【小児科医監修】子どもの発疹!原因、病気の種類と判断基準、受診の目安とは?
発疹が出る子どもの病気にはいろいろな原因と種類があります。症状が発疹だけなのか、発熱をともなうのか、咳やリンパ節の腫れもあるのかで診断が違ってきます。皮膚科と小児科、どちらを受診すれば良いのか悩むこともありますよね。ここでは、子どもの発疹の原因や病気の種類、受診の目安などについて小児科医監修で解説します。
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この記事の監修
目次
子どもの発疹を伴う病気
発疹を伴う病気は意外と多い
発疹とは「身体に赤い斑点が出る」ということです。乳幼児には発疹の出る病気がたくさんあり、うつる病気も少なくありません。発疹は症状が似ていて見分けがつきにくいので、正確な診断が必要です。
発疹をよく観察し医師に正確に伝えることが大切
衣服を脱がせてよく観察して身体のどこに出ているか、水ぶくれはあるか、出始めた時期はいつなのかを医師に正確に伝えることが大切です。
発疹が出たら他の症状とともにメモを取る
皮膚だけの症状なのか、熱や咳、リンパ節の腫れなどがあるかを観察してメモをとっておきましょう。
発疹の原因
発疹の原因として以下のようなことが考えられます。
ウイルス性全身疾患
ウイルスに感染して皮膚に発疹が出る病気としては、麻疹、水痘、突発性発疹症、風疹、手足口病、りんご病などがあげられます。
皮膚感染症
皮膚感染症が原因の病気にはとびひ、水いぼ、ヘルペスウイルスなどがあげられます。
アレルギー性発疹
湿疹をくりかえすのにはいろいろ原因がありますが、アレルギー素因がかかわっているのがアトピー性皮膚炎です。いろいろなタイプの湿疹があるのですが、じんましんのようにかゆいのが特徴です。
あせもや虫刺され
乳幼児の夏の二大皮膚トラブルは、あせもと虫さされです。
病気を判断する手がかりとなるもの
子どもの発疹を考えるときには以下の3つが診断するときの手がかりになります。
1.子どもの年齢
2.発熱を伴うかどうか
3.発疹の特徴、身体のどの部位に出ているか
子どもの年齢
1歳前後までか、1歳をこえているか。また、保育園や幼稚園など集団生活をしているかどうかも判断の手がかりになります。
発熱があるかどうか
発熱があるかどうかも大事な手がかりです。
発疹の形状や色
かゆみがあるかどうか、発疹の形状や大きさ、色も診断の材料になります。
発疹が出た場所
口の中、顔、手、足、全身など発疹がでる場所も病気によって異なります。
発熱を伴う発疹
突発性発疹
ウイルスが原因の発疹で、二歳以下の乳児によくみられます。突然発熱し下痢や熱性けいれんを伴うこともあります。熱があるわりには機嫌がよく、食欲もあまり落ちません。発熱後3~4日で熱が下がり始めると同時に、全身にうすいピンク色のあせもに似た細かい発疹があらわれ、数日で消えます。
とくに治療しなくても自然に治りますが、ほかの病気の可能性がないか経過をみながら、念のため薬を処方される場合があります。
はしか(麻疹)
乳幼児がかかりやすい感染症ですが、予防接種によって予防できます。38度以上の高熱が出て、鼻水や咳などの風邪の症状や目やになどが目立つようになります。発熱して3日ほどすると、口の中に数十個ぐらい、コプリック斑という小さな白い斑点がみられます。このころ一時的に熱が下がりますが、再び熱が上がり全身に淡紅色の発疹が出て、時間がたつにつれて濃くなります。
発疹が出て3日後ぐらいに熱は下がり、症状は回復に向かいます。発疹は少しずつ色が薄くなり、一ヶ月ほどで消えます。ウイルスに対する特効薬はなく、解熱剤や二次感染予防の抗生物質が処方されます。
水ぼうそう(水痘)
かゆみのある発疹が広がる感染症で、乳幼児によくみられます。高熱または微熱が出て、かゆみのある赤い発疹が全身に広がります。赤い発疹は小豆大の水疱となり、やがて膿疱となり2~3日のうちにかさぶたになります。かさぶたは7~10日で自然にはがれおちます。
皮膚のかゆみをおさえるなどの対症療法が主な治療法です。発症直後に診断がつけば、抗ウイルス薬を用いて症状を軽減できる場合があります。
