水痘ってどんな病気?初期症状と治療法・予防する方法は?
乳児から大人までかかる「水疱瘡(みずぼうそう)」があります。しかし、初めての場合、水疱瘡かその他の湿疹かを判断するのは難しいですよね。水疱瘡を悪化させないためにも、「水疱瘡の初期症状」「水疱瘡の進行」「水疱瘡の受診の目安」「水疱瘡の治療」「水疱瘡の予防」など水疱瘡の基礎知識を紹介します。
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目次
水疱瘡(みずぼうそう)とは?
水疱瘡(みずぼうそう)とは、水痘(すいとう)とも呼ばれ、「水痘帯状疱疹(すいほうたいじょうほうしん)ウイルス」という、ウイルスによって引きおこされる病気のことをいいます。非常に強い感染力を持ち、水疱瘡にかかると、学校や仕事を休むことが義務付けられています。
水疱瘡ウイルスが体内に入ると約2週間の潜伏期間を経て発症します。大人では風邪に似た症状が先行しますが、小児の多くは発疹が初発症状です。「赤い発疹」→「水疱(みずぶくれ)」→「痂皮(かさぶた)」の順に進行し、発疹は約7日ほどかけてかさぶたになります。水疱瘡はかゆみを感じることがあります。また、まれに脳炎や肺炎など合併症を引き起こす場合があります。
主に1~8歳の子どもに多く発症し、子どものうちに(ただし1歳以上)かかれば症状は比較的軽く済むことが多いようです。一方で、大人になってから水疱瘡にかると重症化しやすいとされています。
水疱瘡に一度かかれば身体の中に抗体ができるので、再び発症することはほとんどありません。ただし水疱瘡が治ったあともウイルスが身体の中の神経に長く潜伏して、大人になって免疫が低下したときに帯状疱疹(たいじょうほうしん)を発症するケースがあります。
水疱瘡の潜伏期間
水疱瘡のウイルスの潜伏期間は、2週間程度とされています。正確には10~21日程度とやや幅があります。
潜伏期間とは、ウイルスが体内に入り込んでから、体内で増殖し、水疱瘡の症状が現れるまでの期間をいいます。そのため、ウイルスに感染してすぐに発症するわけではありません。たとえば水疱瘡を発症した友達やきょうだいに接触したなら、その後3週間程度は発症する可能性があるので、水疱瘡を念頭に置き、症状を見逃さないようにしてください。
潜伏期間でも感染する?
潜伏期間は水疱瘡の症状がないため発症しているかわかりづらいです。水疱瘡の発症を知らずに友達やきょうだいと接触することがあるため、感染していないか心配になりますよね。
水疱瘡のウイルスが感染するのは、水疱の発疹が出る1~2日前から水疱が完全にかさぶたになるまでとされています。成人では水疱が出る前に発熱などの初期症状が現れることが多いものの、小児では軽い感冒症状や発疹が最初の症状であることがほとんどです。
水疱が完全にかさぶたになった場合は、感染力はなくなると考えて良いでしょう。
水疱瘡の初期症状
水疱瘡に感染したら、まずどのような症状が現れるのでしょうか。
一般的に身体に水疱がみられるのは、水疱瘡の初期症状が現れた2~3日後とされています。
発熱
発疹より先に熱が出ることもありますが、多くは発疹出現と同時か、その後に発熱します。典型例では38℃前後の発熱が2~3日続きますが、特にワクチンを接種した場合は、37℃程度の微熱で済んだり、発熱しなかったりすることが多くなります。
食欲の低下
水疱瘡にかかると、食欲が低下することがあります。赤ちゃんは、母乳やミルクの飲みが悪くなることがあるかもしれません。
軽い頭痛
発熱・食欲の低下とともに、頭痛がおこる子どもがいます。子どもの頭痛は大人が気付けないことも多く、機嫌の悪さや元気のなさと感じるかもしれません。
風邪の症状
「発熱」「食欲の低下」「頭痛」「元気がない」に加えて、咳や鼻水が出ることもあり、風邪の症状と非常によく似ています。潜伏期間を経てウイルスの増殖が進行すると、風邪の症状が重くなることもあります。
水疱瘡が流行している、家族が水疱瘡など、感染のリスクが高い場合は、上記のような症状が出たときには水疱瘡を疑い、他の人にうつさないように自宅で安静にできると良いですね。
