【小児科医監修】新生児が寝すぎて心配。黄疸や病気の可能性は?起こすべき?
新生児があまり寝すぎていると、何かの病気ではないかと不安になってしまうママも少なくないのではないでしょうか。眠っているときに起こして授乳した方が良いのかどうか、判断する目安についても触れているので、ぜひチェックしてみてくださいね。ここでは、新生児の眠りについて小児科医監修で解説します。
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この記事の監修
目次
新生児の睡眠について
睡眠時間の目安
新生児の1日の睡眠時間は、16時間程度といわれています。生後3ヶ月頃まで、赤ちゃんの体内時計は1日24時間ではなく25~30時間だそうです。そのため、昼夜の区別が付いておらず、睡眠リズムも整っていません。新生児のころは3~4時間おきに目が覚めることが多いです。
浅い眠りが多い
生まれたばかりの赤ちゃんは、40分から50分間隔でレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。そのため、浅い眠りの状態が多く、ちょっとした刺激で目を覚ましやすいです。
新生児が寝ていて起きないときは起こして授乳すべき?
元気で体重増加に問題がなければ起こさなくても良い
新生児の授乳間隔は2~3時間おきが目安といわれていますが、赤ちゃんが眠っていて起きない場合は、起こして授乳をするべきか悩んでしまいますよね。起きているときに元気があり、1日に25~30gほど体重が増えているようなら、起こさなくても大丈夫です。
ただし、生後5日頃までは、一時的に赤ちゃんの体重が減る「生理的体重減少」が起こることがあります。これは、赤ちゃんが飲む母乳よりも尿や便となって排出する水分が多いことによって起こり、遅くても生後2~3週ほどで出生体重に戻るので、1割程度の体重減少であれば心配しなくても良いですよ。
起こして授乳した方が良い場合
赤ちゃんのおしっこの回数や量が減ったり、唇が乾燥してかさかさしていたりするときは、軽度の脱水症状を起こしている可能性があります。その場合は、赤ちゃんを起こして授乳をするようにしましょう。また、連続して5~6時間眠り続ける場合も、赤ちゃんが水分不足になってしまうかもしれないので、起こすようにしてください。
寝ている新生児の起こし方
ぐっすり眠っている新生児を起こすときには、以下の方法が効果的です。
・声をかける
・布団をとったり、服を着替えさせたりする
・おむつを替える
・唇におっぱいを近づける
・濡らしたガーゼで顔を拭く
・足の裏や眉間などをくすぐる
ぜひ試してみてくださいね。
ママの乳腺炎にも注意しよう
赤ちゃんが眠っているからと授乳間隔をあけすぎると、ママが乳腺炎になってしまうことがあります。不快なほど胸が張ってきたら、赤ちゃんを起こしておっぱいを飲んでもらうようにしましょう。また、赤ちゃんが寝ぼけている状態で授乳すると、途中で眠ってしまっておっぱいを飲み切ることができなくなるかもしれません。
そのため、授乳前はしっかり赤ちゃんを起こし、乳房に母乳が残らないように授乳をするようにしてくださいね。
新生児が寝すぎる場合は病気の可能性がある?