ヘルパンギーナ
5歳以下の乳幼児が多くかかるウイルス感染症です。急に39度ぐらいの高熱が出て、のどの痛みや不快感があり、口の中の上あごやのどちんこの粘膜に赤い小さな水疱がみられます。水疱はつぶれて潰瘍になることも。水疱以外では、頭痛や嘔吐、腹痛など夏風邪の症状がみられます。熱は2~3日で下がり、一週間ほどで治るでしょう。安静にするとともに高熱や痛みに対して鎮痛解熱剤を使う場合があります。
手足口病
ヘルパンギーナの症状に手足の発疹が加わると手足口病と診断されます。口の中や手のひら、指の側面、足の裏、かかとなどに発疹や水疱ができる病気で、4歳くらいまでの幼児を中心に夏季に流行がみられ、学童期でも流行的に発生することがあります。
口の中の水疱は、食べるときに染みて痛みを伴います。5~7日ほどで水疱は自然と消えます。38度前後の熱が出ることがありますが、3日前後で治まります。口の中の水疱が潰瘍となって激しく痛む場合は、対症療法で塗る薬が使われます。
溶連菌感染症
発熱ととも、寒気や頭痛、のどの痛みや腫れなど、風邪に似た症状がでます。5~15歳までが一番多いといわれ、首のリンパ節が腫れることがあります。舌に赤いブツブツがみられ、全身に鮮紅色の発疹があらわれます。数日~1週間で熱は下がり、発疹も消えます。抗生物質を使い、安静にします。
熱が下がっても溶連菌が残っていれば再発の恐れがあります。溶連菌を完全に退治するため、抗生物質は処方どおりに最後まで(10日~2週間)飲ませることが重要です。症状が改善した後も2〜3週間後に尿のなかに血液が混じっていないかを検査します。
風疹(三日ばしか)
風疹ウイルスの感染で起こります。一度かかると免疫ができてかかりませんが、乳幼児期の感染では再感染することもあります。妊娠初期の女性が感染すると胎児に先天的な障害をもたらす恐れがあります。予防接種で予防できます。
発熱とともに全身にピンク色のやや大きめの発疹が出て、耳の後ろや脇の下のリンパ腺が腫れます。熱はあまり高くないことが多く、数日で下がり発疹も消えます。2~3日安静にしていれば、自然に治癒します。
発熱がない発疹
新生児ニキビ
乳児にみられる湿疹で乳児湿疹とも呼ばれます。皮脂の分泌が活発になる生後2~3週間ぐらいによくみられます。顔や身体に赤いブツブツがでます。かゆみを伴うことがあるため、かきむしって血がにじんだり、ただれてジクジクした感じになったりします。かゆみのない軽い症状なら軟膏を塗らなくても皮膚を清潔にしていることでほとんど自然に治ります。
脂漏性湿疹
生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんと成人に多くみられます。赤ちゃんの場合は自然治癒することが多いのに対し、成人では慢性化するケースが多くみられます。頭部に黄色がかったうろこ状の皮膚炎が生じ、やや乾いた感じで拡大していくことがあります。額やまゆげ、鼻にもできることがあります。かゆみはありますが、通常はあまり強くはありません。皮脂腺の多い髪の毛の生え際、まゆ毛、頭の中にできて、かさぶたがべったりと付いています。
頭はシャンプーで洗い、まゆげはガーゼに石鹸の泡をつけて丁寧に洗います。貼り付いたかさぶたは無理に剥がしてはいけません。白色ワセリンやオリーブ油をつけて、まずふやかします。その後にお風呂で石けんを使って洗うと、少しずつ落ちていきます。
アトピー性皮膚炎
アレルギーが関与していると考えられている皮膚疾患です。生後2~3ヶ月ごろからみられることが多く、年齢が上がるにつれて症状が変化します。顔、手足の関節の内側部分、足の付け根などに赤い小さなブツブツができて、ジクジクしたり、カサカサしたりします。強いかゆみを伴う場合もあります。
原因になる物質や刺激がわかる場合は、それを避け、皮膚の清潔を心がけます。副腎皮質ホルモン薬や抗アレルギー薬、保湿剤などが使われます。
とびひ
6歳以下の乳幼児に夏場に流行しやすい伝染性疾患です。顔や身体にかゆみを伴う水疱が現れます。水疱が破れたあとはかさぶたになり、しばらくするときれいに治ります。水疱の中の液が健康な皮膚につくと、さらに感染が広がります。感染力が強く、他の子どもにうつることもあるのでタオルの共用は避けましょう。
