【小児科医監修】乳児湿疹は母乳が関係する?おすすめの食事と対処法
生後まもなくはきれいだった赤ちゃんの肌にプツプツとできる乳児湿疹は、多くのママを悩ませています。母乳育児中のママの中には、自分が食べたものが原因なのではと疑う方もいるようです。乳児湿疹には、母乳が関係するのでしょうか。ここでは、乳児湿疹の原因や改善方法、授乳中のママにおすすめの食事を紹介します。
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目次
乳児湿疹とは?
乳児湿疹はたいていの赤ちゃんが経験するもの
赤ちゃんの肌は大人と比べると薄く、バリア機能も弱いものです。そのため、さまざまな肌トラブルが起こりやすい状態です。乳児湿疹は、生後2週間~2ヶ月ごろにかけてできやすく、多くの赤ちゃんが経験します。
悪化するとアトピー性皮膚炎を引き起こすことも
乳児湿疹といっても、乳児脂漏性湿疹、おむつかぶれ、あせもなど、種類や原因はさまざまです。湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返し、慢性化するとアトピー性皮膚炎と診断されることもあります。
乳児湿疹と母乳の質は関係する?
生まれてまもない赤ちゃんの肌にポツポツと湿疹ができている姿を見ると、自分が食べたものが悪いのではないか、母乳の質が悪いのではないかと、ママも心配になりますよね。
ママが食事で脂っこいものや甘いもの、乳製品を多く摂りすぎると、母乳の質が悪くなるという話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。これは、赤ちゃんの腸は未発達なため、母乳に含まれる脂肪分や糖分を消化しきれなくなり身体に湿疹として現れることもある、との考えによるものです。
しかし、実際にはママが食べたものは胃や腸で細かく分解され、血流にのって全身に運ばれます。ママの食べたものが直接母乳に影響して乳児湿疹を引き起こすとは考えにくいでしょう。
乳児湿疹の原因は?
1.皮脂と汗の盛んな分泌
生れてまもない赤ちゃんは新陳代謝が盛んです。そのため、生後3ヶ月くらいまでは皮脂が盛んに分泌されています。汗もかきやすいため、赤ちゃんの肌に皮脂や汗がたまって汚れやすいのが乳児湿疹の原因のひとつです。
2.皮膚の角質層が薄い
角質層は、保湿や有害物質の侵入を防ぐのに大切な役目を果たしています。赤ちゃんの肌の角質層は未熟でとても薄く、大人の半分の厚さといわれています。よって、簡単にダメージを受けてしまいます。
3.肌の乾燥
赤ちゃんの肌は一見潤っているようですが、実は乾燥していることが多いのです。赤ちゃんの肌は乾燥に耐えられず、湿疹を起こしてしまいます。特に秋から冬は空気が乾燥しているため、より湿疹ができやすいといえるでしょう。
乳児湿疹の対処法
1.肌を清潔な状態に保つ
赤ちゃん用の固型石鹸をよく泡立て、手に取ってよく洗います。その後、清潔な柔らかいガーゼを濡らして、優しくきれいに拭くと良いでしょう。石鹸で洗うのは1日1回、固型石鹸は肌に優しいもの選んでくださいね。
2.こまめに保湿をする
肌を清潔な状態にできたら、次はしっかりと保湿をします。赤ちゃん用の低刺激の保湿剤(ローションやミルク)を優しく塗り、肌を保湿してあげましょう。赤ちゃんの肌は薄く、バリア機能が十分ではないため、保湿をしてバリア機能を高めます。できれば朝・晩の2回くらいはスキンケアをしてあげると良いでしょう。
3.悪化するようなら病院へ
赤ちゃんの肌を清潔にして保湿してもなかなか治らない場合や、繰り返す場合、悪化した場合は小児科や皮膚科の受診をおすすめします。医師に診てもらえば適切な処置をしてもらえますし、ママも安心できるでしょう。
母乳ママにおすすめの食事とは?
母乳育児を行っているママは、周囲の人から食事に気を付けるように声を掛けられることも多いでしょう。「ケーキや甘いものを食べ過ぎるとおっぱいが詰まるよ」「お餅の食べ過ぎはおっぱいに良くないよ」「和食中心の食事を心がけましょう」といった話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
ママの食事が母乳に直接影響するという根拠はありませんが、こういった話を聞くとどんな食事をすれば良いか気になるものですよね。産後は身体の調子がまだ戻っていませんし、育児には体力がいります。ママの健康のためにも食事に気を付けることは大切です。ここでは育児中におすすめの食事を紹介します。
1.バランスの良い食事を心がける
健康的な身体を維持するためには、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルといった5大栄養素をバランス良く摂ることが大切です。産後すぐは自分で買い物に行けない場合も多いものですが、なるべく多くの食材を取り入れた食事をするように心がけましょう。
産後の食事としては、野菜中心の和食が理想的だとよくいわれます。根菜類の煮物や野菜がたっぷり入った味噌汁、おひたし、白米、白身魚の煮付けなど、おのずとバランス良く食材をとることができるでしょう。ただし、野菜ばかりではなく、魚や肉・卵なども取り入れることが大切です。
2.不足しがちな栄養素には特に気を付けて
母乳はママの血液をもとに作られており、ママの身体の栄養が母乳にたくさん使われます。授乳中は特に鉄分・カルシウムが不足しがちです。そのため、鉄分・カルシウムを意識して摂るようにすると良いでしょう。
3.食事でストレスをためない
妊娠中の体重管理で食べ過ぎないように気をつけたり、赤ちゃんへの影響を考えて食事に気を遣っていたりしたママは、そろそろ自分の好きなものを食べたいと思っているかもしれません。しかし、「脂肪分や糖分は控えた方が良い」「和食中心の食事が良い」と聞くと、好きなものを食べてはいけないのかと不安になる方もいるでしょう。
我慢のしすぎでストレスをためてしまうと、かえって母乳が出にくくなる原因となるかもしれません。甘いものや油の多いものでも、常識的な範囲であれば食べても問題ありませんよ。どうしても気になるようであれば、洋菓子より和菓子を選んだり、洋食よりも和食の回数を多くしたりすると良いかもしれませんね。
母乳と乳児湿疹は直接的には関係しない
きれいだった赤ちゃんの肌に赤くプツプツと湿疹ができてしまうのは、見ていてかわいそうになってしまいます。ママは、赤ちゃんのスキンケアをするなど、できることをしてあげたいですね。
食事によって母乳の質が悪くなり、乳児湿疹を引きおこすという医学的根拠はありません。しかし、食事を見直すことは、ママの身体にとっても良いことです。
赤ちゃんに乳児湿疹ができると、自分のスキンケアの仕方や食事が悪いのではないかとひとりで悩むママもいるでしょう、ひとりで抱え込まず、周りの方やお医者さんに相談して赤ちゃんと笑顔で向きあえると、赤ちゃんもきっと喜んでくれますよ。