赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状・原因・対処法。食物アレルギーとの違いは?
赤ちゃんの肌に湿疹ができると、アトピー性皮膚炎ではないかと心配になってしまいますよね。ここでは、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状や原因、対処法を紹介します。間違って認識している人も少なくない、食物アレルギーや乳児湿疹との違いも参考にしてみてくださいね。
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目次
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎とは
アレルギー反応による慢性的な肌の炎症
アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が繰り返し何度も現れる、慢性的な病気です。赤ちゃんや子どもに多く、成長するにつれて発症する確率は低くなります。
乳児湿疹との違い
赤ちゃんの皮膚は、卵のようにツルンとしているイメージがあるかもしれませんが、実際はさまざまなトラブルが起こりやすいものです。表皮の厚さは大人の半分程度なので、ちょっとした刺激によって肌が荒れてしまうことも少なくありません。また、汗をかく量が多く、皮脂が少ないので、汚れやすくて乾燥しやすいといわれています。
乳児湿疹とは、1歳前の赤ちゃんの皮膚の湿疹の総称です。アトピー性皮膚炎のほか、脂漏性湿疹やあせも、新生児にきびなども、すべて乳児湿疹に含まれています。
アトピー性皮膚炎が現れる時期
子どものアトピー性皮膚炎は、生後6ヶ月までに50%、1歳までに70%程度発症するといわれています。アトピーの湿疹は生後1~2ヶ月頃からよく見られますが、アトピー性皮膚炎の診断基準のひとつに「湿疹が2ヶ月以上継続すること」があるため、3~4ヶ月以降に診断を受けるケースが多いようです。
赤い湿疹ができる皮膚の病気
赤ちゃんの肌はデリケートなため、さまざまな原因によって湿疹ができることがあります。アトピー性皮膚炎以外に、赤ちゃんに赤い湿疹ができる皮膚の病気には、以下のようなものがあります。
・脂漏性湿疹
・新生児ニキビ
・接触性皮膚炎(かぶれ)
・蕁麻疹
・あせも(汗疹)
・おむつかぶれ
・虫刺され
・とびひ
原因によって治療法が異なるので、自己判断せずに、医師の診察を受けるようにしましょう。
アトピー性皮膚炎の症状
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、頭や顔から始まり、首や体、手足にまで広がることが多いです。ひじやひざの裏側に症状が現れることもあります。赤い湿疹ができたり、小さいぶつぶつができたり、肌がカサカサしたり、かさぶたができたりし、かゆみを伴います。
また、左右対称に症状が出るのも特徴のひとつです。子どもや大人の場合は、症状が6ヶ月以上続くことが診断基準のひとつとなりますが、赤ちゃんの場合は2ヶ月以上続くことが基準となります。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の原因
「アトピー」は、ギリシャ語で「奇妙な」「とらえどころのない」という意味で、アトピー性皮膚炎の原因ははっきりと解明されていません。ただ、患者の多くの家族が下記のようなアトピー性疾患にかかっている「アトピー体質」だといわれています。
・アトピー性皮膚炎
・気管支喘息
・アレルギー性鼻炎(花粉症も含む)
・アレルギー性結膜炎
アトピー性皮膚炎になる赤ちゃんの多くは、生まれつきの角層の異常により、肌が乾燥しやすいという特徴があります。そのため、肌を守るバリア機能が正常に働かず、アレルゲンが直接皮膚の中に入り込み、湿疹ができやすいのだそうです。
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係
アトピー性皮膚炎による食物アレルギーの獲得
アトピー性皮膚炎によって肌のバリア機能が弱まり、肌から直接アレルゲンが入ることで、食物アレルギーが引き起こされることがあります。
アトピー性皮膚炎の原因は食べ物とは限らない
アトピー性皮膚炎は、食べ物だけでなく、ダニやほこり、ストレス、汗や汚れなどのさまざまな要因の影響を受けます。
そのため、特定の原因を防げば症状を防ぐことができるというわけではありません。
アトピー性皮膚炎の場合、除去食にするべき?
以前は、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんには卵や牛乳、小麦、大豆などを控えるよう指導する病院も少なくありませんでした。しかし、現在では、はっきりとした根拠がある場合を除き、除去食にする必要はないといわれています。むしろ最近では、小児期から積極的に食べさせたほうが、ナッツなどの特定の食物アレルギーの発症率を下げる可能性があるという研究結果もあります。
ただし、卵などの動物性たんぱく質は、一般的にアレルギーを起こす頻度も高く、アレルギー体質をもつ赤ちゃんでは重篤な症状を引き起こす場合もあるため、医師と相談して赤ちゃんの様子を見ながら、慎重に与えるようにしましょう。赤ちゃんの食事は和食を中心にし、消化にいいように煮たり蒸したりして調理することをおすすめします。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は何科を受診すればいい?