水疱瘡の進行
水疱瘡の進行は、段階を追って身体に症状が現れます。
紅斑、丘疹(きゅうしん)
身体に小さく平らで赤いブツブツが現れます。まずは、頭部、とくに髪の生え際に現れることが多いようです。水疱瘡の初期の発疹は、乳児湿疹や虫刺されに似ていて判断しづらいことがあります。
水疱(水ぶくれ)
水疱瘡であれば、数時間経つと、発疹が水疱(みずぶくれ)になり、身体や手足、ときには陰部や口腔内まで全身に広がります。
かさぶた
全身に広がった水疱は、約7日程度かけてかさぶたになります。
水疱瘡の特徴は、上記の紅斑・丘疹→水ぶくれ→かさぶたのさまざまな段階の発疹が、混在していることです。まだ丘疹の時期の発疹もあれば、同時にすでにかさぶた化した発疹もあるということです。水疱瘡が治った(人に感染させる心配がない)とは、すべての発疹がかさぶた化したことをいいます。
また、かさぶたになるまでにかゆみが起こる場合があります。子どもがひっかくことで傷になり、傷口から別の細菌に感染してしまうこともあります。
水疱瘡の受診の目安
水疱瘡の重症化を防ぐために、定期ワクチンがあります。ただし、そのときの免疫力次第で、症状の重症度が変わってくるので、日ごろ免疫力を落とさないようにしましょう。
水疱瘡の初期症状は、風邪の症状と非常によく似ているので、水疱がでていない時点では診断できません。特別ぐったりしていなければ、水疱がでるまで自宅で安静にして見守ってください。
水疱瘡の治療には抗ウイルス薬があり、発症48時間以内に内服すれば効果がありますが、通常の免疫能をもった子どもでワクチン接種後であれば重症化することはほとんどなく、必ずしも薬を使う必要はありません。特に休日に慌てて受診する必要はなく、他の人にうつさないように自宅でゆっくり休養させてください。
万が一ワクチン未接種で、水疱瘡の人と接触してしまった場合には72時間以内にワクチンを接種すると予防できるかもしれません。
免疫能の低下があるといわれている場合は、感染が疑われた時点で、抗ウイルス薬の予防内服をすることもできます。潜伏期間が長く緊急性はないので、平日の日中にかかりつけで相談してください。
水疱瘡の治療
水疱瘡には「対症療法」「抗ウイルス療法」という治療方法があります。
「対症療法」は、水疱に薬を塗布して、かゆみと炎症を和らげる治療方法です。かゆみが強いときには、かゆみ止めに抗アレルギー薬を内服することもあります。かゆみから皮膚をかいて傷ができたときに別の細菌に感染した際には、抗生物質が使用されます。
「抗ウイルス療法」は、抗ウイルス剤を用いて、体内に侵入しているウイルスを抑制する治療方法です。発症後48時間以内に服薬することで、水疱瘡の症状を軽く済ませることができるとされています。
水疱瘡の治療のポイント
■爪を短く切る
水疱瘡は身体中にひろがると、かゆみをおびます。そのため、かきむしって傷にならないためにも爪は短く切っておきましょう。
■毎日シャワーをする
身体を清潔に保ちましょう。熱いお湯はかゆみが強くなったりしみたりするので、ぬるめのシャワーがおすすめです。
■こまめに着替えをする
衣類や下着はこまめに替えて、清潔に過ごしましょう。
■食べ物を工夫する
口の中に発疹ができると、しみてしまうので食事も困難です。アイスやゼリーなど、のどごしの良い食べ物、冷たいもの、刺激物は避けるなどの工夫をしましょう。食欲がなければ、水分をしっかり飲むようにしてください。赤ちゃんであれば、母乳やミルクが飲みやすいよう、スプーンで与えるなど工夫をしてあげると良いでしょう。
■外出は控える
熱が下がって体調が良くなっても、水疱が全てかさぶたになるまでは感染する恐れがあります。感染の拡大を防ぐためにも、外出は控えましょう。
水疱瘡の感染力
水疱瘡の感染力は、非常に強いとされています。ウイルスは空気感染・飛沫感染・接触感染するため、水疱瘡が発症している子の近くに寄るだけで感染する場合があります。
きょうだいなど、家族内での水疱瘡の感染は90%程度といわれており、非常に高い確率で感染するとされています。
水疱の中身は?
