【小児科医監修】乳児湿疹の症状と正しい対処法!新生児・赤ちゃんの湿疹の原因は?

新生児や赤ちゃんの肌はとてもデリケートです。赤みを帯びた湿疹が出ることもあるでしょう。赤ちゃんの湿疹には種類がいくつかあり、その原因もさまざまです。赤ちゃんに湿疹が見られたら、それぞれの症状にあわせたケアをすると良いでしょう。ここでは、乳児湿疹の種類と自宅でできる予防法、病院へ行くタイミングについて解説します。

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この記事の監修

千葉 智子
小児科医
千葉 智子

目次

  1. 赤ちゃんの肌はトラブルが起こりやすい
  2. 乳児湿疹の原因と対処法
  3. 乳児湿疹はいつまでできる?
  4. 乳児湿疹の予防法
  5. 乳児湿疹で病院に行くタイミング
  6. 乳児湿疹に関する体験談
  7. 自宅でのケアで乳児湿疹を防ごう
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赤ちゃんの肌はトラブルが起こりやすい

新生児や赤ちゃんの肌は大人と比べて半分ほどの薄さで、バリア機能が低いとされています。そのためとてもデリケートで、赤ちゃんの体調や気温などでさまざまな肌トラブルが起こりやすいものです。赤ちゃんにできる湿疹の種類はたくさんありますが、それらをまとめて「乳児湿疹」といいます。

日本助産学会誌の「新生児期の皮膚トラブル実態とその関連要因」によると、生後1ヶ月までの期間に何らかの皮膚トラブルがあった赤ちゃんは65.5%とされ(※)、乳児湿疹を含めた肌トラブルは多くの赤ちゃんが経験するとされます。そのため、正しくケアしてあげることが大切です。原因や症状によってケアの方法が異なるので、注意するようにしましょう。

乳児湿疹の原因と対処法

ひとくちに乳児湿疹といってもさまざまな種類の湿疹があります。ここでは赤ちゃんにみられる湿疹について種類別で解説していきます。

新生児ニキビ

生後まもない赤ちゃんに多く見られるのが「新生児ニキビ」と呼ばれる湿疹です。生後数週間から1ヶ月頃に、ニキビのような赤いポツポツが頬やおでこなどにできます。顔全体にできて真っ赤になることもあるようです。

生まれたばかりの赤ちゃんは、ママの女性ホルモンの影響などを受けて皮脂が多く分泌されるともいわれています。その皮脂によって毛穴が詰まることで、新生児ニキビができやすくなります。これは生理的なものが多いため、あまり心配しなくても良いことがほとんどでしょう。

赤ちゃんが顔をひっかくことなどが原因で赤味が増したり傷ができたりと悪化することがあります。新生児ニキビができたら毎日の入浴のときにしっかりと洗い、肌を清潔に保つようにしましょう。赤ちゃん専用の石鹸やボディーソープを泡立てて、指の腹でこすらずに円を描くように優しく洗うようケアしてあげるとよいでしょう。

脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)

生後2週間から3ヶ月頃までの赤ちゃんに多いのが、脂漏性湿疹です。顔や頭皮に黄色いかさぶたのようなものができ、それがパラパラと落ちてくることもあります。かゆみはないことがほとんどです。

脂漏性湿疹はママ由来のホルモンの影響で、皮脂の分泌が盛んになることによって起こるといわれています。皮脂の分泌を抑えることはできないので、肌をきれいにしてあげることが大切です。毎日の入浴時に、赤ちゃん用の石鹸やボディーソープで患部を優しく洗ってあげましょう。

頑固な塊がある場合は、入浴前にオイルやワセリンをつけてやわらかくしておくと、取れやすくなりますよ。入浴後にタオルでやさしく拭いたり、櫛(くし)でとかすなどの刺激をあげても、とれやすくなるでしょう。一回で全部きれいに治そうと無理にこすると出血し、新たな皮膚トラブルの原因となりますので、少しずつきれいに治るものだと思って対応してあげてください。

アトピー性皮膚炎

慢性的に湿疹が持続することをアトピー性皮膚炎といいます。アトピー性皮膚炎になると、顔や頭、耳の後ろなどにかゆみのある赤い湿疹ができます。アトピー性皮膚炎の原因は、まだはっきりとわかっていないことが多いようです。