新生児黄疸
「新生児黄疸」の赤ちゃんは、黄疸の回復のために睡眠時間が長くなる傾向があります。新生児黄疸とは、血液の中のビリルビンの数値が高くなってしまうことで起こるものです。生まれたばかりの赤ちゃんは肝臓の機能が未熟なため、ビリルビンを体内で分解できずに数値が高くなりやすいので、ほとんどの赤ちゃんに多少の黄疸がみられるといわれています。
生理的な黄疸の場合は生後7日ほどで自然に治まります。ただし、母乳育児の場合は生後2~3週頃まで黄疸の症状が続くことが多く、生後8~12週まで続くケースもあるそうです。心配のいらない場合がほとんどですが、まれに病的黄疸といって血液型不適合などが原因となって黄疸が起こっているケースがあります。
赤ちゃんの目や肌が黄色くなる症状があれば「問題ない」と自己判断せずに、医師に相談するようにしましょう。また、新生児黄疸のある赤ちゃんの場合は、長時間眠っていたら起こして授乳をするようにしてくださいね。
私の子どもは新生児黄疸の症状が強く、新生児のころはぐったりと眠っていることが多かったです。眠っている時間が長く、泣くことが少なかったので、育児の負担は軽かったのですが、元気のない子どもの姿に胸が痛みました。生後1ヶ月を過ぎてからは黄疸の症状がおさまり、あまり寝ないよく泣く赤ちゃんになりました。
発達障害
「アスペルガー症候群」や「自閉症」などの発達障害を持つ赤ちゃんは、睡眠障害があることが多いといわれています。睡眠障害というと不眠症のイメージが強いかもしれませんが、ほかにもさまざまな症状があり、過眠もそのひとつです。
自閉症のある子どものママに行なった調査によると、全体の60%が「赤ちゃん時代によく眠る子どもだった」といいます。ただし、睡眠だけでは発達障害があるかどうか判断するのは難しいので、あまり心配しすぎず、子どもの発達や成長を観察してみてくださいね。
乳幼児突然死症候群(SIDS)
眠っているときに赤ちゃんが突然亡くなってしまう「乳幼児突然死症候群(SIDS)」は、まだ原因がはっきりとわかっていない病気です。赤ちゃんが寝すぎるからといって、SIDSの危険が増えるわけではありませんが、よく眠っているからと目を離してしまう時間が増えてしまうことで、赤ちゃんの異常を見逃してしまう危険があります。
そのため、体重増加に問題がないうえに、起こして授乳をせずに良くても、こまめに赤ちゃんの様子を確認するようにしましょう。SIDSはうつぶせ寝や妊娠中・赤ちゃんのそばでの喫煙によってリスクが高くなるといわれています。また、母乳で育てることでリスクを減らせるという調査結果もありますよ。
サイレントベビー
赤ちゃんがあまりに寝すぎていると、「サイレントベビー」ではないかと心配してしまうママも少なくありません。サイレントベビーとは、泣いたり笑ったりといった感情表現が極端に少ない赤ちゃんのことをいます。赤ちゃんの睡眠時間が長くても、起きている時間にしっかりと泣いておむつやおっぱいなどを知らせてくれるようなら、心配しなくても大丈夫ですよ。
新生児期にたくさん寝ることのメリット
新生児の睡眠時間が長いと不安に感じてしまうかもしれませんが、赤ちゃんにとって、眠ることには大きなメリットがあります。赤ちゃんが眠っているときにまとめて分泌される成長ホルモンは、子どもの成長に欠かせないものです。また、脳の働きを良くする効果もあるといわれています。
赤ちゃんの発達が順調で元気なようであれば、ぜひよく眠るメリットにも目を向けてみてくださいね。
新生児の睡眠時間に関する体験談
筆者の娘は、新生児のころとてもよく寝る赤ちゃんでした。新生児黄疸の症状が重く、入院中はほとんど保育器に入り、光線治療を受けていました。一度退院できたものの、ビリルビンの数値が上がってしまい、再入院となりました。その黄疸の影響か眠っている時間が長く、不安で仕方なかったです。
授乳のタイミングになっていても眠っていることが多く、無理に起こしながら授乳をしていました。そんなとき、看護師さんに「これから育児を頑張るママに、神様がくれた休憩時間かもしれないね」と声をかけてもらい、救われた気持ちになったことを覚えています。1ヶ月を過ぎて黄疸が治まったころからは、寝すぎることもなくなりました。
新生児が寝すぎるときは体重に注目しよう
新生児が長時間眠り続けていると不安になってしまうかもしれませんが、体重増加が順調であれば、心配しなくても大丈夫なケースがほとんどです。赤ちゃんの元気がなかったり、体重が増えなかったりして不安なときは、専門機関に相談するようにしましょう。
※この記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。