子どもに風邪薬を飲ませないでもいい?病院で処方される薬と市販薬との付き合い方

子どもが風邪をひいたときに「できる限り薬に頼らずに病気を治したい」と考えるパパやママは多いでしょう。子どもの風邪は薬によって治るものではありません。しかし子どもの症状によっては薬を利用して、症状を緩和させた方が良いときもあります。ここでは子どもの風邪に処方される薬の特徴や風邪薬との付き合い方を説明します。

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この記事の監修

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小児科医
染谷 朋之介

目次

  1. 子どもの風邪は薬で治るの?風邪薬は必要?
  2. 子どもの風邪のときに病院で処方される薬の役割
  3. 市販の子どもの風邪薬との付きあい方
  4. 子どもが風邪薬を飲まないときの対処法
  5. 子どもの風邪の効果的な治し方は?
  6. 子どもの風邪薬に関する体験談
  7. 薬のルールをしっかり守ろう
  8. あわせて読みたい

子どもの風邪は薬で治るの?風邪薬は必要?

風邪を引き起こす病原体は、ウイルスと菌の2つに分けられます。そして、風邪の病原体のうち80~90%はウイルスであるといわれています。

しかしウイルスに直接対抗する薬はなく、ウイルス性の風邪を治すには子ども自身の免疫の力によって、ウイルスを退治することを待つしかありません。海外には子どもに風邪薬を飲ませないように勧告している国もあり、子どもへの風邪薬の投与は慎重にすべきと考えられています。子どもの風邪は重症化しなければ、薬なしでも治るものなのです。

しかし、風邪で咳や鼻水がひどく子どもがつらそうしている場合には、薬によって症状を軽減させたいと考えるママやパパも多いでしょう。もし風邪にともなう症状がひどい場合は、解熱剤、咳止めなど、症状に対応する薬を処方してもらいましょう。

菌による風邪(溶連菌感染症など)の場合は、抗生物質によって治療を行います。また、赤ちゃんや小さな子どもの場合は、別の細菌にかかり合併症をおこさないように、抗生物質が処方されることがあります。

抗生物質は、処方された薬をすべて飲み切ることが大事です。熱が下がったからといって、自己判断で中断するのはやめましょう。

子どもの風邪のときに病院で処方される薬の役割

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病院で処方される薬にはさまざまなものがあります。特徴を説明します。

抗生剤・抗生物質

子どもが風邪をひいたときに「抗生剤・抗生物質を飲ませて早く治してあげたい」と考えるママやパパも多いでしょう。

抗生剤・抗生物質は、細菌の細胞壁を破壊し、細菌の繁殖や活動を防ぐ役割があります。菌を原因とした風邪に効果がありますが、ウイルスを退治することはできず、ウイルス性の風邪には効果がありません。ウイルスは菌の10分の1、100分の1程度の大きさで、菌とは構造が異なるためです。そのため抗生物質は、溶連菌など細菌性の風邪をひいたときにのみ処方されます。

以前はウイルスによる風邪にかかっている場合でも、細菌性の合併症の発症を防ぐために抗生物質を投与する医師が多かったようです。しかしウイルス性の風邪には抗生物質が効かないうえ、抗生物質を使い過ぎることで薬が効かない耐性菌が増えるリスクが指摘されています。

厚生労働省でも「風邪には抗生物質を使わないことを推奨する」とした医療関係者向けの手引きを作成しており(※1)、風邪をひいて抗生物質を処方されることはまれになりました。

風邪の症状を和らげる薬

子どもの風邪にともなう症状が激しい場合は、それぞれに対応した薬を処方してもらう場合があります。たとえば、咳がつらいときには鎮咳剤(ちんがいざい)、鼻水が出るときには抗ヒスタミン剤などが処方されます。

しかし、これらは症状を和らげるものであり、風邪そのものを治すわけではありません。大事なことは症状の原因となっている病気を治すことです。咳や鼻水には、体内の異物を外に出すという役割があるので、むやみに薬に頼らないようにしましょう。

解熱剤

発熱には、身体が免疫機能を高め、病原体を撃退するという役割があります。子どもが高熱を出していると解熱剤で熱を下げて楽にしてあげたいと思う方も多いでしょう。しかし、むやみに解熱剤を使用して体温を下げると体内の病原体が繁殖してしまい、風邪の治りが遅くなることもあります。

解熱剤は熱を一時的に下げる薬で、風邪そのものを治す薬ではありません。特に病院を受診する際は、解熱剤を使うと、正確な診断ができなくなる恐れがあるため、使用を控えた方が良いでしょう。

使用する際は、以下を目安にすると良いでしょう。

・ぐったりしていて食事や水分摂取ができない
・機嫌が悪い状態が続いている
・眠れない、あるいは眠ってもすぐ起きる

ただし、過去に熱性けいれんをおこしたことがある子どもの場合には、解熱剤を使うときは注意が必要です。熱性けいれんをおこしたことがある場合には、あらかじめ医師に相談し、指示に従うようにしてください。

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市販の子どもの風邪薬との付きあい方

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子どもに飲ませる薬は、市販のものではなく、医師によって処方された薬を使いましょう。医師はその子どもの症状や年齢や体重、アレルギーの有無などの情報を元に、より効果が期待できる薬を処方します。市販薬よりも安心して使えるといえるでしょう。

病院が休みなどの理由で市販薬をどうしても使う必要がある場合は、必ず使用上の注意を守って飲ませましょう。しかし子どもの風邪の多くは薬を飲まずに治るものです。子どもが風邪をひいたからといってむやみに市販薬に頼らないようにしましょう。