赤ちゃんにアトピー性皮膚炎のような症状が現れたら、何科を受診すればよいのか悩んでしまいますよね。小児科でも皮膚科でも問題はありませんが、おすすめなのは小児アレルギーを専門としている小児科や、皮膚科です。
多くのケースでは、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは食物アレルギーを合併している場合があります。そのため、食物アレルギーなども疑わしい場合には、かかりつけの小児科に相談すると安心ですよ。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の対処法
薬物療法
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の治療には、ステロイド剤や抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤などが使用されます。ステロイド剤と聞くと、副作用が気になるママも少なくないのではないでしょうか。ステロイド剤は、アレルギー症状を抑え込み、体の炎症を軽くする薬です。
実際にステロイド剤には、長期に使用すると皮膚が薄くなったり、にきびやヘルペスなどの感染症にかかりやすくなったりする副作用があります。ただし、医師の指示に従って使用すれば、問題ないといわれています。また、症状にあわせて処方される薬が変わることがあるので、定期的に病院を受診するようにしましょう。
シャンプー・石鹸をしっかりと流す
肌を清潔に保つことも、アトピー性皮膚炎の改善に効果的です。お風呂で体を洗うときは、予めしっかりと石鹸を泡立て、指の腹や手のひらでやさしく洗うようにしましょう。石鹸は低刺激のものがおすすめです。からだに付着したほとんどの汚れは、お湯を流すだけできれいになるといわれます。「きれいにしなくては」とごしごしナイロンタオルなどでこすったりしないように注意してくださいね。
体が洗えたら、シャンプーや石鹸が残らないようしっかりと洗い流すことが大切です。また、熱いお湯は必要以上に皮脂を洗い流してしまうため、お風呂の温度はぬるめに設定するようにしましょう。
保湿をする
保湿は1日に3~4回程度、毎日行うようにしましょう。特にお風呂のあとは肌が水分を吸収しており、また皮脂が洗い流されていて乾燥しやすいので、15分以内に手早く保湿することが大切です。保湿剤の種類はさまざまなので、医師と相談しながら、赤ちゃんの肌にあったものを選んでください。
肌を清潔に保つ
赤ちゃんは大人と比べて汗をかきやすいため、こまめに汗を拭いたり、着替えさせたりして、肌を清潔にするようにしましょう。また、よだれもきちんと拭きとってあげるようにしてくださいね。ただし強くはこすらないでください。離乳食が始まり、口周りを汚してしまうことが多いようなら、食事前にワセリンなどで保湿ガードをしておくと安心です。
衣類の素材を変える
アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの衣類は、木綿などの肌にやさしい素材のものを選ぶようにしましょう。洗濯するときは、しっかりとすすいで洗剤が残らないように注意し、漂白剤は肌に負担がかかってしまうので、使わないようにしましょう。
こまめに掃除をする
アトピー性皮膚炎は、ハウスダストやダニなどが原因のひとつとなることがあります。そのため、こまめに掃除をして、部屋をきれいな状態に保つようにしましょう。敷布団や掛布団にも、掃除機をかけるようにしてくださいね。また、犬や猫など、毛のあるペットの飼育は避けることをおすすめします。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は治らないの?
全く薬を使わないレベルまで完治するということは難しいかもしれません。しかし、発赤がでたら早めに炎症を抑える治療を行い、普段からしっかり保湿をしていく治療を継続していると、治るまでに長い時間がかからずに上手なコントロールが得られることが多いです。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎に神経質になりすぎないで
赤ちゃんがアトピー性皮膚炎と診断されたら、ママも心配になってしまいますよね。しかし、ママが神経質になりすぎると、それが赤ちゃんのストレスにもなってしまい、症状が悪化してしまうことがあります。年齢を重ねると症状が治まる可能性が高いので、あまり思いつめないようにしてください。また、ステロイドなどの薬の副作用ばかりに目が行き、一部で薬を自己中断してしまうママもいます。治療のことで心配なことはいつでも医師に相談し、赤ちゃんの皮膚を守ってあげてください。