関を受診しましょう。

ヒヤリハット対策で子どもの事故を予防しよう

子どもの成長はとても早いものですね。昨日までできなかったことが急にできるようになり、活動量や行動範囲がぐんと変わって驚くことがあるのではないでしょうか。ヒヤリハットを防ぐためには、子どもの成長を先読みして、先手先手で対策しておくことが欠かせません。

ヒヤリハット事例の多くは「まさか」「きっと大丈夫」という場面で起こるものです。大人と子どもの違いを理解し、どのような場所・場面で事故が起こりやすいのかを子どもの目線でチェックして対策していきたいですね。

※この記事は2024年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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