一説には、遺伝子的にアトピーが引き起こされやすい体質である上に、アレルゲンに触れることで発症するといわれています。アレルゲンは、ダニ、ハウスダスト、動物の毛、ストレス、食べ物などさまざまで、特定のものを防げば予防できるというわけではないようです。(※2)

アトピー性皮膚炎になったら、患部を刺激せずに清潔に保つことがまずは大切です。洗濯洗剤や、入浴時の石鹸などが残っているだけで悪化する場合があるので注意しましょう。赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、1歳半~2歳頃に落ち着くことが多いといわれています。赤みが強く出たり、じくじくと浸出液がでるような状態では、早めに小児科や皮膚科を受診しましょう。

食物アレルギー

食物アレルギーは免疫反応のひとつで、アレルゲンとなる食べ物を口にすることで起こります。症状は、蕁麻疹(じんましん)や湿疹、下痢、咳などさまざまで、最悪の場合アナフィラキシーショックを起こして命を落としてしまうこともあります。

赤ちゃんに多いアレルゲンは、牛乳、小麦、卵などです。強いアレルギー症状が起こることがあるので、離乳食で初めての食材を与えるときは、日中の医療機関の診療時間内とし、ひとさじだけにして赤ちゃんの様子を見るようにしましょう。

食物アレルギーの可能性が疑われるときは、すぐに医療機関を受診し医師の判断を仰ぐようにしてくださいね。 アレルゲンの特定が難しいとき、自己判断で食品を除去したり、離乳食を遅らせたりするママもいますが、自己判断は避けましょう。離乳食は赤ちゃんの大切な栄養源なので、まずは専門家と相談してください。離乳食の開始を遅らせても、食物アレルギーの発症を予防することはできません。

また、口の周りに食材が付着することでかぶれ(接触性皮膚炎)を引き起こすことがあるので、食材が顔に広く付着しないよう注意してください。

あせも

首の周り、背中、おしりなどの汗をかいて蒸れやすいところに、あせもはできやすいです。赤ちゃんのあせもは、赤みやかゆみがない発疹ができる「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」と、皮膚に炎症が起こりかゆみのある赤いぶつぶつができる「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」がほとんどです。

赤ちゃんが爪でひっかいたりこすったりして皮膚で感染を起こすと「とびひ」になってしまうことがあります。じくじくとした湿疹でかさぶたがべったりつくような湿疹は早めに医療機関を受診しましょう。

赤ちゃんは体温が高く、汗っかきなので、汗がたまってあせもができやすいもの。こまめに肌着を替えてあげたり、お風呂に入れたりして、肌に汗を残さないようにすることで、症状が和らぐこともあるでしょう。

服は大人と同じか、大人よりも1枚少なくし、着せすぎにならないように気をつけます。エアコンを活用し、汗をかきにくい環境を整えてあげてくださいね。スキンケアだけでは症状が治まらない場合は、医師に相談して薬を処方してもらいましょう。

新生児落屑(しんせいじらくせつ)

生まれたばかりの赤ちゃんの肌は、ポロポロとはがれて落ちてきます。驚いてしまうママも少なくありませんが、生理的な現象なので、心配しなくても大丈夫ですよ。自然に新しい皮膚が表面に出てくるまで、何もせずに様子を見るようにしましょう。

落屑を剥がそうとすると、新しい皮膚を引っ張り炎症を引き起こしてしまうことがあります。赤ちゃんの肌は薄く、ちょっとした刺激でトラブルを起こしてしまいがちなので、炎症やただれなどの症状がある場合は医師に相談してみてくださいね。

また新生児落屑は、生後1~2週間頃には治まることがほとんどです。それ以降、新生児落屑に似た症状がある場合は脂漏性湿疹の可能性があります。

乳児湿疹はいつまでできる?