抗生物質の軟膏や内服薬を使います。かゆみを抑えるためにステロイド配合剤が用いられることもあります。
りんご病(おたふくかぜ、伝染性紅斑)
パルボウイルスによる感染症で3~12歳の子どもに多い傾向が見られます。ただし、大人でも発症する恐れがあります。ほおがりんごのように赤くなることから、りんご病と呼ばれる感染症です。腕や大腿部、お尻にも赤い発疹が広がります。発疹は3~4日目が最も鮮やかで、体温が上がるとより鮮明になります。発疹は4~10日で消えます。熱は出ないことが多く、まれに咳や頭痛、のどの痛み、関節痛を伴うことがあります。
発症時にはすでに感染力がなく、元気なら幼稚園や保育園を休む必要はありません。特別な治療は必要なく、かゆみがひどい場合はかゆみ止めが処方されます。
単純ヘルペス感染症
初めての感染時は高熱が出てリンパ節が腫れ、直径1〜2mmの水疱が口の中や唇、外陰部などにかたまってできます。ほおの内側や舌に口内炎ができて痛み、歯肉炎を起こして出血することもあります。水疱やただれは二週間程度で消えます。このウイルスは症状が治まっても、体内に潜伏することがあり、風邪や疲労などで体調を崩したときに再発することがあります。
再発防止には初感染のときの抗ウイルス薬による治療が大切です。
注意するべき出血斑の症状
出血斑とは
出血斑とは皮膚の内側で出血し赤くなった状態です。いわゆる内出血の状態です。
出血斑と発疹の見分け方
同じ赤いぷつぷつした状態でも、出血斑は発疹ではありません。皮膚をこすっても消えないのが特徴です。
出血斑が現れる病気
アレルギー性紫斑病(シェンラインヘノッホ病)は、下肢を中心にした紫斑が特徴で、腹痛や腎炎を伴う子どもの病気です。また、血を固める血小板が減ってしまう特発性血小板減少病は子どもには急性のものが多く、よくなることがほとんどですが、慢性化するとなかなかやっかいな病気です。そのほか、白血病でも血小板が減って出血斑が現れることがあります。
発疹が出たら何科を受診するべきか?
発疹がでたときに受診するのは皮膚科か小児科になります。どちらを受診すれば良いのか迷うところですよね。
どちらか迷ったらかかりつけの小児科を受診する
発熱と同時か、発熱後に発疹が出たら、安静にして小児科を受診しましょう。皮膚の症状が強い場合でも、最初は小児科へ連れていきましょう。咳、下痢、目の充血をともなっていたり、水疱があったり、口の中や全身にも広がっているときにはうつる病気の可能性もあります。迷ったときにはまずかかりつけの小児科を受診することをおすすめします。
時間外でも受診すべき緊急性のある症状
発疹が症状として出る病気には重要な病気がたくさんありますが、時間外で受診しなくてはならないような救急性の病気はあまりありません。はしか(麻疹)、風疹、水ぼうそう、溶連菌感染症、手足口病など重要な病気ではありますが、翌日にかかりつけ医に行き、診断してもらう方が良いでしょう。
子どもの発疹に関する体験談
筆者は娘が口の中を痛がり、食べるときに泣くことがありました。やけどか口内炎かと安易に考えていましたが、あまりにも痛がるので小児科を受診したことがあります。すると「手足口病」と診断されました。慌てて調べてみると感染症であることがわかり、娘に申しわけないと思ったことを今でも思い出します。
自分が経験したことのある病気ならある程度知識はあるものですが、初めて聞く病気も多くあります。勝手な自己判断をせず病院を受診して正確な診断をしてもらうことの大切さを実感しました。かかりつけの小児科と皮膚科を見つけておくことも大事ですね。
自己判断をせずに、病院を受診しよう!
発疹といっても、数多くの病気があります。発疹の様子、出た場所、発熱などほかの症状は伴っているかなど、よく観察して医師に伝えましょう。また、他の人にうつる可能性のある病気の際にはきょうだいや友だちはもちろんのこと、大人が感染すると症状が悪化する場合があるためパパやママが感染しないように注意が必要です。
正確な診断をしてもらうためにも、ひどくなる前にまずは病院を受診することを心がけたいですね。