「うちの子、離乳食全然食べない!」を解決するための具体策6選【パパ小児科医コラム】
【Twitterで大人気!パパ小児科医(ぱぱしょー)のコラム第2弾】「うちの子、離乳食全く食べないんです」――。パパ・ママからの悩み相談で最も切実なもののひとつです。我が子も離乳食を食べなくて苦労しました。今回は子どもが離乳食を食べないときにどう考え、どう対策すべきか、chiikoさんのイラスト付きで解説します。
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目次
TwitterやInstagramでママたちから絶大な信頼を得ているパパ小児科医(ぱぱしょー)先生が、小児科医とパパの両方の立場から子育てのアドバイスを書いたコラムの第2弾です。
今回は多くのママがぶつかるであろう「子どもが離乳食を食べない問題」について丁寧に解説してくれましたよ。(ままのて編集部)
離乳食を食べない子はどのくらいいる?
私が以前、Twitterのアンケート機能で集めたデータによると、およそ半数くらいの方が離乳食の進み具合に悩んでいました。正確な統計ではありませんが、離乳食が進まないと悩むパパ・ママは決して少なくはないと考えます。
離乳食の目的は?
赤ちゃんはまだ食べる能力が十分ではありませんから、いきなり大人と同じものを食べるわけにはいきません。赤ちゃんにとっては硬すぎたり、味が濃すぎたりします。ですので、ペースト状にしたりして食べることの練習をしていったり、素材そのものの味で味覚を育てていったりします。
また、生後5~6ヶ月以降は母乳やミルクでは栄養が十分でないために、カロリーを補うことも目的となります。
離乳食の進め方の基準
イラスト:chiiko
では、どのような基準で離乳食を進めていけば良いでしょうか。
オフィシャルな資料がふたつあります。
WHOのガイドは世界中で参考にされています。
厚生労働省のガイドは日本人向けといっていいでしょう。
一度読み比べると驚くと思いますが、このふたつの内容はかなり異なります。
たとえば厚労省の「授乳・離乳の支援ガイド」ではおかゆ(米)から開始することがすすめられていますが、WHOでは主食は米、こむぎ、とうもろこし、きび、キャッサバ、ヤムイモ、じゃがいもなど多様で、必ずしも米が推奨されているわけではありません。
文化の違いなどによって進め方は異なりますが、目的は共通していて、適切な食べる力と栄養を得ることになります。
進め方には複数の選択肢があり、赤ちゃんによってペースも異なります。離乳食の本の通りに進まないと焦りますが、いろいろな進め方があります。
離乳食を食べないときの具体的な対策6選
イラスト:chiiko
では、離乳食が進まないとき、具体的にはどんなことをすれば良いでしょうか。
誰にでもあてはまる必勝法はありませんが、以下の方法で効果があった子もいます。試してみてうまくいけばラッキーくらいの気持ちで読み進めてください。
1.シンプルな味にする
赤ちゃんは食べ慣れていない複雑な味を嫌がることがあります。大人よりも味覚が敏感なためです。まぜごはんよりは、シンプルな白ごはん。野菜もシンプルにボイルしただけのものを好む場合があります。
2.ベビーフードを使う
おおむね手作りよりも味が濃くなりますが、ベビーフードの規格は塩分の上限が決められているので、過剰摂取になることはありません。ベビーフードのほうがよく食べると親としては複雑な気持ちになりますが、親のごはんがおいしくないというより、味覚の成長段階との相性ととらえてください。
3.形態をアップもしくはダウン
食べる能力に食事の硬さなどがまだあっていない可能性もあります。たとえば一口大のカットが苦手なら、みじん切りを試してみても良いかもしれません。
4.食事の環境をととのえる
テレビやおもちゃなど集中力を阻害するものはよけます。また、食器はキャラクターものよりシンプルなもののほうが、食事に集中しやすいでしょう。
5.スプーンを変えてみる
スプーンの大きさ、硬さが苦手な場合もあります。変えてみるのもひとつの方法です。「自分で食べたい」という場合は思い切ってやらせてみても良いかもしれません。
6.親のメンタルコントロール
子どもが離乳食を全く食べないと、親はついイライラしてしまい、無意識にプレッシャーをかけてしまいます。私も痛いほど気持ちがわかります…。しかし、親の緊張は驚くほど赤ちゃんに伝わりやすく、食事に集中しにくくなる可能性があります。
一般的には楽しい雰囲気のほうが食事は進みますが、そのためには親のメンタルコントロールは不可欠です。私にも、こぼれたスープを拭いている最中に、頭上からごはんを投げつけられ、怒りがこみ上げた経験があります。
子どもたちは試しに食べ物を落としてみることが大好きです。悪気なくしていますので、床を汚されても大丈夫なように防水シーツを敷くなど、ダメージを最小限に留める対策をしておきましょう。
小児科への相談も視野に入れて
イラスト:chiiko
ご紹介したような具体策やその他の方法を試してみてもなかなか離乳食が進まないときには、栄養面の心配があり小児科で相談をしたほうが良いでしょう。
たとえば、体重増加不良、鉄欠乏性貧血やビタミンDの不足などのリスクがあり、とくに乳児期後期は鉄欠乏性貧血になりやすいです。体重の確認や血液検査などを考慮してもらってください。
離乳食を食べないときの考え方
イラスト:chiiko
離乳食は「電車の旅」のようなもの
我が子は離乳食をあまり食べませんでしたが、現在元気に育っています。我が子とこれまで診療してきた患児たちとの経験から振りかえると、私はいま離乳食を「電車の旅」のようなものととらえています。
電車に乗って目的地に向かいますがその進み方は人それぞれです。
ときには各駅停車に乗ってゆっくり行く子もいれば、新幹線でびゅーんと行く子もいます。
新幹線で出発しても、景色が気になって途中下車するような子もいるでしょう。ちょっとのんびりしていて、電車に乗り遅れちゃう子もいるかもしれませんね。
一般的な離乳食の本は旅行ガイドのモデルプランのようなもので、いつ何をするかがきっちり書いてあります。
実際の旅行はモデルプランを参考にしつつもイレギュラーなものです。旅で一番大事なことは最終的に目的地に安全に到着することで、人それぞれさまざまな進み方があるのは当然のことです。
悩むのは子どものことを真剣に考えているから
離乳食が進まないと母としての無力感を感じたり、子どもに否定されているような気持ちになったりするかもしれません。我が子にイライラしてしまって自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。
しかしその悩みはモデルプランをしっかり守りたいと考える真面目さによるもので、むしろ子どものことを真剣に考えている立派なママだと私は思います。
この記事を読んだ皆さんに、「この子の旅はこれでいいかも」と少しでも思ってもらえましたら幸いです。
先生によると、「アレルギーの頻度が高い食べ物は慎重に進める、ミニトマト丸ごとのような窒息の恐れのあるものは避ける、ハチミツは1歳未満に与えないといった大事なポイントさえ守れば、離乳食で大失敗することはありませんよ」とのこと。
離乳食をあまり食べなくても元気に育っている子はたくさんいるので、自信を持って進めてくださいね。(ままのて編集部)
文:パパ小児科医(ぱぱしょー)
二児(2歳、4歳)の父で小児科専門医。
TwitterやInstagramを中心に子育て当事者の立場から、また医療者の立場から子育てに役立つ情報を発信しています。
パパ小児科医(ぱぱしょー)の過去のコラム
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