子どもが風邪薬を飲まないときの対処法

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風邪薬を嫌がり飲みたがらない子どもは多くいます。理由のひとつが、薬の味です。子どもに薬を飲ませるためには、苦みを和らげるように配慮することが大事です。

小児科で処方される薬は、子どもでも飲めるように甘みが添加されたシロップ剤や、顆粒タイプのドライシロップ薬が処方されることが多いでしょう。

シロップ剤は、飲ませる前に軽く容器をふり、成分を均一にします。1回分の量をしっかり計量して与えます。そのままでは飲みにくい場合は、冷凍してシャーベットにするという方法もあります。薬によっては、冷凍すると成分が変わってしまうものがあるため、事前に確認しましょう。

ドライシロップは粉薬のため、液体に溶かす、ゼリーに混ぜるなどして飲まれています。ただし、薬によってはジュースやスポーツ飲料と相性が悪く苦味が増すものや、乳製品と一緒に飲むと薬の吸収を阻害するものがあります。医師や薬剤師におすすめの飲み方を聞いておくと安心です。また、ドライシロップは水分を含んで時間が経つと苦みが出てしまうため、飲む直前に混ぜて与えます。

ただし薬を飲まないからといって子どもの風邪が治らないわけではありません。子どもが風邪をひいてどうしても薬を飲まない場合には、子どもの免疫の力によって風邪が治るのを待ちましょう。

薬が余ったらどうすれば良い?

「シロップの賞味期限はいつまでだろう」、「薬が余ったら残しておくべきか」と疑問に思う方も多いでしょう。

しかし、薬はそのときの症状や子どもの年齢・体重などから総合的に判断して処方されるものです。前と同じ症状に見えるからといって、薬を使いまわすのは危険です。その都度受診するようにしましょう。

特にシロップ剤は消費期限が早いものです。誤飲や誤用を防ぐためにも、余った薬はすぐに捨てて処分してください。

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子どもの風邪の効果的な治し方は?

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子どもが早く元気になるために、パパやママに気を付けてもらいたいポイントをお伝えします。

こまめに部屋の空気を入れ替える

部屋を閉め切っていると菌やウイルスが蔓延してしまうため、こまめに新鮮な空気を取り入れましょう。風が直接子どもの身体にあたらないように気を付けてください。

湿度を保つ

部屋の湿度を高めるとウイルスの活動が抑制されます。また、咳や鼻づまりの緩和にもつながります。加湿器を使う、お湯を沸かす、洗濯物を干すなどして50~60%を目安に湿度を調節しましょう。

水分補給を忘れずに

食欲がなくても白湯やスポーツドリンクなどの水分はしっかり飲ませましょう。赤ちゃんの場合はミルクを薄めにしたものを与えます。

食事は消化が良いものを

子どもが風邪をひいたときには無理に食べさせる必要はありませんが、少しでも食欲があれば、のどごしが良く消化に良いものを与えます。野菜スープやうどん、お粥、ゼリーなどがおすすめです。

汗対策もしっかりと

熱が出ると汗が多く出て身体を冷やしてしまいます。また、衛生的にも良くありません。子どもが熱を出して汗をかいたら、こまめに着替えさせるようにしましょう。また、子どもの風邪がひどくお風呂に入れないときは、身体を拭き清潔に保ちましょう。

体温調節の仕方

子どもが風邪をひいて熱が上がり始めたときは、寒気があるため服や布団を一枚多く着せるようにします。熱が上がり切って、下着が汗ばんでいるようであれば、服や布団を一枚減らします。このタイミングで厚着をしていると、熱がこもってしまい、体温が下がりにくくなります。

症状が治まっても油断は禁物

風邪が治ったと判断して無理をさせると、症状がぶり返すことや別の病気にかかることがあります。しばらくは人ごみを避けるようにし、手洗いやうがいなどの予防を徹底しましょう。

子どもの風邪薬に関する体験談

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筆者の長女が3歳のときのことです。風邪のひきはじめに強い鼻詰まりと咳の症状がみられました。症状を緩和するために、去痰剤のドライシロップが処方されました。ドライシロップは甘味があるため、あまり苦いものではありません。しかし、娘にとって薬=苦いという先入観があり、少し舐めさせても吐き出してしまいます。水や好きなジュースに溶かしても、受けつけませんでした。

そこで、誕生日など特別なときにしかださないアイスクリームと混ぜて与えてみました。すると、驚いたような表情で、とてもおいしいと大喜びです。薬はあっという間に飲み切り、アイスクリームも1カップ食べてしまいました。翌日も薬をアイスクリームに混ぜて与えました。

風邪により食欲が落ちて心配していましたが、小児科の先生には「好物を食べられるくらい元気があれば結構なこと」といわれました。「ただ、アイスクリームは身体を冷やすこともあるため、与えすぎないように」とのことでしたので、ジャム、ヨーグルト、ゼリーなど、さまざまな食べ物で挑戦しました。現在は、牛乳で溶かして飲むことが多いです。

薬のルールをしっかり守ろう

薬は子どもの風邪の症状を和らげてくれるものですが、使い方を間違えれば子どもに危険がおよぶ可能性があります。薬が処方されたら、医師や薬剤師の説明をしっかり聞き、説明書もくまなくチェックしましょう。

薬の飲み忘れや飲みすぎに注意し、適切に保存するようにしてください。また、薬が余った場合は使いまわさずに処分しましょう。

子どもが風邪をひいたときには薬と上手に付きあうことも大事ですが、子どもが丈夫に育つように日々の体力づくりや免疫アップも心がけてくださいね。

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