アトピー性皮膚炎を除き、多くの乳児湿疹は生後生後3~5ヶ月ほどがピークといわれています。長く続いたとしても、多くの場合1歳頃から症状が落ち着くケースがほとんどなので、慌てずにケアをしてあげましょう。ただし、乾燥する季節や汗をたくさんかく季節などは、肌トラブルが起こりやすくなるので注意しましょう。

乳児湿疹の予防法

乳児湿疹ができてしまうと、かゆみを伴うことがあるため、赤ちゃんに負担をかけてしまいます。そのため、乳児湿疹が起こる前に予防してあげましょう。

清潔を保つ

赤ちゃんは毎日お風呂に入れて、肌を清潔に保つようにしましょう。あまり動かないため汚れていないイメージがあるかもしれませんが、赤ちゃんは新陳代謝が速く大人よりも汗をかきやすいものです。石鹸はよく泡立て、流し残しがないように気をつけてください。

赤ちゃんの敏感な肌に触れる洋服や寝具もきれいに保つことが大切です。汗をかいたら肌着などを変えたり、寝具をこまめに洗濯したりするようにしましょう。

赤ちゃんが自分でひっかかないように注意する

乳児湿疹には、かゆみを伴うものがあります。赤ちゃんが自分の爪でひっかいてしまうと、症状が悪化してしまうので注意しましょう。傷をつけてしまうのを防ぐため、赤ちゃんの爪はこまめに切ってあげてくださいね。

適度な保湿

肌が乾燥していると肌トラブルが起こりやすくなります。赤ちゃんの肌トラブルを防ぐためにも、入浴後などの清潔な肌に、ワセリンや赤ちゃん用の保湿クリームなどを塗って日ごろからケアしてあげましょう。

保湿クリームの種類によっては赤ちゃんの肌にあわないこともあります。赤ちゃんの肌に異変が出た場合は使用を中断して、医療機関を受診するようにしてください。

座浴もおすすめ

おむつの中は蒸れやすく、おむつかぶれができてしまうことも少なくありません。赤ちゃんのおむつかぶれを防ぐには、上半身の衣服を着せたまま腰から下だけを洗う座浴がおすすめです。赤ちゃんがうんちをしたら、洗面器などにお湯をためてお尻をつけて洗い流してあげましょう。

排泄回数が多い赤ちゃんにとって、毎回お尻を拭くのは刺激が大きいものです。ぬるま湯でお尻を洗い流す座浴なら、肌への負担が少なく済みますよ。ただ、毎回石鹸をつけると皮脂を多く失ってしまうので、1日に2〜3回までにしましょう。

座浴の準備をするのが大変な場合は、お尻洗い用のボトルを用意してみてはいかがでしょうか。赤ちゃんがうんちをしたあと、ボトルを使ってお尻にお湯をたっぷりかけて洗い流し、やさしく拭き取ってあげましょう。乾燥した時間を長くとってあげることが大切です。

乳児湿疹で病院に行くタイミング

乳児湿疹は、日頃から保湿などのケアをすることで自宅でのセルフケアでも症状が治まることが多いようです。できるだけ赤ちゃんの肌を清潔に保ち、適度に保湿をしてあげるようにしましょう。

しかし、赤ちゃんが湿疹部分を自分でひっかいて悪化してしまったり症状がいつまでも治まらなかったりするときは、医師に相談するようにしましょう。症状により塗り薬などの処方やアレルゲン検査などをしてもらうことができます。

乳児湿疹に関する体験談

脂漏性湿疹に悩まされました

長男が生後2~3ヶ月頃、脂漏性湿疹に悩まされました。おでこの上の髪の生え際にびっしりとできた脂漏性湿疹に、驚かされたことをよく覚えています。入浴時に赤ちゃん用の石鹸で丁寧に洗ってもまったく取れなかったのですが、初めのうちは「いつか自然と治るだろう」と気楽に考えていました。しかし、まったく症状が落ち着かなかったのです。

そんなとき、親子クラスで出会ったママに「入浴前にオリーブオイルでマッサージすると、ぽろっと取れるよ」と教えてもらいました。早速実践したところすぐにきれいになりました。本来、まずは小児科の受診をおすすめしますが、我が子にはこの方法があっていたのかもしれません。

自宅でのケアで乳児湿疹を防ごう

赤ちゃんの肌に湿疹ができると、ママは不安になってしまいますよね。乳児湿疹の多くは月齢を重ねるたびに快方に向かったり自宅でのケアで症状が落ち着いたりすることもあるとされます。あまり心配しすぎないようにしましょう。

しかし、症状が治らなかったり赤ちゃんが必要以上にかゆがったりする場合は医療機関への受診が必要です。赤ちゃんの症状に合わせたケアを心がけてあげてくださいね。

※この記事は2022年12月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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