水疱の中身は、水痘帯状疱疹ウイルスがたくさん入っています。
かきむしったり水疱が破れたりしたところからあふれた液が、他のところに付着すると、家族間で感染する可能性がかなり高くなるので、こまめに手洗いをしましょう。
水疱瘡になったときの出席停止期間
水疱瘡は法定伝染病に指定されています。そのため、水疱瘡が発症すると、すべての発疹がかさぶたになるまで幼稚園や保育園・学校・職場など、人が集まる場所への出席は停止となります。おおよそ1週間~10日ほどかかることが多いでしょう。登校や出社の際には、医師の治癒証明が必要になるところがほとんどです。
また、米国の小児学会では、水疱瘡に感染して水痘が現れたら、6日後までを隔離の期間と定めています。さらに、さまざまな理由で免疫が低下している人との接触は、長期間避けることが推奨されています。
水疱瘡の予防方法
水疱瘡のウイルスのみならず、ウイルスに感染しないためには「手洗い」「うがい」が大切です。すべてのウイルスではありませんが、水疱瘡のウイルスはアルコールや次亜塩素酸で消毒をすることで、ウイルスの感染を抑えることができます。
予防接種を受ける
平成26年10月1日以降、水痘ワクチンが定期接種となりました。
水疱瘡は、年間で100万人程度が発症して、4,000人程度が入院するといわれています。さらに重症化すると、熱性痙攣(ねっせいけいれん)・肺炎・気管支炎などを発症して、年間20名程度が命を落としています。9歳以下の発症が90%とされているので、日本小児科学会では幼児期に予防接種をうけて水疱瘡を予防することが推奨されています。
■定期接種の期間
生後12~36ヶ月のあいだ(1歳の誕生日~3歳の誕生日の前日まで)
■接種の回数
全2回
1回目…生後12ヶ月~生後15ヶ月までのあいだ
2回目…1回目の接種から3ヶ月以上経過した後
一般的には、1回目の接種後6ヶ月~12ヶ月まで経過した時期
国内での水痘にはワクチンは、「乾燥弱毒生水痘(かんそうじゃくどくなますいとう)ワクチン(水痘ワクチン)」が使われています。
水痘ワクチンを1回接種することにより、90%以上で免疫がつくといわれています。また、2回の接種により、軽症の水痘を含めて、水疱瘡の発症を予防できると考えられています。日本小児科学会では3歳までに2回の接種を行うようにスケジュールが組まれています。
定期予防接種をきちんと受けて水疱瘡を予防しよう
水疱瘡は、潜伏期間が2週間程度と長いうえに、初期症状がでる数日前から感染力があり、気付かないうち人にうつしたり、うつされたりします。感染力も非常に強く、家庭内であれば9割近く感染するといわれています。症状がなく気付けないのですから、水疱瘡を予防するには、日ごろの手洗いうがいや免疫力を落とさない生活が大切です。
平成26年から定期接種になり、接種が勧奨されています。それでも水疱瘡を発症してしまった場合は、周りにうつさないためにも、水疱がかさぶたになるまでの決められた期間は、自宅で療養して身体を休めてあげてくださいね。